2017年7月29日土曜日

アルファロメオ4C 「理想論だけではダメなのかなー」



  大変に失礼ですが、個性的な設計のクルマには、冷静にその構造を分析できる優秀なレヴュアーが必要ですね。最初から最後まで「アルファロメオは新しくプレミアムになるんだからこれじゃあ・・・」を連呼しているだけなら、その辺のクルマが好きなじーさんにだって言えるよ。プレミアムといってもライバルはせいぜいBMWやジャガーです。アルファロメオ・ジュリアも同じものを使ってますけど、『あの』縦置きミッションはまともに動き出せないですし、アイドリングストップから起動する時のディーゼルの振動もひどい、これにわざわざ特別なおカネを払うのはちょっとねー・・・って二の足を踏みたくなるんですけど。果たしてこのオッサンが夢想しているプレミアムカーってどんなクルマなんだろーか!?

  新生アルファロメオが、「4C」「ジュリア」「ステルヴィオ」というスポーツ、セダン、SUVのアメリカ人が大好きな3車種を揃えて、アメリカに再上陸しております。なんとも潔い精鋭3車種のラインナップ編成。これはアメリカよりも、案外日本で再び火が付く予感もするんですがね。日本向けのジュリエッタやミトもその濃いキャラクターで、価格の割にユーザーを獲得しているようですが、エンジンもミッションも長いこと更新されずに、野ざらしのままになっていて、中身はハッキリ言ってゴルフ6世代のまま。『古いからいいんだよ!!』という意見も一理ありますけどねー。しかしですよ!?そもそもVWと争っていていいのかー!?

  アクアにしようか?ノートe-POWERにしようか?と目星をつけている人々に対して、VWポロ、ルーテシア、シトロエンC3、マツダCX3、スズキSX4クロスが『200万円バトル』に次々と参入しています。そのちょっと上くらいをVWザ・ビートル、フィアット500X、MINIクロスオーバー、そしてミトが、「アイコニック」なデザイナーモデルとして300万円くらいで販売されてます。アルファロメオは2000年代に日本でも人気になった輸入車ブランドですが、なんかファッションや時計のブランドのようにブームが一巡して、機能面で最先端を追わないで、世界観だけで勝負するブランドに落ち着いちゃっています。それはそれで一定の需要はあるでしょうけど・・・。

  日本よりも巨大な市場のはずのアメリカですが、今の日本向けアルファロメオのような「おとぎばなし」では全く相手にされないです。まあ日本でも全く儲かってはいない。そんな現状を根底から打破して、新しいストーリーを描こう!!指標としてアウディのようなドル箱ブランドに仕立てよう!!というのが新生アルファロメオです。その尖兵としてたった1台でそのイメージを180度変えることに成功し、見事に仕切り直しに持ち込んだのが『アルファ4C』というスポーツカーの業績ですね。『オシャレ』なブランドから『エンスー』のブランドへ。ザ・ビートルがケイマンSになったくらいのありえないほど劇的な変化を、ごくごく自然に起こしています。それがアルファロメオ!? それなのにS水K夫さんの「プレミアム路線にあらず」という心無い判断基準には少々違和感があります。宿命とはいえGLA180を家族の車に選ぶ人の基準で評価されるのにはちょっと同情しますよ・・・。




  アルファ4C。ここまで所有することの『価値』を追求したモデルはスッカリ少なくなりました。クルマ作る側も乗る側も完全にマインドが『大衆化』しちゃってますから、ポルシェ718ケイマン(655万円)とか、マツダロードスター(249万円)/アバルト124スパイダー(388万円)、ロードスターRF(324万円)といったモデルに出会うと頭がちょっとフリーズします。何でそんなハッピーな価格に収まるの!? 大衆化したマインドでは理解できない「変態設計」こそに所有する価値が生まれるんじゃないの!? ケイマンとボクスターが無いポルシェは単なる『道楽ブランド』ですし、ロードスターが無いマツダは・・・あまりに悲しすぎる。

  メーカーそれぞれが自己の存在意義を客観的に見据えているからこその「変態設計」。嬉しいことにルノー傘下でアルピーヌA110が復活しました。A110の開発陣には、元々はマツダでRX8などの仕事をしていたデザイナー(日本人)なども参加していたりして、「スポーツカーを作りたい!!」というピュアな想いを抱くカーガイがまだまだ活躍しているんですねー。何だろうな・・・こういう「クリエイティブ」な仕事が自動車産業に脈々と残ることが素晴らしいと思うのですが、アルファ4Cを全く理解しないS水K夫さんや『小物入れがない』というだけでロードスターに失格の烙印を押したS藤S輔さんみたいな、横柄なベビーブーマー世代にはちょっとがっかりですよ。動画のK口さんの方がよっぽど事情がよくわかってるよーですね・・・。

  K口さんは「スパルタン』を連呼してますが、これだけだったらトヨタ86でもいいんじゃない!?あまりみなさん言わないですけど、86もなかなかスパルタンで、4Cのバスタブ構造のような剛性感がなかなか押し付けがましいくらいです。おそらく買った人のほとんどは、このなかなか本格的な「雰囲気」がツボだったはず。86を3年なり5年なり乗り倒した人が、予想外に高い下取り代金に気分を良くしてポルシェやロータスへと進むのか、それとも『もうスポーツカーはいいかな』とハリアーでも買うのか・・・。

  86よりももっと本格的なものが欲しくなる人も一定割合はいるはず。例えば直4ながらもショートストロークを採用しているレアな1.75Lターボ(ジュリエッタの最上級グレードにも使われています)は、エンスー的なポイントが高いです。まあ動画では『古臭いエンジン』とか言われてちゃってますけどねー。

  FFで欧州の頂点に立とうとした名車156から、いきなりミッドシップのスポーツカーを作ったかと思うと、今度はFRをベースに展開・・・経営困難な荒波を乗り越えての存続とはいえ、節操のない変わり身が少々気になるわけですが、アルファロメオの旗のもとに、クルマが好きなエンジニアが集まり、そのタイミングで一番作りたい設計を具現化する・・・プロジェクトの拠点としてブランドが機能する!!そんな自動車文化が日本にもあればいいですけどねー。


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2017年7月16日日曜日

アバルト595 「ピッコロモンスターのエンスーライフ」




  100万円でアルト&ミライースが、200万円でスイフトスポーツ&S660が、300万円でアバルト595、マツダロードスターが買える。まだまだ十分に幸せなカーライフが日本でもしばらくは送れそうです。『とことんまで割り切った』という意味でも、軽やAセグはいいなー。ディーゼルだのPHVだの別にありがたくもない装備を押し売りされることもなく、思い通りの車選びができる。価格に応じて速さが選べます。100万円なら必要十分。200万円はかなりスポーティ。300万円はスパルタン。ちょっとおかしな言い方ですけども、ユーザー目線に一番近い(納得できる)価格設定だと思います。

  マイクロサイズに300万円も出せねーぞ!!というとても真っ当な意見もあるでしょう。1100kgくらいのボデーに180psを軽々出す1.4Lターボですから、ちょうど新しいシビックのエンジンが載ったみたいなものです。1400kgのシビック(約300万円〜)がスポーティな走りのために300kgダイエットして、価格はそのまま据え置きと考えれば納得できるかも。でも相当な贅沢品であると思います。セレブな人々がセカンドカーとして使うスマートよりも高いですから!!

  『ピッコロ・モンスター』=アバルトなら、アクアやノートe-powerにプラス100万円でも納得できますよ。下取りもトヨタ86と同等くらいには回収できるだろうし。案外スバルの限定モデルみたいに投資物件としての価値もありそうです。それほど売れてなくて、しかもちょっと高いなー!!だけど廃止にはならない!?そんな不思議なクルマには、案外よく知らない価値があるものですね。

  100万円クラスのアルトやミライースなら『これはよくできてるなー』って感じで、スズキやダイハツの小型車製造技術に感心できます。200万円クラスの特に『スイスポ』や『S660』だとクルマ全体の動的質感は非常に個性的で、日本メーカーだから、日本の小型車だから可能!?そんな世界でオンリーワンなダイナミックな旋回性能を肌で感じて、この理屈を突き詰めた延長線上にマクラーレン720Sがあるのかなー!?なんて感慨にふけることも(どれだけ想像力豊かなんだろう)。

  300万円クラスのアバルト595。全モデルがフィアットの三菱ライセンスでおなじみのマルチエアとか言われる1.4Lターボで、ベースモデルの「595」(294万円)が135ps、上級の「595ツーリズモ」(347万円)が160ps、最上級の「コンペティツィオーネ」(365万円)が180psです。実際に買うとなると相当に悩みそうなスペック違いになってますね。価格差もとても絶妙。135psでも相当に速いですけど、180psの魅力も捨て難い。そして開放感あふれるソフトトップも用意されているのは160psバージョン(377万円)です。そもそも開放感を求めるならば124スパイダー(388万円)がありますけどね。

  輸入車として日本でも人気のドイツ車とイタリア車。誰が乗っても速いのがドイツ車で、自分の腕で速く走らせるのがイタリア車。平気で最高速度300km/hをクリアする直線番長がドイツ車(PマニアはBMやMBと一緒にするな!!って怒るかも)で、小さいボデーに強烈なユニットを積んで、巻き込みながら曲がるのがイタリア車。そんな伝統をしっかり受け継いでいるアバルト。ランチアやアルファロメオにも面白いスポーツモデルを期待したいです。

  日本の自動車メーカーにとっては、極端なホイールベースのクルマを作って、それを10年くらいかけて少しずつでも市場のニーズに一致させていくというクルマ作りができない。トヨタも一時期『iQ』というマイクロモデルを手がけて、アストンマーティンにもOEMするなど模索する時期がありましたが、リーマンと震災のダブルショックで単年赤字を計上したためにあっさりと放棄してしまいました。

  ヤマハなどこれから四輪に参入する新興メーカーのためにも、非軽のAセグ市場からトヨタが撤退したことに関しては良い面もあった!!とは思いますが、もう少し踏ん張って市場を温めて欲しかった気もします。ユーザーにとってはクルマは大きな買い物なので、『極端』なモデルにはなかなか慎重になりますから、時間がかかります。実際にフィアット500を躊躇なく買える人の割合は決して高くないと思います。もしかしたらポルシェよりも行きにくいかも!?(日本での販売台数はポルシェとフィアットはほぼ同数くらいです)

  それでも昨年にルノー・トゥインゴとスマートフォーフォーがセンセーショナルに登場したおかげで、ルノーもスマートも直近では昨年比で約2倍の売り上げで躍進しています。これから投入されるであろうトゥインゴGTやトゥインゴ・ゴルディーニRSがさらにこのクラスを盛り上げてくれれば、もっと多くの人が小さいけどとってもエンスーなクルマ達に目を向けるようになるんじゃないでしょうか。


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2017年7月11日火曜日

ルノー・キャプチャー 「タイミングが悪かった?次行ってみよー」

  ルノーというメーカーには商売気があるのでしょうか!? 日産の親会社という立場で世界に立ち回っている商才の塊みたいなグループの印象もありますが、あまりやる気を感じないですよねー。日本に入ってくる一定規模の輸入ブランドの中では、内装のレベルが世界標準(日本標準)から最も遅れているのがルノーかな!?まだVWやフィアットの方がマシだよなー・・・。特に日本市場におけるフラッグシップのメガーヌは、Cセグの他のクルマと比べるのがかわいそうなくらいにイケてない。10年以上フルモデルチェンジをしていないプレミオ/アリオンと同じくらい古臭さを醸しています。

  まだ日本未導入ですが新型メガーヌではちょっとは改善されてますね。縦長の液晶ディスプレイは好き嫌いがあるかもしれないですが、今では非ドイツ系グローバル車の中型・大型モデルではこれが主流!?な気がします。ドイツブランドは小さめのディスプレイが好きみたいです。最近のメルセデスなどは乗るたびに思うのですが、ディスプレイよりもエアコン吹き出し口が大事みたいです。中にはそんなにたくさん吹き出し口を付ける必要あるの!?(それともこれはスピーカーなのか!?)ってモデルもあります。


 

  ルノーのラインナップは、とにかくキャラクターが非常によく立っていて、日本みたいな飽和市場では案外に売りやすいんじゃないかと思います。内装なんか気にしないという人にとっては、お財布にも優しい価格帯ですし、トヨタのヒット車(C-HRやプリウス)よりもリーズナブルな選択かも。

  特にトウィンゴ、ルーテシア、カングーは日本市場でも競争力が十分にありますし、メガーヌも本国ですでに発売されている『マイクタイソン・フェイス』になっているセダンを持って来れば、『シビックよりカッコいいかも!?』って注目されるんじゃないでしょうか。メガーヌの中身は北米でシビックと戦っているセントラの1.6Lターボ(200ps)ですから、新型シビックとも性能面では互角に戦え流でしょうし、メガーヌRSとシビックtypeRはFFニュル最速をめぐるライバルでもありますし。




さてそんな中で・・・ちょっと宙に浮いた感じになっているのがキャプチャーです。このジャンルの輸入車にしては日本発売が早かったのですが、「なんか良さそうだけど・・・」で終わってしまった感じがします。お年寄りの気持ちはちょっと掴んだかもしれないけど、若者の心は全く掴めなかった・・・。フランスでは若い世代が乗っているクルマなんですけども、フランスよりもGNIが低いのに、高い家賃&スマホ代を負担している日本の若者には260万円は、ちょっと敷居が高かったか!?いやいや同じ金額でトヨタ86が買えるという現実の前に敗北しただけです。

 

  日本のクルマ好きな若者はみんな賢いですからねー。K沢さんが何か言えば、すぐに『老害は黙ってろ!!』みたいな強烈な反論が返ってきますし、K口さんが動画で乗り心地いいですねーといえば、『この人はいつも同じこと言ってるよなー』などと、コミュニケーション不足時代を象徴するような反応が起こります。

  そんな冷めきった日本のクルマが好きな若者を振り向かせてローンを組ませるならば、せめてルーテシアRS用の1.6Lターボでも積んでこないと何も始まらないって。メガーヌRS用の2Lターボを積め!!とまでは言わないけどさ。

  動画の頃と比べて年次改良によるフェイスリフトが行われていて、欧州で大ヒット驀進中!!ついにVWゴルフについで全欧州第2位の地位に上り詰めたルーテシアに近いエクステリアになっているんですが、このベースモデル(ルーテシア)のデザインがとても優秀なのも、キャプチャーの不人気に拍車をかけているようです。ルノーがマツダから引き抜いた、ローレンス=ヴァン・デン・アッカーがルノーでの挨拶がわりに仕上げたルーテシアのエクステリアは全く風化しないですねー。イケメンBセグランキングを作れば間違いなく1位ルーテシア、2位MINI、3位アクア、4位ミト、5位デミオかな・・・。

  MINIより、MINIクロスオーバーの方が高級感があって、デミオよりCX3の方がスタイリッシュだから、それ相応の価格差が受け入れられているわけですが、ルーテシアとキャプチャーに関しては立場がちょっと微妙なんですねー。ヴァン・デン・アッカー時代のマツダがコンパクトカー市場の多様性を狙って作った『ベリーサ』というBセグ車がありましたが、キャプチャーはなんだかベリーサに近いイメージで仕上げられているような感じがするんです(あまり新しくない)。ルーテシアが優秀すぎるけれども、なんとかキャプチャーのキャラを立たせて欲しいですねー。

↓三本さんやっぱり面白いなー



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↓ツートーンを日本で流行らせたのはMINI、シトロエンDSとこのキャプチャー!?

2017年7月3日月曜日

シトロエンC3 「日本市場で爆発するポテンシャルありそう」

 

  最近のオシャレな小型車で大流行している塗り分けです。街中にこの『白・黒・赤』が繁殖するのとしたら・・・ちょっと異様な光景なのかも。シトロエンだったらもっともっと独創性があってもよかったんじゃないの? フロントのレトロフューチャーな装いと、サイドのウレタンパネルで十分差別化できてますけどね。かっこいいなー。フィアット500、ダイハツキャストスポーツ、スズキアルトターボRS/ワークス、ノートNISMO、ジュークNISMO、エクストレイルNISMO。ホワイトをベースにレッド&ブラックのアクセントを加える塗り分けはいいですね。

  あまりにも「様」になっているので、逆にホワイト一色で塗るノーマルなままの小型車がちょっと地味すぎるように感じます。街中で見かける新型モデルも、塗り分けや加飾パーツが付いたモデルが多い気がします。本体よりもアクセサリーにお金をかける時代なのか!? トヨタ(アクア、ヴィッツ)、マツダ(デミオ、CX3)、ホンダ(S660)などは純正オプションパーツで、『白・黒・赤』カラーリングに対応しています。中にはドアミラーだけ『赤』みたいな中途半端なデコの個体もあったり。MINIやボルボの国旗アクセントみたいに『日の丸』アクセントなんてどうでしょう。今ではカラーリングを楽しむのは小型車を持つ醍醐味ですから、色々あって良さそうです。

  ダイハツの新型ミラーイースのデザインはなかなかイケメンだなと思ったのですが、このミライースのようにシンプルでそれほど奇抜ではない造形の方が、カラーリングを楽しむには向いているかもしれません。配色も完全にオリジナルでももちろんいいのですけど、周囲とのコミュニケーション(痛車か!?)という意味では『パロディ』もいいかも。あの『ハチロク』みたいな白黒の塗り分けなんてどうでしょう。そんなことが思いつくと、結構本気で購入計画を立ててしまったりします。

  先日ガソリンモデルの投入を発表したマツダCX3の価格が210万円〜と発表され、約30万円ほどベースモデルの価格が下がりました。マツダはC-HRやXV相手にするなら、これで十分に勝負できる!!と見ているようです。シトロエンC3もCX3くらいの価格が予想されているのですが、マツダの視界にこのクルマがあったのか!?「走り」が好きなユーザーならば、CX3か?シトロエンC3か?という二択も十分にありえます。200万円そこそこでCX3とC3が激突!!これはなかなかのマッチアップになるのではないでしょうか!?

  CX3のような都市型コンパクトクロスオーバーは、ちょっといいグレードを選ぶとすぐに300万円超えるので、なかなか贅沢な選択肢でした。300万円あれば、衝突安全性でトップレベルのミドルセダン(レガシィB4、ティアナ、アテンザなど)が買えますから・・・。そんなミステイクな戦略に気がついたのか(?)マツダはCX3の値下げを断行しましたが、やはりある程度は高級なイメージを維持するためにも、さすがに200万円を切る設定にはしなかったです。あまりに極端な値下げはすでにディーゼルを買ってくれているユーザーにも不親切極まり無いですし、そこは非常に良心的な対応だったと思います。果たしてシトロエンC3は210万円を下回ってくるのか!?

  CX3、XV、C-HRの3台の日本車SUVは、出色の出来で、ちょっと見ただけでもメーカーの気迫が伝わってくるんですが、強いて難点を挙げるならば、C-HRの1.2Lターボと、XVの1.6L自然吸気はやや役不足な気がします。同じくらいの車重のシビックが1.5Lターボ(180ps)で登場するので、これが日本でも基準になっていくようです。1300~1500kgの間の車重で、欧州スタイルだとベースが90~140ps前後、スポーティタイプが150ps以上。北米スタイルだと150ps〜200ps前後がベースモデルのスペックになってます。日本市場もこれまでは欧州タイプに近かったのですが、XVが2Lモデルを中心に販売していたり、CX3が今回2Lモデルを配備するなど、北米&欧州スポーティなタイプが中心になってます。

  そんな中でシトロエンC3のような欧州スタイルど真ん中の1.2Lターボエンジンを搭載したグレードが日本にやってきました。C-HRみたいにオーバーウエイトなのか?というとそうでは無いようで、『1100kg程度の車重』に、『アイシンAWのロックアップするトルコンAT』が使われていて、とりあえずCX3やXVに匹敵するくらいに元気に走れそうです。スズキの新型スイフトがデザインはともかく、動的質感においては破格の評価をされてますが、それと同じ軽量化路線をとっています。

  価格において、スイフト(1L/T・170万円)<シトロエンC3(1.2L/T)<マツダCX3(2L/NA・210万円)<スバルXV(2L/NA・248万円)<トヨタC-HR(1.8L/HV・264万円) のポジションに収まるならば、もはや日本生産車と同列に並んで『リーズナブル』『お買い得』と言ってもいいかもしれません。ちなみにスバルの名誉のために付け加えておくと、XVのみAWDで衝突安全基準でもぶっちぎりの数字を出していて、上位カテゴリーのアテンザ、ティアナ、レガシィB4をも超えてしまっています(つまり248万円でも相当にコスパは高い)。

  ベタに価格&スペックを並べたてましたが、やはり小型車は『相性』じゃないですか。北米IIHSのトップ23車(保険料が割安になる安全なクルマ)に選ばれているCX3や、JNCAPでほぼ満点を取ってしまったXVなら、ファーストカーとしてのチョイスもありかも。高速道路もガンガン巡行できる。それに対してスイフトやシトロエンC3は、ある意味で『スポーツカー』です。スイフトの場合はこのあとに出てくるスイスポが本命でしょうけども、マツダやスバルが訴求する乗用車としての機能性とは、逆の路線を追求してスポーティさを『軽さ』に求めました。

  スイフト、C3、CX3、XV、C-HRの5台。どれを買っても満足度は高そうですが、それなりに考えて選ばないいけないなと思います。実際にどれが一番スポーティなのか!?車重、シャシー性能、タイヤ、駆動方式、エンジン、ミッション、シート、インターフェースの少しの違いでかなり印象が変わるのが小型車ですが、小型車の傑作を作ってきた『キャリア』で選ぶならスズキとシトロエン。これに対して、スバル、マツダ、トヨタがどれだけ意地を見せるのか!?今後のマイナーチェンジを含めて楽しみです。

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2017年6月26日月曜日

ボルボS90 「なぜいま大型セダンなのか!?」

   

  ボルボの新型セダンS90は、フォードマスタングと同じデザイナーの仕事なのかな!?というくらいになかなかデジャブな風貌です。BMWっぽい、マツダっぽいと言う人もいるでしょうけども、このマッチョは4ドアサルーンのシルエットは、先代/新型5erや現行アテンザでも急速に取り入れられてきている、『アメリカンスタイル』です。フォード・フュージョンとポルシェ・パナメーラが北米でヒットして以降のスタンダードみたいです。

  このボルボS90もなんだかショルダーラインに注目させるスタイリングはマスタングを彷彿とさせますし、サイドのキャラクターラインも最新のメルセデス車のように『折り目正しく』入っています。ボルボはスバルと同じでワゴンではいくつか印象に残るモデルがありますが、セダンはいまいち勝手がわからないから、フォードグループで仲間だったマツダの動向を『インデックス』しているように見えます。そして目下のところマツダの『デザイン株』はいよいよ国内でもフィーバー気味で、マツダは『日本車デザイン』のカテゴリー(低調でマンネリ!?)から抜いて語るカーメディアもぼちぼち出てきました。

  ボルボは乗っかるのがうまい!? 自信がないジャンルならどんどん『真似』すればいいんじゃないですか。成長著しい中国メーカー(ボルボも中国メーカーだけど)は、ポルシェ・マカンやレンジローバー・イヴォーグなど、欧州メーカーがそこそこ上手く作ったデザインはどんどん真似る。中には全く真似されないものもある。いいアイディアがあってそれが『お金になる』ならどこの国だってパクる。それこそポルシェ、BMW、メルセデスが某日本メーカーのヒット作を競ってパクったことだってあるし・・・。マツダの『魂動』だって日産の『エッセンス』という2010年のコンセプトモデルからインスパイアされた!?という説が有力です。

  ワゴンが専門のボルボですけど、次世代ボルボの中核を担う新工場で生産されるモデル(セダン、SUV、ワゴン)のクオリティが異常に高いと評判です。なんといっても中国資本とスウェーデンの政府ファンドによるバックアップ体制で1兆2000億円もの投資が行われているとのこと。現状のボルボでは1兆円の累積利益出すのに50年以上はかかる計算ですけども、スウェーデンの『雇用対策』と『産業流出対策』を含んでいるからこそできるビッグプロジェクトが進んでいます。マツダの時価総額が9500億円くらいですから、1兆円あればフォード時代のボルボの基幹技術をことごとく生み出したメーカーそのものを丸々買えちゃうわけです。もちろん丸々買う必要はなく、TOBで5000億円集めれば支配できますし、残りの5000億円でカルソニックカンセイ、日産車体、KYB、エクセディなどの優良サプライヤーをごっそり買い集められます。最近PSAが買ったオペルなんてGMの金融事業と合わせて2600億円ですから、マツダや三菱自動車の1兆円ってのはなかなかの規模なんですけどね。

  これだけの投資ですから、小型車ではなくてXC90、S90、V90といった『メルセデス、BMW上等だ!!』みたいなモデルが続々とできるわけですねー。グローバルでマツダの半分以下の販売台数のボルボができるんだから、マツダも大型セダンや高級スポーツカーに着手しろ〜!!とか思っちゃいますけど、まあ無理ですね。同じくフランス政府の中途半端な支援しか得られないPSAなどもなかなか勝負に出られない。やっぱりボルボのような『ナショナルフラッグ』は有利です。同じくイタリアの1強であるフィアットも、マセラティやアルファロメオで新型モデルが続々投下されています。ドイツ勢に代わってボルボとマセラティ/アルファロメオがこれから伸びる!?

  そんなボルボやフィアットからの『トリクルダウン』によって、ボルボにディーゼルの高圧なコモンレールを作るデンソーや、フィアットに『124』を供給するマツダにお金が流れてきてますねー。ボルボが欧州の雄であるボッシュと喧嘩別れした時には、色々な憶測が広がりました。ドイツの国策企業であるボッシュは、中国への技術流出を嫌がったけども、愛知の商売好きサプライヤーは現実路線の『利益優先』だった・・・というありがちなトヨタグループに批判的なものや、トヨタ本体がディーゼルの新規開発に後ろ向きで、せっかくの技術が無駄になることを恐れたデンソーの好判断だった!!という一定の評価を下すものとか。

  とにかく世の中『金』なんですねー。1兆円集めれば、あとは自動的にサプライヤーが寄ってくる。政府系ファンドがバックに付くとなると、GDP比較ではスウェーデンくらいの『二流』のトップクラスが一番強いかも。世界のリーダー連合を自認するG7諸国はあからさまに自国メーカーに資金を注入することなどできないですし、G7に匹敵する中国、ブラジル、インド、ロシアといった資源によって経済成長を迎えている途上国には『雇用の保全』などといった政策はなかなかでてこない。となるとGDPで12位、13位くらいに位置するスウェーデン、オーストラリア、韓国が理想的なのかなー。

  果たして『1兆円』を派手に使ったボルボがこれからの10年でどうなっていくのか!?BMWがトヨタとコラボするなど『ブランド価値を薄めて』自らの首を絞めている間に(断定はしませんけど)、ボルボがBMWを追い抜かすことがあるのか!?まずは日本と北米でボルボの新鋭大型モデルの活躍次第だと思われます。XC90がX5より、S90/V90が5シリーズよりも売れるようになったら面白いですね。実際に日本ではかなり際どい戦いになっているようです(BMWが低価格モデル戦略で自滅!?)。私の体感で申し訳ないですが、新型5シリーズよりも先にS90を近所で見ちゃいました!!実際に700万円で新車を買うならどっちがテンション上がるか?って話ですよ。確かにG30系も趣きがあっていいですけども、『ボルボの本気』・・・Eセグ限定ならおそらく世界ナンバー1のやる気を投資額で提示されちゃってますからねー。F10系より魅力的に見えるG30系も頑張ったけど、それよりも凄いとっても惹きが強いクルマをボルボは作ったんじゃないでしょうか!?

  マツダや三菱を買ったからといってメルセデスやBMWを駆逐できるようなモデルは作れない!!だから自前の既存工場に大規模に投資して、世界中からサプライヤーを引き寄せて自社開発しよう!!レクサスGSの次期モデルは廃止という噂も流れるほど、将来性がないEセグをボルボが立て直そう!!というわけですから、もう勢いだけならボルボが断然。Eクラスも5シリーズも開発の中心は中国へ移管されていて、まもなく日本向けは全量が中国生産になるでしょう。キャデラックも同じ。アウディも中国だけで儲けている。ボルボも中国需要が多いのでS90を現地生産していますが、巨額投資されたイエテボリにあるトルスランダ工場はこれからのEセグを牽引する地位にのし上がっていくのでは!?

  トルスランダ、グルリアスコ(イタリア/トリノ)、上三川(栃木)が、これからの世界のEセグを牽引する本国生産の『三大聖地』になる!!とでもぶち上げておきましょう。しかし生産しているEセグセダンは3箇所ともに『アメリカンスタイル』になってますねー(S90、ギブリ、フーガ)。エクステリアの特徴は冒頭にダラダラと書いた通り。そしてインテリアもいよいよ『アメリカンスタイル』=『テスラスタイル』!?

  先代5シリーズと現行アテンザのインテリアは、まだまだ旧態依然のドライバーズセダンらしいタイトなコクピットで緻密にデザインされていますが、新型5シリーズとこのS90は、開放感あふれるフロントシートに、インパネの壁面から機能インターフェースを徹底的に排除した、フォードやテスラみたいなスタイルになっています。ホンダのレジェンドやアコードにも同じ傾向が見られます。早ければ『この世代』のモデルから自動運転に移行しますよ!!いつでもできますよ!!という意思表示なのでしょうか。ステアリングとペダルが収納されれば。タッチパネルのナビ画面兼インターフェースがあるだけ。

  自動運転に関する議論とセダンの本質の議論は全く別ですけども、これからの10〜20年にわたって販売される新型車の基本設計には、あらゆる可能性を排除しない想像力が要求されています。S90はそういった外部環境にも柔軟に対応できそうな用心深い設計をしつつも、ターボ、スーパーチャージャー、モーターという強烈な三重連過給ユニットがひねりだすパワーを路面に伝えるAWDのフットワークを地元スウェーデンのサプライヤー『ハルデックス』と二人三脚で練り上げ、エアサスまで組んでいます。しかもリアサスにはスタビライザー的に機能するという樹脂製リーフスプリングを仕込む・・・これだけのことをたった1世代のモデルに集中投入するのは、今の日独米韓のメーカーにはなかなかできないことだと思います。


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2017年6月15日木曜日

VWゴルフR 『AWD&ターボでなければ車にあらず!!』

  欧州市場では700ps、800psといったコンプリートモデルまである完全に『輩』なクルマ・・・ゴルフR。ここまでくると日本人の感覚だとほぼ理解不能なお遊びマシンなんでしょうけども、高性能車を相手に堂々のドラッグレースやってたりするので、日本で言うところのスカイラインGT-Rのような存在になっているようです。『R』は伊達じゃないですねー。

  そもそもVWのAWDってどんなのですか!?現行で日本に導入されているモデルはトゥアレグ以外には、ゴルフRとゴルフオールトラックの2車種のみみたいです。『R』のAWDですからトラクション重視で加速性能を高める特性があるのでしょうけども、スウェーデンのハルデックス社製の『カップリング』を使う横置きエンジンのAWD車です。

  あんまり言っちゃいけないことなのかもしれないですが、クルマが好きな人って大概は頭が弱いのか、『AWD』をやたらと複雑に語りすぎる部分があるんですよね。GT-Rが登場して10年も経つんですけど、スバルとアウディのAWDは『センターデフ方式」と言って別格ですよ!!みたいな説明をする雑誌もあります。センターデフもカップリングも前後にトルクを分けるという意味では同じだと思うんですが・・・。しかも軒並みカップリング方式が加速が良かったりするし(ウラカン、GTーRなど)。わざと読者を混乱させようとしているのか? しかもそんなマニアックなことに分け入るのは「モーターファンイラストレーティッド』くらいなものですが、あれれー技術系の権威みたいな雑誌なのになー。

  しかもセンターデフ方式だのカップリング方式だのの議論は不毛。カップリング方式とはどう考えても「オンデマンド機能」(2WDと4WDを効率で使い分ける)が追加されたセンターデフ方式だから。確かに常時50%前後の配分を保つことで、どこからでも加速する瞬発性が得られるし、WRX STIのように電制LSDを駆使して旋回能力を上げるという理屈はあるけど、それはカップリング方式でも「ロック」機能を強化し、同じようなLSDで武装すればいいだけ・・・なはず。なんでスバリストがムキになるかといえば、ゴルフRの加速性能がSTIを上回っているから。つまりコンプレックスを生むスバルの不甲斐ないクルマ作りが悪い。

  「フルタイムAWD」という言い方もすでにナンセンスな気がするのですが、高性能車のレビューでは当たり前のように出てきます。だいたいどんなモデルにも前輪と後輪のトルク配分を変化させる機構が当たり前についていて。一方が100~50%、もう一方が50~0%という配分が多いですけど、0%が出現するモデルは『フルタイム』ではない気がするのですが、BMWのXドライブ搭載車もメルセデスA45AMGも『フルタイムAWD』としばしば記述されます。

  ちなみにゴルフRが使うハルデックス製は、前後輪『どちらも100~0%に可変する』システムです。・・・ということは、もはやこのクルマのベースはFWDなのかRWDなのかすら不明ということです。このシステムは、しばしば凶悪で知られる某日本メーカーのファンから、あからさまにバカにされることもあるようです。オーバースピードでブレーキングしながらコーナーに突入すると、フロント荷重がかかりますが、そのタイミングで前輪が滑り始めると一気にリアにトルクを流すので、操舵も取れないままに後ろから『追突』されたみたいな駆動力が発生して・・・かなり挙動が『不安定』になるとか。もうこれを知っちゃうと試乗ではビクビクしちゃいます。実際はそんな挙動はなかったし、サーキットでも限界の高さは証明済み見たいなんですけどね。とにかく姿勢制御では後輪ブレーキが頑張るらしい。



  ゴルフRが560万円、Rヴァリアントが570万円。ハイラインと比べてもざっと200万円の差がありますが、下取りで十分に取り返せるくらいじゃないか!?という気がします。同じ金額で買えるフェアレディZや420iグランクーぺMスポよりも断然に下取り高そう。GTI(400万円)のオリジナル柄のキャンバス地シートは全然気分がもりあがらないですけど、Rのバケットシートなら嬉しいですし。何よりゴルフの自慢の車体剛性の高さを生かせているのもやっぱり『R』なんですよね。

  どうせだったらセダンタイプの『ジェッタR』とかも作ってWRX STIを挑発すればいいのに・・・『水平対向・縦置きじゃなくても速いよ!!』って。ゴルフファミリーのMQB車には、アウディRS3セダンやTTRSも日本に導入されていて、シビックtypeRもカタログモデルになり、『フロント横置きのエンスー車』=エボ、セリカ、インテグラなど、日本市場に馴染みのなるカー文化が復活しつつある!?M2よりゴルフRの方が刺激的な走りが楽しめる気がするのですが・・・。


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2017年6月12日月曜日

メルセデスSL 「レイシスト!?名門の原型』

  経営合理化に突き進むメルセデスですが、その敷居はどんどん下がってきたな〜・・・と感じるのですけども、『SLに乗る』という敷居は高いままですね。このモデルに関しては型落ち中古車両を300万円程度で買うという安易な選択がすでに『NG』ですからねー。SLの中古車を買うことは法律で禁止されているわけでも、メルセデスが認めていないわけでも無いですが、プライドの問題が・・・。GT-Rや911の中古車ならば、エクストリームなスポーツカーに乗るという目的が明確なので何の問題もないのですけど。

  『SL』はショートケーキのイチゴみたいな存在です。購入&維持する財力はもちろんですが、このクルマを活用できるライフスタイルには相当なコストがかかるはず。立派な邸宅に屋根付き駐車場。もちろんこのクルマを普段のアシにはできないですから、日常的に使うクルマ(CクラスかEクラス?)も必要なはずです。その副次的なものへの総額はAMG・GTよりも高くなるのでは!?『GT』なら賃貸の青空に駐めておいてもいいかも。

  全てを成し遂げた後に『イチゴ』を載せることにどんな特別な意味がある!?やっぱりクルマ好きの衝動の80%くらいは此処にあると思うんです。そして日本メーカーを客観的に見て『足りない』と思う部分もまた此処なんです。つまり『SL』があるからメルセデスであって、『SL』のようなモデルが無いからレクサスだということ。『LC』が『SL』になれるか!?とりあえず50年経過しないとなんとも言えないよなー。ジャガーEタイプとかが走っていた時代からずっと変わらずに『SL』であり続けた重みってのはレクサスがどう頑張っても数年でどうなる話じゃないということです。



現行モデルは6代目で2011年に登場しています。フロントマスクが〜・・・という批判もあります。グリルの真ん中に無駄に大きいスリーポインティッドはちょっとな〜・・・とか言っているオッサンはSLのことがわかって無い!!SLは60年以上に渡ってこのタイプを使っています。こレガセダンにも移植され、日本向けは一定グレード以上のモデルじゃ無いとこのデカデカ・マークになる!!という罰ゲーム企画(上位グレード誘導企画)に、利用されてしまって、セダンユーザーからは評判が悪いです。

1000万円以上するラグジュアリークーペにしてはデザインがやや地味です。これに関しては2つの意見があります(どちらも一理ある)。一つはメルセデスの旧世代デザインの最終盤に出てきたモデルであり、2013年から次々と出てきた『若返りを狙った』新しいメルセデス・デザインと比べると当然ながら地味です。新型Eクラス(W213)の爽やかなデザインで、先代の悪評高いEクラス(W212)のイメージが消えかかってきたのを、再び思い出させるような『不機嫌さ』がある!?

もう1つは、『SLはGTカーなのだから地味ぐらいがちょうどいい』という肯定的な意見です。1954年から途絶えることなく作り続けているSLは、911やクラウンよりも長い歴史を持ちます。あの911やクラウンよりも長い!!911もクラウンもあまりに長い歴史を抱えているので、安易に流行に流されたりなどせずに、独自の『価値観』だけで商品力を形成しています。この歴史の意味を理解しない無礼な輩によって『なんでカエルっぽいの!?』とか『ガラパゴス・セダン』とか好き勝手言われてますが、SLのデザインもまたその『歴史』ゆえの痕跡を残した『ツッコミどころ』があってしかるべきだと思います。

『スポーティ』であると評価されることを開発者が頑なに否定することで有名なメルセデス。我々はポルシェやBMWとは違うのだ!!という姿勢を崩さないです。しかし最新のEクラスは5シリーズと比べても明確にスポーティ志向で、レスポンスでは完全に5シリーズの上を行きます。これに近々直列6気筒エンジンがラインナップされるようで、いよいよBMWの『背伸び部門』に決定的な差をつけるのか!?BMWも2002へと原点回帰して、『ノイエクラッセ』と称してスバルやホンダの60年代のようなスタンスで輝く意思はあるようです。

『グランドツーリングカー』の階級闘争。日本でインプレッサやインテグラといった下流が、ソアラ、ユーノスコスモ、フェアレディZが上流モデルと対峙するように、欧州でもBMW、アウディ、プジョーなどの下流と、メルセデス、ジャガーといった上流に
分かれます。日本ではBMWやアウディといったら『王道GTカー』のイメージありますけど、エンスー向け雑誌『Octane』のGTカー特集のページをめくると、そこには下流の姿は一切ありません。メルセデスSLとジャガーEタイプの2大スター、あとはアストンマーティン・ラゴンダ、ベントレー、ブリストルあとはイタリア車のみ(911も出てこない・・・)。

『本物』と『偽物』の違い!!とぶった斬ってしまえば非難轟々かもしれないですが、そんなサディスティックな感覚の最前線で輝くのが『SL』。レクサスLCやBMW8シリーズ(近日発売予定)とは『格』が違う!? 日本車だったら、GT-Rかマツダのロータリースポーツくらいじゃないととても相手にならない。この違いがわからない『野蛮人』はニュル最速をマークした中国のスーパーカーでも買ったらいいんじゃないですか!?




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↓平成26年モデル690万円です。

2017年6月8日木曜日

BMW・M4 「スーパー・チャリオット」

  都会のゴミゴミした路地を、渋滞に辟易しながら流していると、ふと晴天の高原道路を気持ちよく走り抜ける情景が湧いてきたりします。場所は大分・熊本のやまなみハイウェイ。あるいは長野のビーナスライン。たまにはハイスペックなGTマシンを駆ってみたいですねー。やっぱりGT-R!?いやいやフィールを重視するならRWDのジャガーかBMWがいいんじゃないかなー。

  『M4』(というクルマ)を最も強く意識する瞬間かも。世間一般ではサーキット向けモデルとして認知されているようですが、サーキットに向かうには色々と余分な贅肉がついているクルマな気がするんです。これは明らかにストリート向けじゃなかろーか。7000rpm前後まで余裕で回る専用チューンエンジンが、この古典的なスタイルのクーペにもたらしてくれる素晴らしい効果は、あらゆる速度域からの意のままの加速。それはサーキット内で『絶対的な速さ』を競うためにもある程度は有効でしょうけど、エクストリームというよりはオールマイティ。ドライバーの『感覚』との対峙に果敢に挑んだユニットです。踏んだ時に『不満』に感じさせない・・・その意義はアップルのiphoneが世界を驚愕させた人間工学と同種のもので、だからこれはストリートだな・・・。

  『ストリート』といってもユーザーが好きな時間に好きなドライブルートを自分の思い思いの乗り方で楽しむという意味です(夜中の公道レースではない!!)。それはタイムや競争相手がいるコンペとは違って、まともに生きている人間なら誰でも感じている『抑圧』から、ほんのひと時だけ自らを解放する瞬間。通勤電車でスマホゲームするだけでは何も解決できない人々が求める、ある種の精神世界での葛藤だったりします。

  ユーザー自身が抱える『闇』が大きければ大きいほど、BMW・M4というクルマに価値が生まれる・・・そしてとても恣意的な見方ですけど、このクルマの魅力を極大化させたいなら、もっとハードにファイトして深い『闇』を抱えろ!!もっともっと手に負えない何かにぶち当たって、粉々に砕け落ちろ!!何も信じられなくなったはずの心が、エンジン音に触れて子供の頃のように震えた時にさ・・・BMWっていいよな。

  やっぱり『名車』というのは、誰かの人生の重大な局面を照らすのかも・・・。いやいや名車に乗ることで、重大な局面が訪れやすくなる!? 刺激的な人生に寄り添う。ボロボロになりそうな心に、再び生命を吹き込むためのクルマ。やたらと計算高い日本車にはなかなか真似できない芸当じゃないですか。レクサスLCでは代わりは務まらないよ。

 

  BMWにもいよいよ『あからさま』なスタイルになった8シリーズが登場するみたいですけど、2、4、6、8から選ぶならどれ!? ・・・全部いい。BMWの偶数番はどれも『古典的なGTクーペスタイル』と『自在な走り』の2つを手堅く守ってくるんでしょうな。バブルの頃には乱立していたクーペがどんどん淘汰されていく中で、BMWが残ったということは、世界中の孤独でダークなソーシャル・ソルジャー連中にとっての最良の『メタファー』として選ばれた結果なんでしょうね・・・。

  『BMWに対しての正当な賛辞』は、クルマのパフォーマンスを通じて『解放』を表現することに最も成功したブランドだということです。確かにクルマは安くはないですが、この価格が現実として受け止められないうちは、まだまだ『学生気分が抜けてない』くそガキの部類なのかも。最もそういう生き方に興味がない!!という意見もあるでしょうけど。800万円でお安めになっているM2は『ちょいお疲れの人』向け!? 1150万円のM4は『かなり末期的な症状の人』向けかな? 1850万円のM6は『地獄に落ちてから不死鳥のごとく生き返った人』向け。 ????万円のM8は岸信介元首相のような『ほぼゾンビな人』向け(1回くらい拘置所入った人向け!?)。

  さてさてみなさんにはどのモデルがリアルに視界に入るでしょうか!? 私はまだまだM4にも辿り着けないくらいな気がします。もっともっと修練を積んで多くの修羅場を通り抜けた先に、ゾンビまで辿り着けるのか!?なんとも『因果』な世情を反映したグレード設定ですね・・・『いつかはクラウン』ならぬ『いつかはゾンビ』。それでもBMWにはこれからも素晴らしいモデルを供給し続けて欲しいです。



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2017年6月3日土曜日

MINI・ジョンクーパー・ワークス 『MINIが日本で大勝利!!そして過熱気味のBセグ・クレイジーホット!!』

  ちょっと語弊があるかもしれませんが、最近の自動車メーカーは一見まともそうに見えて、中身は結構『めちゃくちゃ』だったりします。『クルマをデタラメに仕上げる』ことに『価値を見出す』そんなクルマ文化は以前からありましたが、メーカーが率先してそういうモデルを手がける・・・なんだかバブル期への『巻き戻り』(ルネサンス?)のタームに入っているんですかね。マツダのデミオXDも相当にスリッピーなクルマだと思うのですけど、それを軽く超えていくのが、完全に確信犯の『MINI』。

  『FF車って実はすごく面白い!!』という事実をまざまざと見せつけることに成功したMINIは、今では日本市場で堂々の毎月1500台!!ついに輸入車4強ブランドの一角(アウディ)を切り崩しました。さらに最多販売モデルに置いて長らく1位を突っ走ってきたVWゴルフを追い抜いて、MINIがトップです。ただし3ドア、5ドア、ロードスター、クロスカントリー、クラブマンの5ボデーを合わせた数字ですけど・・・。MINIに限らず、ルノーも驚きの昨年比倍増!!(ただしRRのトゥインゴが呼び水になっている感も否めないですが)。プジョーもシトロエンも順調に伸びています。

  BMWの2Lターボ(B48)を搭載したモデルで最も刺激的な走りをするのが、MINIの『クーパーS』と『ジョンクーパーワークス』。BMWのFRモデルなら直6ターボのB58でないとちょっと物足りないですけど、FFのMINIならこれでちょっとビビるくらいにグイグイ走ります。というかコントロールを謝ったらどっかに飛んで行きそうなくらいにスゥインギーな走りをしますよ。FFのアバルト595ならスリリングな走りをする1.4Lターボをアバルト124に積むとスリルは半減・・・これとちょうど同じ関係といってもいいかも。

  MINIにとうとう追い越されたアウディがいよいよ『打倒!!MINI』を狙って、日本市場にQ2を導入してきました。5種のボデーがあるMINIのちょうど中間くらいのサイズ。しかもアウディの定番であるクワトロを放棄!! VWポロベースのアウディA1のクロスオーバーではなく、Bセグ初のMQB使用車となっています。これにゴルフGTIのユニットを積み込めば、なかなか洗練された1台になりそうな予感がありますが、まずは、1.4Lターボと1.0Lターボのみの設定で、『MINIワン』と『MINIクーパー』という比較的に実用向けなグレードを狙ったラウンチになりました。

  そしてマツダも、MINIの好調とアウディQ2の投入のタイミングで、いよいよ英国仕様となっていたガソリン2Lの日本発売を決めたようです。マツダの1200kg台のボデーに150psのユニットが乗るなんてロードスターを別にしたら、何年ぶりのことだろうか!!燃費の新表示がちょっと話題になってますけども、そんなことよりもマツダの乗用車ガソリンラインナップの中で最もスリリングな走りをすると『TOP GEAR』でも評判のCX3-ガソリン2L。『ロードスターのスピリッツが存分に入ったSUV』とか書かれてました。しかも別の英国メディアの評価でも『アウディQ2』と『メルセデスGLA』に完全勝利してます。マツダも自信満々の日本投入のようです。未発表ですがこれは間違いなくMTも『あり』のはず。

  さらにトヨタからもイギリス製造の『ヴィッツGRMN』もやってくるようです。3月のジュネーブモーターショーで公開されたプロトモデルはすでに市販直前といった完成度でした。1.8Lスーパーチャージャー(横置き)はロータス・エリーゼ220のものと同じで、ミッションも硬派にMTのみになりそうです。MINIの最強モデル『ジョンクーパーワークス』(231ps)に迫る220psを搭載してなお、ボデーは5ナンバーのヴィッツですから、これも『クルクル』回りそうな『クソやばい』モデルになりそう・・・。

  そして昨年暮れに前触れもなくFMCを敢行したスズキ・スイフトを受けて、半年が経過していよいよ新型スイフト=スポーツの詳細が発表になっても良さそうです。新たに1.4Lターボで160ps前後まで出力アップするみたいですが、それよりももっと『ヤバい』ポイントが先代は乾燥重量1040kgだったのが、新型では900kg程度まで軽くなるということ。これまた公道上を『瞬間移動』するエグいマシンが日本中に溢れそうです。いくら自動ブレーキ付いてたって車体が飛んでしまっては意味ないですからね・・・。

  まだまだ『イカれた』コンパクトモデルはたくさんあります。『アウディS1』もそうですし『ルーテシアRS』も。さらに市販モデルでもすでに190psまで上がっているアバルトですが、ドイツのチューナーの手によって『アバルト500Ares』という405psのモデルが完成したのだとか・・・。これ日本にも入ってくるの?ポルシェのスポーツモデルを軽くカモれる加速って・・・。

  なにはともあれ、この意味不明なブームを作り出したのは、MINIだったんじゃないでしょうか。BMWの渋い走りに失望したワルいおっさん達がディーラー繋がりでMINIに乗り換えているようですし・・・。BMWの2Lエンジンを積んでいるのに国土交通省が黙認してしまった。「え?それ日本でもOKなの?・・・じゃあ」ってんでマツダ、トヨタも続々参入。日産にも『ジュークNISMO RS』というモデルがありますが、214psで車重が1410kgもある『豚』。GT-R作っているメーカーに『ホットハッチ』なんてわからない世界なのかも。マツダCX3も英国向けのハイオク仕様にしたらいいと思うよ!!



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↓プリンスエンジン時代(先代)のクロスオーバー・クーパーSが256万円(H26年)。結構安い。
  

2017年5月27日土曜日

アウディRS5 「リアル『スカG』進化形」

  『ドイツ車で一番欲しいクルマは?』・・・家族や両親のことを考えて総合的に判断するなら、BMW420iグランクーペMスポですかね。実際にBMWジャパンとムラウチBMWで見積もりをもらい真剣に考えましたけど、もっと条件の良いクルマが後から出てきそうな雰囲気があるので『見送り』ました。それでも1年経ってまだ候補の片隅に残ってます。現在の個人的な順位はジャガーXEよりは上で、プジョー508GTよりは下(価格✖️魅力の総合的な判断です!!)。508GTの魅力は・・・コスパ、サイズ、静音、質感、アシですね。フラッグシップってのはメーカーの威信に関わるので自然といいクルマになるんですよねー。

  会社の年配の人に「クルマ好きなんだって?」と話を振られる度に、自分のクルマ選びなんて他人から見れば『合理性』と『モラル』の権化だよなー・・・なんて気付かされます。「なんでそれに乗ってるの?」と聞かれたら、高速道路をどのクルマよりも安全で快適に走れて、しかも運転が楽しくて飽きない・・・と反射的に口から。うぁーめっちゃ草食系じゃん俺。

  『GT-Rなんかには興味ないの?』・・・自分自身に余裕がないからかもしれないけど、この手の質問はちょっときついですね。は?興味ないわけないでしょ?サーキットに行く趣味がない自分が、他の多くのことを我慢して、母親の悲壮な顔面を無視しても乗る勇気がないだけです。『サーキットに行かないので・・・』と返事すると、『今の若い人は野心がないよねー』みたいなことを仰る・・・野心?

  ふざけんじゃねー!!GT-Rが高性能車の『全て』だと思っている典型的な日本のオッサン(本読まない人?)はマジでめんどくさいです!!ネットニュースで「最強GT-R」とかいうステレオタイプな記事が溢れちゃっているから、ちょっと読んでわかった気になって絡んでくるオッサン・・・困った困った『ネットりオヤジ』。

  GT-Rの本体価格もわかってなかったりするようで、『そんなカネ無いですしー』『高いって言っても500〜600万円くらいだろ?昔の若者はローン組んでたよ!!』『・・・(おいおい)』もう面倒くせーから無知なオッサンは若いヤツに絡んでくるんじゃねー。おっさん達の若い頃に改造費用抜きのノーマルで1000万円オーバーの日本車なんてなかっただろうに・・・今のGT-Rは完全に金持ちジジイ向けなんだよ!!。そんなこんなで、『スカイラインGT-R』『スープラ』『RX7』『GTO』とか聞くと、ちょっと嫌な『世代』のイメージがちらつく今日この頃です。

  高性能車の『高』という言葉に過剰に反応する時代が『バブル』だったのかなー。そしてオッサンになって今度は『プレミアム』ですか・・・。プレミアムブランドといえばドイツですけども、北米の調査機関が先日発表した『安全なクルマ・23台』の中にドイツプレミアムはメルセデスの1台のみ。これなんかおかしくないですか!? 北米の調査結果がおかしいのではなくて、ドイツ車の『現在地』って一体何!?ってことです。見た目は中国にたくさんあるメーカーが作っているモデルと変わらない(中国が真似しているみたいだけど)。載っているエンジンも三菱の直噴ターボで中国メーカーと同じだし。

  『もうドイツメーカーはオワコン』と不遜なことを思ってしまいますが、アウディの『RS』シリーズに関しては、まだまだ現在進行形で『高性能車技術』のさらなる高みをストイックに目指しているように思います。もしかしたら次世代モデルは大々的にHVが導入されるようになるかもしれないですが、それでも『AMG』や『M』ほどは『コモディティ化』へ一直線という訳でもなさそう・・・。見る人が見れば、『同じだよ』と言われてしまうのかもしれないけど、ドイツメーカーが高性能車を作って、世界中に見せつけるのは好きですね。やはりクルマ文化の根源は、これこれー!!

  ドイツの高性能車といえば『ポルシェ911シリーズ』と『BMW・M5』という二大グランドツアラーがすぐに浮かびます。2ドア4シーター・クーペと4ドア・セダンこそがグランドツアラーのベースになってるし。マセラティもアストンマーティンもジャガーもレクサスも、『グランドツアラー』はこの2タイプへ集約されています。高級ブランドほど『独創性』なんてないんです。高齢者向けですから変化を好まないようで・・・どこかにホンダみたいな『ラグジュアリーブランド』はないのか!?

  ポルシェもパナメーラを作ってBMWを刺激しますし、BMWも『スープラ』で・・・いやいや『M4』で、ポルシェをチクリと。しかしドイツ伝統のグランドツアラーは『911』と『M5』だけではないっすよー。『アウディRS4アバント』・・・。日産のGT-R開発陣の頭には『ポルシェ911ターボ』ばかりがあるようですが、スカイラインGT-R時代のAWDスポーツのちょうどいいライバルは、このRS4アバントでした。2000年頃のエボとインプWRXは4発で1200kg台なのに対して、RS4アバントとR32以降のスカGは6発でやや重量系。なんでアウディはワゴンボデーにこだわるのか!? 一時期ワゴンエボってのがありましたけど、基本的には『RS4アバントって何!?」ってな感じで真似しようともしなかったですねー。

  アウディはトラクションが大事なワゴンだからこそ『高性能化』に価値があるとして『スポーツワゴン』にこだわりを見せてますけど、日本勢はターボ&AWDは『ピュアスポーツ』ならぬ『ガチ・スポーツ』ですから!!商用車みたいなボデーにする必要はない!!・・・『ガチ』だったらなんでエボとインプWRXは4ドアなんだ!? これに関してはですねー、おそらく三菱とスバルの開発者の脳裏には、あのフランス映画『TAXI」があったのでは・・・。三菱には日産ではなくプジョーと組んでエボ復活させてほしいな。
↓エボのタクシーは過疎地の話題づくりには良さそうかも。



  アウディといえば和田智さんと言う日本人デザイナーが、そのイメージの確立に大きく貢献していて、初代TTとともにアウディのフィロソフィーを決定づけた3代目`『A6』が代表作品として知られています。その和田さんが、日産出身の和田さんが!!バブルのど真ん中で『セフィーロ』と『プレセア』をデザインした和田さんが!!アウディに『日本的!?』なデザインを注入したのが『アウディA5』。和田革命が起きる前にすでにアウディRS4アバントは存在してましたが、和田氏がデザインしたA6から、そしてA5にもRSが設定されました(RS6セダンは廃止)。

  RSの現行ラインナップは、ブランドアイコンを担う『TT・RS』。エボ、WRXの進化形といえる『RS3セダン』。伝統のハイスペックワゴンの『RS4アバント』『RS6アバント』。BMW・M5に対抗した?『RS7』(AWDですけども)。そして和田デザインを継承するキープコンセプトな2代目A5、2ドアクーペ、日産出身デザイナーの『RS5』。そしてポルシェ911のアウディ版(中身はランボルギーニ)の『R8』。これだけ執念深くグランドツアラーを集めたスポーツ・ブランドは他にはないですねー。日本とドイツの名車をコピーして動態保存する『博物館的ブランド』!!ドイツ自動車産業の『深い懐』(オタク気質!?)を見たような気がします。



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2017年5月22日月曜日

ロータス・エキシージ 「合理的かつアブノーマル」

  ロータスに乗る。クルマ趣味としてはこれに勝るものはない!!みたいなことを、政治評論家の青山繁晴さんも仰ってます。トヨタの横置きエンジンを搭載した軽量マシンを、とても乗用車とは言えないレベルの『オモチャ』に仕立てるなんて、とても夢のあるメーカーだと思います。ホンダがS660のパワーアップ版を企画しているそうですが、ロータスの株主であるトヨタには、競り負けて簡単に潰れないような支援をお願いしたいです。もっともマレーシアの政府系ファンドが後ろについている国営プロトンの傘下ですから、せっかく守ってきた伝統の英国ブランドを大事にするでしょうけども。

 

  初めっから見当違いなことを書いちゃうかもしれないですが、ロータスは木目のインパネを復活させるべきじゃないの!? いかにもイギリスのクルマです!!という主張があって・・・このブランドのサーキット以外での価値を増してくれる要素になると思うのですが。これをホンダやマツダがやっても全く様にならないですし、現行エヴォーラのように上品にアルカンターラ巻きのイタリアンで上品な仕様は、どこにでもある高級セダンみたいでいたってフツーです(日本市場にはアルカンターラが多すぎる!?)。

  現在新車で購入できるエキシージは『350スポーツ』というグレード限定のようで、本体価格は、ハードトップ、タルガトップ共に972万円です。確かにトヨタ86やフェアレディZの代わりに気軽に選べるモデルではないっすねー。釣りが好きすぎてヨットハーバーにクルーザーを所有したくなるくらいに趣味に対して『ガチ』な人じゃないとなかなか手が出ない。86やフェアレディZでも十分に楽しいじゃん!!・・・と思っている私のような初心者にはあと10年経っても辿り着ける境地じゃないですね。そもそも東京じゃ近所にサーキットが無いし。

  ロータスには『エリーゼ』という廉価モデルが573万円〜で設定されていますから、とりあえずこれで十分満足できるんじゃ・・・という考え方もあるでしょう。『ロータス』というブランドのクルマを買うならば、「エキシージは高い、エリーゼは安い」という結論になりがちなんですけども、不思議なことに日本市場全体を見たときに、この2台の置かれている相対的な位置を考えたならば「エキシージは安い、エリーゼは高い」となります。

  冒頭にも書きましたがトヨタの1.6Lを使う138ps、あるいは1.6Lスーパーチャージャーを使う220psというスペックに、1000kg前後の車重ならば、300~400万円くらいで買えるマツダ・ロードスターやアバルト124スパイダー、あるいはミッドシップでもホンダの新型スポーツカーで楽々達成してしまうであろう数字です。ポルシェ718ケイマン(619万円)を考えても、いくらでも他で代替できる中で、それなりに価格競争を考慮した数字が573万円となっています。

  それに対してエキシージは、1100kgのボデーに350psをひねり出すトヨタ製V6スーパーチャージャーです。マークXにも同様のスペックの設定があったよ!!といっても1700kgのボデーに、スポーティさはないトヨタの縦置きトルコンAT。FRですからトラクションのかかり方も全然違うので、もはや比較する意味がないし、マークXスーパーチャージャーにエキシージを上回るスポーツカー的な魅力を見つけるのはちょっと難しいです。そりゃ乗り心地とか静音性はいいでしょうけど。

  972万円のいう設定ではありますが、その「非日常」な価値を考えると、(世間ではお買い得と言われる)日産GT-Rのようなコスパを秘めたクルマです(GT-Rはインテリアにもコストが割かれているからさらにすごいですけど!!)。国沢さんの怪情報によると、マツダがロータリーエンジンを使った新型スポーツカーの市販を決めたそうですが、これも900万円程度まで跳ね上がったセレブなクルマになりそうですね。その時にはエキシージのコスパがもっと明確になるんじゃないかと思います。

  ちょっと話題が逸れますが、マツダRX9のユニットが、当初から開発継続が明言されていたようなロータリーによるレンジエクステンダーを使ったピュアEVならば、「これじゃロータリーじゃねー!!」とか言われそうですねー。もしマツダが独自のハイブリッド研究をしていたならば、『ロータリー&電気ターボ・スタートブースター』というロータリーの細い駆動トルクをモーターで補う理想的なユニットが真っ先に思いつきそうなものですけどねー。国沢さんがいうには「マツダはピュアEVしか無理」だとか・・・。ほんとかよ。
  

 

  (573万円の)エリーゼと全く同じ『バスタブ構造』のシャシーに、全く変化しない内装。それに(450万円の)マークXスーパーチャージャーのエンジン。実際は縦置きと横置きの違いがあるから別物で、エキシージに使われるのはエスティマやアルファードといったFFミニバン用の横置きV6です。だけどこれを組み合わせて972万円ではどこのメーカーもなかなか出せないような「非日常」なクルマとして成立した!!という意味では、非常に価値ある一台だと思います。

  おそらくホンダが同スペックのミッドシップを『S3000」とかいう名称で売るならば、1500万円くらいの価格をつけそうだし、マツダが現実に取り組んでいるピュアEVスポーツでは、同程度の加速性能は出せると思いますが、どうやっても1100kgに収めるのは無理そうです(価格と性能でコルベットの対抗モデルになりそう)。トヨタの支援があるとはいえ、『生き馬の目を抜く』がごとく圧倒的な開発力で世界の市場を跳躍してきた日本メーカーをしても、なかなか付け入る隙を与えないロータスって改めて凄いブランドなんだと思います。それでも毎年赤字を垂れ流し続けているようですが・・・頑張って欲しいですね。


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2017年5月16日火曜日

ランドローバー・レンジローバースポーツ 「これをスポーツカーと思う人はいないけど、車名がややこしい」」

  なんだかもう色々とややこしくて、ディーラーの人に訊いても返ってくる説明がさらによく分からないブランドの代名詞といえばランドローバー。某有名ライターの著書によると、「日本のレンジローバー・ユーザーのほとんどが勘違いしたまま乗っている」などと嫌味を書かれています。もう触らぬ神に祟りなしなのかもしれないですが、こういうカオスなブランドこそが「輸入車」らしいとも思うのですよ。トヨタやホンダに乗っている人が「勘違いしている」なんてまず言われないですから。ものすごくややこしいですが、ランドローバーが1970年発売したレンジローバーというモデルによって世界的に知られたので、「ランドローバー・レンジローバー・〜」みたいな名前になるようです。

  そのライターさんがおっしゃるには、日本のカーメディアではしばしば「レンジ
ローバーはイギリス貴族のクルマ」と紹介されるが、実際に開発を主導したスペンサー=キング氏に取材すると、設計段階では完全に軍用車両から派生した牧歌的なクルマでしかなかったという証言が得られたらしい。よってレンジローバーのユーザーは日本のインポーターがでっち上げたイメージ戦略にハマってんだよ!!つまり俗に『電通の自作自演』っていう虚構に満足してしまっているから『勘違い』なんだそうです。確かに2017年版の世界の自動車オールアルバムのLANDROVERの紹介にも「70年代になると・・・中略・・・英国王室ほか、世界中のセレブが愛用する高級車としてのポジションを確立する」と書かれてますね。

  軍用車両といってもあくまで偵察・連絡用として第二次対戦までは広く馬や二輪車が使われていたようですが、まず最初にアメリカが重機関銃を装備できる4WD車を馬の代わりに使おうと考えたようで、1940年に入札を行なったところ「アメリカン・バンタム」という弱小メーカーがこれに応じたようです。しかし生産能力が明らかに乏しかったようで、すぐさまフォードとウィリス・オーバーランドの2社にライセンス生産を命じたとのことです。この車両を拿捕した日本軍は終戦末期にトヨタに製造を命じたことがランクルの起源だと某WEB百貨辞典に記載されていますが、実際にトヨタがランクルの前身モデルをラインオフしたのは朝鮮戦争が開戦した翌年の1951年です。

  トヨタの社史には「警察予備隊への納入目的に作った」とされていますが、実際に長らく採用されるのは旧日本軍との強いコネクションを持っていた三菱でパジェロの前身モデルが選ばれます。なぜトヨタが採用されもしなかったランクルを試作しそのまま量販へと移行したのか? アメリカ人が書いた本によると、アメリカ軍から直々にトヨタに注文が出されていて、ジープを量産していてそのノウハウを活用してランクルを発売したとあります(真偽のほどは調査中です)。



  ランドローバーの発売が1948年なので、ウィリス(ジープ)→ランドローバー→ランクルの順番に登場したことになります。ジープは軍用車両ながら、生産能力増強が進まず年間3000台足らずという北米ビッグ3に遠くを呼ばない水準で、次第に米国市場でも下火になり南米が主力市場になっていきました。ランドローバーは世界初の特殊空挺部隊として知られるイギリスSASに採用されます。トヨタ・ランクルも1958年には早くも米国へ輸出が行われました(え?これって軍用じゃね?)。ウィリス・ジープがモタついている隙にシェアを拡大したのがランドローバーとランクルだったようです。

  経営不振になったジープは、アメリカンモータース(AMC)に身売りします。といっても米国自動車産業にその名を轟かすあのリー・アイアコッカ(当時はフォード重役)も、この1969年のタイミングでは買収提案をあっさり却下するなど、なかなか買い手が出てこなかったようです。ちなみにリー・アイアコッカはこのあと独裁者ヘンリー・フォード2世によって解雇され、クライスラーに移ったのちにAMCから取得したジープ・ブランドを復興しますが、これはどうも二番煎じだったようで、もともとは1969年にボロボロのジープを買い取る決断をしたAMCの幹部ロイ=チャイピンこそが本物の目利きだったようです。

  あくまで想像の話ですが、おそらくロイ=チャイピンは、アメリカ的な価値観が音を立てて崩れていく、ベトナム反戦運動吹き荒れる中で、豪華なリムジンから素朴なジープへ人々の関心は移っていくであろうことを完全に見抜いていたんだと思います。乗用車が限界まで豪華になった途端に、SUVの人気が高まる。まさに2010年代に世界で起こったことに近いことが、70年代のアメリカですでに起こっていたんですね。

  後部は幌で覆われ乗員のシートは布を張っただけのキャンバスシート。横転したら即死。そんな安全もへったくれもないジープに、ハードトップを取り付けて、ホールディング性能に優れるバケットシートを取り付けたところ、すぐに大ヒットしたらしいです。1969年のAMCジープの奇跡の大成功を知ってか知らずか、1970年にランドローバーから、ジープと同様にハードトップ、バケットシート、さらに本格的なフルタイム4WDが装備されたレンジローバーがイギリスで脚光を浴びます。


  1970年代にAMCジープとレンジローバーの登場で、一気にファッショナブルな存在になったSUVですが、1970年代といえばオイルショックやアメリカでの排ガス&燃費による規制が厳しくなって自動車メーカーにとっては冬の時代だったはず。しかしAMCジープ、ランドローバー、ランクルを始めとしたSUVは成長と遂げ、1981年にはメルセデスからも軍用ベースのGクラスが登場。1990年代になると、フォード・エクスプローラやハマーH1など、3大メーカーからも盛んに発売されるようになります。これにはちょっとしたカラクリがあるようですが、本筋から逸れるので別の機会にしましょう。

  ランドローバーは1989年にランドローバー、レンジローバーに続く第3のモデル・ディスカバリーを発売。1994年にはBMW傘下に入ります。1998年にはジープが属していたクライスラーもダイムラー(メルセデス)によって支配を受けるので、英米の2大SUVブランドがドイツの両雄によって一時は所有されることになりました。どうやらこの前後ぐらい(1998年頃)が現在のSUVブームにつながる起爆点になるようです。ドイツのロードカー文化に取り込まれてすっかり消化されたランドローバー、ジープの残骸は、ドイツあるいは日本の自動車産業がリードしてきたロードカー文化の影響を強く受けて変質してしまいました。

  BMWと新型ラダーフレーム(X5、レンジローバー用)を共同開発したランドローバーですが、なぜかBMW以上にロードカー性能にこだわるようになったようで、世界的大ヒットとなったポルシェ・カイエンに敗れ去ったBMW&ランドローバー連合軍の無念を果たすべく、BMWと新たにロード性能を高めたシャシーを開発したようです。しかし完成前にランドローバーはフォードに売却され、その後2005年に打倒カイエンを掲げたニューモデル「レンジローバー・スポーツ」を発売します。・・・もうややこしい。このクルマに大きく貢献しているのはBMWなのか?フォードなのか?

  ランドローバーも来年2018年で創立70周年を迎えることになりますが、その足取りはジープやランクルなどとリンクしつつも、1940年〜の第一世代、1970年〜の第二世代、2005年〜の第三世代へとざっくり四半世紀くらいのタームでブランドの存続する意義・立ち位置を変えてきていることがわかります。「軍用の時代」が終わり、「SUV保護法の時代」にブランドの価値を定着させ、「ロードカーSUVの時代」へと突入しています。

  初期の軍用ランドローバーの血を引くモデルはすでに廃盤となっていますが、第二世代に生まれた「レンジローバー」とさらに第三世代のホープとなった「レンジローバー・スポーツ」の2台が、SUVの最先端に立っているのは素晴らしいことです。M&Aの波になんども揺られて主が変わった不安定なはずのブランドが、世界中のメーカーがうらやむモデルを持っている!!これこそ開発者の情熱がほとばしっている証左ではないでしょうか?


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2017年5月7日日曜日

ジャガー・Fペース 「清々しいまでの聖戦」

  世の中わかんないことだらけです。先月にビックカメラが商品決済にビットコインを導入したとのこと。両親にマッサージ機などの健康器具を買う以外で家電量販店に行くこともないので、どーでもいいですけども、そもそもビットコインを利用するくらいにフィンテックな人々が、今更に実店舗で買い物することなんてあるのだろうか?どうやら中国人観光客目当てだそうですけど。

  それと同じくらいに謎なのが、ジャガーがSUVブランドとして再生しようとしていること。SUV専門ブランドであるランドローバーとジャガーはエンジンなどのコンテンツを広く共用していて、実質的に1つのメーカーとして一体化されていますけども、これまでスポーツカーとセダンに注力してきたジャガーにまでSUVが展開され始めました。アメリカにも中国にも「ジャガーにSUVを作って欲しい!!」という客がいるから・・・それってどんな客だろう!?

  「世界で一番下衆なクルマを作っているのはドイツメーカー」とずっとブログで言い続けて来たんですが、その度に複数の方々から大いなる批判を頂戴しました。いくら試乗体験や理論値からの推測等々を並べ立てても、「ドイツ車的なものが至高」と思い込んでいる人々には無力で、どんなに静粛性に疑義があろうとも、どれだけエンジンが回らなくても、どれだけミッションが不出来でも、「エンジン音がよく響いて、低速トルクが豊富で、変速スピードさえ早ければいい」という世界観の人々には・・・どうやら本当に理解できないみたいです。

  VWがNOx偽装を行ってもそれさえも正当化しようとするカーメディアがあった!!いやこの一件をまともに批判ができているメディアはほぼなかった(大人の理由で!?)!!「悪いのはアメリカと日本・・・ドイツが悪いはずがない。」この件に何らコメントできないライターは、心の奥底から本気でそう思っているんだと思います。このことがどれだけ他のメーカーに迷惑がかかっているか!?そんなことは全く御構い無しです。世界中で展開する下世話なブランディングはいいとしても、世界の自動車産業から多様性を奪ったのは、他でもない強欲な3つのドイツ系グループです。そして挙句の果てに「虚偽」かよ!! 例えばロールスロイスとベントレーの所有権を巡って醜態を晒し、さらにこれを2つに引き離してそれぞれ「解体中」なのが、BMWとVWの両陣営です。そしてランドローバーも散々にドイツ資本にボロボロにされた被害ブランドの一つです。

  日本の多くのカーメディアには絶対に出てこない論調でしょうけども、世界のユーザーは「ジャガー・ランドローバーよ!!今こそドイツに復讐しろ!!」と盛り上がっているんです。日本でも沢村慎太朗というライターが、最新の評論集「午前零時の自動車評論12」の中で『バトル・オブ・ブリテン』というドンピシャな表題を掲げていますが、これは2014年の「ジャガーXE」に関しての考察でした。もちろん『ジャガーXE VS BMW3er』がテーマです。沢村さんの結論は「圧倒的な制空権を持つドイツに対して、XEはかなり善戦するのでは!?」といったものでした(やはりオッサンライターはドイツ贔屓が身に染みている・・・)。日本ではさっぱりですけども、北米ではジャガー・ランドローバーの追い込みが凄まじいペースになっています(2017年3月は前年同月比で18%増)。

  同じ「12巻」にはポルシェ・マカンについての評論もあります。そろそろ勘のいい人は気がつきたと思いますが、このマカンを取り巻くライバル関係こそが新たな『バトル・オブ・ブリテン』の戦場になっています。事の発端は・・・BMWがランドローバーを傘下に収めた1994年に遡ります。いや厳密には、もともとランドローバーを所有していたブリティッシュ・レイランドなる商社(実態は政府系ファンド)が無能だったのが悪いです。ブッシュ政権下で急成長したハリバートンが、アメリカの有名ブランドを全て抱えこむみたいなものですね。マーガレット・サッチャーとかいう極右のお人形・宰相の時代の「政商」に、トヨタ、ホンダ、フォードに対抗する経営能力などあるはずもなく、経営不振で崩壊後にランドローバーはハイエナBMWの餌食になります。

  BMWとランドローバーの協業によって誕生したモデルがX5です。しかし素人のBMWが参画したためか、その完成度はやや中途半端で、VW&ポルシェによって制作された後発の「カイエン」の前に惨敗を喫します。X5開発後にあっさりとBMWにポイ捨てされたランドローバーは、同盟国アメリカ・フォードに拾われて支援を受けます。フォードはランドローバーの独立性を損なう選択は避けて、フォード・エクスプローラと統合されることもなく、ランドローバーは打倒カイエンを見据えた新型シャシーを2004年に開発します。現行のレンジローバー・スポーツです。これこそが『バトル・オブ・ブリテン』の第一ラウンドですね。残念ながら完全にドイツ贔屓な日本市場はもちろん、北米でも人気があったのはカイエンでしたので、このラウンドに関してはドイツ優勢です。

  第二ラウンドは沢村さんがぶち上げた「XE VS 3er」で、最初のラウンドに比べてだいぶジャガー・ランドローバーが盛り返した感があります。ランドローバーがポイ捨てされたことへの恨み?がXEの設計に執念として現れています。そしていよいよ『バトル・オブ・ブリテン』第三ラウンドですが、標的はもちろん日本でもヒットした「マカン」。特に最上級グレードの「マカン・ターボ」は約2000kgのボデーに400psのV6ツインターボ・・・いかにもアウディが関与しているのがバレバレなスペックです。いつの間にかDQNなユーザーを大勢抱えてSUVの世界で大手を振って歩くようになったポルシェに対して、ランドローバーの怒りが頂点へ達した!?

  しかしランドローバーの手持ちは、2200kg級のランドローバー・オリジナルシャシー(2種)か、フォードからもらった直4横置き専用のマツダが作ったシャシー(1700kg程度)しかないです。「マカン・ターボ」を撃墜する適当なシャシーが見当たら無い!!相手もアウディシャシーを使って来たのだから、こちらもジャガーシャシーを使おう!!アウディの400psのV6ツインターボに対して、こちらはデフォルトで340psのV6スーパーチャージャーだ!!しかしスペック的にちょっと分が悪いので「Fペース・S」というグレードに専用にスープアップされた380ps版を投入。この対応は相手を強烈に意識してますね!!これぞ『バトル・オブ・ブリテン』。出力のピークはマカンターボが400ps/6000rpmなのに対して、Fペース・Sは380ps/6500rpmとなっていて、これは見事にポルシェの寝首を奪った!?

  相変わらずドイツ贔屓の日本では、Fペースの注目度は今ひとつですが、北米ではジャガーランドローバーがプラス18%なのに対して、ポルシェがプラス4%足らずで、総販売台数もジャガーランドローバーがポルシェの3倍です!!これは原動力となった「Fペース」の完勝と言っていいのでは無いでしょうか?めでたし、めでたし。・・・全くの余談ですが新たな刺客が迫っています。VR30DETT(400ps/6400rpm)を搭載する「次期インフィニティQX50」。英独日の三つ巴の戦いが・・・そして世界の高級車はこの3ブランドへと収束していくのでは!?それくらいに魅力的な戦いですね。


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2017年4月29日土曜日

ベントレー・ミュルザンヌ 「本物を知る男のクルマ」





  イギリス版の「マジェスタ」ですね。ちょっとわかりづらいかもしれませんが、全長は5575mmもあります・・・の割にはリアシートが狭そうに見えます。日本に正規輸入されているベントレーは、この「ミュルザンヌ」と「フライングスパー」のセダン2種と、フライングスパーのクーペ版である「コンチネンタルGT」、そして新鋭のラグジュアリーSUV「ベンテイガ」の合計4車種あります。セダン2種は3000万円超なのがフラッグシップの「ミュルザンヌ」で、2000万円を切る比較的にヤングなセダンが「フライングスパー」とキャラが分けられています。

  ショーファー・リムジンというと「ロールス・ロイス」が有名ですが、バトル・オブ・ブリテンで活躍したスピット・ファイアなどに搭載された栄光の「マーリン」エンジンの流れを受け継ぐロールスロイスのエンジンは2016年のファントム生産終了によって終焉しています。残った現行モデルに使われているのは「6.6L・V12ターボ」ですが、これは下請けのドイツの田舎くさいエンジン・サプライヤーから供給されています・・・これではもはや伝統のイギリス車と言えるのかな?「シングルモルトのロールスロイス」ことマッカランが、スペイサイド産のピートではなく、ザールラント産のコークスで焚いていたらダメじゃないですか?

  そのドイツの下請けエンジン・サプライヤーをよーく調べてみると、なんと日本でもクルマを売っているあのメーカーだった!!え〜・・・あそこのエンジン(特にディーゼル)はえげつないくらいに騒音が下品じゃないですか!!しかもエンジンはフリクションが少ないというかスカスカというか・・・高性能車としての生命感に欠ける。マセラティや日産のエンジンと比べると全面的に「迫力不足」のエコ設計なんですよねー・・・こりゃもうロールスロイスは終わってますね。

  そもそも「ピュア」なイギリスのエンジンなんて今時あるのでしょか? MINIもドイツ製(設計)エンジンだし、ロータスは日本製(設計)。最近になってジャガー・ランドローバーが、フォードやマツダのエンジンを卒業して、インジウムというモジュラーの自主設計エンジンを開発しましたが、おそらく6気筒以下のイギリスのオリジナルってこれだけじゃないですか? ケータハムやゼノスといったスポーツカーはフォード(マツダ)やスズキのエンジンで・・・。アストンマーティンも今後はメルセデスのユニットを使うのだとか。

  ベントレーもVWの12気筒&8気筒を使っております。イギリス人にはプライドがないのか? やっぱり日本人の感覚だと、エンジンにオリジナリティを持っていてこその自動車メーカーだろーよ・・・という思いが湧いてしまいます。日本車でよそのメーカーからエンジンを供給されていたら何を言われるかわかったもんじゃないです。日産スカイライン200tもだいぶ反発されてましたっけ・・・。

  冨山和彦とかいう元産業再生機構にいたコンサルタントが「新型スープラにBMWのエンジンが乗る時代なんです!!これまではありえなかったことが起こっているんです!!」とか嘘くさいことを先月発売の著書で書いてましたが、新型スープラはOEMですから、同じような例はたくさんある!!5年前からあるトヨタ86も同じだし・・・。余談ですが、この冨山さんはどうもポンコツっぽいですわ。「AI時代だから、これから世界で活躍したかったらMITかスタンフォードで修士とれ!!」とか書いてますけどなんかズレてない!?再建中の会社の社員をやたらとバカにした内容が目立つので、現場で結構衝突しているんでしょうけど、こんなコンサルが乗り込んできてメーカーの方針とか決めちゃったら不幸ですね・・・。

  さてそろそろ生粋のベントレーファンからはツッコミが入るかもしれませんが、「ミュルザンヌ」に搭載される6.75LのV8ツインターボは、VWが作ったエンジンではありません。ベントレーが長らく(約半世紀ほど)ロールスロイスと同じグループにいたときから受け継いでいて、独自に開発を続けている伝統の「6.75L」のマルチシリンダーエンジンが、このモデルにだけ搭載されています。ちなみにコンチネンタルやフライングスパーに使われるエンジンはVWフェートンと共通のW12気筒・・・。なんでそんな非効率なことをする必要があるのか!?それは「ミュルザンヌ」とそれ以外のワンオフモデルに関しては、王室御用達ということで、トヨタがセンチュリー用のエンジンを作っているのと同じ理由なんでしょうね。

  「ミュルザンヌ」は本物志向の大人向けモデルで、「コンチネンタル」と「フライングスパー」は見かけがよければなんでもいい派のクルマ。搭載エンジンはVW製でもBMW製でもスズキ製でもなんでもいい!!クルマにこだわりがない層向け・・・という訳ではないでしょうけども。ベントレーみたいに顧客の気持ちを汲んでモデルを作り分けるくらいの配慮ができるブランドが日本にも現れるといいんですけどね。福島県で生産している「VR30DETT」エンジン搭載モデルを日本では売らないで、国内市場向けにはわざわざメルセデスの北京エンジン工場!?から直4ターボを栃木県の組み立て工場に持ち込んで搭載しているメーカーありますけど・・・ちょっと白けてしまいますよ。

  ミュルザンヌのドアは分厚くていいですね。このクラスのリムジンに要求されるものは、走行性能ではなくてまずは安全性。トラブルフリーや衝突安全性ではなくて、「防弾性能」ですね(笑)  セダンやワゴンが売れないと言われていますが、そもそもユーザーがクルマに何を求めているのか?メーカーにはイマイチよくわかってないんじゃないですか? ロールスロイスにエンジンを供給しているドイツの田舎メーカーが仕立てたフルサイズセダンは、新型になってだいぶ軽量化されていますけども、これに燃費重視の多段式ATと高回転を使わないディーゼルが組み合わされたら、ほぼほぼ設計思想は「プリウス」じゃないですか? そうじゃないんだよなー。マジェスタをよく研究してよ!!



  

  


2017年4月25日火曜日

アストンマーチンDB11 「フェラーリを超えた!?」

  昨年くらいからアストンマーティンが正規ディーラーを日本で展開し始めました。他のブランドがどんどん日本から去っていく中で新たに展開するのはなかなか珍しいケースです。おそらく日本で長く働いていたアンディ=パーマーCEO(元日産)の肝入り戦略だと思われます。東京、名古屋、大阪に加えて、人口増加によりついに日本の市町村で6番目の人口を誇るようになった福岡。そして「東洋のジャガー」ことMAZDAのお膝元の広島。合計5箇所に作られたとか。そして去年発売された新型モデル「DB11」もなかなか念入りにプロモーションが行われていたようで、あちこちの媒体で見かけました。

  1台3000万円前後ですから月に1台売れれば、年商3億ですから1つの営業拠点が生きていくのに最低限経費は稼げそうです。ちなみに国内販売台数は毎月30台前後で推移していますから、5つの営業所くらいならやっていけるようです。しかもメンテナンス部品も日本で広く商っている某有名ドイツブランドと共通のものが増えているようなので、修理も楽になるのかな? 各営業所が100人の顧客を抱えて、3年ごとに乗り換えさせれば、月に1台のオーダーになります。外国人の顧客なども含めれば5営業所合計で500人なんて楽勝でしょうし、メルセデス、ポルシェ、BMWが大衆化して魅力が薄れる中で、セレブのこのむブランドとして今後はシェアを伸ばすのではないかと予想されます。

  誤解を恐れずにいうならば、同じGTカーブランドとして「アストンマーティン」と「BMW」「BMWアルピナ」は全く真逆の存在と言って良さそうです。
「BMWユーザーはアストンマーティンには手を出さない」
「アストンマーティンユーザーはBMWには興味はない」
「BMWユーザーはアストンマーティンを仲間だと思っている」
「アストンマーティンユーザーはBMWを全然別のクルマだと思っている」
つまり両ブランドは「水と油」です。

  20年くらい前は、徹底的に本格志向(サーキット志向ロードカー)のアストンマーティンに対して、あくまで乗用車のお手本を貫くのが本質のBMWで「設計理念」がかなり違っていたのに、BMWの方がなぜか「速い」なんて悲しい現実がありました。しかし大資本のフォードグループの傘下で再建が進められ、一流のマテリアルを手にいれたアストンマーティンは、市販ロードカーの限界を超えるような強烈な性能を示すようになりました。

  自然吸気のドライサンプエンジン(低重心)のアストンマーティンに対して、燃費にこだわって高回転を封印した新時代のBMWは、どちらもFR車とはいえさすがに「別の次元」になってしまったと言って良さそうです。BMWがたとえ他のエンジニアリングで優位を駆使したところで、エンジンパワーと燃費無視のレスポンスで絶対的な性能差をつけられてしまって、もはやその「序列」を変えることができなくなりました。そのままFR最速レベルになったアストンマーティンに対して、ポルシェのお買い物カーであるボクスターにも加速性能で見劣りするようになったBMW(しょうがないことですが)。

  BMWに限らずメルセデス、ジャガーなどなど高性能な乗用車で名を馳せたブランドが、大衆ブランドからユーザーを掠め取る「セコイ商売」に転落したことで、これらのブランドはどうもクルマ好きが目指す「頂点のブランド」にはなりにくくなった気がします。手軽な国産スポーツカーで長年我慢して(スポーツカーなんて十分に贅沢だけど)、将来成功したら(宝くじでも当たったら)、どんなクルマを買うのか?もはやポルシェ、AMG、アルピナ、Mという時代じゃない!? フェラーリ、ランボルギーニ、マクラーレン、ロールスロイス、ベントレー、マセラティ、アストンマーティンの「英伊7大ラグジュアリー」に着地すれば・・・極めた!!って気分になれそう。なになに!?ブガティ?ケーニグセグ?パガーに?知らねーよ。

  じゃあ3000万円あったら何買うよ?・・・488GTB、LP700、570は狭いかな? コンチネンタルGT、レイスはデカければいいってもんでもないなー。カリフォルニアT、グランカブリオは優雅で良さそう。けど最高にスマートなのは・・・DB11かヴァンキッシュSかも。匿名のブログっていいですねー!!幼稚園児みたいなノリの話ができる!!でも我々が住んでいる日本は、自由が保証されている資本主義社会ですから、1995年に24歳だったイーロン=マスクに起こったことと同じことが誰にでも起こりうるわけです。

  たまたま作っていたサイトの利便性が広く認められて、その開発ソースが丸々300億円で買収されるなんてことも。そうしたら国税庁という名前のヤクザが半分の150億円を無条件で持ち去って行くかもしれませんけど、残ったお金で7ブランドを全て揃えることができますし、それぞれ200回乗り換えてもまだお金は残っているでしょう。でもDB11と日産シーマ(親乗せる用)とレクサスLC(買い物用)があればもう十分かな(笑)。

  何が言いたいかというと、日本が「本当に」すべての人にチャンスが与えられている社会であるならば、本当にかっこいい「成功者のクルマ」も必要なんじゃないの。特に日本メーカーにはなかなか作れないようなクルマ・・・それこそが本当の意味での「輸入車」。このブログは「輸入車ブログ」と題しておきながら、日本メーカーでも十分にライバルモデルを仕立てられるような「偽・輸入車」ばかりを取り上げてきてしまったなー。これからは「本物の輸入車」だけを扱っていきます!!というつもりはないですけど、とりあえず日本で輝こうとしている「本物」のアストンマーティンにはウェルカムな賛辞を送るべきだなと思った次第です。






  

  



2017年4月19日水曜日

ジープ・チェロキー 「米国のポルシェ・・・ではなかった」

  売れてますねー。SUV全体の好調さは、やや一服した感がありますけど、昨年くらいからニョキニョキ伸びてきたのが、FCAグループ傘下の「ジープ」です。日本のユーザーって「つまらない日本車ばかりが売れる・・・クルマを解ってない!!」みたいな悪口をしばしば言われますけど、ジープやポルシェもよく売れるし、アバルトやアルピナに関しても中国やアメリカを差し置いて、本国の次に売れる重要な市場なんだとか。だからフェラーリも日本専用モデルを作るし、復活のアルピーヌもいち早く日本でお披露目してます。せっかく買うならこだわりのクルマが欲しい!!ストーリー性がとても大切な日本市場だと思います。

  三菱が1953年に保安隊(のちの自衛隊)に納入する輸送車両として米国ウィリスのライセンス生産を始めましたが、元々はウィリスの軍用車に使う商標が「ジープ」で、その名前が様々なグループの間を転々としていく中で、1つのブランドとして成立するようになったようです。つまりトヨタのプリウスという「商標」が何らかの事情で、GMやテスラの手に渡り、その傘下で「プリウス」という名のブランド名でディーラーが展開されるようなものですね。クルマに興味がない人でも、フェラーリ、ポルシェ、BMW、ベンツ、ジープくらいは知っていると思いますが、この中でジープだけが、元々は米国のブランド名ではなく、三菱ジープという車種名から認識していると思われます。

  何だか「伝統」がありそうなブランド名に感じますけども、案外中身はよくわからないですね。現在日本に正規導入されている現行モデルは、「チェロキー」「グランドチェロキー」「ラングラー」「コンパス」「レネゲード」・・・この5台の中で本格クロカン仕様のラダーフレーム・シャシーを使っているのは1台のみです。「コンパス」のベースは三菱RVRなどで使う三菱GSシャシー、「レネゲード」のベースはフィアット500Xと同じもの、「グランドチェロキー」の設計はダイムラー=クライスラーの時代に遡るもので旧Mクラスと共通です。そして「チェロキー」はアルファロメオ・ジュリエッタのシャシーを使っています。・・・ということでオリジナルの軍用仕様の生き残りは「ラングラー」のみ。

  え?ジープのほとんどのモデルはハリアー、CX5、エクストレイル、フォレスターなどと同じで「なんちゃってクロカン」つまりSUVだったのか!!確かにクロカンにしては乗り心地がエレガントですから・・・やっぱりという感じですけど。それにしてもフラッグシップ格の「グランドチェロキー」はメルセデス。「チェロキー」がジュリエッタのシャシーを使っていたのにはちょっとがっかりという人もいるかも。でもジープの本当の面白さは、軍用モデルではなくて、世界の自動車産業の集大成的なブランドになっていることじゃないですか?メルセデス、フィアット、アルファロメオ、三菱とここまで色々なブランドからシャシーをかき集めているブランドなんてなかなか無いです。VWがMQBで何でも作ってしまう時代に、ブランド内で共通に使われるシャシーが1つも無いなんて!!

  Cセグ乗用車をベースにする「チェロキー」の設計に近いモデルとして、ランドローバーの「レンジーローバー・イヴォーグ」や「ディスカバリー・スポーツ」があります。どちらもフォード・フォーカスが使うシャシー(マツダが開発)です。「チェロキーVSイヴォーグ」はどちらも個性的なエクステリアを持っていて、「ジープVSランドローバー」のイメージリーダー対決といった構図なんですけど、実はその中身は「アルファロメオVSマツダ」だった!!・・・これはこれでなんか別の意味でスポーティな感じがしてワクワクします。もう「伝統のクロカンブランド」ということは忘れましょう!!そしてシャシーだけでなくエンジンやミッションもなかなか味わい深いです。

  「ジープ・チェロキー」のアルファロメオ設計のシャシーに載るのは、「タイガーシャーク」というFCAグループの結晶とも言えるスペシャルエンジンです。「世界の自動車エンジンの父」三菱とクライスラーが共同で開発したGEMAエンジンを、クライスラーが独自に熟成させ、やはり三菱の設計したライセンスを買い取ったフィアットがダウンサイジングターボに採用した「マルチエア」機構を合体させています。ちょっと三菱色が濃いですね。これにZFが開発した最新鋭のFF横置き用の9速ATがいち早く投入されています。



  対する「レンジローバー・イヴォーグ」は、VWを脱帽させたクラス最強のフォード&マツダ設計シャシー(VWはフォードの設計者を引き抜いて5代目ゴルフを作った)に加えて、マツダが悪ノリして作ってしまった、圧倒的なフィール重視の「直4ショートストローク」というなかなかありえない設計の「MZR」エンジンをターボ過給(フォード・エコブースト)して使っています。ロードスターに載せるつもりで多少はトルクを犠牲にしてでもレスポンスに優れるエンジンを、車重1700kgもあるSUVを駆動させるために載せるというのはなかなかの暴挙かも。そしてミッションはやはりZFの横置き9速ATを採用しています。

 
  チェロキーもイヴォーグも500万円〜の価格設定ですが、日本の「ファミリーカー」的な設計に終始していて、ワイルドさを感じない「なんちゃて」SUVを選ぶよりも、デザインを始めいろいろ手が込んでいて、台数が出過ぎな日本のSUVよりもリセール価格も期待できるでしょうから、新車購入でもあまり負担感は無いですね。シャシーからエンジンから他所のものを使ってはいますけども、それでも可能な限りベストなものを選んでますねー。イヴォーグのマツダショートストロークに対抗して、チェロキーがアルファロメオの同じくショートストローク直4の「1750TB」を積んでいたら・・・もっと面白かったですけどね。どちらもフェイスリフトもかなり頻繁に行ってますから、メーカー側もとても大事にしているモデルなのだと伝わってきます。さらなる進化を楽しみに待ちたい2台ですね。


2017年4月15日土曜日

シボレー・コルベット 「USカーが世界を覆うとき」 

  「アメ車なんてクソだ!!」・・・まだまだ日本に蔓延するプロパガンダですが、これ一体誰が言い出したんだろ? なんでもかんでもカーメディアの仕業にして片付けるのはなんの解決にもなってないですね。メディアとは、メーカーよりも圧倒的に製品に関する情報が少ないユーザーを助けるという意味で「不可欠」な存在です。資本主義のルールに基づけば、もっと尊敬されていいと思うんですけどね。

  ユーザー同士がSNSで広く繋がっている昨今では、メディアなんて広告主の読者の動向に神経を尖らせている風見鷄みたいなものです。ご存知のように、アメリカと日本の間には、自動車産業における世界で史上最も険悪な「啀み合い」があったのですから、結局のところは「アメ車はクソ!!」というのはある種の国民感情なのかもしれません。それが刷り込まれたのは、どうやら輸出規制や貿易摩擦が巻き起こった1980年代よりもさらに前なようです。

  戦前の日本ではアメリカメーカーによる生産が行われていた・・・と記録にあります(野口悠紀雄著「戦後日本経済史」)。1936年に「自動車製造事業法」を制定し、この法律は「許可会社」に営業税免除などの特権を与え、フォード、GM、クライスラーを強制的に日本から排除しました。この時の許可会社がトヨタと日産です。これだけ見ると戦前の日本政府が国際的な見地で相当に横暴な「立法」を行っているように見えますが、もちろんこれは世界恐慌を受けてのアメリカによる日本への市場締め出し方針への報復処置です。日本はすでに国産連盟からも脱退済みでした。

  この時期に「松下」「日立」や話題の「東京芝浦電気」も急成長したので、戦争によって高度経済成長期やバブル経済が生まれた・・・そんな事を言って「軍国時代」を美化する風潮もあるようです。そして行き詰まる韓国や日本の経済への効果的な打開策として、東アジアの「非常事態発生」が有効ではないか?と考えている(期待している)人もいる?シリアも半島といった文明の衝突地点は、なんとも恐ろしい宿痾を抱えた地域です。

  戦前に相次いで急成長を遂げたメーカーは、そのまま21世紀まで生き延びました。旧財閥系の「三菱」「富士」は同じくナチス協力メーカーとしてその地位を得た「ダイムラー」「BMW」「VW」とともに、現代の自動車産業の規範とされています。世界の多くのメーカーが三菱のエンジンを搭載し、さらに多くの地域がスバル(富士)こそが最高のクオリティカーだと評価していて、最近では特にアメリカ市場でよく売れています。そんなスバルがニューヨーク国際オートショーで、「特大クラス」の戦略爆撃SUVを公開したとニュースになってました。これアメリカ以外に撃ち込むところが見当たらない重量級BOMBですね!!72年ぶりの大反撃!!




  日本人は自動車産業に関してはかなり楽観的な見方をしているようです。確かにここ数年の自動車関連株は旨味が多い。日本メーカーは国内販売が低迷しようとも、世界のどこかに突撃していって、勝手にシェアをもぎ取ってくるから大丈夫だと思ってる。系列サプライヤーも独自に販路を見つけてくるだろうし。中国市場と並んで今後さらなる成長が見込めるASEAN市場で9割以上という異常なシェアを持つことも日本車にとっては追い風です。三菱が世界に誇る「トライトン」(日本未発売)はタイ工場で作られてたりしますが、「三菱」を熱く支持する東南アジア諸国という構図・・・。実はここにフォードがマツダと合弁したタイ工場や、豪州の拠点からクルマを投入して制圧しようしたのですが、全くの空振りで日本市場撤退と同時にASEAN最大のインドネシアからも撤退を発表しました。あの戦争の記憶は・・・。

  さて日本や東南アジアがヒステリックに「偏見」を持つアメリカ車ですが、72年前のような圧倒的な強さを再び見せるんですかね。北米のサイトを見ると「シボレー・コルベット」は55,450米ドル〜です。これはなかなか「天衣無縫」な存在です。同じV8自然吸気を搭載するレクサスRC-Fが64,000米ドル、レクサスLCが92,000米ドルなことを考えると、V8自然吸気の専用設計スポーツカーの価格としては、ほぼ「無敵」といって水準です。

  フェラーリもランボルギーニも東京モーターショーに来なくなって、NSX、GT-R、RC-F、LCの日本価格がぼったくり・・・で販売は限定的で、トヨタ86、マツダロードスターこそがスポーツカーなんだ!!と必死で思い込もうとしている、クルマ難民だらけの日本に、600万円の戦略価格で「コルベット」が降り立ったら一体どうなるんだろう? さらに北米価格では86やロードスターよりもさらに安い25,000米ドルなのに、280psの2Lターボを積んでいるシボレー・カマロもいよいよ日本に投入されるようです。この2台を見て日本のキッズ達は何を想うのか? 「ギブ・ミー・ファン・トゥー・ドライブ!!カモン!!」と諸手を挙げて大喜びする姿がうっすら浮かびます・・・。 


  「アメ車はクソだ!!」と教えられてきた日本人の頭にガツンと一撃をかます2017年になるのかなー。レクサス、AMG、BMW-M、アウディRS、ポルシェによる「枢軸ブランドの支配」「カルテル」の時代を打破して、「真の民主主義」とやらを日本や東南アジアに展開する・・・そんな大転換のタイミングが案外近くにまで迫っているような気がするんです。日独のスポーツカーがアメリカ車に負ける!!とかそういう話ではなくて、レクサスLCもポルシェ911も90,000米ドル、BMW・M4が66,000米ドルといった北米価格に近い水準で買える「ルール」を日本に広げるきっかけになったらいいなーってことです。


  

2017年4月5日水曜日

キャデラックCT6 「VIPカー発祥の日本で売るなら・・・」

  日本で活動する自動車評論家の多くが何がそんなに気に入らないのかわかりませんが、その存在を黙殺する日本発祥の「VIPカー」。若者を惹きつける力を未だに持っている「エクストララージサイズ」のクルマの中で、特にセダンをVIPカーと称したりしますが、そんなクルマがまだまだ存在するというだけで十分に素晴らしいです!!GT-RもWRXもM4もハッキリ言ってさ・・・オッサン連中しか盛り上がってないって。

  日本にも寝ても覚めてもクルマのことばかりを考えている若者はまだまだいるのに・・・それを見て見ぬふりをして「若者のクルマ離れが深刻だ!!」などど寝ぼけたことを言っている還暦ライターがいますよね・・・。奴らがカーメディアで絶賛するクルマが全然イケてないんですよ。特に200~300万円で買えるドイツ車ってさ、速くもなければ、乗り心地も良くない、小さくてかっこ悪い老人向けみたいなスタイルでさ、しかも公害出しまくって中国やアメリカでボロクソに批判されて問題になっている・・・そういうクルマを「剛性が高い」とか言って散々アピールした奴らに三菱やタカタを批判する資格があるんだろーか?

  そもそも時代を追うごとに進む「都市部への偏住」と「少子化による人口減」を考えたら販売台数の低下は避けられないわけですが、若者を夢中にさせるクルマが無いのに、「最近の若者は給料が安いからクルマは無理だよね!!」とか呟いていい気に成っているオッサンは心底ウゼ〜〜〜な。そんな人に限って貧乏臭いドイツ車とかのユーザーだったりするんですよ。例えばアウディは伝統のブランドですけども、今ではVWグループのプレミアム戦略を担う重要な販売チャンネルですが、プレミアムブランドの本場のアメリカでは売ってすらいない「偽物」のアウディA3とかさ・・・。え?WCOTY受賞だって?よかったですねリーフやデミオくらいの価値は認められているんじゃ無いですか?

  先日も某還暦ライターによってディスられてましたよ。日本の若者が間違いなく一目置くであろうスタイルの王道VIPセダン・キャデラックCT6に対して、「中国の金持ちが好きそうな固めな足回りだなー笑」だってさ。中国人には高級車の乗り味はわからねーよ!!という日本のライターによる上から目線。確かに直4ターボばかりが売れているので、多様性に疑問が残る市場かもしれないけどさ、第一汽車の「紅旗」という最高級ブランドが、世界中の高級車の中からライセンス生産するモデルとして、トヨタのマジェスタを選んだ感性は決して悪く無いと思うんですけどね。ちなみにこの時はマジェスタとアテンザを採用しました。

  「キャデラックはCT6一択でいい!!」・・・そういう気分にさせてくれる存在感たっぷりなフラッグシップなんて素晴らしいです!!もうそれだけで存在理由が成立してるからいいじゃん。わざわざBMW7erと徹底比較して「還暦基準」で採点してこき下ろすのはどーかと思いますよ・・・F野さん。そもそもフラッグシップ対決という前提ならばオーラが薄い7erのデザインに大幅減点を加えてもいいんじゃないですか?(あくまで好みの問題ですが・・・)。

  ちょっと気になったのが、このF野さんは初期品質の問題で7erも5erも完成度低すぎ!!と厳しい評価を下しているのに、キャデラックCT6はそれよりももっと下だ!!とグローバルプレミアムへと成り上がろうとしている出鼻を挫いていることです。BMW関係者には失礼ですが、あまりにも節操なくエンジンもシャシーもミッションも外部へ部分発注して、高級車とは思えない「ハリボテ」だらけなザ・モジュラー・サルーンである7erや5erが、初期品質でメルセデスに遅れをとるのはしょうがないです。分解したら何カ国の基幹部品が出てくるんだろう?・・・トルコ、ポーランド、オーストリア、スロベニア、ルーマニア、韓国、中国、タイもっともっとありそう。(日本メーカー車も似たようなものですけどね)

  中国で組み立てているけども、キャデラックはミッションもGMがフォードと協力してFR用の多段式トルコンATを開発してますし、エンジンも新世代のターボエンジンを独自の技術で仕立てていますし、ブランドの将来性は高いと思います。かといってモジュラーなBMWが悪いか?というとそれも違うかも。時間とともに熟成させちゃうのがBMWのすごいところ!!これはF30系ファミリーの進化でもしっかり証明されました。F30系に乗るオッサンは、なんだかゲイっぽいから嫌いですけども、さすがはドイツを代表する有名ブランドだなー。しかしこの「BMW尺度」でスゲーってことならば、日産はR32の時も最新のVR30DETTに関しても、さらに完成度も高いですし、他とは一線を画す技術力もあるし、ホンダ、トヨタ、マツダ、スバル、三菱だってそれくらいのことはできちゃう。そもそも日本で市販されるミドルサイズのクルマだったら走りが良くて当たり前です(ミニバン以外は)。

  いくらでも「良く走るクルマ」は作れる日本メーカーの唯一の弱点は、ブランド力の訴求が弱いから、高価格でスケールの大きなクルマになかなか着手できないことです。トヨタグループはともかく、日産、ホンダ、マツダはバブル後の20年ほどで一体どれだけのモデルを諦めてきたことか・・・。V10が乗る予定だったNSX。VR38DETTで武装したスカイライン「オールージュ」。そしてRX9などなど。600万円以上するクルマが売れないのはポルシェ以外のドイツブランドも状況は似たような状況にはなってますけども、セルシオ、マジェスタ、シーマに熱狂した栄光の時代はもう日独メーカーだけでは再現不能なのかなー。

  

  CT6の原型と思われる「エルミラージ・コンセプト」ピラー&サッシレスがいい意味で90年代のバブル的熱狂を表していてとても豪胆なスタイルです。このままで発売されれば(価格にもよるけど)それなりに反響はデカかったんじゃ無いですかね。ただしそこいら中の街中で若い兄ちゃんがこんなクルマを乗り回していたらイカツイですねー・・・。週末深夜の横浜・山下公園に行けば5m超のアメリカンフルサイズセダンがパレードしてますけどね。


  

  実際のCT6市販モデルですが、ホワイトがなかなか「妖艶さ」を出していていい感じです。テスラ・モデルSや、ボルボS90、ジャガーXJあるいは日本未発売のジェネシスG90に比べれば相当に押し出しの強いフェイスです。さらに標準で20インチを履きこなすだけあって、そつないホイールハウスのデザインがとてもポイント高いです。昨今のVIP好きは適度な価格がウケてかマツダ・アテンザにも流れているようですが、GJアテンザも19インチのグレードが最初から用意されていて、インチだけはBMW7er(ショートは19、ロングは20が標準)と同等になっています。しかも後期のデザインは19インチの純正高照度ホイールがとても良く似合っている!!買うならこれが付いてくるLパケ1択ですね。下位モデルの17インチは相当に鈍臭く見える(こっちの方が乗り心地いいけど)。次のアテンザ(今年の東京MSでザプライズか!?)はいよいよ海外市場向けの「ロング」が登場してVIPの仲間入りするのかな?


   

  
  やっぱりVIPカーといえば「シーマ」と「マジェスタ」ですね。どう考えてもメルセデスSクラスなんかには負けねーって気がします。SクラスマイバッハやらレクサスLS600hのような「べらぼう」にハイラグジュアリーなショーファーモデルは無視!!クルマの価値は価格だけでは決まらない!!・・・・ということで800万円以下で買えるVIPカーは?「シーマ(765万円)」「マジェスタ(643万円)」「クライスラー300S(578万円)」「ボルボS90(644万円)」などなど。・・・さらに現実的なのは北米から並行輸入されている「ダッジ・チャージャー(409万円!!)」というのもあります。もちろんVIPなのはサイズだけで、静粛性なんか期待できないですし左ハンドル・マイル表示です(デカく見えないですけど全長は5100mmあります)。




↓F野さんの連載はこちらから読ませて頂きました。


2017年3月28日火曜日

プジョー3008 「別荘も欲しくなる!!・・・これこそが価値あるSUVの証」

  「ランドローバーを買う前に別荘」・・・。バブルの時代には嫌味に聞こえましたかもしれないですけど、今では全国の辺境地区には、まだまだ使える格安物件がたくさん転がっていて、場合によってはランドローバーを1台買うよりも安い価格で不動産が手に入るようになりました。東京都に住んでいると定番は「伊豆」や「軽井沢」なんでしょうけど、ドライブで色々訪れてみると、隠れ家を構えてみたい場所はあちこちにあります。南房総市(千葉県)、上野村(群馬県)、東秩父村(埼玉県)、道志村(山梨県)、神栖市(茨城県)なんか良さそうです。

  さらに超高齢社会を迎えた日本では、父母、祖父母や親戚が地方の高齢者移住地域(CCRC)へ移ったり、あるいは介護施設や老人ホームに入ったりすることも増えるでしょう。そうなったら親孝行するためにも地方の整備不良気味の道路をガンガン走れるSUVがあるといいですね。道路に大きめの木の枝など落ちている上をセダンで走るのはちょっと勇気が入ります。なんか床下から「カコン」とか音がして、あーあ・・・ってなってしまうことも。Uターンが必要になった時に無駄に縁石が高い時もビビる。一気に行ってしまえ!!と思っても案外フロントのアウトは沈むし・・・。

  東京都のお隣の埼玉県でもなかなか道路予算が不足しているようで、なかなかヤバい道路に出くわすことも多いです。アスファルトの隙間から木の根っこや筍?が出てきたり。16インチの乗用車では乗り越えるのが怖いような落石ブロックが道路の真ん中にあったり・・・。自治体によっては整備不良道路での立ち往生を防ぐために、「SUVを使って!!」と警告しているところも(長野県川上村など)。普段からそういう道を走っている人(住人・登山者・酷道マニア)は、SUVは常に次期愛車候補になっているはず。

  SUVだけはラインナップが豊富なメーカーといえば三菱。パジェロ、アウトランダー、RVRに加えて、ジュネーブショーではエクリプスというコンパクトSUVを発表しました。2011年の東日本大震災の教訓から、いち早くPHEVを製品化するなど、三菱には他のメーカーにはあまりみられない動きがありますが、今後はSUVメーカーとして存在感を保つ!!という経営感覚は、ランエボファンには受け入れられないでしょうけど、さすがは「国家のために全てを投げ打つ企業・三菱」といったところでしょうか。

  そんな三菱とSUVの開発では提携しているのがPSAで、今もシトロエンの一部のモデル(C4エアクロス)はRVRがOEM供給されています。そんなPSAのプジョーから2代目3008が登場しました。初代は取り急ぎブームに乗り遅れないように作った感があって、ベース車(旧308)の雰囲気がそのまま残っていて、BMWのX3みたいな多少コミカルなデザインでしたが、新型は新生プジョーの「看板モデル」だと堂々主張するような、高級感あふれるスタイルになっています。メルセデス、アウディと比べても「大衆ブランド」っていう見劣り感は全くないです。フランス版のマツダCX5。

  いやいやこのクルマの本当の魅力はエクステリアではないです!!マツダ?との違いを明確にするのがインテリアで、特にインパネからセンターコンソールにかけてのデザインがとても洗練されています(マツダのコンソールは・・・)。これかっこいいよ!!実際の使い勝手がどうか?はわかりませんけども、実に使う人の目線に立ったオシャレなパネルとトグルスイッチ調のボタン。人によってはちょっとガキっぽいと感じるかもしれませんが、メルセデスもBMWもクラウンもスカイラインもディスプレイにタッチする「スマホ」インテリアが主流ですが、全部それだけじゃつまらない!! それじゃ芸が無いってことで新しいBMW7erでは、「非接触」のインターフェース・システムが登場しましたけど、そういうのは「BMWが率先してやることじゃねーだろ!!」という批判もあったとか・・・。




  そういえば、20年くらい前のトヨタ車は、どんな機能が振り分けられているのかイマイチわからないプッシュボタンが並んでたな〜(番号だけじゃわかんねーよ!)。デザイン性ゼロで機能性もゼロ。あれは意味不明だったですね。当時と比べれば日本メーカーのSUVはだいぶオシャレなインテリアを用意していますが、それでもまだまだハッチバックのベースモデルと共通するパーツが目立つんですよ。新型CX5もアクセラやアテンザとは違うインターフェースだと良かったんですけどね。SUV買う人はそんなところで判断しないから、無駄なコストをかける必要はない!!というメーカーの判断もわかるんですけども・・・そんなインテリアのSUVではとても別荘に通いたい!!とか思わないですねー。

  想像してください。別荘じゃなくてもいいです。都内に事務所と自宅を借りていて、その往復に使うクルマにはどんな車がいいのか!?SUVならばジープやランドローバーが定番ですかね。比較的にリーズナブルなモデルも充実していてどちらも、ちょくちょく新型モデルを見かけることが増えました。この2ブランドをトヨタ(ハリアー)と日産(エクストレイル)で置き換えられるか?・・・なんか違うんですよね。まだスバル(フォレスター、アウトバック)の方が雰囲気あるかも。マツダ(CX5)は?まあアリっていてばアリです。メルセデス、アウディ、BMWに関しては無駄に価格が高い(600万円〜)。そのくせSUVへの情熱をあまり感じない・・・。

  レクサスLX、レクサスRX、レクサスNX、ランクル、FJ、ハリアー、C-HR、エクストレイル、ジューク、ヴェゼル、パジェロ、アウトランダー、RVR、CX5、CX3、XV、フォレスター、アウトバック、エクシーガ、エスクード、SX4、ジムニー、イグニス、ハスラ、キャスト・・・現行の日本モデルだけでこれだけある!!輸入ブランドにもまだまだあるのに!!もうこれだけ発売されているのだから、ユーザーの好みにどれだけ応えているか!?である程度はバッサリと線引きしてあげた方がいいと思うんですが、SUVのレビューって大体はどれを読んでも「マルチに活躍できるいい車」みたいな当たり障りのないことが書いてあって無難に終わってます。

  SUVなんてどこでも同じじゃないの?・・・まあ走行性能に関してはほとんど差がないでしょうね。スバル、日産、アウディは凄い!?とは言っても大差ないです。 実際のところユーザー目線で考えると選ぶポイントは「世界感」じゃないですか? アメリカ人に売れればいい!!くらいのテキトーな仕事っぷりのデザインは徹底的にパスしたいです。トヨタ、日産、三菱、スバル、スズキ、メルセデス、BMW、アウディ、VW、ポルシェ・・・・はアウト!! これはデザインを頑張ってんじゃないの?ってのが・・・マツダ(CX5)、ボルボ(XC60)、ランドローバー(イヴォーグ、ディスカバリースポーツ)、ジープ(チェロキー)、ジャガー(F-PACE)そしてプジョーかな?(ルノー、スズキ、ホンダは小型のみなのでダメ)

  さらに選抜すると、マツダ、ランドローバー、ジャガー、ジープはインテリアに課題ありなので脱落。残ったのはプジョー3008とボルボXC60。これこそ別荘が欲しくなる2台!!・・・ということにしておきましょう。350万円の3008と600万円のXC60ですから、コスパ抜群のプジョーは自信持ってオススメで良さそうです。ただし現状では日本への正規輸入は1.6Lガソリンターボのみなので、ヘビーなSUVとの相性を考えるとディーゼル待ちがベストですかね。PSAのディーゼルはマツダと並んで躾がいい!!と評判です(つまり静かです)。ちなみにダメなのはBMW、ジャガー、ボルボ。早くディーゼルもラインナップされると本気でオススメできるのになー。


2017年3月17日金曜日

MINIとはSUV嫌いの救世主?

  日産ノートが車種別月間販売台数で日産車としては30年ぶりに1位を獲得しました(2016年11月)。そして2016年の輸入車ランキングでは、王者ゴルフが陥落してMINIがトップに立ちました。「MINI」というのは車名なのか?ブランド名なのか? 例えば・・・「クルマなに乗ってるの!?」「MINIだよ!」「MINIの何?」「MINIはMINIだよ」「だからMINIの何?」「え?普通のだよ」「クーパーとかクラブマンとかあるでしょ?」「それっておかしくない?クーパーはグレード名で、クラブマンはボデータイプでしょ?だから『普通』でいいんだよ・・・」みたいな煩わしい会話があちこちで行われているのではないか?と推測します。

  日本メーカーが共通シャシーを使ってラインナップの多くのモデルを作りわけていることを考えると、同じシャシーなんだから全部MINIとしている方が潔いのかもしれません。スバルもいっその事シャシーが異なるBRZとダイハツOEMの軽自動車以外は全部「インプレッサ」にしたらどうでしょうか?そうすれば北米車種別ランキングでは「インプレッサ」は第2位になれます!!(月に5万台超を売るフォードFシリーズには合計で4万台そこそこのスバルでは勝てない・・・)

  現行の3代目MINI(BMW傘下以降)では、ベース車の定番3ドアハッチバックのホイールベースをちょっと広げた5ドアが登場しました。車幅は5ナンバーをはみ出すサイズで、全長も近年大型化しているBセグの中でも長い部類に入る4m超えを果たしています。ノートとデミオは国内Bセグではちょっと大きめと言われますが、5ドアはちょうどそれくらいの長さです。この車で両親を後ろに乗せて長時間走れるか?・・・そういう用途には5ドアではちょっと不満なので、より大きなサイズ(ホイールベース2670mm)のクロスオーバーやクラブマンが日本ではジワジワと来ているようです。

  MINIというとトルコ移民がイギリスで作ったアイディアカーがそもそもの成り立ちで、他の英国ブランド(ジャガーやアストンマーティン)に見られるような、「伝統と洗練」へのこだわりこそ十分に感じられますが、そのテイストの根本は「かなり」違う立ち位置にあります。初代ゴルフが登場した70年代のデザインが、東洋のどっかの国で起こったバブルの影響をモロに受けて、欧州の他のブランドはデザインがアップデート(かっこいい!とは言ってません)していく中で、まるでインドのヒンドゥスタン・アンバサダーのような旧車の魅力を残すデザインが保存されました。

↓なんかインドが羨ましいんです。

  こりゃ80年代というより60年代ですね。日本でもこの時代にクルマを所有できた人は相当な金持ちだったようですし、こんなクルマからパーカー&スウェットのオッサンが降りてくる姿は想像できないですし、クラウンなんかよりもよっぽど服装もオシャレな人々が楽しむクルマです。現代のVWやプジョーのような、ちょっと言葉が悪いですけども、資本主義経済に叩きのめされた果てに溢れる「下流」や「疲弊」を示すメタファーなデザイン(になってしまっている)とは違うんだ!!・・・ある種の「社会変革」だったり「巻き直し」を感じられるデザインを追求して欲しかったのですけど、クロスオーバーやクラブマンは・・・中途半端なデカさゆえにスウェットが似合ってしまうユルさがあります。

  メルセデスが「下流」というとちょっと違和感があるかもしれませんが、日本で売れている価格帯のメルセデスだったり、アウディ、BMW、ボルボ、マツダ、スバルといったブランドのユーザーの満足度は実はそれほど高くないと思います。これらのブランドは「中間層」に狙いを絞っていて、例えばマツダはアクセラの発売時に、世界でくすぶる若者に希望を与えたい!!という壮大なテーマ(「巻き直し」)を掲げていましたし、メルセデスやアウディなども長時間労働のアーバンライフに彩りを与えるクルマ!!というテーマを掲げているようですが、現実は「プレミアムブランド」という選択肢の枠組みの中で300万円前後のモデルを「強制的」に選ばされているに過ぎません。それなりの所得はもらっているはずなのにジャガーやポルシェは無理・・・という現実が突き刺さります。

  だからこそMINIには、本来の姿のままでいてほしい!!俺はメルセデスやマツダを選ばされているのではない!!唯一無二のMINIを選んでいるんだ!!・・・VWやプジョーではこんな「反骨精神」は表現できないです(シトロエンなら)。そしてMINIを選ぶなら「あえて」の5ドアがいいと思います。確かにトヨタやホンダのようなスペース効率が良い日本車から見れば、4mもあるんだったらキャビンスペースをもっと上手く作れよ!!という不満もあります。後ろのシートはやはり狭いですが、3ドアよりは確実にマシですし、後ろに大きな荷物を置く際には5ドアのありがたみがよくわかります。

  ヒンドゥスタン・アンバサダーほどのインパクトはないですけども、個性的なエクステリアは・・・細部を部分的に見ても、ボデー全体をトータルで見ても抜群に洗練されています。昨今の新型車はどうも「手術痕」が生々しいものが多いですよね。例として挙げるのは失礼ですがクラ○ン、アウ○ィA3、メルセ○スCLAなどなど。これでよく市販にこぎつけたなー・・・まずは発売スケジュールありきだったのかな?なんて気がしないでもないです。どこの芸術家がスケジュール通りに傑作を作るっていうんだ!?

  ボデーが「小さい」ということを魅力的に見せるクルマという意味でもMINI5ドアは優れています。他にもアクア、アルト、イグニス、フィアット500などが上手いです。コンパクトであることに合理性を見出せるデザイン(小さいからいい!!)のボデーに、BMWが使うエンジンが載る・・・15年前のBMWエンジンだった素直に「これはすごい!!」でしたけど、それでも2Lターボ180psが搭載される「クーパ・S」(367万円)は、「スペシャルティーカー」のような走りができます。願わくばゴルフGTIに揺さぶりをかけるためにも、5ドアにもMT仕様を用意してくれるといいのですが・・・。





  

2017年3月12日日曜日

アメリカ雑誌が「BMW3erは過去の遺物だ!!」って・・・カマロを自画自賛

  日本ではなかなか存在感が発揮できていないシボレー・ブランド。アメリカを代表する自動車メーカーGMの最も大所帯なブランドということもあって、これまでは日本市場でも売れそうなモデルをとっかえひっかえ導入してきましたが、やっぱりブランドイメージを高めるにはあまりにも無計画だった印象があります。アメ車ブランドだと思っていたら、スズキ製、オペル製、GM大宇製、ホールデン製が入り混じっていたり、本国のラインナップを見ても純粋なアメリカ製のモデルが意外に少なかったです。

  しかし最近のシボレー・ジャパンは相当に日本市場を研究してきたようで、2017年はいよいよ「コルベット」「キャプティバ」「カマロ」の厳選3モデルに集約してきました。まだカマロの具体的な価格は発表されていませんが、この3台はそれぞれに非常に競争力が高いですね!! これトヨタのディーラー網にでも販売を委託したら、相当な台数が出ると思います(一応ヤナセも取り扱っていますが)。

  発売当初はあまりにも価格設定が安過ぎて、日本では逆に売れなかった「コルベット」。V8積んだ専用設計スポーツカーが1000万円以下で買えるわけねーだろ!!本来はこのクルマがターゲットにすべきだった都内のタワーマンションに住んで、激安ガヤルドあるいはカーシェアのガヤルドに乗る輩には全く理解できないモデルだったようです。「貧乏人が乗るBMWやレクサスだってV8は1000万円以上するのに、800万円ってさ・・・俺たち猛牛貴族には無縁だね」とか思われてしまった感が・・・。おまけに東京の正規ディーラーが港区と、葛西と国立の3店舗って(葛西や国立なんてブランド志向強過ぎ!!マカン、CLAのバカ売れ地区だし)。

  無責任なこと言いますけど、シボレーは所沢、八王子、青梅といった辺りにあればもっともっと売れるんじゃないでしょうか!!青梅に住んでる同級生達はBMW・X4、シーマ、マジェスタなどなど国立や葛西とは全く別の意味で「わけわかんない」クルマを選ぶ連中が多いです。普段青梅にいるのに、東京のどこ走ってもなかなか被らないようなクルマをわざわざ好んでますね。あと道も広いし(国立や葛西の道路はストレスでしかないです)。

  ちょっと話が逸れましたが、シボレー・ジャパンもコルベットの販売戦略が失敗だった(売れ残り中古車でタマ数豊富です)とすぐに気がついたようで、現行のラインナップでは「Z06」という1500万円〜のグレードのみの販売になっています。そうなってくると、V8スーパーチャージャーを搭載して1400万円で発売されているジャガーFタイプRとの競争が苦しくなりますね。せっかくMTが用意されているコルベットですが、Fタイプ(V6モデル)なら1100万円、911なら1200万円でMTのスーパースポーツが買えるのでちょっとマーケティング的にもったいないです。1500万円あればアストンマーティンのMTモデルもあるし。シボレー・ジャパンもその辺のことは承知のようで2017年はいよいよ新たなコルベットの廉価グレードが登場するようです。

  「キャプティバ」はトヨタ・ハリアーとほぼ同サイズのSUVです。日本で売るならセダンのマリブやクルーズではなくてやっぱりSUV!!セダンはキャデラックに任せておけばいい!!という合理的な判断なようです。しかもキャプティバは単なるCX5、ハリアーのライバル車ではなく、今年マツダが新たに投入しようとしている3列SUVです。日本市場のこのクラスでは、アメリカでも絶賛発売中の日産エクストレイルには先代から3列設定がありましたが、三菱アウトランダーとスバル・エクシーガクロスオーバー7が相次いで追加され、マツダもCX6を発売されるようですが、まさかのアメ車ブランド・シボレーに3列SUVがすでにある!!しかも379万円というハリアーと互角くらいの価格!!少なくともBMW2erグランツアラーを買うよりは・・・。

  そしていよいよ大本命の「カマロ」ですが、これも日本市場のトレンドをしっかりを踏まえていて、ハードトップクーペにはコルベットから流用した6.2L自然吸気を、コンバーティブルにはキャデラックATSから流用した2Lターボ(280ps)を主体にしていて、ユーザーのライフスタイルを想定した設定になっています(どのブランドでもやってるけど)。そしてタイトルにもあるようにアメリカのMOTOR TRENDは「カマロは完全に3erを超えた!!(トランプ万歳!!)」と高らかに宣言しております。アメリカが長らく沈黙し、日本がエコカー競争を繰り広げた2000年代に、時代を牽引したのは紛れもなくBMW3erだったけども、その幕を引くのは、CクラスでもレクサスISでもジャガーXEでもアルファロメオ・ジュリアでもなく・・・シボレー・カマーロだ!!と言いたいようですね。

  グローバル向けに4700mm台まで縮めて、1890mm台まで狭めたボデー!!日本車やドイツ車はどんどん大きくなるけど、アメリカ車は逆にどんどん小さくなるんですね。サイズ的にはレクサスがスーパーGTのベース車にして売り出し体制万全の「LC」とほぼ同じくらいになるようです。2017年・・・レクサスLC500hが1600万円で、カマロSS(ハイスペックモデルです)が500万円(本国では36000ドル)だったとしたら、「LCよりカマロの方がパンチがある!!」とか言われてLCキラーになる可能性も。どちらもGT3ホモロゲーションを取るでしょうけど、日本の若者が喜ぶのはどっちだ!?って話ですね。

  コルベット、キャプティバ、カマロ・・・3モデルそれぞれに日本市場でも活躍できるポテンシャルを持っていると思いますし、もっと広く認知されれば、所沢・八王子・青梅人が国立まで買いに行くようになるんじゃないでしょうか!?え?デザインが強烈すぎるって?いやいや某大手メーカーのエコカーに比べればおとなしいものですよ・・・。今年のシボレーには注目です。


 

2017年3月3日金曜日

シトロエンDS7クロスバック 「PSAグループ渾身の咆哮!?」




  日本に導入されるかも全く解らないモデルなんですけども、たぶんこのクルマは近々日本に導入されると思います。せっかく日本市場向けにディーゼルエンジンを微調整して、プジョーとシトロエンの複数のモデルに搭載してきたPSAグループですが、まだまだ現状ではDSを含めた3ブランドでボルボやMINIの足元にもおよばない販売台数しか計上できていません。ボルボやMINIよりも躾けのいいディーゼルエンジンや新設計シャシーを用意していて、さらに価格ではマツダのディーゼル車と張り合うくらいまで頑張っているんわけですから、もっともっと売れてもいいはずなんですが・・・。

  あくまで個人的な意見ですけども、PSAグループはまだまだ日本の輸入車が欲しい層に訴える「要素」が足りないですね。何より輸入モデルに必要なのは「憧れ」を演出できる部分が入っているか!?なんですが、「さすがはフランス!!」と感じさせる要素を意地でプロデュースできるかどうか!?しかしフランスメーカーはあまりそういうこと考えないみたいです。そんな中でもシトロエンの名車「DS」の名前を受け継いだ「DS」ブランドは、「憧れ」の演出がうまく表現できているので、これをメカ的に完全武装すれば大ヒットもあると思うのです。いよいよディーゼルを搭載したDS5が発売されますから、今年(2017年)こそは躍進の1年になるのかなー。

  輸入ブランドで上位を占めるドイツ勢はブランド力ももちろんですが、カーメディアの手厚いアシストもありますし、ディーラー網など輸入車が初めてという人でも踏み出しやすい環境にあります。PSAも自前のディーラーではなくて、ヤナセなどの国内の販売網を利用するのもいいと思いますし、近年では非常に近い関係にある三菱のディーラー網で売ってもらったりすればもっと売れるんじゃないですかね・・・。

  ということでこれまでPSAに対して否定的(!?)な日本のユーザーの眼を一気に釘付けにするかもしれないモデルが欧州で登場しました。おおー・・・この顔は日本のユーザーが好きなアルファード!?とアウディと三菱(アウトランダー)を足して3で割った感じ!?。いやいや最近デザインで好調なスズキみたいな爽快感が心地よい!?とりあえず欧州で人気だけど日本には未導入なフォードやオペルのデザインよりも日本の感覚に馴染みますよね。変にマツダっぽくないのもいいかも。オペルからはとうとうCX5のそっくりさんが登場しましたが、これが日本で売られたら爆笑!!ってくらいに見慣れたシルエットです。

 

  話はDS7クロスバックに戻しますけど、PSAグループが日本で売れない理由は、割とハッキリしていて、ちょっと前の世代のPSA車があまりにも評判が悪くてイメージが悪化したまま全く収拾がつかないまま今に至ったという事情があります。なにが悪かったか?というと右ハンドルのレイアウトが劣悪であることと、2ペダルのミッションがあまりに不誠実で出来映えだったことの2点に凝縮されます。それでも3ブランドのアイデンティティに心酔して、そんな欠点にも目を瞑り乗り続けた心の広い人もいたのですが、リーマンショックを境に上級モデルが更新されなくなり、右ハンドル国のラインナップから消えPSA自体も赤字転落で経営再建策を採るも、やはり他の赤字転落メーカー(スバル、マツダ、オペル、ルノー)に比べると対応が遅かったような・・・。

  欧州メーカーにとって2000年代後半から現在までの経営は、簡単に言ってしまうと「SUV開発のスピード」に大きなポイントがありました。欧州の基本はCせぐハッチバックだ!!とばかりに力を入れて開発された、VW(ゴルフ)、マツダ(アクセラ)、プジョー(308)ですが、思いの他に貢献利益は小さくて「儲からなかった」です。マツダは収益のほとんどを利幅が大きいCX5が稼いだとレビューされていますし、VWやプジョーは厳しい状況が続いています。

  欧州最大手のVWグループは、SUV開発の遅れで北米シェアを大きく落としたことを首脳陣が認めています。これに対し日産車をベースにしてもっともスピーディに開発を成し遂げたルノーはこの数年で欧州全域で大きく躍進しました。日産は欧州でSUVブームに火をつけたパイオニアとしてジュークとキャッシュカイ(エクストレイル)は今でも「欧州SUVの顔」となってますが、トヨタをはじめとした他のメーカーもいよいよ販売を開始して勢力図が変わってきたようです。

  特に欧州で売れている、ジュークやキャプチャーを追いかけるモデルとして登場した「アウディQ2」「マツダCX3」「トヨタCH-R」は先日発売されたTOP GEAR JAPANでも徹底特集されていましたが、マツダとトヨタの「ただならぬ意欲」が、アウディを内装のクオリティで圧倒する!!という想定外の事態だと報じています(本当かよ!?)。確かにプラスチック丸出しのQ2のインパネに対してCX3とCH-Rにはコンパクトカーとは思えない「特装トリム」が展開されていますね・・・。どうやら素材王国・日本では「プレミアム・コンパクトSUV」というジャンルにおいて「過当」な競争原理が働いているみたいです。

  トヨタとマツダは、このコンパクトでぶつかり合う前に、すでに「ハリアー VS CX5」でハイレベルな戦いを繰り広げました。TOP GEARが報じる「アウディ包囲網」がすんなりと成立した背景には、ハリアーとCX5をそれぞれ真剣に作った経験が生きているようです。辛口で知られるTG誌では、「CH-Rは86に匹敵するくらいトヨタの気迫を感じる」「CX3にはロードスターの魂が乗り移っている」という好感度抜群のコメントを引き出しました(本来の日本車の武器である静粛性ではアウディQ2に遅れをとっているという指摘も同時にありましたが・・・)。


本来ならばPHEVというハイテクを持ち込んだ三菱アウトランダーや、世界的SUVの権威である日産が、カイエンやレンジローバー・スポーツにも対峙できるようなトラクションコントロールを組み込んで仕上げたエクストレイルが、台頭するはずだった中型SUV市場でした。しかしトヨタとマツダの意気込みは発売当初から抜きん出ていて、内装レベルで完全に後手を踏んだ三菱と日産は慌ててMCと特別グレード設定で巻き返しを図るものの時すでに遅し・・・。「ハイテク」が「デザイン」に屈するという皮肉な結果に。アウトランダーもエクストレイルも非常によくできていますけどね・・・。

  SUVに関してはかねてより三菱と共同で開発を行ってきたPSAですから、中型SUVの新型モデルには期待できます。さらにトヨタともコンパクトカー(Aセグ)で共同生産するなどパイプを持っていて、グローバルではトヨタによる「VW包囲網」の一翼を担っています。さらにトヨタ系列のアイシンAWからFF横置き用6ATの供給を受けていて、よりラグジュアリーに使えるSUV作りに向けて「武器」が揃ってきました。PSAが開発したEMP2プラットフォームに、尿素SCRで後処理をするディーゼルエンジンも用意されています。

  「機は熟した!!」・・・と思いますよ。日本市場ではレクサスの販売がNX/RX主体となり、マツダも新型となったCX5と今年発売するCX6に全てを賭けています。これまで上級セダンが担ってきたアッパー・プライベートカー(ハイソ・カー)を、いよいよラグジュアリーに振った中型SUVが担っていくという「地殻変動」が起こっています。明らかにマークXよりもハリアーに開発費用が使われていますし、同じくアテンザよりもCX5が全てにおいて優先されていますが、これはメーカーの分析・予測に基づく判断だと思います。

  2ペダルのSUVと、3ペダルのスポーツカー(もしくはオープンルーフ車)の2台を所有するのがこれからのクルマ人間の基本スタイルとなって、セダンとかワゴンとか消えていくんでしょうね・・・。「ハリアー&86」か?「CX5&ロードスター」か?「マカン&718ボクスター」か?「ヴェゼル&S660」というイケイケコンビもあるかも。3ペダルなんて要らないって人も、2ペダルでゆったりしたSUVは必要なんですが・・・NX/RX、ハリアー、CX5、エクストレイル、アウトランダー、アウトバックなどなど、でもなんか物足りないなー。もっと色々参入できそうな感じがします。VWティグアンとプジョー3008がすでにスタンバイしていますが、やっぱり「華」を求めるならば「DS」ブランドの出番じゃないかなー・・・と思う次第です。早期の日本導入を期待したいです。





2017年2月28日火曜日

アクアやプリウスよりも安く!!輸入ブランドの戦略。

  「199万円」あるいは「299万円」の価格で横並びにブランドのボトムグレード(「客寄せモデル」)を設定するようになった輸入車ブランド。この動きに参入しているブランドはどんどん増えていて(巻き込まれていて)、メルセデス、BMW、VW、プジョー、シトロエン、フィアット、ルノーといった「大衆ブランド」だけでなく、いよいよ「スカンジナビアン・プレミアム」のボルボまでもが「V40T2(299万円)」というモデルを投入してきました。

  クルマが随分と高くなっている中で、輸入ブランドの新車が「199万円」というのは、なかなかインパクトあります。スズキのアルトターボRSが150万円。軽自動車でも走りが十分に愉しめるので、どうせクルマが必要ならばコレでいいか!!と「衝動買い」したくなりますけども、150万円も199万円も払ってしまえば大して変わらない!?今後もこの価格帯に欧州で売れているモデルがさらに投入されるのかな・・・オペル(PSAがGMから買収して日本へ!?)、セアト(VWグループのイメチェンとして日本へ!?)、ヒュンダイ(機は熟した!?)。

  これらのモデルが想定しているのは、おそらく日本市場で相変わらずの大人気を誇るトヨタのコンパクトカー群で、特に180万円前後から設定されている、アクア、オーリス、スペイド、ポルテ、シエンタといった堅実派向けのモデルなんでしょうね。憧れの輸入ブランドの新車に199万円から乗れますよ!!という企画を行っているのがVW、プジョー、シトロエン、ルノー、フィアットといった面々。日本での正規販売価格が199万円ですから、本国では60~100万円といったところでしょうか・・・と思いきやVWポロのトレンドラインはドイツでは12750ユーロなので150万円くらいします。それが199万円なら悪くないかも。他のブランドもだいたい同じようなものだと思うので、結構無理して日本で頑張ってますね・・・。

  同じ199万円でもターボの有無や2〜4気筒までバラツキがあったりするんですが、体するトヨタ車のエンジニアリングはさらに数歩先に進んだ存在で、この価格体でHV(アクア、シエンタ)を堂々と用意しています。トヨタやホンダを見ているとHVなんてありふれた技術にすら感じますが、VWの発売するPHVは500万円前後まで跳ね上がりますし、BMWやメルセデスの中型モデルのPHVも800万円くらいします。だから日本のユーザーはPHVのゴルフやCクラスの価値がなかなか理解できないのですけども、インポーターの努力ではどうなるレベルの話でも無いみたいです。

  そんな「異次元」のトヨタに対して「ある部分」では攻勢に出ているブランドもあります。ライバルのトヨタ車には無い魅力をうまく追求しているのがプジョーで、199万円で展開するグレードは3ペダルのMTですが、217万円でトルコンAT「EAT6」が付いてきます。輸入ブランドのBセグは自動変速機付きのMT(DCT)を使うのが当たり前だったのですが、「ミッション大国」日本で売るにはマナーが悪いなどあまりにもお粗末過ぎる!?というDCTがこれまで多かったのも事実でこの部分が輸入ブランドの199万円車の泣き所だったのですが、プジョーはライバルに先駆けて、なんとトヨタ系列のアイシンAWからトルコンATの供給を受けることになりました!!「トヨタを使ってトヨタに勝つ!!」

  輸入ブランドとしては、MINI、BMW、ボルボに続くアイシンAWの横置きトルコン6ATの配備されました。実はVWなども中国や北米向けのゴルフにはアイシンAW製6ATが使われています。契約の問題?なのかわかりませんが、VWはいつになったら6ATになるのか!? MINIの6ATで最安なのはミニ・ワン(6AT)の240万円なので、今のところはプジョー208の競争力が際立っています。これだけ相次いでトルコンATが使われているってことは、欧州市場でもこれが人気のミッションなのか?というとそうでもなく、元々MTが主流の欧州ですし、カーメディアが盛んに日本仕様とは違う!!とか言っているトヨタの欧州モデルも2ペダルはオーリスもウィッシュも日本仕様と同じでCVTが使われています。実際にアイシンAWの横置き6ATを使っている国内市場のトヨタ車は少ないです。

  プジョー208(6AT)の前に立ちはだかるのは、Bセグの日本勢で6ATを配備しているデミオとバレーノとスイフト。いずれもディーゼルターボ、ガソリンターボがCVTでは上手く御せないようで、デミオは全グレード、バレーノとスイフトではターボ車のみ6ATが採用されています。デミオの1.3L自然吸気のベースグレードならば135万円と破格ですが、それ以外のグレードとなるとやはり180万円前後に収束するので、プジョー208にも付け入る隙がある!? 「クルマの良し悪しはミッションで決まる」といっても過言ではない・・・コンパクトカーに参戦しているメーカーでこれがよく解っているのがプジョー、マツダ、スズキ。この3メーカーならアクアを出し抜くくらいの魅力があるかなー。

  さて「299万円コース」ですが、BMW、メルセデス、ボルボにとって、もはやターゲットはレクサスCT200h(366万円〜)ではなく、上位グレードの装備が際立って充実している4代目プリウス(Aプレミアム310万円〜)です。プリウスのベースグレード(240万円〜)をターゲットにしているのは「249万円」を掲げるVWゴルフとアウディA1。5年前ならば輸入ブランドブランド力で問答無用にプリウスを叩けたかもしれないですが、4代目プリウスは「デザインがNG」という理由以外の部分ではとても充実していて、対峙する輸入車勢が逆にシェアを奪われかねない強敵です。

  180万円前後のトヨタ車と違って、プリウスのユニットはモーター駆動によるトルクが上手く使えるので電動CVTでもトルコンATを上回る!?かのようなフィール。これではせっかくZFやアイシンAWのATを装備した「BMW118i」や「ボルボV40T2キネティクス」もアドバンテージが得られないです(逆にパワーの無いATほどうっとおしいものはない)。なんだかんだいってもDCT装備でぎこちない走りなのに、それなりの販売を積み上げているメルセデスA180の戦略が正義なんでしょうか!? 299万円輸入車ではプリウスにシャシー、ユニット、ミッションで勝つのは無理!?

  A180の巧みな点は、やはり「インテリア」でリードしたところ。後発の4代目プリウスにも全然負けていない「統一感」のあるデザイン。ゴルフ7の初期にあったようなオンダッシュの社外ナビ装備・・・なんていうユーザーを舐めたような対応は、インテリアのデザインや機能性からは感じられません。難点があるのは「インターフェイス」の部分ですが、ブレーキに関してはBMWよりも良く効くくらい。アクセルのもたつきと電動ステアの煮詰め不足は、ATを装備した118iにも看過できないレベルで感じるので、A180だけが悪いと非難するのは筋違いのかも。

  ・・・そもそもマークX、アテンザ、レガシィB4、レヴォーグが選べる価格帯でCセグの輸入ブランドにこだわるのは、セレブな奥様か、豊かな老後を送られる人々なのだから、あまり外野がとやかく言うことではないですね。現役世代がトヨタ(日産、ホンダ)を選ばない理由は、プジョー、マツダ、スズキのコンパクトか、アテンザ、レガシィB4、レヴォーグか、400万円以上のクルマ(A4、3erなど)を好きに買うか・・・。そんなちんけな「理屈」をぶっ壊すような、新たなる参入モデルがあれば歓迎したいですね。アルファロメオ・ジュリア、プジョー3008、シボレー・カマロなどなど。


  

  


2017年2月15日水曜日

「ザ・ドイツ車」といえば!? ホンモノはこれだ!!

  「日本メーカーが日本市場の為に日本ファーストで作ったクルマ」の代表格が、クラウン、マークX、プレミオ、アルファード、ノア、シエンタといったトヨタ車と、ホンダ、日産が作る対抗のミニバン。ステップワゴン、フリード、セレナなど。どれも売れるべくして売れていて、やっぱり日本メーカーは優秀なんだなーと納得しつつも、輸入車が大好きな我々はそんな「日本スペシャル」を素通りして、あえて「ドイツ・スペシャル」を選ぶ!!「イタリア・スペシャル」「イギリス・スペシャル」はちょっと上級向けで難解だけど、「極限のドイツ」ならまだまだ探せるんじゃなかろーか!?

  やはりドイツといえば名門メルセデスですが、ドイツを象徴するような候補車と言えば・・・やっぱりアノ車か!?。ドイツブランドが今も「ドヤ顔」で世界に発信し続けるボデータイプといえばまず思いつくのがラグジュアリー・クーペ。最近では日産出身のCEOがアストンマーティンに就任したコネクションなのか、英国の名門ブランドのラグジュアリー・クーペにも参画、最近では話題のDB11などのエンジニアリングを支える存在になったというメルセデスのV8ターボと縦置きトランスミッション。「秘伝の味」という意味では文句なし!!です。・・・ということでまずは「メルセデス・SL」ですね。

  メルセデスの他のモデルはちょっとブレがありますね。Sクラスはマイバッハと共通設計になって「中国の金持ち」が好きそうなクルマになりましたし、Sクラスクーペも先代までの「メルセデスCL」が持つオーラが無くなっちゃいました。リアのデザインはちょっと・・・どころじゃないな。そしてCLSはそもそもの設計からして2000年頃の悪評高いメルセデスの「偽装」系の商売なのでスルーしましょう(そんなクルマは日本では認めねーぞ!!)。

  メルセデスSLを越えるくらいの「象徴・アイコン」が他のドイツブランドにはあるのか!?やはりドイツの豪気で闊達なエンジニアリングを体現するシリーズといえばBMWの「M5」でしょうか。個人的にはF39・M5こそがBMWの歴代最強車だと信じています。デザイン良し!!パワーユニット良し!!まさに「理想のスポーツセダン」。その後に続くE60、F10の2世代はやや「スーパースポーツ」の波に飲み込まれて「らしさ」を見失ってしまった感が・・・。もちろん走ればメチャクチャ速いし、操縦性も抜群なんですけども、残念ながらクルマ好きがカーライフの絶頂期にハイテンションで選ぶような優れた「商品性」が崩れてしまいました。バングル以降・・・?。5erのベース車が直4で売られるようになって、へなちょこユーザー向けに見えて仕方ない!?・・・それでも私はM5をまだまだ信じたいです。G30・M5に期待!!

  メルセデスかBMW・・・この「両雄」こそがやっぱり「ドイツ車」です。日本の排他的な市場にはオペルなんて寄り付かないし、ポルシェやアウディにしても導入されるモデルは限定的です。だから日本ではホンモノになかなか合えないのかも。もちろん右ハンドルの壁もあるでしょう。左にしかMTが用意されない!!なんてのはどうやら業界の常識になりつつあるようです。ドイツメーカーだけでなくてトヨタやホンダだって同じ状況だし・・・。各国でハンドル位置を左右どちらかに決める法改正が行われていて、右ハンドル受難の時代はこれからさらに本格化するとか。

  左ハンドル国では「メルセデスSL」に、右ハンドル国では「アストンマーティンDB11」に乗れ!!いやいやジャガーやアストンマーティンといった英国ラグジュアリーブランドも主戦場は北米なので「デフォルト」は左ハンドルで設計されているのだとか。もはや「イギリス市場の為のイギリス車」いわゆる「イギリススペシャル」はMINIか、ちっこいスポーツカー・メーカーでしか成り立たない幻想になっているのかも。何事も決めつけはよくないですけどね。

  右ハンドル国というマイノリティの狭い争いの中で、マツダがオーストラリアの輸入車ランキングを制したりしてますけども、日本車とドイツ車をフェアに比べるのは年々難しくなってきました。中国市場の売れ行きを見ても「メルケルの暗躍」とか言われています。話を元に戻すと、日本に入って来るモデルだけでは何も本質は解らない!!ってのが正直なところでしょうか。欧州で販売されているハイオク仕様のマツダスカイアクティブエンジンも日本にいてはその実力がわからない・・・。

  1300万円〜のメルセデスSL、1600万円〜のM5(あるいは1300万円〜のポルシェ911)でしか開陳されないドイツ車の懐。やっぱり敷居が高いなー(高過ぎるなー)。・・・やべーなんか「落とし所」があるだろうってダラダラと書いていますが、もう何にも無いです。(日本市場で買える)残りのドイツ車は、あくまで「ドイツ風味」か「ドイツメーカー企画」ってだけだな。そこそこいいクルマはあるよ。VWトゥアレグとかポルシェ・マカンとかさ。だけどどちらも「ドイツ風味」のアメ車でしかない。VWやポルシェである必然性が乏しいです。

  ゴルフ8はなんだか新型プリウスをリスペクトしたようなデザインのプロトモデルが流出していて、BMW3erと同じでもう「ドイツ風味」の日本車だね。3erと同じように燃費と乗り心地で勝負してくるんでしょうね。メルセデスのFFモデルなんてもはや「ドイツ風味」すらしないです。言葉が悪いけど右ハンドルはどれも「バッタもん」みたいなものだし・・・インドとかベトナムどかで売ってそうなクルマ。

  日本メーカーもドイツメーカーも「短期的な利益」を追い過ぎていて、諸元表を見るとどうも「気になる点」がいくつか出て来るモデルばかりになりました。300~400万円で「キズの無い」クルマを買おうというのは身勝手な意見かもしれないですが、ユーザーがある程度は決起してなんらかのリアクションを起こさないと、自動車カタログは下らないクルマで埋め尽くされてしまいますよ。「本物のドイツ車はSL、M5、911だけだ!!!」と声高に叫びたいですねー・・・アウディRS5のV8自然吸気で8250rpmという傑作エンジン車もあるけどね。BMWのM3/M4のとても頑張った高回転ターボユニットも魅力ですが・・・(ベース車が安普請なのがキズ)。

最新投稿まとめブログへのリンク

沢村慎太朗氏が白日に晒したドイツブランドの醜態!?
ドイツ車を選ぶ際にはぜひ参考にしてみて下さい。
↓第8巻「Sクラスの闇に迫る」

↓第9巻「メルセデスのFF車の劣悪度」「BMW・Mの不純さ」

↓第11巻「BMW3er(F30系)の欠落」
  

  

  

  

  

2017年1月30日月曜日

BMW・Z5 ブランド初の専用設計FRスポーツ!?BMWもいよいよ本物かい。

  最近のカーメディアの流行のワードは、「(日産の)プロパイロットは初心者レベル」みたいです・・・。一体どこのスポンサーがそう言わせているのやら。カーメディアでは指定したワードを1回使うと相応の金額が振り込まれる仕組みがあるようですね・・・。そんな茶番はもう2013年で懲り懲りですわ。「世界のベンチマーク」「クラウンに匹敵する静粛性」なんて噴飯ワードがカーメディアに何回出て来たことか・・・。まあ自動運転の広まりに警戒感・嫌悪感を示す自動車ライターが自発的に使っている可能性もありますけどね。「技術の日産ももう昔だね・・・」とか結構露骨にディスってますけど、RJCでセレナ選んだのはオマエらだろ!!!

  島下さんが年末に発売した「間違いだらけシリーズ」の中で、「自動運転の時代がやってきたらもうBMWやマツダは買わなくなる」とかもっともらしいこと書いてましたけど、そもそもそうなったらBMWやマツダを好んで買っていた輩にとってクルマを所有するメリットなんてあるの? 島下さんは「そうなったらレクサスかメルセデスを買う」とか続けてましたけどね、移動手段としてのクルマって実際そこまでポテンシャル高くないですって・・・。東京に住んでいるとせいぜい福島や長野、岐阜くらいが守備範囲で九州のオシャレなリゾートホテルまで行こうなんて思わないですよ。

  自動運転が出来たら移動中は寝てられるとか言ってますけど、近所で冬になるとあちこちでやっている道路工事での片面通行すら突破できねーんじゃないか!?という気が。寝て起きたら全然知らないところを走っていたら怖いっすよね。自動運転の広まりは実際にクルマつくるメーカーがもっとも真剣に社運を賭けてシュミレーションをしているわけで、安倍首相がいくら宣言したって無理なものは無理じゃないの!?って気がするんですけどね。

  しかも自動運転の機運が高まっているタイミングでトヨタ&BMWが共同で専用設計スポーツカーを開発したり、メルセデスが2シータークーペ(SL、SLC)の新型モデルには専用設計シャシーを与えると発表したわけです。自動運転の時代が目前に迫っているけども、ドライビングを愉しむクルマの需要はさらに伸びることに確信を持っているといってよさそうです。各メーカーがそれぞれに「より魅力的なドライビングカー作り」に邁進する姿勢がハッキリしているワケですから結構なことじゃないですか。あと10年もしたら路上を走るドライビングカーのほとんどが、WRC、TCR、GT3規格の普通車と、マツダやロータスくらいにエキサイティングな専用シャシーのピュアスポーツカーだけになる!?

  トヨタは今年からWRC参戦し、スーパーGTにも参戦中、そしてピュアスポーツによるドライビング革命を目指して発売された86も5年経ってもなお月に1000台以上(BRZ込み)売れるモデルへと成長しました。そして今年はいよいよBMWと共同で開発したスープラが復活を果たす見込みです。ドイツで100年の歴史を誇る名門ブランドをいよいよ「ピュアスポーツ」の領域に巻き込んだのはお手柄だったと思います。BMWはちょっと前にi8という「?」なスポーツモデルを登場させ失笑を買いましたが、そんな相手を「ピュアスポーツで直6を回しましょう!!」とでも言って励ましたのでしょうか・・・。

  まあZ3やZ4をずっとスポーツカーだと思い込んで来たBMWファンにはちょっとショックかもしれないですが、どちらもあまりにも「上っ面」だけのクルマだったですね。マツダ・ロードスターのようなピュアスポーツには必須の哲学もなければ、日産やポルシェのような「最速に懸ける意地」ってのも無かった。ただただ中途半端な客に売れればいいっていう下衆な存在。・・・まあフェアに言えば他のメーカーにも似たような立ち位置のクルマはありましたけどね。Z4か86どっちか好きな方が貰えるなら、私は絶対に86貰いますね・・・この2台なら座った瞬間に86が上だって気がつく。

  これが全長4600mmを越えるGTセダンになるとトヨタとBMWの立場がすっかり入れ替わるんですよね。マークXとBMW4erグランクーペだと完全に4erグランクーペが欲しいレベルです。マークXとBMW3erだとあまり差はないんですけども、4erになると真面目にハンドリングを仕上げました!!というエンジニアの情熱にほだされます。マツダ乗ってると4erの凄さがよーくわかるんですよ!!なんでBMWはもっとこのハンドリングをアピールしないのか不思議なくらい。これに比べたら1erや3erのハンドリングなんて軽く「故障」のレベル(なんでこの程度で満足できるか不思議)。

  フォードとともに世界の恵まれないスポーツメーカーを助ける慈善活動に従事するトヨタ。英国のスポーツメーカー(ケータハム、ゼノス、ラディカル、ジャガー)にマツダの旧式エンジンを供給するフォードに対して、英国ロータスに4気筒&6気筒を供給するのはトヨタ。そして英国MINIにはBMWのモジュラー3気筒&4気筒が。いよいよ欧州にも羽ばたいたフォード・マスタングは英国トップギア誌にも頻繁に登場するなど人気ですが、ユーロNCAPでは二つ星という大失態を晒しました。ちょっと前にフォードの撤退後はマツダブランドで売れ!!とか提案しましたけど撤回します(笑)。

  各国でハンドル位置の固定が法制化されているようですが、同じ右ハンドル国として日本とイギリスはこれからは開発面でより緊密な関係を構築することが大事になってくるでしょう。トヨタとのジョイントでBMWも右ハンドルでイケるクルマになるといいですね。右ハンドルのコクピットの左足スペースを圧迫するクソZFなんかさっさと降ろして、アイシンの10速使わせてもらったらいいんじゃないの? さて新しいZ5/スープラにはどっちのミッションが積まれるのでしょうか? いやいやもちろんMTを設定してくれると信じてしますが、それでもお買い物車として間違って買って行くセレブなバーさんもいるでしょうから、その2ペダルはZFなのか?アイシンAWなのか?・・・それともアイシンAIのツインクラッチか?いやいやゲトラグか?

  ミッションとサスペンションの選択がクルマの性格を決める!!ってくらいに大切ですが、やはりブランド内の役割分担として3er(マークX) ⇒ 4er(マークX・G's) ⇒ Z5(スープラ)というグラデーションでユーザーのニーズに応えよう!という姿勢は大事です。乗り心地を求めるならば3er(非Mスポ)を、よりフラットな乗り味を求めるならば4er(Mスポ)を、さらにエキサイティングで地面を舐めるような走りと、ヒップポイントが刺激的にグラインドする86みたいなファントゥドライブを求めるならばZ5!!といった売り込み方ができるといいですね。86は交差点一つ回っただけで感動しましたね。とっても低い!!「上屋がしなる」なんていうチープな挙動はいっさいなく、ジュラルミンケースのようなパリパリの剛性感。

  実際のところ3erでも4erでもやはり乗用車なりのコーナーでのギクシャク感はあります。クルマもある程度は重たいですから、アンダーステア気味な「遅れる」感じも出ますし、そもそも思ったほどにはタイヤも使えないです(応答遅れはタイヤに起因!?)。50対50ってこんなもんか!?もちろんセダン/ワゴンでありラグジュアリークーペですから、これで十分だと思います(レガシィよりはよっぽど良く曲れています)。しかしより車体の運動性能をBMWというブランドに盲目的に求めたい人々にとってZ5はかなり期待できるモデルになるんじゃないでしょうか!?

  


  

2017年1月19日木曜日

シトロエンDS5 ディーゼル追加でレザー仕様が497万円

  フランスの大統領公用車にも使われるシトロエンDS5。見た目に優雅ではありますけども、いわゆる高級リムジンとは方向性が違うクルマで、トヨタのロングセラーミニバンであるエスティマを彷彿させるスタイルで、キャビンにゆとりがあるクロスオーバー・サルーンという独特の立ち位置です。これで3列シートならもっと需要があるのでしょうが、3列収まりそうなスペースを広々と2列で使うから優雅なのであって、このクルマの個性を考えたならばやっぱり2列が正しいように思います。

  1950年代に生まれたシトロエンの「DS」というフラッグシップサルーンは、ド・ゴール大統領も愛用したフランス自動車産業を今も照らし続ける名車ですが、そんな「ユニーク」で「ゴージャス」で「ハイセンス」なクルマを現代に甦らせよう!!という企画でDSブランドが立ち上げられ、その新ブランドのフラッグシップを務めるDS5は「エキセントリック」だけど「アリ」なクルマというギリギリのところを「攻め切った」設計になっています。いちいち文章で伝えるのは難しいので、興味を持った人は「シトロエンDS」と検索してDS専用サイトでその全体像を見てみて下さい!!なかなか圧倒されますよ!!

  一体いつからフランス車は平凡で単なるドイツ車の下位互換くらいにしかならない、つまらないクルマばかりになったんだ!!っていうと怒る人もいるかもしれません。しかし某ドイツメーカーの主力モデルを単純に真似たような設計は、本当に実用一点張りでしかなく、そもそも「設計作業」からして面倒だから省いた!!ようなクルマばっかりじゃん・・・。そんな中で新ブランドであるはずの「DS」もイマイチ気合いが足りないですね。プジョーやシトロエンと同じシャシーで仕立てられていてメカニック面での差別意識が乏しい!!レクサスやアウディよりも圧倒的に乏しい!!

  しかし愛情を持ってフランスブランドが21世紀にサバイバルしている足取りを応援する人の気持ちはとてもよくわかります。イタリア車や英国車はマニアック過ぎる!!日本車やドイツ車は当たり前過ぎてダサ過ぎる!!だから俺はハイセンスなフランス車が好きなんだー!!って心の中で散々に叫んでいるストイックな原理主義者もたくさんいることでしょう。そのイカレっぷりはスバルやマツダが大好きで堪らない人々と相通じるところがあります。

  これは解る人にしか伝わらないでしょうけど、ドイツ車やトヨタ、日産、ホンダといった日本の大手メーカーはひたすらに「主導権を取る」マーケティングが要求されていて、そこでいちいち「燃費」とか「スペック」だとか「車格」だとかに囚われているのがかなりダサい!!実車を見てそういう意図を汲み取ると、いちいちアホくさー!!って気持ちが冷めてしまう要素があまりに多いんですよねー。例えばランフラットを使うスカイラインとか、トヨタとかBMWとかいろいろな要素が混ぜこぜになっていて、しかも古臭く見えるレクサスのインパネとか・・・。いちいちセンス無いんですよ。

  それに対して「俺がこのブランドのクルマを買ってあげて応援しないと、やがては消え行く運命なのかなー」くらいに思わせてくれるブランドはそれだけでいいですね。何とも言えない「儚さ」があって、そういうブランドに限って面白い機能が付いていたり、走りがとても個性的だったりで、まーそれで初めてクルマってのは実用性から離れた「価値」を持つんだと思います。スポーツカーを単発で作る零細ブランドはまだまだたくさんありますし、これからも必要に応じて出て来るでしょうけど、総合ラインナップの普通車メーカーで、ドイツ3陣営&日本の大手3メーカーを相手に健気に「中型車」を送り込んでくるブランドは特に大事にしたいです・・・シトロエン、プジョー、ボルボ、ジャガー、アルファロメオ、スバル、マツダ。

  「DS5」「508GT」「S60」「XE」「ジュリア」「アウトバック」「アテンザ」・・・この内の1台はこれから導入予定ですが、日本市場に輝く7つの宝石と言っていいと思います。DS5のディーゼル搭載で、アウトバック以外の6台はすべてディーゼルが用意されることになりましたが、果たして来年2018年を7台揃って迎えられるのか!?というくらいに現状では販売は低迷しています。フランス車の2台はマイナー過ぎる。ボルボとジャガーは価格が高め。アウトバックとアテンザは価格は手頃だがややサイズがデカいですかね・・・。

  Cクラス、3er、スカイライン、レクサスISといったDセグの王道プレミアムを相手に、互角以上のハイスペックな装備を持つモデルばかりなので、もう少し売れてもいいのかなーという気がします。たとえばリアシートヒーターは王道の4ブランドはどこもオプションでも用意されていませんが、ボルボ、スバル(標準装備)、マツダでは付けることができます。母親を乗せることもままあるので、これだけでも選ぶ価値はあるなーと思います。508GTとXEは王道にくらべてハンドリングの出来が素晴らしいです。

  そんななか「7つの宝石」のリーダー格はやっぱり「DS5」で、キャビンを広く見せる工夫として前後に3分割された「コクピットルーフ」は、Dセグながらもなんともハイエンドなセレブ感を演出するすばらしい仕掛けです。さすがは大統領専用車にもつかわれるクルマですね・・・。ボデー剛性ばかりを気にするドイツメーカーには絶対に出来ない発想じゃないですか!?日本の自動車評論家の手にかかれば、そんな上屋にガラスルーフをたくさん広げたら、重心が高くなってしまってダメだ!!みたいなこと言い兼ねないです。だから日本メーカーも安易にそんな設計にはしないみたいですね。やっぱりカーメディアは「害」だな。ヤツらの理論に基づいたとってもつまんねー日本車とドイツ車に「NO」を突き付けたい・・・。

  自分のライフスタイルに合わせてDS5に乗ってみよう!!というオシャレな選択は、とりあえず日本のサラリーマンにはまだまだ難しそうですね。借り上げの社宅からクルマまで、周囲に合わせた選択にせざるを得ない。もし若いうちから輸入車なんかに乗っているのが上司にバレたら、もう出世が遅くなるー!!っていう窮屈な人生を送る限りは、「DS5」なんてまったく縁のないクルマかもしれません。今のところはフリーランスでガッツリ稼げる人だけが愉しめるクルマなのかも。確かに7台の中では断然に派手なエクステリアですから・・・。



 

2017年1月7日土曜日

2016年は輸入車ブランドの転換点だった!!と記憶される!?

   2015年の下半期に巻き起こった「VW疑獄事件」の余波が収まらないままに始まった2016年でした。プジョー、シトロエン、ボルボなどイマイチ調子が上がらない欧州ブランドにとっては、せっかくディーゼルという「日本市場への手掛かり」を見つけ出した矢先だったのに、とんでもない事が起こってしまったものだな〜。しかし輸入車が抱えている問題はもっと複雑で、単に有効なパワートレインの不在という話ではなく、もっと根深いところにあった!!それを浮き彫りに出来た実りの1年だったとも言えるのではないでしょうか。

  「ディーゼルの躓き」で輸入ブランド&マツダが失速すると、恐ろしい勢いで新型プリウスが1月から上半期を独走します・・・。もうHVなんて珍しくもなんともなくなった2016年なんですけども、300万円台半ばに達するちょっとリッチなCセグ車が月に20000台も売れる!!これはちょっとした快挙です!!同じ価格帯でクルマを売るPSAやボルボにとっては、なんとも口惜しかったことでしょうけどね。果たして順調に日本に上陸できたとしても、法人需要や販売店向けも見込めるプリウスとは違って純然たる一般ユーザーだけに向けたクルマが、突如として月5000台とか売れるとはなかなか考えにくいです。

  もしかしたら「トヨタが利益の為にVWネタをリークした!?」そんなしょうもない陰謀論もちょっと頭を過りましたが、これまで散々にハイブリッドへのネガティブキャンペーンを浴びても堅実に成長してきたプリウスと、何の根拠もないディーゼルでは全く「役者が違う」わけで、「輸入車大好き」な我々のアンチプリウスな行動の愚かさを粛々と恥じるべき時なのかもしれません。いまでも熱心に某掲示板で「新型プリウスのデザインがダサい」とストレートにディスっている高い志の同士も多数おられますが、それもなんだかなー・・・プリウスの進化に俺達は嫉妬してないですか!?。もし現行プリウスが先代と同じような味気ないドライブフィールのままで代替わりしていたら、ここまでムキになって「ブサイク」と連呼するもんですかね!?・・・とそんなつむじ曲がりな事を考えてしまいます。

  2012年からディーゼルに取り組んだBMWとマツダはそこそこ良く売れましたけど、トラックやバスで使われている排ガス浄化装置(尿素SCR)が装備されていないBMWやマツダのディーゼルに対して、それを完備してしかも価格も抑えてまで日本市場で頑張ろうとしたPSA(プジョー&シトロエン)はちょっと不憫だなー。そしてその辺の環境性能の進化を積極的に啓蒙しようとしないカーメディアにもやや疑問です(メーカーがデータを積極的に開示しないとなにも書けないとは思いますが)。

  もっとも尿素SCRも経年とともに処理能力がかなり低下して「無効化」するという問題もあるようで、付いてさえいればOKという話でも無いみたいです。考えようによってはマツダのディーゼルみたいに「温度管理」によってNOxの生成を抑え込む技術の方が合理的なのかもしれません(マツダは胸を張ってますが)。ただしマツダもユーロ6こそ通過したものの(スバルなどこれを契機にディーゼルを辞めたメーカーもある)、北米の厳しい排ガス基準には新たに尿素SCRで対応したみたいです。ただし装置の劣化を考慮に入れるとアメリカの当局はいつでもその気になればマツダを弾圧できるわけで、「カード」をみすみす与えてしまって大丈夫なんでしょうか・・・トランプ政権に尻尾を掴まれたマツダ!?

  さて終わってしまった2016年。欧州車はもうディーゼルじゃないと生き残れないのか?・・・そんな言い訳がましい「欧州車観念論」をドヤ顔で語るクソつまんないオッサンライターのレビューを無限ループで読まされた1年でした。しかし「何か違うんじゃねーの?」って想いがずっとありました。正直言ってストップ&ゴーが多い日本でディーゼルを使うメリットなんてあまり多くないです。選択肢に入る人はよっぽど限られた条件だと思います。マツダ、BMW、ジャガーに関してはとりあえずガソリンエンジンの方が圧倒的にフィーリングに優れています。

  クルマが重くなって、燃費が要求されて、それでいて最高出力で本体価格がある程度決められる・・・そんなメチャクチャな状況の中で、日本車も輸入車もそれぞれに迷走しているわけですが、その中から合理的にいち早く突破口を見出したのが、メルセデス、ボルボ、シトロエン、ルノーといった輸入ブランドじゃないか?という気がします。パワーなんて要らない。走らないなら軽くしちゃえばいい!!乗り心地とか静粛性とかあまり敏感に反応しない。とりあえず「個人所有の楽しいクルマ」として完結していればそれでいい!!そういうクルマにユーザーが殺到していった2016年だったと思います。

  「4気筒でもいい!!それがエモーショナルでありさえすれば!!」・・・ポルシェ718ボクスター/ケイマンの話じゃないです、メルセデスEクラスです。このクルマは、レクサスGS-Fのようにスポーティでもなければ、LSやSクラスのような過剰なラグジュアリーというわけでもなく、ホンダレジェンドのように「押し出し感」が強いわけでもない・・・。しかし上級セダンとして抜群の存在感があるんですよね。とても不思議なクルマです。何の変哲もない直4ターボにCクラスとあまり質感の変わらない内装で700万円をボッタくるクルマのはずが・・・これがどうしても気になって仕方ない。このクルマよりも合理的な選択肢なんていくらでもありそうですけども、Eクラス自体に絶対的な「魅力」があるんですよね。

  他にも限定モデルがあっという間に売り切れた「ルノー・トゥインゴ(MTモデル)」と「シトロエンC4カクタス」が見せてくれた・・・クルマ好きの「渇望」をそのまま具現化したようなイディア的な設計。これは間違いなく「血の通った」人間が設計したクルマなんだ!!とすぐに解ります。しかも俺達に極めて近い感覚を持った「カーガイ」が心を込めて設計している!!少なくともAクラスやゴルフが話題を独占した2013年頃よりは、これらの「新しい息吹」によって輸入モデルが輝いて見えます。

  定番のボデー設計にディーゼルやらハイブリットやらと搭載して、中国やアメリカ向けに売れる要素を増やした「パラメータ」的な設計に、ここ数年はずっと辟易していました。名指しで失礼ですがレクサス、BMW、アウディ、VW、日産、ホンダ、スバル、マツダ・・・全部迷走しているように見えます。プリウス、2erツアラー、ヴェゼル、レガシィ、アテンザとどれもそこそこ結果を出しましたけども、手堅く保守的な進化が盛り込まれた結果として「ファミリーカー」の人気モデルとしてリーズナブルな需要があったに過ぎないです。どれも「悪くないクルマ(相対的に優れたクルマ)」ではありますが、積極的に買いたいクルマか!?っていうとかなり疑問です。

  もちろんクルマなんて必要なヤツだけが買えばいい!とっても自己満足な商品なわけですが、まだまだ経済大国の日本では、全人口の1%くらいはお金の心配から開放された「自由人」なわけで、とりあえず100万人くらいはNSXとかGT-Rを買ってくれる潜在的な顧客はいます。2016年の日本市場は500万台の大台を割り込んだようですが、500万台の「上位20%(100万台)」が業界の浮沈の「80%」を担っている・・・かなりテキトーな経済学ですけども、カネを持っている100万人に「刺さる」クルマが決定的に不足していることで、彼らがプリウスや2erを買っているんじゃねーの!?LSの変わりにプリウス。7erの変わりに2er・・・ディーゼルとかハイブリッドとかに拘っているメーカーは自分で自分の首を絞めてないですか!?

  ポルシェやマセラティはお客が増えているようですけども、アウディR8やBMW・M2といったご機嫌なモデルで徹底的に「勝負」することが、日本市場を左右するコアなユーザー(100万人)が輸入ブランドに強く求めているポイントなんじゃないの!?って思うんです。カーメディアのマヌケな「ディーゼル」推しは、まったく日本のユーザーの気持ちに応えてないです。それよりも2017年に投入されるであろう、アルファジュリアやシボレーカマロといった旧来のガソリンエンジンの「魅力」を伝えてくれるモデルこそが、素直に日本市場で評価されればいいなーと思う次第です。


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