2017年4月29日土曜日

ベントレー・ミュルザンヌ 「本物を知る男のクルマ」





  イギリス版の「マジェスタ」ですね。ちょっとわかりづらいかもしれませんが、全長は5575mmもあります・・・の割にはリアシートが狭そうに見えます。日本に正規輸入されているベントレーは、この「ミュルザンヌ」と「フライングスパー」のセダン2種と、フライングスパーのクーペ版である「コンチネンタルGT」、そして新鋭のラグジュアリーSUV「ベンテイガ」の合計4車種あります。セダン2種は3000万円超なのがフラッグシップの「ミュルザンヌ」で、2000万円を切る比較的にヤングなセダンが「フライングスパー」とキャラが分けられています。

  ショーファー・リムジンというと「ロールス・ロイス」が有名ですが、バトル・オブ・ブリテンで活躍したスピット・ファイアなどに搭載された栄光の「マーリン」エンジンの流れを受け継ぐロールスロイスのエンジンは2016年のファントム生産終了によって終焉しています。残った現行モデルに使われているのは「6.6L・V12ターボ」ですが、これは下請けのドイツの田舎くさいエンジン・サプライヤーから供給されています・・・これではもはや伝統のイギリス車と言えるのかな?「シングルモルトのロールスロイス」ことマッカランが、スペイサイド産のピートではなく、ザールラント産のコークスで焚いていたらダメじゃないですか?

  そのドイツの下請けエンジン・サプライヤーをよーく調べてみると、なんと日本でもクルマを売っているあのメーカーだった!!え〜・・・あそこのエンジン(特にディーゼル)はえげつないくらいに騒音が下品じゃないですか!!しかもエンジンはフリクションが少ないというかスカスカというか・・・高性能車としての生命感に欠ける。マセラティや日産のエンジンと比べると全面的に「迫力不足」のエコ設計なんですよねー・・・こりゃもうロールスロイスは終わってますね。

  そもそも「ピュア」なイギリスのエンジンなんて今時あるのでしょか? MINIもドイツ製(設計)エンジンだし、ロータスは日本製(設計)。最近になってジャガー・ランドローバーが、フォードやマツダのエンジンを卒業して、インジウムというモジュラーの自主設計エンジンを開発しましたが、おそらく6気筒以下のイギリスのオリジナルってこれだけじゃないですか? ケータハムやゼノスといったスポーツカーはフォード(マツダ)やスズキのエンジンで・・・。アストンマーティンも今後はメルセデスのユニットを使うのだとか。

  ベントレーもVWの12気筒&8気筒を使っております。イギリス人にはプライドがないのか? やっぱり日本人の感覚だと、エンジンにオリジナリティを持っていてこその自動車メーカーだろーよ・・・という思いが湧いてしまいます。日本車でよそのメーカーからエンジンを供給されていたら何を言われるかわかったもんじゃないです。日産スカイライン200tもだいぶ反発されてましたっけ・・・。

  冨山和彦とかいう元産業再生機構にいたコンサルタントが「新型スープラにBMWのエンジンが乗る時代なんです!!これまではありえなかったことが起こっているんです!!」とか嘘くさいことを先月発売の著書で書いてましたが、新型スープラはOEMですから、同じような例はたくさんある!!5年前からあるトヨタ86も同じだし・・・。余談ですが、この冨山さんはどうもポンコツっぽいですわ。「AI時代だから、これから世界で活躍したかったらMITかスタンフォードで修士とれ!!」とか書いてますけどなんかズレてない!?再建中の会社の社員をやたらとバカにした内容が目立つので、現場で結構衝突しているんでしょうけど、こんなコンサルが乗り込んできてメーカーの方針とか決めちゃったら不幸ですね・・・。

  さてそろそろ生粋のベントレーファンからはツッコミが入るかもしれませんが、「ミュルザンヌ」に搭載される6.75LのV8ツインターボは、VWが作ったエンジンではありません。ベントレーが長らく(約半世紀ほど)ロールスロイスと同じグループにいたときから受け継いでいて、独自に開発を続けている伝統の「6.75L」のマルチシリンダーエンジンが、このモデルにだけ搭載されています。ちなみにコンチネンタルやフライングスパーに使われるエンジンはVWフェートンと共通のW12気筒・・・。なんでそんな非効率なことをする必要があるのか!?それは「ミュルザンヌ」とそれ以外のワンオフモデルに関しては、王室御用達ということで、トヨタがセンチュリー用のエンジンを作っているのと同じ理由なんでしょうね。

  「ミュルザンヌ」は本物志向の大人向けモデルで、「コンチネンタル」と「フライングスパー」は見かけがよければなんでもいい派のクルマ。搭載エンジンはVW製でもBMW製でもスズキ製でもなんでもいい!!クルマにこだわりがない層向け・・・という訳ではないでしょうけども。ベントレーみたいに顧客の気持ちを汲んでモデルを作り分けるくらいの配慮ができるブランドが日本にも現れるといいんですけどね。福島県で生産している「VR30DETT」エンジン搭載モデルを日本では売らないで、国内市場向けにはわざわざメルセデスの北京エンジン工場!?から直4ターボを栃木県の組み立て工場に持ち込んで搭載しているメーカーありますけど・・・ちょっと白けてしまいますよ。

  ミュルザンヌのドアは分厚くていいですね。このクラスのリムジンに要求されるものは、走行性能ではなくてまずは安全性。トラブルフリーや衝突安全性ではなくて、「防弾性能」ですね(笑)  セダンやワゴンが売れないと言われていますが、そもそもユーザーがクルマに何を求めているのか?メーカーにはイマイチよくわかってないんじゃないですか? ロールスロイスにエンジンを供給しているドイツの田舎メーカーが仕立てたフルサイズセダンは、新型になってだいぶ軽量化されていますけども、これに燃費重視の多段式ATと高回転を使わないディーゼルが組み合わされたら、ほぼほぼ設計思想は「プリウス」じゃないですか? そうじゃないんだよなー。マジェスタをよく研究してよ!!



  

  


2017年4月25日火曜日

アストンマーチンDB11 「フェラーリを超えた!?」

  昨年くらいからアストンマーティンが正規ディーラーを日本で展開し始めました。他のブランドがどんどん日本から去っていく中で新たに展開するのはなかなか珍しいケースです。おそらく日本で長く働いていたアンディ=パーマーCEO(元日産)の肝入り戦略だと思われます。東京、名古屋、大阪に加えて、人口増加によりついに日本の市町村で6番目の人口を誇るようになった福岡。そして「東洋のジャガー」ことMAZDAのお膝元の広島。合計5箇所に作られたとか。そして去年発売された新型モデル「DB11」もなかなか念入りにプロモーションが行われていたようで、あちこちの媒体で見かけました。

  1台3000万円前後ですから月に1台売れれば、年商3億ですから1つの営業拠点が生きていくのに最低限経費は稼げそうです。ちなみに国内販売台数は毎月30台前後で推移していますから、5つの営業所くらいならやっていけるようです。しかもメンテナンス部品も日本で広く商っている某有名ドイツブランドと共通のものが増えているようなので、修理も楽になるのかな? 各営業所が100人の顧客を抱えて、3年ごとに乗り換えさせれば、月に1台のオーダーになります。外国人の顧客なども含めれば5営業所合計で500人なんて楽勝でしょうし、メルセデス、ポルシェ、BMWが大衆化して魅力が薄れる中で、セレブのこのむブランドとして今後はシェアを伸ばすのではないかと予想されます。

  誤解を恐れずにいうならば、同じGTカーブランドとして「アストンマーティン」と「BMW」「BMWアルピナ」は全く真逆の存在と言って良さそうです。
「BMWユーザーはアストンマーティンには手を出さない」
「アストンマーティンユーザーはBMWには興味はない」
「BMWユーザーはアストンマーティンを仲間だと思っている」
「アストンマーティンユーザーはBMWを全然別のクルマだと思っている」
つまり両ブランドは「水と油」です。

  20年くらい前は、徹底的に本格志向(サーキット志向ロードカー)のアストンマーティンに対して、あくまで乗用車のお手本を貫くのが本質のBMWで「設計理念」がかなり違っていたのに、BMWの方がなぜか「速い」なんて悲しい現実がありました。しかし大資本のフォードグループの傘下で再建が進められ、一流のマテリアルを手にいれたアストンマーティンは、市販ロードカーの限界を超えるような強烈な性能を示すようになりました。

  自然吸気のドライサンプエンジン(低重心)のアストンマーティンに対して、燃費にこだわって高回転を封印した新時代のBMWは、どちらもFR車とはいえさすがに「別の次元」になってしまったと言って良さそうです。BMWがたとえ他のエンジニアリングで優位を駆使したところで、エンジンパワーと燃費無視のレスポンスで絶対的な性能差をつけられてしまって、もはやその「序列」を変えることができなくなりました。そのままFR最速レベルになったアストンマーティンに対して、ポルシェのお買い物カーであるボクスターにも加速性能で見劣りするようになったBMW(しょうがないことですが)。

  BMWに限らずメルセデス、ジャガーなどなど高性能な乗用車で名を馳せたブランドが、大衆ブランドからユーザーを掠め取る「セコイ商売」に転落したことで、これらのブランドはどうもクルマ好きが目指す「頂点のブランド」にはなりにくくなった気がします。手軽な国産スポーツカーで長年我慢して(スポーツカーなんて十分に贅沢だけど)、将来成功したら(宝くじでも当たったら)、どんなクルマを買うのか?もはやポルシェ、AMG、アルピナ、Mという時代じゃない!? フェラーリ、ランボルギーニ、マクラーレン、ロールスロイス、ベントレー、マセラティ、アストンマーティンの「英伊7大ラグジュアリー」に着地すれば・・・極めた!!って気分になれそう。なになに!?ブガティ?ケーニグセグ?パガーに?知らねーよ。

  じゃあ3000万円あったら何買うよ?・・・488GTB、LP700、570は狭いかな? コンチネンタルGT、レイスはデカければいいってもんでもないなー。カリフォルニアT、グランカブリオは優雅で良さそう。けど最高にスマートなのは・・・DB11かヴァンキッシュSかも。匿名のブログっていいですねー!!幼稚園児みたいなノリの話ができる!!でも我々が住んでいる日本は、自由が保証されている資本主義社会ですから、1995年に24歳だったイーロン=マスクに起こったことと同じことが誰にでも起こりうるわけです。

  たまたま作っていたサイトの利便性が広く認められて、その開発ソースが丸々300億円で買収されるなんてことも。そうしたら国税庁という名前のヤクザが半分の150億円を無条件で持ち去って行くかもしれませんけど、残ったお金で7ブランドを全て揃えることができますし、それぞれ200回乗り換えてもまだお金は残っているでしょう。でもDB11と日産シーマ(親乗せる用)とレクサスLC(買い物用)があればもう十分かな(笑)。

  何が言いたいかというと、日本が「本当に」すべての人にチャンスが与えられている社会であるならば、本当にかっこいい「成功者のクルマ」も必要なんじゃないの。特に日本メーカーにはなかなか作れないようなクルマ・・・それこそが本当の意味での「輸入車」。このブログは「輸入車ブログ」と題しておきながら、日本メーカーでも十分にライバルモデルを仕立てられるような「偽・輸入車」ばかりを取り上げてきてしまったなー。これからは「本物の輸入車」だけを扱っていきます!!というつもりはないですけど、とりあえず日本で輝こうとしている「本物」のアストンマーティンにはウェルカムな賛辞を送るべきだなと思った次第です。






  

  



2017年4月19日水曜日

ジープ・チェロキー 「米国のポルシェ・・・ではなかった」

  売れてますねー。SUV全体の好調さは、やや一服した感がありますけど、昨年くらいからニョキニョキ伸びてきたのが、FCAグループ傘下の「ジープ」です。日本のユーザーって「つまらない日本車ばかりが売れる・・・クルマを解ってない!!」みたいな悪口をしばしば言われますけど、ジープやポルシェもよく売れるし、アバルトやアルピナに関しても中国やアメリカを差し置いて、本国の次に売れる重要な市場なんだとか。だからフェラーリも日本専用モデルを作るし、復活のアルピーヌもいち早く日本でお披露目してます。せっかく買うならこだわりのクルマが欲しい!!ストーリー性がとても大切な日本市場だと思います。

  三菱が1953年に保安隊(のちの自衛隊)に納入する輸送車両として米国ウィリスのライセンス生産を始めましたが、元々はウィリスの軍用車に使う商標が「ジープ」で、その名前が様々なグループの間を転々としていく中で、1つのブランドとして成立するようになったようです。つまりトヨタのプリウスという「商標」が何らかの事情で、GMやテスラの手に渡り、その傘下で「プリウス」という名のブランド名でディーラーが展開されるようなものですね。クルマに興味がない人でも、フェラーリ、ポルシェ、BMW、ベンツ、ジープくらいは知っていると思いますが、この中でジープだけが、元々は米国のブランド名ではなく、三菱ジープという車種名から認識していると思われます。

  何だか「伝統」がありそうなブランド名に感じますけども、案外中身はよくわからないですね。現在日本に正規導入されている現行モデルは、「チェロキー」「グランドチェロキー」「ラングラー」「コンパス」「レネゲード」・・・この5台の中で本格クロカン仕様のラダーフレーム・シャシーを使っているのは1台のみです。「コンパス」のベースは三菱RVRなどで使う三菱GSシャシー、「レネゲード」のベースはフィアット500Xと同じもの、「グランドチェロキー」の設計はダイムラー=クライスラーの時代に遡るもので旧Mクラスと共通です。そして「チェロキー」はアルファロメオ・ジュリエッタのシャシーを使っています。・・・ということでオリジナルの軍用仕様の生き残りは「ラングラー」のみ。

  え?ジープのほとんどのモデルはハリアー、CX5、エクストレイル、フォレスターなどと同じで「なんちゃってクロカン」つまりSUVだったのか!!確かにクロカンにしては乗り心地がエレガントですから・・・やっぱりという感じですけど。それにしてもフラッグシップ格の「グランドチェロキー」はメルセデス。「チェロキー」がジュリエッタのシャシーを使っていたのにはちょっとがっかりという人もいるかも。でもジープの本当の面白さは、軍用モデルではなくて、世界の自動車産業の集大成的なブランドになっていることじゃないですか?メルセデス、フィアット、アルファロメオ、三菱とここまで色々なブランドからシャシーをかき集めているブランドなんてなかなか無いです。VWがMQBで何でも作ってしまう時代に、ブランド内で共通に使われるシャシーが1つも無いなんて!!

  Cセグ乗用車をベースにする「チェロキー」の設計に近いモデルとして、ランドローバーの「レンジーローバー・イヴォーグ」や「ディスカバリー・スポーツ」があります。どちらもフォード・フォーカスが使うシャシー(マツダが開発)です。「チェロキーVSイヴォーグ」はどちらも個性的なエクステリアを持っていて、「ジープVSランドローバー」のイメージリーダー対決といった構図なんですけど、実はその中身は「アルファロメオVSマツダ」だった!!・・・これはこれでなんか別の意味でスポーティな感じがしてワクワクします。もう「伝統のクロカンブランド」ということは忘れましょう!!そしてシャシーだけでなくエンジンやミッションもなかなか味わい深いです。

  「ジープ・チェロキー」のアルファロメオ設計のシャシーに載るのは、「タイガーシャーク」というFCAグループの結晶とも言えるスペシャルエンジンです。「世界の自動車エンジンの父」三菱とクライスラーが共同で開発したGEMAエンジンを、クライスラーが独自に熟成させ、やはり三菱の設計したライセンスを買い取ったフィアットがダウンサイジングターボに採用した「マルチエア」機構を合体させています。ちょっと三菱色が濃いですね。これにZFが開発した最新鋭のFF横置き用の9速ATがいち早く投入されています。



  対する「レンジローバー・イヴォーグ」は、VWを脱帽させたクラス最強のフォード&マツダ設計シャシー(VWはフォードの設計者を引き抜いて5代目ゴルフを作った)に加えて、マツダが悪ノリして作ってしまった、圧倒的なフィール重視の「直4ショートストローク」というなかなかありえない設計の「MZR」エンジンをターボ過給(フォード・エコブースト)して使っています。ロードスターに載せるつもりで多少はトルクを犠牲にしてでもレスポンスに優れるエンジンを、車重1700kgもあるSUVを駆動させるために載せるというのはなかなかの暴挙かも。そしてミッションはやはりZFの横置き9速ATを採用しています。

 
  チェロキーもイヴォーグも500万円〜の価格設定ですが、日本の「ファミリーカー」的な設計に終始していて、ワイルドさを感じない「なんちゃて」SUVを選ぶよりも、デザインを始めいろいろ手が込んでいて、台数が出過ぎな日本のSUVよりもリセール価格も期待できるでしょうから、新車購入でもあまり負担感は無いですね。シャシーからエンジンから他所のものを使ってはいますけども、それでも可能な限りベストなものを選んでますねー。イヴォーグのマツダショートストロークに対抗して、チェロキーがアルファロメオの同じくショートストローク直4の「1750TB」を積んでいたら・・・もっと面白かったですけどね。どちらもフェイスリフトもかなり頻繁に行ってますから、メーカー側もとても大事にしているモデルなのだと伝わってきます。さらなる進化を楽しみに待ちたい2台ですね。


2017年4月15日土曜日

シボレー・コルベット 「USカーが世界を覆うとき」 

  「アメ車なんてクソだ!!」・・・まだまだ日本に蔓延するプロパガンダですが、これ一体誰が言い出したんだろ? なんでもかんでもカーメディアの仕業にして片付けるのはなんの解決にもなってないですね。メディアとは、メーカーよりも圧倒的に製品に関する情報が少ないユーザーを助けるという意味で「不可欠」な存在です。資本主義のルールに基づけば、もっと尊敬されていいと思うんですけどね。

  ユーザー同士がSNSで広く繋がっている昨今では、メディアなんて広告主の読者の動向に神経を尖らせている風見鷄みたいなものです。ご存知のように、アメリカと日本の間には、自動車産業における世界で史上最も険悪な「啀み合い」があったのですから、結局のところは「アメ車はクソ!!」というのはある種の国民感情なのかもしれません。それが刷り込まれたのは、どうやら輸出規制や貿易摩擦が巻き起こった1980年代よりもさらに前なようです。

  戦前の日本ではアメリカメーカーによる生産が行われていた・・・と記録にあります(野口悠紀雄著「戦後日本経済史」)。1936年に「自動車製造事業法」を制定し、この法律は「許可会社」に営業税免除などの特権を与え、フォード、GM、クライスラーを強制的に日本から排除しました。この時の許可会社がトヨタと日産です。これだけ見ると戦前の日本政府が国際的な見地で相当に横暴な「立法」を行っているように見えますが、もちろんこれは世界恐慌を受けてのアメリカによる日本への市場締め出し方針への報復処置です。日本はすでに国産連盟からも脱退済みでした。

  この時期に「松下」「日立」や話題の「東京芝浦電気」も急成長したので、戦争によって高度経済成長期やバブル経済が生まれた・・・そんな事を言って「軍国時代」を美化する風潮もあるようです。そして行き詰まる韓国や日本の経済への効果的な打開策として、東アジアの「非常事態発生」が有効ではないか?と考えている(期待している)人もいる?シリアも半島といった文明の衝突地点は、なんとも恐ろしい宿痾を抱えた地域です。

  戦前に相次いで急成長を遂げたメーカーは、そのまま21世紀まで生き延びました。旧財閥系の「三菱」「富士」は同じくナチス協力メーカーとしてその地位を得た「ダイムラー」「BMW」「VW」とともに、現代の自動車産業の規範とされています。世界の多くのメーカーが三菱のエンジンを搭載し、さらに多くの地域がスバル(富士)こそが最高のクオリティカーだと評価していて、最近では特にアメリカ市場でよく売れています。そんなスバルがニューヨーク国際オートショーで、「特大クラス」の戦略爆撃SUVを公開したとニュースになってました。これアメリカ以外に撃ち込むところが見当たらない重量級BOMBですね!!72年ぶりの大反撃!!




  日本人は自動車産業に関してはかなり楽観的な見方をしているようです。確かにここ数年の自動車関連株は旨味が多い。日本メーカーは国内販売が低迷しようとも、世界のどこかに突撃していって、勝手にシェアをもぎ取ってくるから大丈夫だと思ってる。系列サプライヤーも独自に販路を見つけてくるだろうし。中国市場と並んで今後さらなる成長が見込めるASEAN市場で9割以上という異常なシェアを持つことも日本車にとっては追い風です。三菱が世界に誇る「トライトン」(日本未発売)はタイ工場で作られてたりしますが、「三菱」を熱く支持する東南アジア諸国という構図・・・。実はここにフォードがマツダと合弁したタイ工場や、豪州の拠点からクルマを投入して制圧しようしたのですが、全くの空振りで日本市場撤退と同時にASEAN最大のインドネシアからも撤退を発表しました。あの戦争の記憶は・・・。

  さて日本や東南アジアがヒステリックに「偏見」を持つアメリカ車ですが、72年前のような圧倒的な強さを再び見せるんですかね。北米のサイトを見ると「シボレー・コルベット」は55,450米ドル〜です。これはなかなか「天衣無縫」な存在です。同じV8自然吸気を搭載するレクサスRC-Fが64,000米ドル、レクサスLCが92,000米ドルなことを考えると、V8自然吸気の専用設計スポーツカーの価格としては、ほぼ「無敵」といって水準です。

  フェラーリもランボルギーニも東京モーターショーに来なくなって、NSX、GT-R、RC-F、LCの日本価格がぼったくり・・・で販売は限定的で、トヨタ86、マツダロードスターこそがスポーツカーなんだ!!と必死で思い込もうとしている、クルマ難民だらけの日本に、600万円の戦略価格で「コルベット」が降り立ったら一体どうなるんだろう? さらに北米価格では86やロードスターよりもさらに安い25,000米ドルなのに、280psの2Lターボを積んでいるシボレー・カマロもいよいよ日本に投入されるようです。この2台を見て日本のキッズ達は何を想うのか? 「ギブ・ミー・ファン・トゥー・ドライブ!!カモン!!」と諸手を挙げて大喜びする姿がうっすら浮かびます・・・。 


  「アメ車はクソだ!!」と教えられてきた日本人の頭にガツンと一撃をかます2017年になるのかなー。レクサス、AMG、BMW-M、アウディRS、ポルシェによる「枢軸ブランドの支配」「カルテル」の時代を打破して、「真の民主主義」とやらを日本や東南アジアに展開する・・・そんな大転換のタイミングが案外近くにまで迫っているような気がするんです。日独のスポーツカーがアメリカ車に負ける!!とかそういう話ではなくて、レクサスLCもポルシェ911も90,000米ドル、BMW・M4が66,000米ドルといった北米価格に近い水準で買える「ルール」を日本に広げるきっかけになったらいいなーってことです。


  

2017年4月5日水曜日

キャデラックCT6 「VIPカー発祥の日本で売るなら・・・」

  日本で活動する自動車評論家の多くが何がそんなに気に入らないのかわかりませんが、その存在を黙殺する日本発祥の「VIPカー」。若者を惹きつける力を未だに持っている「エクストララージサイズ」のクルマの中で、特にセダンをVIPカーと称したりしますが、そんなクルマがまだまだ存在するというだけで十分に素晴らしいです!!GT-RもWRXもM4もハッキリ言ってさ・・・オッサン連中しか盛り上がってないって。

  日本にも寝ても覚めてもクルマのことばかりを考えている若者はまだまだいるのに・・・それを見て見ぬふりをして「若者のクルマ離れが深刻だ!!」などど寝ぼけたことを言っている還暦ライターがいますよね・・・。奴らがカーメディアで絶賛するクルマが全然イケてないんですよ。特に200~300万円で買えるドイツ車ってさ、速くもなければ、乗り心地も良くない、小さくてかっこ悪い老人向けみたいなスタイルでさ、しかも公害出しまくって中国やアメリカでボロクソに批判されて問題になっている・・・そういうクルマを「剛性が高い」とか言って散々アピールした奴らに三菱やタカタを批判する資格があるんだろーか?

  そもそも時代を追うごとに進む「都市部への偏住」と「少子化による人口減」を考えたら販売台数の低下は避けられないわけですが、若者を夢中にさせるクルマが無いのに、「最近の若者は給料が安いからクルマは無理だよね!!」とか呟いていい気に成っているオッサンは心底ウゼ〜〜〜な。そんな人に限って貧乏臭いドイツ車とかのユーザーだったりするんですよ。例えばアウディは伝統のブランドですけども、今ではVWグループのプレミアム戦略を担う重要な販売チャンネルですが、プレミアムブランドの本場のアメリカでは売ってすらいない「偽物」のアウディA3とかさ・・・。え?WCOTY受賞だって?よかったですねリーフやデミオくらいの価値は認められているんじゃ無いですか?

  先日も某還暦ライターによってディスられてましたよ。日本の若者が間違いなく一目置くであろうスタイルの王道VIPセダン・キャデラックCT6に対して、「中国の金持ちが好きそうな固めな足回りだなー笑」だってさ。中国人には高級車の乗り味はわからねーよ!!という日本のライターによる上から目線。確かに直4ターボばかりが売れているので、多様性に疑問が残る市場かもしれないけどさ、第一汽車の「紅旗」という最高級ブランドが、世界中の高級車の中からライセンス生産するモデルとして、トヨタのマジェスタを選んだ感性は決して悪く無いと思うんですけどね。ちなみにこの時はマジェスタとアテンザを採用しました。

  「キャデラックはCT6一択でいい!!」・・・そういう気分にさせてくれる存在感たっぷりなフラッグシップなんて素晴らしいです!!もうそれだけで存在理由が成立してるからいいじゃん。わざわざBMW7erと徹底比較して「還暦基準」で採点してこき下ろすのはどーかと思いますよ・・・F野さん。そもそもフラッグシップ対決という前提ならばオーラが薄い7erのデザインに大幅減点を加えてもいいんじゃないですか?(あくまで好みの問題ですが・・・)。

  ちょっと気になったのが、このF野さんは初期品質の問題で7erも5erも完成度低すぎ!!と厳しい評価を下しているのに、キャデラックCT6はそれよりももっと下だ!!とグローバルプレミアムへと成り上がろうとしている出鼻を挫いていることです。BMW関係者には失礼ですが、あまりにも節操なくエンジンもシャシーもミッションも外部へ部分発注して、高級車とは思えない「ハリボテ」だらけなザ・モジュラー・サルーンである7erや5erが、初期品質でメルセデスに遅れをとるのはしょうがないです。分解したら何カ国の基幹部品が出てくるんだろう?・・・トルコ、ポーランド、オーストリア、スロベニア、ルーマニア、韓国、中国、タイもっともっとありそう。(日本メーカー車も似たようなものですけどね)

  中国で組み立てているけども、キャデラックはミッションもGMがフォードと協力してFR用の多段式トルコンATを開発してますし、エンジンも新世代のターボエンジンを独自の技術で仕立てていますし、ブランドの将来性は高いと思います。かといってモジュラーなBMWが悪いか?というとそれも違うかも。時間とともに熟成させちゃうのがBMWのすごいところ!!これはF30系ファミリーの進化でもしっかり証明されました。F30系に乗るオッサンは、なんだかゲイっぽいから嫌いですけども、さすがはドイツを代表する有名ブランドだなー。しかしこの「BMW尺度」でスゲーってことならば、日産はR32の時も最新のVR30DETTに関しても、さらに完成度も高いですし、他とは一線を画す技術力もあるし、ホンダ、トヨタ、マツダ、スバル、三菱だってそれくらいのことはできちゃう。そもそも日本で市販されるミドルサイズのクルマだったら走りが良くて当たり前です(ミニバン以外は)。

  いくらでも「良く走るクルマ」は作れる日本メーカーの唯一の弱点は、ブランド力の訴求が弱いから、高価格でスケールの大きなクルマになかなか着手できないことです。トヨタグループはともかく、日産、ホンダ、マツダはバブル後の20年ほどで一体どれだけのモデルを諦めてきたことか・・・。V10が乗る予定だったNSX。VR38DETTで武装したスカイライン「オールージュ」。そしてRX9などなど。600万円以上するクルマが売れないのはポルシェ以外のドイツブランドも状況は似たような状況にはなってますけども、セルシオ、マジェスタ、シーマに熱狂した栄光の時代はもう日独メーカーだけでは再現不能なのかなー。

  

  CT6の原型と思われる「エルミラージ・コンセプト」ピラー&サッシレスがいい意味で90年代のバブル的熱狂を表していてとても豪胆なスタイルです。このままで発売されれば(価格にもよるけど)それなりに反響はデカかったんじゃ無いですかね。ただしそこいら中の街中で若い兄ちゃんがこんなクルマを乗り回していたらイカツイですねー・・・。週末深夜の横浜・山下公園に行けば5m超のアメリカンフルサイズセダンがパレードしてますけどね。


  

  実際のCT6市販モデルですが、ホワイトがなかなか「妖艶さ」を出していていい感じです。テスラ・モデルSや、ボルボS90、ジャガーXJあるいは日本未発売のジェネシスG90に比べれば相当に押し出しの強いフェイスです。さらに標準で20インチを履きこなすだけあって、そつないホイールハウスのデザインがとてもポイント高いです。昨今のVIP好きは適度な価格がウケてかマツダ・アテンザにも流れているようですが、GJアテンザも19インチのグレードが最初から用意されていて、インチだけはBMW7er(ショートは19、ロングは20が標準)と同等になっています。しかも後期のデザインは19インチの純正高照度ホイールがとても良く似合っている!!買うならこれが付いてくるLパケ1択ですね。下位モデルの17インチは相当に鈍臭く見える(こっちの方が乗り心地いいけど)。次のアテンザ(今年の東京MSでザプライズか!?)はいよいよ海外市場向けの「ロング」が登場してVIPの仲間入りするのかな?


   

  
  やっぱりVIPカーといえば「シーマ」と「マジェスタ」ですね。どう考えてもメルセデスSクラスなんかには負けねーって気がします。SクラスマイバッハやらレクサスLS600hのような「べらぼう」にハイラグジュアリーなショーファーモデルは無視!!クルマの価値は価格だけでは決まらない!!・・・・ということで800万円以下で買えるVIPカーは?「シーマ(765万円)」「マジェスタ(643万円)」「クライスラー300S(578万円)」「ボルボS90(644万円)」などなど。・・・さらに現実的なのは北米から並行輸入されている「ダッジ・チャージャー(409万円!!)」というのもあります。もちろんVIPなのはサイズだけで、静粛性なんか期待できないですし左ハンドル・マイル表示です(デカく見えないですけど全長は5100mmあります)。




↓F野さんの連載はこちらから読ませて頂きました。