2017年2月28日火曜日

アクアやプリウスよりも安く!!輸入ブランドの戦略。

  「199万円」あるいは「299万円」の価格で横並びにブランドのボトムグレード(「客寄せモデル」)を設定するようになった輸入車ブランド。この動きに参入しているブランドはどんどん増えていて(巻き込まれていて)、メルセデス、BMW、VW、プジョー、シトロエン、フィアット、ルノーといった「大衆ブランド」だけでなく、いよいよ「スカンジナビアン・プレミアム」のボルボまでもが「V40T2(299万円)」というモデルを投入してきました。

  クルマが随分と高くなっている中で、輸入ブランドの新車が「199万円」というのは、なかなかインパクトあります。スズキのアルトターボRSが150万円。軽自動車でも走りが十分に愉しめるので、どうせクルマが必要ならばコレでいいか!!と「衝動買い」したくなりますけども、150万円も199万円も払ってしまえば大して変わらない!?今後もこの価格帯に欧州で売れているモデルがさらに投入されるのかな・・・オペル(PSAがGMから買収して日本へ!?)、セアト(VWグループのイメチェンとして日本へ!?)、ヒュンダイ(機は熟した!?)。

  これらのモデルが想定しているのは、おそらく日本市場で相変わらずの大人気を誇るトヨタのコンパクトカー群で、特に180万円前後から設定されている、アクア、オーリス、スペイド、ポルテ、シエンタといった堅実派向けのモデルなんでしょうね。憧れの輸入ブランドの新車に199万円から乗れますよ!!という企画を行っているのがVW、プジョー、シトロエン、ルノー、フィアットといった面々。日本での正規販売価格が199万円ですから、本国では60~100万円といったところでしょうか・・・と思いきやVWポロのトレンドラインはドイツでは12750ユーロなので150万円くらいします。それが199万円なら悪くないかも。他のブランドもだいたい同じようなものだと思うので、結構無理して日本で頑張ってますね・・・。

  同じ199万円でもターボの有無や2〜4気筒までバラツキがあったりするんですが、体するトヨタ車のエンジニアリングはさらに数歩先に進んだ存在で、この価格体でHV(アクア、シエンタ)を堂々と用意しています。トヨタやホンダを見ているとHVなんてありふれた技術にすら感じますが、VWの発売するPHVは500万円前後まで跳ね上がりますし、BMWやメルセデスの中型モデルのPHVも800万円くらいします。だから日本のユーザーはPHVのゴルフやCクラスの価値がなかなか理解できないのですけども、インポーターの努力ではどうなるレベルの話でも無いみたいです。

  そんな「異次元」のトヨタに対して「ある部分」では攻勢に出ているブランドもあります。ライバルのトヨタ車には無い魅力をうまく追求しているのがプジョーで、199万円で展開するグレードは3ペダルのMTですが、217万円でトルコンAT「EAT6」が付いてきます。輸入ブランドのBセグは自動変速機付きのMT(DCT)を使うのが当たり前だったのですが、「ミッション大国」日本で売るにはマナーが悪いなどあまりにもお粗末過ぎる!?というDCTがこれまで多かったのも事実でこの部分が輸入ブランドの199万円車の泣き所だったのですが、プジョーはライバルに先駆けて、なんとトヨタ系列のアイシンAWからトルコンATの供給を受けることになりました!!「トヨタを使ってトヨタに勝つ!!」

  輸入ブランドとしては、MINI、BMW、ボルボに続くアイシンAWの横置きトルコン6ATの配備されました。実はVWなども中国や北米向けのゴルフにはアイシンAW製6ATが使われています。契約の問題?なのかわかりませんが、VWはいつになったら6ATになるのか!? MINIの6ATで最安なのはミニ・ワン(6AT)の240万円なので、今のところはプジョー208の競争力が際立っています。これだけ相次いでトルコンATが使われているってことは、欧州市場でもこれが人気のミッションなのか?というとそうでもなく、元々MTが主流の欧州ですし、カーメディアが盛んに日本仕様とは違う!!とか言っているトヨタの欧州モデルも2ペダルはオーリスもウィッシュも日本仕様と同じでCVTが使われています。実際にアイシンAWの横置き6ATを使っている国内市場のトヨタ車は少ないです。

  プジョー208(6AT)の前に立ちはだかるのは、Bセグの日本勢で6ATを配備しているデミオとバレーノとスイフト。いずれもディーゼルターボ、ガソリンターボがCVTでは上手く御せないようで、デミオは全グレード、バレーノとスイフトではターボ車のみ6ATが採用されています。デミオの1.3L自然吸気のベースグレードならば135万円と破格ですが、それ以外のグレードとなるとやはり180万円前後に収束するので、プジョー208にも付け入る隙がある!? 「クルマの良し悪しはミッションで決まる」といっても過言ではない・・・コンパクトカーに参戦しているメーカーでこれがよく解っているのがプジョー、マツダ、スズキ。この3メーカーならアクアを出し抜くくらいの魅力があるかなー。

  さて「299万円コース」ですが、BMW、メルセデス、ボルボにとって、もはやターゲットはレクサスCT200h(366万円〜)ではなく、上位グレードの装備が際立って充実している4代目プリウス(Aプレミアム310万円〜)です。プリウスのベースグレード(240万円〜)をターゲットにしているのは「249万円」を掲げるVWゴルフとアウディA1。5年前ならば輸入ブランドブランド力で問答無用にプリウスを叩けたかもしれないですが、4代目プリウスは「デザインがNG」という理由以外の部分ではとても充実していて、対峙する輸入車勢が逆にシェアを奪われかねない強敵です。

  180万円前後のトヨタ車と違って、プリウスのユニットはモーター駆動によるトルクが上手く使えるので電動CVTでもトルコンATを上回る!?かのようなフィール。これではせっかくZFやアイシンAWのATを装備した「BMW118i」や「ボルボV40T2キネティクス」もアドバンテージが得られないです(逆にパワーの無いATほどうっとおしいものはない)。なんだかんだいってもDCT装備でぎこちない走りなのに、それなりの販売を積み上げているメルセデスA180の戦略が正義なんでしょうか!? 299万円輸入車ではプリウスにシャシー、ユニット、ミッションで勝つのは無理!?

  A180の巧みな点は、やはり「インテリア」でリードしたところ。後発の4代目プリウスにも全然負けていない「統一感」のあるデザイン。ゴルフ7の初期にあったようなオンダッシュの社外ナビ装備・・・なんていうユーザーを舐めたような対応は、インテリアのデザインや機能性からは感じられません。難点があるのは「インターフェイス」の部分ですが、ブレーキに関してはBMWよりも良く効くくらい。アクセルのもたつきと電動ステアの煮詰め不足は、ATを装備した118iにも看過できないレベルで感じるので、A180だけが悪いと非難するのは筋違いのかも。

  ・・・そもそもマークX、アテンザ、レガシィB4、レヴォーグが選べる価格帯でCセグの輸入ブランドにこだわるのは、セレブな奥様か、豊かな老後を送られる人々なのだから、あまり外野がとやかく言うことではないですね。現役世代がトヨタ(日産、ホンダ)を選ばない理由は、プジョー、マツダ、スズキのコンパクトか、アテンザ、レガシィB4、レヴォーグか、400万円以上のクルマ(A4、3erなど)を好きに買うか・・・。そんなちんけな「理屈」をぶっ壊すような、新たなる参入モデルがあれば歓迎したいですね。アルファロメオ・ジュリア、プジョー3008、シボレー・カマロなどなど。


  

  


2017年2月15日水曜日

「ザ・ドイツ車」といえば!? ホンモノはこれだ!!

  「日本メーカーが日本市場の為に日本ファーストで作ったクルマ」の代表格が、クラウン、マークX、プレミオ、アルファード、ノア、シエンタといったトヨタ車と、ホンダ、日産が作る対抗のミニバン。ステップワゴン、フリード、セレナなど。どれも売れるべくして売れていて、やっぱり日本メーカーは優秀なんだなーと納得しつつも、輸入車が大好きな我々はそんな「日本スペシャル」を素通りして、あえて「ドイツ・スペシャル」を選ぶ!!「イタリア・スペシャル」「イギリス・スペシャル」はちょっと上級向けで難解だけど、「極限のドイツ」ならまだまだ探せるんじゃなかろーか!?

  やはりドイツといえば名門メルセデスですが、ドイツを象徴するような候補車と言えば・・・やっぱりアノ車か!?。ドイツブランドが今も「ドヤ顔」で世界に発信し続けるボデータイプといえばまず思いつくのがラグジュアリー・クーペ。最近では日産出身のCEOがアストンマーティンに就任したコネクションなのか、英国の名門ブランドのラグジュアリー・クーペにも参画、最近では話題のDB11などのエンジニアリングを支える存在になったというメルセデスのV8ターボと縦置きトランスミッション。「秘伝の味」という意味では文句なし!!です。・・・ということでまずは「メルセデス・SL」ですね。

  メルセデスの他のモデルはちょっとブレがありますね。Sクラスはマイバッハと共通設計になって「中国の金持ち」が好きそうなクルマになりましたし、Sクラスクーペも先代までの「メルセデスCL」が持つオーラが無くなっちゃいました。リアのデザインはちょっと・・・どころじゃないな。そしてCLSはそもそもの設計からして2000年頃の悪評高いメルセデスの「偽装」系の商売なのでスルーしましょう(そんなクルマは日本では認めねーぞ!!)。

  メルセデスSLを越えるくらいの「象徴・アイコン」が他のドイツブランドにはあるのか!?やはりドイツの豪気で闊達なエンジニアリングを体現するシリーズといえばBMWの「M5」でしょうか。個人的にはF39・M5こそがBMWの歴代最強車だと信じています。デザイン良し!!パワーユニット良し!!まさに「理想のスポーツセダン」。その後に続くE60、F10の2世代はやや「スーパースポーツ」の波に飲み込まれて「らしさ」を見失ってしまった感が・・・。もちろん走ればメチャクチャ速いし、操縦性も抜群なんですけども、残念ながらクルマ好きがカーライフの絶頂期にハイテンションで選ぶような優れた「商品性」が崩れてしまいました。バングル以降・・・?。5erのベース車が直4で売られるようになって、へなちょこユーザー向けに見えて仕方ない!?・・・それでも私はM5をまだまだ信じたいです。G30・M5に期待!!

  メルセデスかBMW・・・この「両雄」こそがやっぱり「ドイツ車」です。日本の排他的な市場にはオペルなんて寄り付かないし、ポルシェやアウディにしても導入されるモデルは限定的です。だから日本ではホンモノになかなか合えないのかも。もちろん右ハンドルの壁もあるでしょう。左にしかMTが用意されない!!なんてのはどうやら業界の常識になりつつあるようです。ドイツメーカーだけでなくてトヨタやホンダだって同じ状況だし・・・。各国でハンドル位置を左右どちらかに決める法改正が行われていて、右ハンドル受難の時代はこれからさらに本格化するとか。

  左ハンドル国では「メルセデスSL」に、右ハンドル国では「アストンマーティンDB11」に乗れ!!いやいやジャガーやアストンマーティンといった英国ラグジュアリーブランドも主戦場は北米なので「デフォルト」は左ハンドルで設計されているのだとか。もはや「イギリス市場の為のイギリス車」いわゆる「イギリススペシャル」はMINIか、ちっこいスポーツカー・メーカーでしか成り立たない幻想になっているのかも。何事も決めつけはよくないですけどね。

  右ハンドル国というマイノリティの狭い争いの中で、マツダがオーストラリアの輸入車ランキングを制したりしてますけども、日本車とドイツ車をフェアに比べるのは年々難しくなってきました。中国市場の売れ行きを見ても「メルケルの暗躍」とか言われています。話を元に戻すと、日本に入って来るモデルだけでは何も本質は解らない!!ってのが正直なところでしょうか。欧州で販売されているハイオク仕様のマツダスカイアクティブエンジンも日本にいてはその実力がわからない・・・。

  1300万円〜のメルセデスSL、1600万円〜のM5(あるいは1300万円〜のポルシェ911)でしか開陳されないドイツ車の懐。やっぱり敷居が高いなー(高過ぎるなー)。・・・やべーなんか「落とし所」があるだろうってダラダラと書いていますが、もう何にも無いです。(日本市場で買える)残りのドイツ車は、あくまで「ドイツ風味」か「ドイツメーカー企画」ってだけだな。そこそこいいクルマはあるよ。VWトゥアレグとかポルシェ・マカンとかさ。だけどどちらも「ドイツ風味」のアメ車でしかない。VWやポルシェである必然性が乏しいです。

  ゴルフ8はなんだか新型プリウスをリスペクトしたようなデザインのプロトモデルが流出していて、BMW3erと同じでもう「ドイツ風味」の日本車だね。3erと同じように燃費と乗り心地で勝負してくるんでしょうね。メルセデスのFFモデルなんてもはや「ドイツ風味」すらしないです。言葉が悪いけど右ハンドルはどれも「バッタもん」みたいなものだし・・・インドとかベトナムどかで売ってそうなクルマ。

  日本メーカーもドイツメーカーも「短期的な利益」を追い過ぎていて、諸元表を見るとどうも「気になる点」がいくつか出て来るモデルばかりになりました。300~400万円で「キズの無い」クルマを買おうというのは身勝手な意見かもしれないですが、ユーザーがある程度は決起してなんらかのリアクションを起こさないと、自動車カタログは下らないクルマで埋め尽くされてしまいますよ。「本物のドイツ車はSL、M5、911だけだ!!!」と声高に叫びたいですねー・・・アウディRS5のV8自然吸気で8250rpmという傑作エンジン車もあるけどね。BMWのM3/M4のとても頑張った高回転ターボユニットも魅力ですが・・・(ベース車が安普請なのがキズ)。

最新投稿まとめブログへのリンク

沢村慎太朗氏が白日に晒したドイツブランドの醜態!?
ドイツ車を選ぶ際にはぜひ参考にしてみて下さい。
↓第8巻「Sクラスの闇に迫る」

↓第9巻「メルセデスのFF車の劣悪度」「BMW・Mの不純さ」

↓第11巻「BMW3er(F30系)の欠落」