2016年4月29日金曜日

BMWに代わってミニが日本で躍進する!?

  BMW傘下になってから3世代目となるミニですが、じわじわと日本でのシェアを拡大してきました。日本市場における輸入車は、グローバルよりも遥かに新規モデルが少ないこともあってか、ブランド間で大きな変動はないです。その中でミニはこれまでもメルセデス、VW、BMW、アウディの定番輸入ブランド以外で月販1000台をキープできる数少ないブランドの中ではトップの実績を残してきています。

  クルマがなかなか売れない日本市場において、輸入車も当然に大きな影響を受けてはいるのですが、日本市場もだいぶ価格面でのグローバル化がすすんだようで、不振のブランドを中心に販売価格の下限が徐々に下がってきたこともあってか、新たにボルボ、プジョー、ジープが月1000台を越えるポジションに位置するようになりました。

  ミニ、ボルボ、プジョー、ジープの躍進した4ブランドに加えて、メルセデス、VW、BMW、アウディもそうですが、購入費用を比べてみれば、すでにマツダ、スバルの同クラス車ともそれほど大きな価格差はなく、どうやら在庫車をうまく狙いさえすれば、むしろかなりお買い得で購入できたりするようです。最近ではネットメディアの発達でやたらと物申すユーザーも増えていて、「安全志向で輸入車からスバルに乗り換えた!」とか「静粛性と乗り心地を考えてメルセデスやBMWではなくマツダにした!」なんて人も結構います。10年前には考えられなかったことですが・・・。

  それとは逆に、いままでマツダやスバルに乗っていた人がアテンザやレヴォーグの価格設定に憤慨して、逆に輸入車に乗り換えるなんて例もそこそこ多いようです。「俄なユーザーが増えてマツダやスバルの価値が下がった」なんて辛辣な意見もありますが、マツダもスバルも一連のFMCで持ち前の軽快さが影を潜めるモデルが続出しています。新しいマツダに乗った!ディーゼルのトルクは確かにスゴいけど自分のフィールには合わない。スバルもFA/FBのエンジンになってから、低重心さや鋭い噴け上がりがなくなって、ただのエコ水平対抗ターボになったエンジンあるいはCVTミッションに対しての不満が多いようです。

  そんな「シャッフル」&「客引き合戦」な状況の中で、ミニも逞しいほどに「日本向け」なラインナップを拡充することで、ライバルに対して優位な状況を作っているようです。まずは3代目になって少々立派になったボデーですが、これは案外追い風なんじゃないかと思います。ファミリーカーとしての利便性が向上して、まだまだ若い夫婦がオシャレな住宅街に居を構えるにはちょうどいいサイズ&ちょうどいいオシャレ仕様じゃないかと・・・。

  さらにFF車向けとしては現状では最良の選択と思われる、アイシンAW製6ATを配したミッションは、Bセグの中ではマツダ・デミオとこのミニだけです。日本市場Bセグでもっとも扱いやすい機構を備えつつ、デミオよりも車幅がいくらかあって高級に見える。しかもボデータイプもカラーヴァリエーションもこちらの方が多いので、好みの選択ができます。デミオは内装をかなり頑張っているのですが、ミニの方がより個性的で刺激的な内装を先代モデル以前から追求していて、この点でもリードしています。なおかつ価格帯がデミオとも競合するくらいに収まっているわけですから売れるのも頷けます。デミオ5000台、ミニ1500台とまだまだ差が大きいですが・・・。

  デミオとミニの関係はなかなか複雑です。ミニはデミオを先回りするかのようにパッケージ性を高めた設計、つまり比較的に日本メーカーが得意としていた点でデミオに対して優位を築いています。その一方でデミオは、「走り」においてミニを越えてしまっていると専らの評判です。ミニをドイツ車と分類するのは語弊がありますが、親会社のBMWが本来は得意とする部分で、デミオはミニを完封しています。確かに乗ってみてデミオの方が圧倒的にバランスがいいのは感じました。ミニはなかなかエンジンの駆動が路面に伝わらないクルマなんですよ。・・・参考までにこの2台の走りを検証した動画をどうぞ!

  昨年の後半頃から、輸入車販売のトップに収まっているメルセデスの特に廉価モデルに対してやや懐疑的な論調がカーメディアで増えてきました。そして2位のVWもアメリカから巻き起こった不祥事問題でブランドイメージを大きく崩しており、それらの「情報」に煽動されるかのように、その2つを回避するユーザーが、比較的に好印象の他の輸入車ブランドあるいはスバルやマツダへと流れているようです。やっぱり1億総スマホ社会はすごいなー!!!テレビやネットの情報がすぐさま拡散されて・・・話題の場所には人がわんさかやってくる!!!休日ドライブの前には情報をよくチェックして混雑しそうなところを避けるようにしなければ・・・。

  メルセデスやVWにとってはちょっとした(深刻な)災難ですが、顧客が過度にブランドに囲い込まれると、どこも革新的なクルマ作りをやらなくなって、「誰得!?」でクソセレブ気取ったババアがアホみたいに歓びそうな「顧客サービス」ばかりが過剰になるので、このような「顧客の再分配」が起こることはとてもいいことだと思います。

  どこも似たようなボデーに似たようなエンジン積んで、同じサプライヤーのミッション使ってる・・・。だから値引きでしっかりと「囲い込み」をしてくれる今のディーラーで買い続けるよ〜。そういう堕落的なサイクルの中で、安定経営を見出そうとしているトップシェアブランド(トヨタ、メルセデス、VWなど)に歯止めをかける「見えない力」が働いている!!!と好意的に解釈したいです。最近ではマツダやスバルもなにやら各地のディーラーの佇まいがどうもキナ臭いですからねぇ〜・・・。

  フォードは日本を諦めて去っていきましたが、日本市場はまだまだユーザーによるブランドの選択にまだまだ弾力性があると思います。BMWにそっくりなスタイリングでお茶を濁したジャガーにはそれなりのリアクションしかないですし、308やチンクをさらに適正価格化したプジョーやフィアットにはそれ相応に報いています。テスラ、ダッジ、ビュイック、ヒュンダイ、キア、オペル、セアト、シュコダ、ラーダ、ホールデン、タタ、マヒンドラ、プロトン、東風、一汽、あるいは復活のMGローバーなどなど・・・自信あるブランドはぜひぜひ日本に上陸(再上陸)してほしいものです・・・。

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2016年4月22日金曜日

VW復活へ・・・良いクルマが増えてる!

  昨今ではプロのライターがVWをあからさまに褒めると、読者からも同業者からも疑惑の眼が向けられるようです。いいじゃん別に提灯記事書いたってさ。一般メディアの執拗な報道により日本市場の販売シェアを大きく失ったVWが、再び本来のポジションへ復帰する道のりはなかなか前途多難なようです。プロのライターが書かないなら、変わりにド素人でクルマのこと何もわかっていない私が書いてやろうじゃないか!(VWにとってはいい迷惑かも)

  日本メーカーのクルマも全く売れないどん底なのに、お金を貰って輸入車をやたらめったら褒めるとは何事か!!けしからん!!・・・それでも諸外国と比べても国産車シェアが90%と異常なほど高い日本ですから、もっと門戸を開けることが大切なのかな!?時たまそんな正論を吐くカーメディアに出くわすとこれはもっともに思えます。全ての輸入車ブランドがフォードみたいに日本市場から逃げ出してしまったら、さすがにツマラナイですよね。

  しかしですよ!今よりももっともっと輸入車が希少だった時代(バブル期)だったからこそ、日本では伝統的に輸入車の価値が高かったわけですから、輸入車のシェアが10%を越えてさらに今後は20%まで拡大するとい事態ならば、その分だけ希少価値は下がるので、価格ももっともっと下がっていいはず。需要曲線が示すごとく、2000年代中頃から人気ブランドでも価格がやや控えめのモデルが増えてきた結果として輸入車シェア10%という数字を達成したともいえます。メルセデスもBMWもアウディも200万円台に突入した上での数字です。

  そんな中で価格をなかなか下げようとしなかったVWは、数年前に輸入車シェア1位をメルセデスに明け渡し、今年はいよいよBMWにまで抜かれてしまいました。うーん。VWには売るべきクルマがないのか?インド産のポロとか大量に持ってきて「179万円」くらいでバラまいても十分に利益が出るはずなのに・・・。

  それでもせっかくVWに乗りたい!という人が居たならもっと「らしい」クルマをオススメしたいです!VWのブランド本来の価値は、輸入車ゆえの割高なイメージをそれほど感じなくても、優れたスペックで中身の詰まったモデルが買えることです。ラインナップを見てみると今でもその伝統は生きていて、さすがは元々首位のトップブランドだけあってオススメしたいクルマはそこそこ揃っています。

  まず1台目は「ゴルフGTI」です。従来からVWの絶対性能を示す代表的なモデルでしたが、昨年の中頃からMTモデルが日本でも復活しました。趣味のクルマとしてゴルフGTIをさくっと買える(総額400万円くらい)世代に向けたものでしょうが、元々ベースのゴルフとは違う仕様のDCTを搭載していて、駆動系のフィールには定評があったので、これから買う人にとってはもしかしたら余計な悩みが増えたかもしれません。「男だったらMTだよな・・・」みたいな変なプライドが意図せざる選択をするかも。

  同じくMTモデルが復活したポロGTIに関しては、DCTがゴルフのベースモデルと同じで若干ギクシャクする廉価タイプなので、WRC参戦車両としてのポロのスポーツ性を追求するならばMTの選択が多くなるような気がします。ポロGTIは2016年モデルからめでたくエンジンの乗せ換えが行われました。これまでのポロは1.2Lモデルが南アフリカでの委託製造で、1.4Lモデル(GTIとブルーGT)がVW系列のスペイン・セアトの工場で製造されていましたが、これまで通り生産地の変更は無いものの、GTIは新たに1.8ターボに変更になりました。

  それに伴って車重がいくらか増えたり燃費が若干は悪化したわけですが、1.2Lや1.4Lでは高速道路の巡航時にエンジンがうなって煩わしかったので、これに関してはかなりの改善が見込めます(高速走るなら1.8L以上は欲しい)。ただしポロの狭いボデーで遠距離を走るのは居住性という意味ではかなりしんどいとは思いますが・・・。

  ポロGTIと同じエンジンが使われていて、長距離もこなせるゆとりのボデーを持って登場したのが、ゴルフ・オールトラックというCセグワゴンをベースとしたクロスオーバーモデルです。北米で異様な盛り上がりを見せるSUV市場で完全に後手を踏んだVWが、少々急ごしらえで用意した北米VW(メキシコ)の現地生産モデルです。クルマの存在感はゴルフ・ヴァリアントやパサート・ヴァリアントと見間違えてしまうくらいで、車高がいくらか高いくらいです。

  しかし日本市場に投入されているゴルフVとパサートVはいずれも1.4L(ゴルフV-Rを除く)なので、同じタイプのVW車で低速トルク仕様の1.8Lターボが搭載されるのはこのオールトラックのみです。しかも本体価格が347万円ですから、日本市場で今でも大人気のスバル・レヴォーグやマツダ・アテンザワゴンなどとも「ガチンコ勝負」ができるほど輸入車としてはコスパに優れているのが特徴です。

  あと2台くらいオススメさせて欲しいのですが、1台は大型SUVの「トゥアレグ」です。日本で販売されるVW車としては現行では唯一のV6&AT装備車です。VWがグローバルでのライバルとなるトヨタ傘下のアイシンAW製ミッションを使っているというのも興味深いです。一般に広く知られていることですが、このクルマはあのポルシェ・カイエンと共通設計の姉妹車でして、カイエン(860万円〜)に比べてトゥアレグ(637万円〜)は200万円以上も安いです。カイエンの日本価格がボッタクリなだけですが!BMWのX5(860万円〜)と比べても性能面で全く引けをとらないですし、ファミリーカーとしてならかなりコスパにも優れていると思います。

  もう1台ですが、あまりにもエンジンに偏った選び方をしたので、最後の1台はVWの代名詞とも言える1.2Lターボを配した「ザ・ビートル・ベース」です。VWのブランド初期に見られたスタイルをリバイバルさせたボデーが日本でも多くのファンを獲得しています。234万円という優れたコスパも光ります。欲を言えばライバルのルノー・ルーテシアやミニ、プジョー208のようにMTモデルも設定されるともっと魅力的なクルマになると思いますが、それはあくまでクルマ好き目線であって、ザ・ビートルのシリーズはVWの懐を広げ特に女性ファンを増やす非常にポジティブな存在だと思います。

  VWは今後SUVラインナップが拡充されるでしょうし、一時的に日本市場から消えているシロッコやCCなども再び日本に戻ってくれば、多種多様な価値を求めるクルマ好きの注目を集めるブランドへと復活していくでしょう。ケイマン/ボクスターと共通設計のスポーツカーがポルシェよりも200万円安く出てきたら嬉しいですね!今後のVWに注目したいです。

動画リンク「VWシロッコRはカッコいい!!!」

  

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2016年4月15日金曜日

ジャガーはなぜかXEよりXJをよく見るぞ・・・。

  東京都の結構田舎の方に住んでいるのですが、意外とよく見かけるLセグセダンはジャガーXJです。もちろんLSもSクラスも7erもしばしば遭遇しますけど、毎週のように顔を合わせるのはなんとXJ。旧型も含めると近所で4人くらい乗っているようです。XJユーザーがこれだけいるんだから、XEが発売すればもっと多く見るかな?と思っていたら、意外や意外・・・全然見ないです。やっぱりあのクルマにはオーラが無いのかな〜・・・。XJには現行モデルで最良と言えるくらいの素晴らしいリアデザインが備わってますけど、XEのリアはなんだかあからさまに平凡で、リアのバンパー下のフィニッシュも仕上げがどうもやっつけ仕事過ぎ・・・これはドイツ車ですか?いやBMWの方がよっぽど上手い!
(2016ジャガーXJの動画へのリンクを一応付けておきます)

  XJとXEの中間に位置するXFもフェイスリフトを経た最新のモデルはさらにデザインが弱くなった感じです。フォード傘下の頃の方が、いろいろと細部までディテールに拘っていて良かったな・・・アノ頃は憧れのセダンの1台でしたね。あまり押し出しが強い感じでもないXFは、先代までのクラウンの「余裕」たっぷりのスタイルを彷彿とさせます。現行のクラウンはロイヤルもアスリートもマジェスタもちょっとデザインがキツい。何かに追われているかのような「余裕のなさ」を感じます。クラウン→XFという乗り換えは結構ありそうですね。現実的にはクラウン→アテンザなんでしょうけど。

  4月1日発売のカーグラフィック(CG)5月号ではなかなか読み応えがある「セダン特集」が組まれていていつもよりテンションが3割増しでした。新型アウディA4が発売されたタイミングですから、まずはいつも通りの「プレミアムDセグ」の比較です。少なからずデジャブ感が・・・。今回は常連の3er、Cクラス、A4、ISに混じってジャガーXEが参戦していました。項目ごとの評価はなかなかシビアで、ハッキリと順位付けがされていて、メルセデスからクレームが来そうな結果が!!!(売れているクルマは叩く!?)。そして単純にクルマが軽いからでしょうか、XEが最も優れた燃費を発揮したようです(アルミのジャガー面目躍如)。しかしそれ以外の項目ではことごとく他車の後塵を拝したようで、Cクラスと並んで完全なる「噛ませ犬」役?だったみたいです。

  それにしても・・・ブサイクとは言わないまでもそれほど「華」の無い5台の集合写真は、あんまり見たくないですね。各ブランドのコンセプトがバラバラなので、それらが一堂に会することでやたら取っ散らかったイメージが出てしまうのもありますが、やっぱりこの冴えない5ショットを見て、ゴードン=ワーグナー(メルセデス)やイアン=カラム(ジャガー)といったカリスマ・デザイナー達は何を思うのでしょうか?ワーグナーは「Cクラスが」、カラムは「XEが」それぞれ一番カッコいいからOK!とか感じてそうですけど・・・。

  セダンが売れない時代とか言われています。「そんなことない!」と言いたいですけど、数字がハッキリと出てますから何とも言えません。「セダンはオワコン」とか言われても、それでもセダンが欲しい!と言ってくる気合いの入ったお客はやっぱり目が肥えてますよ。よって今まで以上に「つまらないデザイン」のセダンはどんどん退場していくしかない・・・。セダンの没落を象徴するように、大きくシェアを失ったクラウン(月1万台が月2千台になった!)。フルモデルチェンジ以来全く話題にもならないレクサスGS。そして急速にオーラを失ってきたレクサスLS。あとホンダのレジェンドとアコードも・・・。

 
  ちなみにDセグ以上のセダンの国内市場の販売状況ではトップはまだクラウンが踏みとどまっていて、次に来るのがメルセデスCクラスなんだそうです。さらに3erとアテンザが続き・・・・ここからやや離れてレガシィ、スカイライン、IS、ティアナ、カムリが極めて低調なドングリの背比べのようです。日本の自動車ユーザーの気持ちを掴むようなモデルが決して無いわけじゃないですけど、ちょっと役者(役車)が不足しているかな〜・・・。

  世界ではどうか?というと、ジャガーがセダンを中心に伸びてます!!!特に「完全飽和」で成長は見込めないと考えられていた欧州や北米で、堂々の2桁の伸びを示していて大躍進の2015年だったと報じられています。そういえばジャガー・ランドローバーはその好調を裏付けるように今年のWCOTYでも大活躍でした。2000年代の中頃の高級セダンと言えば、レクサスLSとメルセデスCLSの大ヒットが象徴的でしたが、それを追いかけるように登場した奥山清行デザインのクワトロポルテが人気となり、マセラティに乗りたい!というセレブ志望の人々をターゲットにするべく、さらにパーソナルなサイズのギブリもスマッシュヒットしました。

  そして今回はジャガーが人気。まだまだ日本では本格的なヒットとはほど遠い状況ではありますが、とにかく「何か」がとって代わらないと次へ次へとつながっていかないのが高級セダンのマーケットなのかもしれません。クラウンが低調でレクサスの各モデルも伸びてない状況を見ると、セダンもいよいよ終わりか!?という悲観的な予測が立つでしょうけども、「正当なる後継モデル」が現れさえすれば、LセグもEセグもDセグも、プレミアム・非プレミアムに関わらず、すぐに復活するだけの「購買意欲」はダブついていると思いますが・・・。

  マセラティの次に来るのは、ジャガーなのかBMWの復活なのか・・・それとも伏兵のボルボ!?いよいよ発売を控えるボルボS90が、XJ、7er、Sクラス、LS、クワトロポルテを一気にゴボウ抜きする? シーマとレジェンドは・・・もうちょっとやる気出して!!!


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2016年4月7日木曜日

ファミリーカーなら VOLVOとBMW だべ〜

  「ファミリーカー」というと、いかにも所帯染みてて「デザイン」や「走り」よりも、「定員」が優先されて、ラゲッジルームが広くて、子どもやお年寄りが乗り降りしやすいようにスライドドアで・・・「セレナ」とか「ステップワゴン」とかそんなイメージですかね。平日は主にお買い物や駅までの送迎に使われて、休みの日に一家揃ってどこぞの観光スポットに繰り出すための機能性と経済性を重視したクルマです。今では国内メーカーがせっせと創意工夫を凝らして100万円台で7人乗りというリーズナブルな設計のクルマへと進化してます「シエンタ」「フリード」「ソリオ」などなど。

  日本車におけるファミリーカーの進化は、実に素晴らしいことですけども、一風変わった輸入車ブランドからファミリーカーを選んでみるのもいいかもしれません。見慣れない分だけなんだかとても楽しそうに見えます。輸入車に好んで乗る人は「高級車」か「スポーティなクルマ」を求めているので、このどちらかに振ったブランドばかりなんですけども、最近では本気で日本のファミリー層を取り込もうとしているブランドも見られます。300万円台からいろいろ選べる比較的廉価なブランドだけを対象にすると、「シトロエン」「ボルボ」「BMW」の3ブランドがどうやら本気で「定着」を狙っているようです。

  「個性」を最優先で選ぶならば「シトロエン」と派生ブランド「DS」が一番アツいです。とにかく他のブランドとはデザインもボデータイプも被りたくない!というハチャメチャな設計だけ見ても非常に高い意識を感じます。プジョーとシトロエンの合併によって出来たPSAグループは、ほぼ同じラインナップ展開をする2つのメーカーが並立する格好になっています。日本でいうならスバルとマツダが合体したようなグループで、同じようなクルマを作っても仕方がないので、マツダが相当にブットんだデザインを仕掛ける・・・みたいな感じですね。プジョーは「走り」、シトロエンは「ファミリー」と対象をさっくりと分けているようです。残念ながらPSAの中型車の日本への正規輸入は1.6Lターボだけになっていて、走りのバリエーションは乏しいのですが、シトロエンの場合はファミリーカーとして割り切るならばそれほど気にならないかもしれません。

  それに対してあくまでも自然体でブランドアイデンティティに忠実なデザイン展開をしているのがボルボとBMWです。この2ブランドのファミリーカー偏差値は意外に高いんですよね〜。まず両ブランドのボトムになるコンパクトサイズのファミリーカーは、3気筒ターボの設定があってとてもリーズナブルな価格設定です(300万円台前半〜半ば)。どちらもトヨタ(ネッツ、カローラ)よりも値引き額は大きめなので、ノアやヴォクシィ(250万円〜)と比べても経済的負担はそれほど大きくはないと思います。それでもトヨタのミニバンの方が確実に広く、維持費に関しても国産メーカーの中でも最も割安なのがトヨタグループなのでファミリーカーとしての「適性」はトヨタで間違いないでしょうが・・・ボルボもBMWもとりあえず価格を抑えようとしてくれる努力は評価してあげたいです。

  この両ブランドがファミリーカーとしての本領を遺憾なく発揮するのは、もう少し上の価格帯のモデルです。「ボルボXC70」(620万円〜)「BMW3erグランツーリスモ」(530万円〜)ですね。やっぱりファミリーカーといえば「居住性」の追求であり、それから家族を安心して包み込むような包容力のある重厚なボデーという点を強調するならば、かなり納得できるコスパだと思います(決して安くないですけど)。まず居住性に関しては、人によって感じ方が違うでしょうが、どちらも絶対的な広さを持ち合わせています。XC70はFFベースシャシーでホイールベースが2815mm、3erGTはFRベースシャシーなので前輪がさらに前方になるので、ホイールベースはさらに長く2910mmです!!(ちなみに3erセダンFRが2810mmです)。どちらも世界で人気の「ゴージャス・セレブ・ファミリーサルーン」こと「パナメーラ」「テスラ・モデルS」とほぼ同等のスペースが確保されています。

  あまり適切な比較ではないかもしれないですが、メルセデスの「E」と「CLS」がFRで2875mmで、しかもセダンあるいは車高が低い4ドアクーペですから、これら定番のエクゼクティブカーよりもクロスオーバーボデーでホイールベースも長めのXC70と3erGTの方がよっぽど広々としていてゴキゲンですし、1000万円級の高級車にもひけをとらないくらいに車体もどっしりしています。500~600万円出すならばココはとても大事な点です!せっかくボルボやBMWを買うのなら「コレだぁ〜」と大きな声で勧めてあげたいのがこの両モデルです(あくまでファミリーカーとしてですが)。本当にいろいろな意味で「いい感じ」のポジションなんですよね。

  さらにエクゼクティブな「ボルボ貴族」あるいは「BMW貴族」が愛用するクルマもファミリーカーとして割り切るならばとてもハッピー&ラグジュアリーで興味深いラインナップに見えてきます(ファミリーカー視点って大事ですね・・・)。ボルボは世界中で話題沸騰の新鋭フラッグシップSUV「XC90」です。欧州では発売以来衝撃的な大ヒットで爆走しているようで、高級車ブランドの勢力図を塗り替えつつあるようです。かつて同じフォード傘下にあってボルボよりもさらに上級のブランドとされていたジャガーの「Fペース」を完全に喰ってしまったようですね。

  FペースもXEもそうですが、どうもジャガーの新型車は過度にドイツ勢を意識してしまっているようで、その弊害からかどれもこれもインパクト不足です。どうもいまいち突き抜けられない残念な雰囲気が・・・。そんなジャガーに輪をかけて小粒感があったこれまでのボルボですが、どこからか敏腕エクゼクティブ&デザイナーを連れてきたようで(元アウディと元ベントレーの2人の辣腕らしい)、これまでのボルボの流れからはとても想像できないくらいに、完全にいい意味で期待を裏切ってきました。アウディが2003年にA6を、アストンマーティンが2007年にヴァンテージを、ランドローバーが2012年にイヴォーグを・・・に続く衝撃作です!

  XC90は日本の顧客向けに行った先行予約の特別商談会でも直4PHEV「T8」(1000万円超!)を中心に40台以上の受注が決まったのだとか。BMWの対抗モデルは最近ポルシェに押され気味の「X5」です。なかなか興味深い6気筒ディーゼルがボトムグレードで850万円です。せっかくのBMWの直6ディーゼルですから、ちっこい3erボデーのアルピナD3(1000万円)よりもX5で乗りたいです(子育てにディーゼルはオススメしませんが・・・)。

  X5はXC90とちがってパワーユニットが広く選べるのが特徴です。直6ガソリン、V8ガソリン、直6ディーゼル、直4PHEVと4種類で、BMWのフラッグシップSUVだけあっていずれも存在感のあるユニットばかりです。面白いのは1000万円を越えるXC90T8に対して、1000万円を下回る930万円〜のX5「40e」とガチンコの部分ではボルボの方が高価格となっていてかなり強気です。パワーユニットの評価はともかく、内外装のセンス・質感でまさかのボルボの圧勝とは・・・。そして年内にはBMW「7er」に勝負を挑むフラッグシップセダン「S90」が発売されます。デザインはすでに公開されていますが、こちらも永島デザインの7erを完全に喰ってしまう極上の出来映えです。まさかボルボからレクサス版のセルシオとランクルを凌駕しそうなモデルがたった1年で相次いで登場するとは・・・。さらに自動運転とかしちゃうのかな? BMWも頑張れよ〜・・・。


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