2016年5月31日火曜日

ミニ、プジョー、ボルボが日本で好調なメカ的な事情。

  シトロエンDS3がフェイスリフト!とか言われても、まだまだレアな存在で新鮮さ十分だった現行デザイン、しかも評判がとてもいいわけですから、なんか「もったいない」気がしないでもないです。それでも良い面もあって、現行モデルのユーザーがそのままスライドの代替えをすれば、なかなか見栄えがするDS3が中古車市場で流通するようになって愉しいカーライフをゲットできる人も増えそうです。5年落ちのDS3が100万円くらいで買えるようになれば・・・そう願っている人は結構いるはず。

  日本のコンパクトカーでも100万円以下となるとよっぽど年式が古いクルマだったりします。とりあえず7年以下ならば中古車なかなか高値でとどまっています。日本車の場合は新車乗りだし価格より50万円くらい安ければいくらでも買い手がつくみたいで、プロのバイヤーがおいしいところはことごとく法人需要に回してしまうようです。個人よりも法人相手の方が面倒くさくないでしょうし・・・。

  しかしさすがに輸入車を商用車にすることは少なく、あったとしてもルノー・カングーのようなやや特殊な車両くらいです。これらの事情を鑑みても、いろいろ条件を詰めて比べてみると、案外に中古車ならば輸入ブランドの小型車の方が買いやすかったりします。ただし部品交換が絡んでくると少々やっかいではありますが・・・。ただし2012年以降のモデルであれば、比較的にトラブルの少ないミッションが付いていたり、電装品の品質も良くなっているともっぱらの評判です。

  この頃(2012年)から衝突安全性の定義が大きく変わったりアメリカでは消費者支援のレポート雑誌が人気になるなど、自動車産業を取り巻く環境が一変しました。2011年の大震災で大きなダメージを受けてホンダ以外のすべての日本メーカーが赤字に転落しました。さらにとどめを刺すかのように、トヨタやホンダに燃費やリコールの騒動が巻き起こりましたが、品質をレポートするアメリカの雑誌が、ことごとく日本メーカー車を高く格付けしたために2014年には各社ともに震災以前の水準までV字回復しました。衝突安全でメルセデス、アウディに圧勝したスズキが北米からフェードアウトしたのは残念ですが・・・。

  負け知らずの日本をお手本に、世界のブランドでクルマ作りの姿勢が変わってきたのも多くのメーカーが赤字に転落したリーマンショックの頃でした。品質不良に悩まされてきたアルファロメオが、三菱のライセンスエンジンを採用するなど、日系サプライヤーが欧州ブランドでも活躍するようになりました。特に近年の欧州車の水準アップに大きく貢献しているサプライヤーが「アイシンAW」でしょうか。おなじみのトヨタ系列ミッション・サプライヤーですが、アイシンAWATを採用した欧州車はどれも非常に扱いやすくなりました。

  その代表格が「BMWミニ」「シトロエン」「DS」「プジョー」「ボルボ」といった面々です。BMWFFモデルなどにも採用されています。BMWの本流であるFRシャシー車ではZF製ミッションが使われていますが、これは動きだしとキックダウンの時にそれぞれエラー的な挙動が出ることが多く、このミッションの特性をよく理解していないで乱暴に操作するとすぐに走りがシャクれます。それがBMWユーザーには魅力なのかもしれないですが、例えば信号GPでミニとBMWが対峙するならば、「出足の挙動」の優劣に加えて「FFのアドバンテージ」「シフト回数の少なさ」でミニの方が確実に有利なはずです。

  速さはともかく、アイシンAW製ミッションの普及によって、ミニとPSAとボルボは非常に日本市場と親和性が高いブランドへと成長しつつあります。この傾向は販売台数にも大きく現れていて、去年までミニとボルボは1000台そこそこの水準だったのが、ミニはアウディ(2000~3000台前後)を完全に射程に収め、ボルボもこれに続いています。アウディの小型車はVWと同じボルグワーナーのライセンスDCTを使っていて、ギクシャク感ではアイシンAW勢よりもかなり不利な状況なので恐らく今年中にミニとボルボに逆転されると思います。

  メディア露出はジャガーなどに比べてだいぶ少ないのに、ジャガーの3倍も売れているのがプジョーでいよいよ「1000台ブランド」の仲間入りを果たしました。デザインなどの要素でプジョーを上回ると見られていたルノーやフィアットは割安にも関わらず成長が停滞気味です。どちらもガリガリの低価格戦略なので、日本車が使うCVTはコストに合わず(日本の軽自動車はエンジンよりCVTの方がコスト高!!!)、フィアットはイタリアのサプライヤー・マニエッティ=マレリが作ったAMTを使いますが、これがいすゞのライセンス切れの設計をそのままパクった?として知られる骨董品です。

  ルノーが新たに採用している6速EDC(DCTのルノーの呼称)は、フェラーリやGT-Rでも採用されているゲトラグ製です。ルノー小平(地元です!!!)の店員ブログによれば、ATのように滑らかなシフトチェンジが魅力とされてますが、これを採用していたフォードが日本撤退を決めるなど、あまり良い結果が出てないです。今のところはボルグ&ゲトラグのDCT勢は日本で不調です。・・・VW、アウディ、アルファロメオ・・・。


  日本で売るんだったらアイシンAWかジャトコ使え!!!なんて高言するつもりはないですけどもね・・・。いち早く順応したミニ、プジョー、ボルボ、シトロエンが手頃な価格で拡販すれば、結果的に中古車市場の主役になれるのかな!?という気がしないでもないです。


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2016年5月24日火曜日

VWの逆襲! 日本市場での適正価格化で反撃開始!?

  「ピンチのときこそが最大のチャンス」・・・しばしば自己啓発本で引用されるフレーズですけども、年商数兆〜10兆円以上の規模を誇る途方も無い自動車メーカーでも、これが見事に当てはまっています。数年前まで赤字をぶっこいていたスバルやマツダが今では完全復活を果たし・・・という話だけでなく、比較的に短いスパンを経て機能不全状態だったロータス、ジャガー、ボルボ、マセラティなどがどんどん復活してきました!!!どれも数年前はブランド消滅までカウントダウンといわれてましたけどね・・・。

  VWも日本市場での戦略の見直しが急ピッチで行われていて、ポロもゴルフもボトムグレードの価格が引き下げられました。VWジャパンの新社長ティル=シェア氏は、ダテにカルロス=ゴーンさんに似てるだけじゃなくて、仕事も出来るトップみたいですね!!!マカオや香港のベントレー統括からの移籍みたいですが、東アジアで成功するタイプの顔つきなのかも!!!

  さて新社長の就任早々に発表されたのが、日本価格の改定で、「ポロは199万円〜、ゴルフ249万円〜」というなかなかわかりやすい設定になりました。ついでに「パサートも299万円!!!」にしてしまえばコレも火が付くんじゃないですか!? VWが本腰を入れる北米市場でカムリやアコードに対抗するには、日本市場でコアなユーザー層にコミットできるかどうかじゃないですかね。アッパーセダンなんてカスタム大好きな層に受け入れられてこそ!アンダーグラウンドなVカースタイルで北米にも浸透するはず・・・。マジェスタやフーガはもう古い!!!これからはパサートだ!!!と言わせるくらいのポテンシャルはあると思いますよ。元ヤンの福野さんもパサートのデザインにはビビっと来ていたようですから。

  それでもVWの本丸はやはり「輸入車ナンバー1」を堅持しているゴルフとその弟分のポロですね。ゴルフ249万円は確かにインパクトあります。ヨタさんの「リス1.2T」が259万円ですからコストパフォーマンスは「相対的」に十分かと・・・。しかーし!!!くだんの特別仕様車のせい?でか超絶不人気車となっているリスなんか眼中に無し!!!ただ単に「三河産ヨタより安いっすよ!!!」っていう宣伝効果こそあるでしょうけど・・・。相手はやっぱりBMWですか!?いやいやミニ(228万円〜)や1er(299万円〜)を意識しているというよりは、むしろ狙いは日本で売れてるクルマ!!!そうです!!!アクア(『G」で201万円〜)とプリウス(243万円〜)にロックオンしてます。

  クルマが好きで好きでたまらない人なら別ですが、たいていのユーザー(ちょっと暇な人)は新車を買うときにディーラーを2〜3つくらいを回って決めているはずです。まずは大本命のトヨタ系ディーラーに行ってアクアを見てから、具体的な230万円くらいの見積もりもらってその場で、ミニだったらどれくらいになるのかな?アウディA1なら?なんて妄想がチラチラするんじゃないでしょうか。「ミニはみっともない、アウディは気負い過ぎ」という社会派な人々ならば、マツダでデミオXD(ツーリングLで201万円)に行くか?そしてVWに行くか?くらいが選択肢になるんじゃないですかね。この段階でノート、スイフト、フィットは170万円前後の攻防ですからとりあえず・・・アウト・オブ・眼中。「上しか見ない」クルマを買う時のテンションってそんなもんですね(特に新車)。

  プリウスのライバル関係となるともっとシビアで、おそらく現状ではライバル不在です。スバル(インプレッサ)やマツダ(アクセラ)のこのクラスはグローバルでは良く売れる反面、日本ではそこそこ(=むしろ不人気)です。「建前」ではクルマ好きならプリウスよりアクセラ!!!なんですけども、それでも販売数で10倍の差が付くわけですから、「本音」は全く別のところにあります。結局のところスバルやマツダってのはさ〜・・・日本においては、フラッグシップ(レガシィ、アテンザ)かスポーツカー(WRXSTI、ロードスター)のどちらかを買って満足する為のブランドでしかないです(マツダはSUVで結果出てますが・・・)。

  メルセデス「Aクラス」(296万円〜)とBMW「1er」(298万円〜)もプリウスの対抗馬としては完全に役不足です。日本車に偏見を持つ「ジジイ」や「バブル女」にはウケてるみたいですけど、アレはさすがにみっともない・・・っす。プライド持てよ〜って周囲のドライバーからちょいバカにされますね。誰も表立ってそんなこと言わないですけども、・・・実際は新型プリウスでは300万円を越える本体価格の「Aプレミアム」がスゴい人気で納車待ち半年です。198万円のほぼ未使用のAクラスや1erの新古車がいくらでもあって即納可能なのに、わざわざ半年も待つ人がたくさんいるんです!!!これを「燃費」の亡者の愚かな消費行動としか理解できないカーメディアは本当に失笑ものです。

  プリウスって発売以来、世界中のカーメディアから誹謗中傷まがいの営業妨害にさらされましたが、トヨタはまったく挫けることなく世間を納得させることに成功しました。厳しい声の中で4世代の進化を遂げてきた!!!そして上位グレードは同じ機構を持つレクサスCTと同等の価格帯まで上昇しましたが、CTを完全に呑み込む「存在」にまで成長しました!!!なぜカーメディアが絶賛するアクセラやインプレッサの成長はゆるやかで、プリウスの成長は著しいのか!? 結局のところ「寵愛」って毒にしかならないのかなって思いますね・・・。

  ゴルフは「寵愛」から一転して「逆風」に晒されてます。あれほど可愛がってくれた小沢コージさんや、岡崎宏司さんや、国沢光宏さんは、あっさりと掌を返しました。唯一ゴルフはクラス最高!!!との主張を続けているのは福野さんくらい。でもこの状況になって初めて、人々の心が動くんじゃないですかね・・・日本人って「同情的」な民族ですし。だいぶ客足が遠のいているというVWジャパンですが、プリウスやアクアを検討する人を本格的に呼び込むには絶好のタイミングになってきたと思うんですが・・・。


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2016年5月16日月曜日

ゴルフGTIクラブスポーツ 「ニュルFF最速の意味するもの」

  「市販車を売るための演出」言ってしまえばこれに尽きるんですが、自動車メーカーがクルマ好きに向き合って愚直に努力する姿はなんかとってもいいですね。ルノー(メガーヌ)、ホンダ(シビック)に続いて、今回は「VWゴルフGTIクラブスポーツ」と目まぐるしく「タイトルホルダー」が変わります。今後もフォード(フォーカス)やオペル(アストラ)、ヒュンダイ(エラントラ)、プジョー(308)、マツダ(アクセラ)などのアタックもあるのでしょうか・・・。

  WRC(世界ラリー選手権)のRC1クラスに出場するクルマが、DS3(シトロエン)・フィエスタ(フォード)・ポロ(VW)・i20(ヒュンダイ)の4台で2017年からトヨタがヤリス(ヴィッツ)で参戦する予定になっています。これらのクルマはもちろんすべてBセグ車でして、日本から撤退予定のフォードと日本では売っていないヒュンダイという事情を考えれば、シトロエンとVWが日本のWRCファンの注目を集められそうですけども、そこにトヨタがズカズカやってきてパイを横取りする構えです(笑)。

  Bセグ車には活躍の場が与えられていて、スバルなんかにも「Bセグ作って勝ってこい!」といった意見がぶつけられています。それに引き換えなかなか活躍の場が無く、日本でも影が薄くなっているのがCセグです。このクラスはBMWやメルセデスも参入していたり、北米市場のCセグセダンは4600mm前後まで大型化が進み(使いやすいサイズだけど)、スポーティというよりはラグジュアリーを志向するクルマが増え、また欧州向けではワゴンボディが主流になってきています。スバル・レヴォーグなどがこの流れを体現するようなクルマになってます。

  グローバル(北米・欧州・中国・日本・オセアニア)にB・C・Dセグを展開するマツダの販売を見てみると、デミオとアテンザがおよそ1万台(月産)に過ぎないのに、アクセラは4万台(月産)に達するなどCセグの需要は非常に高いのがわかります。日本ではデミオの半分も売れないアクセラなんですが、オーストラリアでは輸入車ナンバー1の地位にあります(右ハンドルが幸い!?)。

  なんで日本ではCセグの人気がないのか!?やはりプリウスという「化け物」が全てを喰ってしまっていてシェアを歪なカタチにしてしまったというのはあると思います。1997年から巻き起こったトヨタとホンダによるHV競争は、まさかのトヨタの圧勝に終わりましたが、その影に公正取引委員会がよく黙っていたなというくらいの「ダンピング」があったことはよく知られています。完全に余計なお世話ですが、そういえばこの頃から「下請けいじめ」みたいな言葉が囁かれるようになったな〜・・・。トヨタの本気に対抗できなかったホンダは、トヨタが「やっている」といわれる下請けへの圧力ではなく、「外注」による開発の多元化に舵をとりました。

  もはや日本ではその存在も忘れ去られてしまっている「シビック・ハイブリッド」ですが、なぜこのホンダの看板モデルが日本で販売されないのか?・・・プリウスにボコボコにやられてしまったことで、ホンダのCセグにおける影響力が日本では低下してしまったことが大きく影響していると思われます。もちろんトヨタにとっても「プリウス」は社運を賭けた一大プロジェクトなわけで、あまりにも一方的に敗北者の側から語るべきではないですし、その後にホンダは日本市場においてフィットや軽自動車に活路を見出していますので、災い転じて福と成すのごとく、負けたことによって成長する部分も大きいと思いますけども。

   そしてプリウスに雪辱すべく、シビックが全てを刷新して日本に凱旋する可能性があることがホンダから明らかにされました。その露払いを務めるかのように、シビックtypeRが日本でもすでに販売されまして、これから納車が始まるようです(イギリスから輸入)。そういえばこのターボ化されたtypeRは開発の最終段階でFFのニュル最速を記録しましたね・・・。さらに遡れば、ルノー・メガーヌがFFニュル最速を掲げてから、一躍ドイツ市場に突入し、あれよあれよという間にホンダ、三菱、日産、マツダ、トヨタの日本勢をまとめて交わし、VW傘下以外ではドイツ国外ブランドでナンバー1の座を奪い取ったなんてこともありました。

  そして今回はVWゴルフGTIクラブスポーツがFFニュル最速をマークしました。VWにとっては昨年の屈辱を晴らして新たなる攻勢の始まりを意図しての決起なのかもしれません。もともとボデー剛性に定評があるゴルフは、市販車で300psに到達しているAWDのゴルフRの評判が良かったです。さらにこれを400psにまで引き上げたゴルフR400も試作車が登場していて来年に発売される予定です。どうやら価格は700万円以上にはなってしまうようですが・・・ゴルフRですでに0-100km/h加速の公式タイムが4.9秒ですから、GT-Rや911ターボの領域(3秒切る!)まで近づきそうな勢いです。

  AWD車による速さへの追求もいいですが、GTIクラブスポーツのタイムアタックの動画(下にリンクあります)を見ると、まるでニュル北コースを市販のFF車が走っているような苦しい挙動が8分間に渡って続いていて、やたらとリアリティがあります。GT-Rや911ターボそれからコルベットといったワイド&ローのスポーツカーだと、あまりにも速いので特別なクルマと特別なスキルのドライバーが走っていて、F1のオンボードみたいですが、これはぜんぜん勝手が違っていて見ていてヒヤヒヤします。タイヤのスキール音も市販車に近い!!!市販車との一番大きな違いはコーナー脱出直後の姿勢制御が素早いことですね。スタビが付いて、FF用のデフ制御が付いて、さらにリアシートを取っ払って軽量化して、Cセグハッチバックで採用できる方策を全て揃えるとここまで走りが変わるのか!!!

  そして映像で見ていてもボデー剛性の高さが大きく効いているのがわかります。これまでFF車のスポーツタイプを作り続けてきたルノーやホンダと完全に肩を並べるクルマを、VWが意外とあっさり作ったのには、案外ゴルフのボデーの素性の良さが大きく貢献しているのかもしれません。ゴルフRの完成度の高さから、アウディ&ポルシェの大幅な関与が噂されていますが、このFFモデル関しても同じなんですかね・・・。タイムアタックのオンボード映像にここまで夢中になったのは初めてです。マツダ車などに乗っている人にはなかなか血が騒ぐ動画になってますよ!!!


ゴルフGTIクラブスポーツのタイムアタック動画

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2016年5月10日火曜日

アウディS8 「中古300万以下で恐らく最強クラスのクルマじゃないか?」

  現行モデルで三代目のアウディのフラッグシップセダンが「A8」その高性能版が「S8」です。ドイツ・プレミアム御三家はメディアにやたらとフラッグシップサルーンを露出させるので、福野礼一郎さんの連載見たさにルボランを毎月買っていると、自然とスペックや価格が頭に入ってきます。普段見慣れないような内装の写真とか出て来ると思わず見ちゃいますから・・・。

  「アウディS8」の初代は4.2LのV8自然吸気で360psを出す高級サルーンらしい設計でしたが、21世紀に入り新たな次元に突入した高性能車の開発競争の中で、2代目は5.2LのV10自然吸気で450psに達しました。10気筒エンジンは当時はいろいろなメーカーで人気で、ホンダの二代目NSXは当初はV10をミッドシップに積んだスーパーカーになる予定でしたが、それは一旦幻に終わりました(いよいよV6+HVで復活)。レクサスはLFAというV10自然吸気の官能GTカーを完成させました。


  それにくらべてS8は「フルサイズセダン」というボデータイプからあまり脚光を浴びることはなく、スーパーカーのエンジンを積んだセダンに対しては市場(特に日本)は全くついてゆけず、北米で発売されているダッジ・チャージャー(V8自然吸気430ps・日本でも500万円程度で正規販売)などのの違いがあまり認識されなかったのも事実です。なんでアウディS8は1500万円もするんだ!?チャージャーは500万円でおつりがくるのに。そういった感じでやや市場からもウケが悪かったようですね。要は「登場するのが早過ぎた」わけです。それが今では「自然吸気のV10搭載の高級セダン」これならば、その辺をちょこまか走っている全てのメルセデスAMG、BMW、レクサス、アウディ、マセラティ、ポルシェに対して「え?V8?エンジン軽くていいね・・・」と軽口を叩けます(12気筒なんてめったにいないよ)。

  乗用車のエンジンとしてはなかなか異彩を放っていた・・・いやいやもはや常識を越えたところにあった5.2LのV10自然吸気から、現行の三代目に代わりいよいよ時代の流れに呑み込まれるようにターボ化が図られました。欧州当局の排ガス規制に合わせるように、アウディでも気筒数ダウンが各モデルでザックリと行われましたが、V10(450ps)からV8ターボ(560ps)への変更は果たしてエコなのかどうか・・・。

  4.0LのV8ツインターボ、1気筒当たり500ccという理想的なエネルギー効率が期待できるシリンダーサイズの設計によって、単純にスペック面で出力は2代目の「450ps」から3代目に追加された「S8プラス」ではなんと「605ps」とおよそ33%の上昇を果たしています。そして日本での販売価格を比べるとこちらも1500万円から2000万円へ33%の上昇。・・・まあ雲上人が乗るパーフェクトなクルマですから、庶民が物申すのは気がひけますけどね。V10自然吸気・・・乗っとく!?

  やっぱりアメリカで高級車をたくさん売る!!!となると、欧州のフルサイズセダン(10万米ドル以上)は、全てマッスルカーの規格までスープアップするしか売る方法がないんですね。600~700psもあると、前に進むのも一苦労な「イカれたスペック」のクルマにしかならないですけど、それを誰でも前に進めるようにする「運転補助機能」の性能の高さを競う時代になっているようです。「商品力を高める」ことが会社の貢献利益に直結している・・・600psクラスのセダンを発売している、「メルセデスAMG」「BMWアルピナ」「アウディ」によるレクサスを蚊帳の外にした争いが巻き起こっています。(何台売れてんのかわかりませんけど・・・)

  野蛮(アメリカン?)過ぎるスペックとか、一般人には理解不能な価格とか、あくまでも日本人の庶民感覚に過ぎないのかもしれないです。2000万円(20万ドル)のクルマだとしても、アメリカ人の0.1%くらいは余裕で購入可能だと思うのでそれだけでも30万台の需要があります。フェラーリの年間製造台数がグローバルでやっと1万台ですから、その10倍以上くらいの需要はあるんじゃないかと・・・。

  同じ割合でいけば、日本だってせいぜい10万台くらいの需要はある計算になります。しかし起業して大成功している若年層の数がアメリカとは段違いに少ないですし、プロスポーツでの成功者の数もハッキリと違うと思います。日本の資産家のほとんどは高齢者というありきたりなデータも・・・。何が言いたいか!? 日本人は今こそこのアウディS8みたいなクルマから目を背けずに、そこに到達できるように人生に算段を付けて張り切って生きるべきだな〜・・・と思うんです(うぜ〜・・・)。アウディA4みたいなありふれたクルマに誤魔化されるのではなく、もっと根元的な欲求に忠実に生きた方がいい。一度きりの人生だからと・・・アウディA3で満足でもいいですけども。自分に嘘を付いてないですか!?(笑)

  さてこの「マッスル化」は日本メーカーにも飛び火するのでしょうか!?まずやりそうなのが、日産とホンダですね。どちらもHVを軸とした高級車向けの高性能ユニットを開発してます。日産はHV以外にもシーマやフーガには北米向けの5.7LのV8があるので、これを過給すれば650psくらいすぐにひねり出せますし、VR38DETTも600ps台に突入していますからそのまま積めばOKです。ただし日産もホンダも品格が備わったフルサイズのセダンボデーが作れるのか?が不安です。販売店がお得意様の趣味をそのまま訊いてきたように、ベージュの内装でちゃちな木目風パネルが貼付けられるようでは・・・。

  1994年に登場してから、3世代のアウディS8はバブル期の熱狂から今に至るまでの高級車の変遷を辿ったマイルストーン的なモデルだと思います。BMW(7er)やメルセデスAMG(S63)が割と変化をこのまずにキープコンセプトだったのに対して、その市場に切り込むための創意工夫が詰まった過去20数年は・・・高級車をあれこれ考える大きなヒントがたくさんあるように思います。中古車価格を見てみれば、やはり日本には馴染まないスケールのセダンだけあってかなり安く2代目ならば200万円台から複数見つかります。5.2L自然吸気のV10を積んだ唯一無二のラグジュアリーセダン・・・よーし試してみるか!?


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2016年5月2日月曜日

シトロエンDS5「セダンやSUVはもういらない・・・これがあればいいさ」

  私たちユーザーはあまりにもクルマに多くのことを求めて過ぎているのかもしれません。「居住性の高いセダン」とか「走行性能に優れるSUV」とかさ。「スポーティに走るミニバン」なんて根強い人気を誇ってますけど、コイツらは元々はスポーティカーだったのか?それともミニバンだったのか? トヨタがスポーツカーを作って、BMWがミニバンを作って、マツダがSUVを作る「カオス」な時代です。いっそのことグループ内で全部OEM(相手方ブランド生産)にしてしまえばいいのに。ダイハツ・コペンにBMWのバッジが付いてたらみんな喜んで買うんじゃね? 3erとかX3とかどこの国の工場で作っているのか知ってるのかな?あれ日本で作っているんですよ!(嘘)

  マツダ・ロードスターがWCOTYを受賞して、なんだかカーメディア界隈は「やっぱりジャンルに対してプレーンなクルマがいいよね!?」みたいな空気を感じますが、そう思っているのは有閑なボッチ野郎だけじゃ・・・。生活感が無いクルマにはプレーンもクソも無い。10年間乗り続けることを考えるだけで、ちょっと死にたくなる。マツダ・ロードスターを不必要に腐すつもりはないけどもですね・・・、これに乗ったことを想像するとちょっとゾッとします。実家の母も家族も恋人も友人も同僚も近所の人も行きつけのクリーニング屋の店長も・・・みんなを「がっかり」させちゃいそうな気がするんです。

  あくまで1台持ちに限った話ですけども、やっぱりクルマ選びってのは、自分中心なのはもちろんですが、普段の生活で接する人々にどういう印象を植え付けるかな?ってことを考えなきゃいけないと思うんですよ。・・・だんだん話のオチがバレてきたかもしれないですけど、「マザコン家族想いな人の最強のクルマ」がこのシトロエンDS5なんじゃないの?って思います。

  シトロエンDS5の動画(デビュー時です)

  数年前の動画なんですけども、全く色褪せない新鮮さに溢れています・・・最新のDS4クロスバックの方が古臭いくらいです。「包容力」を上手く表現したデザインですし、内装をみればなかなか隙の無い高級車な佇まいです。これでいてお値段はそこそこで、オデッセイHVアブソルートやレガシィアウトバックと同じくらいです。値段を聞いたら家族も「良い買い物」だと納得してくれるんじゃないですかね。

  DS5の気品あふれる内装は、マツダ辺りが目指している方向性だと思うんですけども、フラッグシップのアテンザのLパケでもなかなかこの水準にまで到達できていないです。これからCX4やCX9といった中型・大型のSUVで勝負するならば、このDS5くらいに「インプレッシブ」なインテリアを目指さないと、なかなかメルセデスなどからユーザーを奪うのは難しいんじゃないですかね〜・・・。もうパクればいいじゃん。

  スバルはレガシィ・アウトバックがなんとなくこのDS5の世界観に接近しているようです。最近になってちょこちょこ見かけるようになりましたが、アウトバックのエクステリアはDS5みたいに愛嬌があって、それほど腰高なイメージもなく、両親が足腰弱くなってもこれならば十分に乗り降りしやすいだろうな・・・。ちょっと話がそれますけど、話題の新型プリウスですが、これはファミリーカーにしては座面がちょっと低すぎじゃないですか〜!!!これはもはやスペシャルティ・4ドアクーペと表現したほうがいいかも。まあデザイン的にも明らかに狙ってますし・・・。

  あとは国産・輸入で包容力があるデザインといえば・・・「ルノー・メガーヌ・エステート」「ルノー・カングー」「ルノー・コレオス(販売終了?)」「ルノー・キャプチャー」・・・などなど(笑)。やっぱりフランス車乗るなら、ファミリータイプなんですね。どこぞのドイツ車をすっかり真似したプジョー308はどうもフランス車らしくないです。

  フランス車ってBMWとかスバルとかマツダの熱狂的なファンから、「走り」の面でかなり誤解されている部分もあります。そもそも世界最大のアメリカ市場で展開できない時点でメーカーとして二流だと・・・。そういう事言っているヤツに限ってBMW1erとか乗ってたりするわけですが(1erも米国未発売)。「イギリス」「ドイツ」「アメリカ」「日本」のカーメディアで、クルマを語る基準のブランドという意味では、「BMW」「スバル」「マツダ」それから「ポルシェ」「メルセデス」「アウディ」「VW」「レクサス」「日産」には一定の評価があってもいいでしょう。

  しかしそれだけの一流メーカーが揃っても、フランスメーカーの「独創性」は決して輝きを失なってはいません。もう「走り」なんてどうでも良くないか? 家族がみんな笑顔で居られてさ、恋人と快適なドライブが楽しめるクルマでありさえすればそれでいいじゃん。さっきの一流ブランド様の中にDS5の「幸福感」に太刀打ちできるクルマがどれだけあるのか〜?

BMW「4erグランクーペ」(実勢450万円)◯地味な銀色にしてカローラみたいに使い倒す?
スバル「レガシィ・アウトバック」(350万円)◯なかなかの好素材
マツダ「CX5」(300万円)△ちょい普通過ぎる
ポルシェ「マカン」(700万円)×なんかガキっぽい・DS5と真逆のクルマ
メルセデス「GLE」(900万円)×価格を聞いたらお袋が悲鳴
アウディ「A4オールロード」(650万円)×やはり価格を知ったお袋が「アホー」とDISる
VW「ティグアン」(400万円)◯悪くないかも値引き次第でアウトバックと互角
レクサス「NX」(500万円)×マカンの項目を参照
日産「エクストレイル」(300万円)△やっぱり普通過ぎる

BMW、スバル、VWが一応の候補ですが、これにDS5(450万円)を含めた4台で、内装を比べたら・・・まあすぐに結論がでるはず。もう一度言いますが「走り」なんてもうどうでもいい!!!つーかファミリーカーで走っちゃダメです!!!

VWティグアンの動画

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↓DS5・走行0.8万キロで320万円だって!!!