2014年8月1日金曜日

ジャガーXEはCクラスをあっさり追い越すらしい・・・

  今までフーガに乗っていた人が定年を機に、例えば同じ日産のノートなどに乗り換えることを「ダウンサイジング」というらしいです。しかしこれまで「至れり尽くせり」だったフーガから、「移動」という基本性能にしかスポットが当てられていないノートに乗り換えるなんて現実にあるのか?なんて思ってしまいます。一度フーガのようなレベルの高いクルマに乗ってしまったら、その後様々な事情で下位のクルマに乗り換えると、ダメな点ばかりが気になってしまうものです。結局は車両価格を負担するモチベーションは「満足度」ですから、たとえノートの新車で170万円だろうともコストパフォーマンスが良いとはまったく感じられないはずです。

  高級セダンからの「ダウンサイジング」乗り換え候補としてスポーツカーを選ぶ人も中にはいるようで、トヨタ86が販売以来好調なのもこれと無関係ではないと言えそうです・・・さすがは「マーケティングの鬼」トヨタ。そんな86/BRZもデビュー当時から内装の質感アップが要望として根強かったようで、6月に行われたばかりのMCでは、かつてスバルの限定モデルBRZ-tSで使われた高級感あるカーボン調のインパネに変更されました。「前期」から「後期」への進化の幅が予想を超えていて、乗り換えも結構あり得るかもしれません・・・さすがトヨタ! このクルマを「ご隠居カー」として敬遠する人もいるようですが、あらゆる高級車にも見劣りしない「楽しい」乗り味が出せる「スポーツカー専用設計」の長所は素直に認めるべきかもしれません。

  VWゴルフやメルセデスA/CLAクラスなども高級セダンからの「ダウンサイジング」需要をそれなりに見込んでいるようですが、こちらはさすがにクルマの基本性能を下げ過ぎな感があります。もちろん輸入車はグレードに依って全然別のクルマというくらいに、仕様が違ったりするのですが、400万円程度で買える範囲のグレードに関しては、基本的にノートと大きな差はないように感じます。確かに日本車の100万円台前半で買えるクルマから乗り換えれば「ステップアップ」感はそれなりにあると思いますが、高級セダンから乗り換えて無難に満足できるクルマではなく、とりあえず騒音が煩わしいので「却下」と言いたくなるレベルです。

  私の主観も多分に含まれていて恐縮ですが、やはり輸入車においても「ダウンサイジング」でクルマ好きなご隠居から好まれるのは「BMW M235i」や「アウディTT」のような一芸に秀でた小型車のようです。たしかにM235iもTTも「プライベート感」だけで突っ走ったようなクルマなので、冷静にあれこれ考えればいろいろと不都合な点もあれこれと噴出します。しかしこれらのクルマの「不都合さ」はキャビンの質量に不釣り合いなエンジンパワーだったりと「余剰」な部分からくるので、これまで乗ってきた高級サルーンにある程度類似する魅力をその「不都合さ」から発信していたりします。

  「M235i」「TT-S」のようにハイオクで10km/Lに届かない「小型スペシャルティカー」なんて完全に時代遅れだ!と多くの人は思うでしょう。単純に考えれば現行のフェアレディZみたいなものですが、Zに対する日本のカーメディアの冷めた目線「どうせアメリカ向け・・・」は、この「M235i」や「TT-S」へはそれほど向けられていませんが、ライターの歯切れの悪さが気になるものも目立ちます。プロライターも素人もほぼ同じような「概念」を持ってこのクルマを見ています「ポルシェみたいなもの」だと。しかしBMWやアウディが仕掛けるプロモーションは本気そのもので、この2台はまだまだこれから世界の中心で輝くと信じて疑っていない様子です。一体いま世界で何が起きているのか?

  メルセデスの新型Cクラス(W205)が「エアサス」装備(C250)で話題になっていますが、どうやら「プレミアムブランド」を中心とした高性能車のトレンドは、かつて日本車の「ゴールデンイヤー」となった1989年の様相を呈してきています。「ルネサンス」ではないですが、ある種の「巻き戻り」が進みつつあるように感じます。輸入車ブランドに限らず、日本メーカーも同じ傾向を見せています。レクサスがGSとISに新型シャシーを持ち込み、スカイラインが標準グレードで350psを捻り出すハイスペックを誇り、トヨタも日産も「意外にやるじゃん・・・」とばかりにブランドイメージを一新しましたし、もはやレクサスをトヨタの「バッジエンジニアリング」という人はいなくなりました。

  1989年が日本のバブルなら、2014年は中国のバブルだ!という冷静な指摘もあるかと思います。世界中のブランドがハイスペック志向へと舵を取り再び中国を目指して名乗りを挙げ始めています。ドイツプレミアムをコピーしたキャデラックに続いて、フォード・マスタングもマルチリンク装備のグローバル"ハイパフォーマンス"モデルとなって中国でも発売されるようになります。プジョーもアルファロメオもやや遅ればせながら、中国市場に突入するハイスペックなミドルサイズセダンを開発中のようです。トヨタはBMWと組んでさらに「スープラ」を復活させる見通しで、マツダも1989年に舞い戻るかのように「RX7」の復活も目論んでいます。

  現在発売されているモデルの中では、「レクサス」「インフィニティ」「メルセデス」のクオリティは、他のプレミアムブランドよりも一段高い所に置かれています。年内に発表され、間髪を入れずに2015年の上旬には発売されるというジャガーの新型Dセグセダン「XE」もこの3ブランドに追従すると宣言しています。BMW3シリーズやアウディA4といったポピュラーなDセグモデルを飛び越えて、「IS/RC」「スカイライン(Q50)」「Cクラス(W205)」という最先端のコモディティを持つモデルと勝負できる、なかなか「バブリー」なミドルセダンになるようです。

  その基本コンセプトは、高級車用の足回り(サス設計)と軽量化ボディを使うなどW205の設計方針を踏襲しているのが解ります。「軽量化」と「足回り」を突き詰めることがこのクラスの基本性能を上げる為には必要不可欠ですし、3シリーズやA4が根本から作り直さないと勝負にならないほどに高い限界性能を「IS」「スカイライン」そして「新型Cクラス」はすでに持っています。「XE」はこの3台と同等以上の設計を持ち込んでいて、さらに「スポーツカーブランド」としての魅力に拘るジャガーは、新たにターボ化される予定の「新型C63AMG」に完全ロックオンしたV8スーパーチャージャー搭載の「XE-R」までを畳み掛けるように投入する予定です。

  「XJ」「XF」「Fタイプ」とジャガーの既存モデルはいずれもライバル車よりも「高性能かつ低価格」を打ち出しています。複数のメディアが報じるところによれば、「Sクラス」「クワトロポルテ」「アウディA6」「BMW5シリーズ」「ポルシェ911」「日産GT-R」といった超一流どころを相手に互角以上の評価をすでに勝ち得ています。資金力やプロダクト自体は大手ほどに万全ではないですが、Dセグセダンの頂点を獲るべく設計された「IS」、そしてそれを短期間でキャッチアップした「スカイライン」「Cクラス」に続く、素晴らしいDセグセダンとして「XE」が登場しておそらくこの3台よりもお値打ちの価格設定になるのではという期待もあります。まだまだ次のクルマは決められないですね。


リンク
最新投稿まとめブログ
 ↓このシリーズにしては技術説明が詳しくて読み応えがありました!

0 件のコメント:

コメントを投稿