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2018年1月14日日曜日

VWゴルフ(2018 / NO1) 『神』と『哲学』




ゴルフに「全面降伏」ってさ・・・


  プリウスが月に10000台以上売れていて、VWゴルフが2000台『しか』売れない。300万円くらいの予算で、そこそこ名前が知られたクルマに乗っておこうという『中流』感覚な人々はまだまだたくさんいるし、なんだかんだ言っても「プリウス/ゴルフ」周辺のクルマの日本での使い勝手はとても良好です。

  個人的な見解ですけども、Cセグの販売が振るわなかったのは、団塊世代のリタイア直前の時期の現象であり、還暦くらいの人々にとっては日本車のCセグは「安物」に感じる一方で、VWゴルフは40年刷り込まれた「輸入車」のステータスを維持する独特なCセグという扱いだったのじゃないか!?そして楽観的な憶測だけども、これからCセグは売れるようになるのでは!?

ゴルフ、カローラ、シビック一番売れたのは!?

  あと1、2世代のうちにCセグは日本から消えてなくなる!!みたいな予測を立てるプロのジャーナリストもいるみたいですけど、プリウス、ゴルフといった売れるべきクルマはしっかり台数を稼いでいます。その中で40年にわたって日本にも輸入され続けてきたVWゴルフが、しばしばカーメディアで「Cセグの主役」と囃されるのはある程度納得できます。

  その一方でカローラは連続的な開発とは言えない経緯があったし、シビックは日本から離脱していた時期があったけど、それはトヨタやホンダにとって日本市場の虚ろいに踊らされただけじゃなく、トヨタやホンダの幹部もカローラやシビックを「安物」としか見ていたかった部分のあったのだと思う。その時点でカローラやシビックはVWゴルフには勝てないと断じてもいいかもしれないけど、メーカーもライターもユーザーもオッサンはみんな「安物」と断じてしまった世代の『文化的な乏しさ』でドイツに負けたと言っていいのかもしれない。

ゴルフの本当の価値について持論

  マツダのアクセラも、ファミリアの系譜を引き継いでいるのでゴルフに匹敵するキャリアがある。インプレッサやオーリスはまだまだゴルフの半分程度の期間しか経過していない。なのでカーメディアは「ゴルフ凄いね!!アクセラ凄いね!!」ってとりあえず言ってるようだ・・・。

  長い期間販売してそのフィードバックからさらに改良して40年なのだから、ゴルフもアクセラも良くて当たり前。・・・なんですけども、日本の自動車ライターの手にかかるとここから先が大きく歪曲されます。あ?先に断って起きますがゴルフを貶すつもりは毛頭ないですよ!! 「ゴルフは常に時代の最先端」とか何のためらいもなく書けるオッサンライターに訊いて見たい。ハッチバックのボデーはゴルフが最初なのか!?FF横置きユニットは?ダウンサイジングターボは?DCTは?

「ゴルフ7は神」という某有名ライターは・・・

  「どこが最先端なのか?」そこを直視しないでゴルフを語るから、変な『神格化』がすすんでしまうのかな。VWは『神格化』され万能であるべきだったが、ご存知のようにまさかの大クラッシュを起こします。『神』ゆえに大クラッシュです。トヨタが同じ子をも大きく騒がれる出しょうけども、日本向けカローラにゴルフと同じような業界に衝撃を与える影響力があるかどうかは相当に疑わしいです。

  VWの本質は『神』ではなくて、その『哲学』を通して他社のアイディアを冷静に分析して、貪欲に取り入れつつVWなりの見解、主張みたいなものがうまくできているから、ゴルフはファンが多いクルマだと思うんですよ。もちろん神格化したカーメディアだけが悪いというわけではなく、彼らを操縦しているVWのプロモーション戦略も過剰なところはあったと思いますけども。

  ゴルフ7とアクセラ3は間違いなくCセグの基本スペックを押し上げたのは、まあよっぽどのひねくれものでない限りは同意すると思います。ゴルフとアクセラが「粘った」結果、シビックが日本でも復活し次期カローラも近々同じような方向性で参入してくるらしいです。VWとマツダはそれぞれが掲げる「理想」を拗らせつつも、欧州から再びクルマ文化が湧き出す未来を夢見た部分が「少し」はあったからこそ新しい展開があった!?(そこがトヨタやホンダとは違った!?)。

  VWもマツダもそれぞれにCセグの進化のために新開発した機能もあるけど、やはりゴルフやアクセラの「魅力」は、これまでのクルマ文化の集大成として、堂々とクルマを仕上げる「自信」だと思う。ゴルフは、アクセラは、これまでのCセグの全てを飲み込んだ(パクった!!)からこそ、この2台に乗ると、ふとしたステアリング、シート、サスの動きのしなやかさ一つ一つから感動が「染み出してくる」と錯覚してしまうのかもしれない。Cセグの定義はまだまだ完成してはいないけど・・・。


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2017年6月15日木曜日

VWゴルフR 『AWD&ターボでなければ車にあらず!!』

  欧州市場では700ps、800psといったコンプリートモデルまである完全に『輩』なクルマ・・・ゴルフR。ここまでくると日本人の感覚だとほぼ理解不能なお遊びマシンなんでしょうけども、高性能車を相手に堂々のドラッグレースやってたりするので、日本で言うところのスカイラインGT-Rのような存在になっているようです。『R』は伊達じゃないですねー。

  そもそもVWのAWDってどんなのですか!?現行で日本に導入されているモデルはトゥアレグ以外には、ゴルフRとゴルフオールトラックの2車種のみみたいです。『R』のAWDですからトラクション重視で加速性能を高める特性があるのでしょうけども、スウェーデンのハルデックス社製の『カップリング』を使う横置きエンジンのAWD車です。

  あんまり言っちゃいけないことなのかもしれないですが、クルマが好きな人って大概は頭が弱いのか、『AWD』をやたらと複雑に語りすぎる部分があるんですよね。GT-Rが登場して10年も経つんですけど、スバルとアウディのAWDは『センターデフ方式」と言って別格ですよ!!みたいな説明をする雑誌もあります。センターデフもカップリングも前後にトルクを分けるという意味では同じだと思うんですが・・・。しかも軒並みカップリング方式が加速が良かったりするし(ウラカン、GTーRなど)。わざと読者を混乱させようとしているのか? しかもそんなマニアックなことに分け入るのは「モーターファンイラストレーティッド』くらいなものですが、あれれー技術系の権威みたいな雑誌なのになー。

  しかもセンターデフ方式だのカップリング方式だのの議論は不毛。カップリング方式とはどう考えても「オンデマンド機能」(2WDと4WDを効率で使い分ける)が追加されたセンターデフ方式だから。確かに常時50%前後の配分を保つことで、どこからでも加速する瞬発性が得られるし、WRX STIのように電制LSDを駆使して旋回能力を上げるという理屈はあるけど、それはカップリング方式でも「ロック」機能を強化し、同じようなLSDで武装すればいいだけ・・・なはず。なんでスバリストがムキになるかといえば、ゴルフRの加速性能がSTIを上回っているから。つまりコンプレックスを生むスバルの不甲斐ないクルマ作りが悪い。

  「フルタイムAWD」という言い方もすでにナンセンスな気がするのですが、高性能車のレビューでは当たり前のように出てきます。だいたいどんなモデルにも前輪と後輪のトルク配分を変化させる機構が当たり前についていて。一方が100~50%、もう一方が50~0%という配分が多いですけど、0%が出現するモデルは『フルタイム』ではない気がするのですが、BMWのXドライブ搭載車もメルセデスA45AMGも『フルタイムAWD』としばしば記述されます。

  ちなみにゴルフRが使うハルデックス製は、前後輪『どちらも100~0%に可変する』システムです。・・・ということは、もはやこのクルマのベースはFWDなのかRWDなのかすら不明ということです。このシステムは、しばしば凶悪で知られる某日本メーカーのファンから、あからさまにバカにされることもあるようです。オーバースピードでブレーキングしながらコーナーに突入すると、フロント荷重がかかりますが、そのタイミングで前輪が滑り始めると一気にリアにトルクを流すので、操舵も取れないままに後ろから『追突』されたみたいな駆動力が発生して・・・かなり挙動が『不安定』になるとか。もうこれを知っちゃうと試乗ではビクビクしちゃいます。実際はそんな挙動はなかったし、サーキットでも限界の高さは証明済み見たいなんですけどね。とにかく姿勢制御では後輪ブレーキが頑張るらしい。



  ゴルフRが560万円、Rヴァリアントが570万円。ハイラインと比べてもざっと200万円の差がありますが、下取りで十分に取り返せるくらいじゃないか!?という気がします。同じ金額で買えるフェアレディZや420iグランクーぺMスポよりも断然に下取り高そう。GTI(400万円)のオリジナル柄のキャンバス地シートは全然気分がもりあがらないですけど、Rのバケットシートなら嬉しいですし。何よりゴルフの自慢の車体剛性の高さを生かせているのもやっぱり『R』なんですよね。

  どうせだったらセダンタイプの『ジェッタR』とかも作ってWRX STIを挑発すればいいのに・・・『水平対向・縦置きじゃなくても速いよ!!』って。ゴルフファミリーのMQB車には、アウディRS3セダンやTTRSも日本に導入されていて、シビックtypeRもカタログモデルになり、『フロント横置きのエンスー車』=エボ、セリカ、インテグラなど、日本市場に馴染みのなるカー文化が復活しつつある!?M2よりゴルフRの方が刺激的な走りが楽しめる気がするのですが・・・。


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2016年11月23日水曜日

VWの新型ティグアン ある意味でSUVの常識を越えた!?

  まもなく日本でも発売されるであろうVWのミドルサイズのSUVである新型ティグアンが、なかなかとんでもないことをやってのけました。SUVとしては異例のユーロNCAPによる衝突安全基準でハイスコアを出しました。2016年測定車の中ではアルファロメオ・ジュリアに次いで第二位!!!メルセデスEクラスにもまさかの完勝!!!もはや「セダンは安心だから」と言ってられる時代じゃなくなっているのか? ユーロNCAP無敵の帝王といえばボルボ、マツダ、ジャガーの旧フォード勢ですけども、SUV同士の評価に限ればティグアンが最強!!あのプリウスにも負けちゃうボロクソワーゲンがクラスの頂点に立つなんて!!

  「VW(あと三菱とスズキ)に関するデータは鵜呑みにするな!」というご意見もあるでしょうけど、2014年に日本の研究機関にガソリンターボの排ガスの劣悪な処理機構を指摘され、2015年にアメリカの研究機関にディーゼル排ガステストを意図的に無効化するシステムが暴露されてますから、2016年にユーロNCAPに特殊車両を提供!!なんてことは・・・そこまで不祥事は続かないとは思いますけどねー。

  北米で今も根強い人気で販売されるピックアップトラックのシャシーに、たっぷりサイズのボデーを載せた設計から始まったSUVの歩みですが、当初は「SUVが世界を轢きつぶす」としてその操縦安定性の悪さから都市部への拡大にはいくらかの批判もありました。2トン超級のボデーに5Lオーバーの大排気量エンジンが街中を我がもの顏で走れば、当然に車種別の事故率でも上位になっていて、北米では統計を交えた批判本も出てます(日本じゃ考えられない!!!)。

  北米のSUVは「危険で燃費が悪い」です。こういうクルマは日本では目も当てられないくらいに売れないですけど、それでも不思議な存在感を発揮します。SUVに限らずスポーツカーやマッスルカーなどなど。アルコールやタバコ、飽和脂肪酸(動物性脂肪)などなど「不健康なもの」を求めるメンタリティが同じように無意識の内にガソリンを垂れ流すクルマをも好んでしまっているようです。ロータリーエンジン車が復活?だったりフェアレディZが作られ続けたり・・・。

  北米のピックアップトラックは今も専用のラダーフレームシャシーに大排気量エンジンをマウントして販売されています。もはや世界でアメリカにしか許されないであろう設計!!(日本にだって軽規格があるさ!)。北米ナンバー1の売り上げを誇る車種といえばフォードのF150というピックアップトラックで、これをベースにしたエクスペディションという大型SUVがあります。環境対応にも積極的なフォードなので最近ではV6の2.7Lエコブーストも設定されています(2.7の6発ターボのどこがエコなんだ!!!スカGか!!)。

  日本のSUVでもアメリカの伝統的なラダーフレームを継承しているのが、ランクルとパジェロ、それから小型ボデーに大きめのエンジンで武装するスズキの旧型エスクード(現在も販売継続)です(あとはジムニーシエラとジムニーもラダーです)。ジムニー以外のモデルは燃費の悪さが敬遠されて日本では少数派になってまして、日本のSUVといえばもっぱら量販車と共通のプラットフォームを使う「なんちゃってSUV」が主流です。

  1997年にトヨタが北米向けに開発した「ハリアー」が大ヒットしました。北米でベストセラーになっていたカムリのシャシーを使ったことで高い信頼性を確保し、開発コストも低減できるアイディアモデルでした。カムリ譲りの走行安定性が高い評価を得て瞬く間にラダーフレームSUVから市場を奪い始めます。これに追従したのが日産で2002年にティアナをベースとする「ムラーノ」を発売して日産自慢の3.5L自然吸気VQエンジンを搭載して人気となります。トヨタも2003年の2代目ハリアーでは3.5Lを搭載して対抗し、瞬く間に北米市場を席巻します。

  同時期に発売されたBMW・X5(2000年〜)など、SUVのヒット車が連発したこともあって、北米と日本からクロスオーバー・ブームが広がります。当時はまだまだ衝突安全基準の評価(NCAP)が黎明期で広く報じられることもなかったですが、北米市場がいち早く始めた「評価」によって売れ筋のSUVが片っ端から低い成績で、堅牢なイメージがあるBMW・X5でさえも部分によっては「POOR」評価を受けるなど、SUVの弱点が噴出しました。ちなみに「SUVが世界を轢きつぶす」という本もこれを受けて2004年に書かれました。ただし衝突安全の評価は一般ユーザーの認識にまでは浸透せず、売れ行きは今も右肩上がりです。

  北米・日本でのブームが、中国の市場拡大によってさらに加速し、中国向けにアメリカ仕様よりも小型になったコンパクトSUVが、今度は成熟・飽和市場であったはずのフランスやイギリスに飛び火します。ハリアーも2013年の三代目からはカムリではなく、北米カローラ(オーリス)のCセグをベースに設計され、日産もムラーノを撤収し新たにCセグのセントラ(シルフィ、パルサー)をベースとしたローグ(エクストレイル、キャッシュカイ)による世界同時発売を行っています。同じようなCセグベース設計でマツダもCX5を、スバルもフォレスターとエクシーガクロスオーバー7を投入しています。

  しかしこれら2012年頃から登場した日本メーカー群による「なんちゃってSUV」は、乗用車トップレベルの安全基準を得ることはできておらず、いずれもベース車に衝突安全基準で劣るというデータが出ています。縦方向に拡大したボデーは当然ながら堅牢さは弱まりますし、大径タイヤを支えるタスクが要求されるシャシーに、ストロークが長めのサスペンションコイルの組み合わせも、当然ながら衝突による衝撃入力に対する強化を施す必要のある「角度」が水平方向からより多くなりますので、軽量化との両立が難しくなります。キャビンを大きくし、冠水路面の走行を可能にする車高を確保することで、通常走行時の安全性が犠牲になっているという宿痾から逃れられません。なぜかこのような背反で二項対立的な局面になるとそれ以上の追求をあっさりと諦めるのが日本メーカーの特徴なんですよね・・・。

  SUVの弱点はシャシーやボデーの強化が難しいだけでなく、開口部が広く大型化されているリアゲートが究極の弱点だと言われています。こういうコトを書くと、どんなクルマだってダンプに突っ込まれればジ・エンドだ!!なんてNCAPの存在価値そのものを否定してくる人もいますが・・・。私はマツダというメーカーが好きなのですが、その一番の理由はハンドリングでもスタイリングでもなく、安全性能に対する妥協ない努力が感じられるからです。そんなマツダでもCX5は低い得点でした。同じように安全性で信頼できるメーカーであるボルボ、スズキ、日産、ホンダに関してもやはりSUVでは大きく点数が下がります。(ス◯ル、メル◯デス、B◯Wは車種によって差が大きいです。「安全」を完全にナメているスコアを平気で出すところが嫌いです・・・700万円もするあの新型フルサイズセダンも酷いことになってますよ)

  さて・・・冒頭の話に戻りますが、VWです。安全性のアベレージが圧倒的に高いDセグのさらに頂点を目指して設計されたアルファ・ジュリアも見事ですけども、それとあまり遜色が無いレベルのスコアを出した新型ティグアンも素晴らしい!!!昨年末から苦境にあるVWが、存続を賭けて多少はコスト度外視してでも「安全なSUVを作ろう!」と努力したようです。ドイツでは今年の春から発売されていますから、タイミング的にも「再出発」の思いが強く隠ったモデルなんだと思います。まだ日本価格は一切公表されていませんが、VW買うならコレじゃないですか?デザインも渋くていい!!グレーメタリックで!!

2016年7月19日火曜日

VWゴルフ FFスポーツに活路を見出す!?そして世界が動く・・・

  「FFスポーツモデル」の販売の盛り上げに、日本と欧州の幾つかの陣営が積極的に動いています。比較的手頃に愉しめる価格帯でスポーティなクルマはもっと売れていい!その潜在的な市場を掘り起こすために、複数の陣営が『小競り合い』を演出することで、少しでも多くの人に注目してもらおうといったマーケティングのようです。クルマにはあまり興味がないオッサンが「カッコいいかも!?」といった軽い好奇心で引き寄せられる「怪我しないスポーツカー」市場は、メーカーの予測をはるかに上回るシェアが隠れているようです。

  FFという駆動方式は、パッケージに優れるばかりでなく、軽量化もしやすい構造上のアドバンテージもあるので、アプローチによってはRWD車と同等以上に軽快なハンドリングを追求することもできます。つまりRWDで軽快なハンドリングを追求すると「マツダ・ロードスター」「ホンダS660」「ロータス・エリーゼ」といった、乗用車としてはなかなか潰しが効かないクルマになってしまいますが、FFベースならば「ルーテシアRS」「アルトワークス」「アウディS(AWD)」といった、ある程度の実用性を兼ね備えつつも『スパルタン』なモデルが可能です。

  この利便性を前面に押し出してプロモーションすればFFスポーツは絶対に人気が出るはず!!とは思うのですが、そんな思惑を軽くぶち破ったのが2012年に華々しくしくデビューした86/BRZで、同年に惜しまれつつ消えていったRX8の『喪失(ロス)』を全く感じさせない活躍をみせました。FRのドリ車として迫力のイメージ、4座による実用性の高さ、徹底的なコスト管理で実現した低価格・・・これだけ揃えられてはシビックtypeRみたいなクルマがたくさん売れる余地はなく、FFスポーツにとっては完全に逆風が吹きました。

  この86デビューによって俄に盛り上がりを見せたスポーツカー市場では、RWDのスポーツカーばかりが脚光を浴びました。86の大成功の裏では、先代よりも圧倒的にデザインが良くなった現行のポルシェ・ボクスター(718ボクスター)が、これまた歴代ポルシェの記録を塗り替えるほどの大ヒットを日本で記録していました。86の登場によってスポーツカーが注目され、スポーツカーが欲しくなったユーザーの中には一定の割合で、「もっと本格的なモデルを!」という希望もあり・・・それを600万円そこそこの適度な価格のボクスターがごっそり持っていった!!というのが真相じゃないかと。

  2015年には86の乗り換え需要を睨んだかのようにマツダロードスターとホンダS660が登場しました。86に3年乗ってみて、「やっぱり屋根開いた方がいいな!」と感じていたユーザー層が当然ながらに乗り換えに動いたでしょうね。それにしても86の中古下取り価格はトヨタの見事な戦略?によってかなり高値で安定しています。乗り出し300万円で3年3万キロなら余裕で150万円以上になるようです(乗り換えラクチン!)

  スポーツカーの王道といえるRWDのモデルが次々と登場して盛り上がっていますが、その影に隠れてひっそりと消えて行くのが決まっているのが、ホンダCRZとプジョーRCZといったFWDのスポーツモデルです。手軽に乗れるスポーティなモデルとして今後の主流になっていくか?と思いきや、この2台はあくまでアウディTT基準で設計されているので、ユーティリティ面では期待できなかった・・・。さらに日本のスポーツカー・ユーザーは非常に保守的なようで頑なにRWDを志向しますし、最終的にはトヨタの大英断(86発売)によってトドメを刺された格好になりました。一時はFFのスポーツモデルの最前線にいたマツダやホンダが気がつけば完全に「RWD路線」へと鞍替えしています。

  「FFニュル最速」と鳴り物入りで日本にやってきたルノー・メガーヌRSも、プロモーションの成果も虚しく日本では全く火が付く気配がないです。アウディが用意した超絶ホットハッチのS1も『さっぱり』です。どうやらFFベースで400万円越えたらアウトみたいですね。日本市場はなんだかんだ言っても輸入モデルに対しては難攻不落な場所で、単純に価格下げるしか突破できる道が見つからないですね(日本価格だけ高いなんて論外!)。特にFFモデルには厳しいですね。やっぱり『あの漫画』の影響が大きいのでしょうね。FF車に乗っているキャラクターはやたらと性格が悪いカス野郎として描かれてましたから・・・(ランエボも酷い扱いでした)

    さてそんな『中二病』?で末期的なスポーツカーユーザーの根性を叩き直すために、欧州メーカーの大ボス・VWが本腰を上げて、突然にスポーティ路線を採りはじめました。VWも『ちょっとした』問題発生で騒がれてしまい、日本での販売も低迷しましたが、今年に入って早くも徐々に販売台数も回復しているようで、さらにこの苦境から完全に抜け出して、新たなファンを獲得するためのプロモーション戦略の『始動』といったところみたいです。

  もちろん何のコトを言っているかというと「FFニュル最速」の称号をニュルブルックリンクがある地元ドイツ勢の手に取り戻して、ドイツ自動車産業の誇りを取り戻した件です。フランスや日本のメーカーにレコードを獲られるのは『国辱』ですから、そんなナショナリズム的な国威発揚的な意味があります。ドイツは羨ましいですね。日本にも海外メーカーが来るサーキットすらない・・・。某日本メーカーはラグナ・セカ(アメリカ・カリフォルニア州)の命名権なんて買っている場合じゃないよ〜。

  近年はニュルでの度々の『屈辱』が報じられるポルシェ(エンジンで勝てないからEVってさ〜)に代わって、ポルシェよりも速いVWまでが出てきています。ポルシェのユーザーにとってはちょっと看過できない事態ですけども、実際に0ー100km加速もニュルのタイムもノンターボのポルシェでは軽く負けちゃうレベル。もちろんVW車も加速重視の超絶モデルはゴルフR400というAWDになりますけども、欧州ではすでに発売されているFF駆動のGTIクラブスポーツの「S」という特別グレードもこれまた相当に速いのだとか。

  VW本格参戦でなかなか面白い展開になってきました。一般ユーザーからの信頼が薄れたVWは、カーメディアを使って下手にステマをするよりも、直球勝負で世界に「VWはやはりナンバー1だ!」と刻み込ませる戦略を採りはじめたようです。安易なメディアプロモーションによって販売台数を底上げするのではなくて、スポーツモデルでファンを掴むという『ピュア』な戦略によってブランド力の回復と新たなる市場開拓が狙いでしょうね。そしてなによりも『ゴルフのシャシー性能の高さ』を考えると、それを使ってスポーティなモデルによってポテンシャルの高さを見せつけるという戦略は非常に理にかなっていると思います。BMWもフォードも一目置くVWのシャシーに、圧倒的な資金力を投じて開発したスポーツエンジンを積めば、FF車を生産するブランドで追従できるところは無いはずです。


  そんなVWに絡んで知名度を上げようとするメーカー(挑戦者)は出てくるでしょうね。あまり資金力が無いブランドにとってこれは絶好のチャンスです。「86の波」に乗れなかった残念組というわけではないですが、今度こそは!!!とAMG、フォード、ルノー、プジョー(PSA)、ホンダ、マツダ、日産といった名だたるエンジン屋がすでに臨戦態勢です(日本撤退のフォードが惜しいなー)。VWが示す水準あるいはそれ以上の領域で各ブランドが火花を散らせば、86やロードスターどころか、『出足&二の足』で911やコルベットを軽くぶち抜いていく350~400psクラスのホットハッチが世界中で目撃され、ハッチバック・レヴォリューションと呼ばれる日々がやってくるのも近いのでは・・・日本では販売なしか!?(何言ってんだコイツ!?と思った人は下の動画見てみて!!FFマジで熱いです!!)



2016年5月24日火曜日

VWの逆襲! 日本市場での適正価格化で反撃開始!?

  「ピンチのときこそが最大のチャンス」・・・しばしば自己啓発本で引用されるフレーズですけども、年商数兆〜10兆円以上の規模を誇る途方も無い自動車メーカーでも、これが見事に当てはまっています。数年前まで赤字をぶっこいていたスバルやマツダが今では完全復活を果たし・・・という話だけでなく、比較的に短いスパンを経て機能不全状態だったロータス、ジャガー、ボルボ、マセラティなどがどんどん復活してきました!!!どれも数年前はブランド消滅までカウントダウンといわれてましたけどね・・・。

  VWも日本市場での戦略の見直しが急ピッチで行われていて、ポロもゴルフもボトムグレードの価格が引き下げられました。VWジャパンの新社長ティル=シェア氏は、ダテにカルロス=ゴーンさんに似てるだけじゃなくて、仕事も出来るトップみたいですね!!!マカオや香港のベントレー統括からの移籍みたいですが、東アジアで成功するタイプの顔つきなのかも!!!

  さて新社長の就任早々に発表されたのが、日本価格の改定で、「ポロは199万円〜、ゴルフ249万円〜」というなかなかわかりやすい設定になりました。ついでに「パサートも299万円!!!」にしてしまえばコレも火が付くんじゃないですか!? VWが本腰を入れる北米市場でカムリやアコードに対抗するには、日本市場でコアなユーザー層にコミットできるかどうかじゃないですかね。アッパーセダンなんてカスタム大好きな層に受け入れられてこそ!アンダーグラウンドなVカースタイルで北米にも浸透するはず・・・。マジェスタやフーガはもう古い!!!これからはパサートだ!!!と言わせるくらいのポテンシャルはあると思いますよ。元ヤンの福野さんもパサートのデザインにはビビっと来ていたようですから。

  それでもVWの本丸はやはり「輸入車ナンバー1」を堅持しているゴルフとその弟分のポロですね。ゴルフ249万円は確かにインパクトあります。ヨタさんの「リス1.2T」が259万円ですからコストパフォーマンスは「相対的」に十分かと・・・。しかーし!!!くだんの特別仕様車のせい?でか超絶不人気車となっているリスなんか眼中に無し!!!ただ単に「三河産ヨタより安いっすよ!!!」っていう宣伝効果こそあるでしょうけど・・・。相手はやっぱりBMWですか!?いやいやミニ(228万円〜)や1er(299万円〜)を意識しているというよりは、むしろ狙いは日本で売れてるクルマ!!!そうです!!!アクア(『G」で201万円〜)とプリウス(243万円〜)にロックオンしてます。

  クルマが好きで好きでたまらない人なら別ですが、たいていのユーザー(ちょっと暇な人)は新車を買うときにディーラーを2〜3つくらいを回って決めているはずです。まずは大本命のトヨタ系ディーラーに行ってアクアを見てから、具体的な230万円くらいの見積もりもらってその場で、ミニだったらどれくらいになるのかな?アウディA1なら?なんて妄想がチラチラするんじゃないでしょうか。「ミニはみっともない、アウディは気負い過ぎ」という社会派な人々ならば、マツダでデミオXD(ツーリングLで201万円)に行くか?そしてVWに行くか?くらいが選択肢になるんじゃないですかね。この段階でノート、スイフト、フィットは170万円前後の攻防ですからとりあえず・・・アウト・オブ・眼中。「上しか見ない」クルマを買う時のテンションってそんなもんですね(特に新車)。

  プリウスのライバル関係となるともっとシビアで、おそらく現状ではライバル不在です。スバル(インプレッサ)やマツダ(アクセラ)のこのクラスはグローバルでは良く売れる反面、日本ではそこそこ(=むしろ不人気)です。「建前」ではクルマ好きならプリウスよりアクセラ!!!なんですけども、それでも販売数で10倍の差が付くわけですから、「本音」は全く別のところにあります。結局のところスバルやマツダってのはさ〜・・・日本においては、フラッグシップ(レガシィ、アテンザ)かスポーツカー(WRXSTI、ロードスター)のどちらかを買って満足する為のブランドでしかないです(マツダはSUVで結果出てますが・・・)。

  メルセデス「Aクラス」(296万円〜)とBMW「1er」(298万円〜)もプリウスの対抗馬としては完全に役不足です。日本車に偏見を持つ「ジジイ」や「バブル女」にはウケてるみたいですけど、アレはさすがにみっともない・・・っす。プライド持てよ〜って周囲のドライバーからちょいバカにされますね。誰も表立ってそんなこと言わないですけども、・・・実際は新型プリウスでは300万円を越える本体価格の「Aプレミアム」がスゴい人気で納車待ち半年です。198万円のほぼ未使用のAクラスや1erの新古車がいくらでもあって即納可能なのに、わざわざ半年も待つ人がたくさんいるんです!!!これを「燃費」の亡者の愚かな消費行動としか理解できないカーメディアは本当に失笑ものです。

  プリウスって発売以来、世界中のカーメディアから誹謗中傷まがいの営業妨害にさらされましたが、トヨタはまったく挫けることなく世間を納得させることに成功しました。厳しい声の中で4世代の進化を遂げてきた!!!そして上位グレードは同じ機構を持つレクサスCTと同等の価格帯まで上昇しましたが、CTを完全に呑み込む「存在」にまで成長しました!!!なぜカーメディアが絶賛するアクセラやインプレッサの成長はゆるやかで、プリウスの成長は著しいのか!? 結局のところ「寵愛」って毒にしかならないのかなって思いますね・・・。

  ゴルフは「寵愛」から一転して「逆風」に晒されてます。あれほど可愛がってくれた小沢コージさんや、岡崎宏司さんや、国沢光宏さんは、あっさりと掌を返しました。唯一ゴルフはクラス最高!!!との主張を続けているのは福野さんくらい。でもこの状況になって初めて、人々の心が動くんじゃないですかね・・・日本人って「同情的」な民族ですし。だいぶ客足が遠のいているというVWジャパンですが、プリウスやアクアを検討する人を本格的に呼び込むには絶好のタイミングになってきたと思うんですが・・・。


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2016年5月16日月曜日

ゴルフGTIクラブスポーツ 「ニュルFF最速の意味するもの」

  「市販車を売るための演出」言ってしまえばこれに尽きるんですが、自動車メーカーがクルマ好きに向き合って愚直に努力する姿はなんかとってもいいですね。ルノー(メガーヌ)、ホンダ(シビック)に続いて、今回は「VWゴルフGTIクラブスポーツ」と目まぐるしく「タイトルホルダー」が変わります。今後もフォード(フォーカス)やオペル(アストラ)、ヒュンダイ(エラントラ)、プジョー(308)、マツダ(アクセラ)などのアタックもあるのでしょうか・・・。

  WRC(世界ラリー選手権)のRC1クラスに出場するクルマが、DS3(シトロエン)・フィエスタ(フォード)・ポロ(VW)・i20(ヒュンダイ)の4台で2017年からトヨタがヤリス(ヴィッツ)で参戦する予定になっています。これらのクルマはもちろんすべてBセグ車でして、日本から撤退予定のフォードと日本では売っていないヒュンダイという事情を考えれば、シトロエンとVWが日本のWRCファンの注目を集められそうですけども、そこにトヨタがズカズカやってきてパイを横取りする構えです(笑)。

  Bセグ車には活躍の場が与えられていて、スバルなんかにも「Bセグ作って勝ってこい!」といった意見がぶつけられています。それに引き換えなかなか活躍の場が無く、日本でも影が薄くなっているのがCセグです。このクラスはBMWやメルセデスも参入していたり、北米市場のCセグセダンは4600mm前後まで大型化が進み(使いやすいサイズだけど)、スポーティというよりはラグジュアリーを志向するクルマが増え、また欧州向けではワゴンボディが主流になってきています。スバル・レヴォーグなどがこの流れを体現するようなクルマになってます。

  グローバル(北米・欧州・中国・日本・オセアニア)にB・C・Dセグを展開するマツダの販売を見てみると、デミオとアテンザがおよそ1万台(月産)に過ぎないのに、アクセラは4万台(月産)に達するなどCセグの需要は非常に高いのがわかります。日本ではデミオの半分も売れないアクセラなんですが、オーストラリアでは輸入車ナンバー1の地位にあります(右ハンドルが幸い!?)。

  なんで日本ではCセグの人気がないのか!?やはりプリウスという「化け物」が全てを喰ってしまっていてシェアを歪なカタチにしてしまったというのはあると思います。1997年から巻き起こったトヨタとホンダによるHV競争は、まさかのトヨタの圧勝に終わりましたが、その影に公正取引委員会がよく黙っていたなというくらいの「ダンピング」があったことはよく知られています。完全に余計なお世話ですが、そういえばこの頃から「下請けいじめ」みたいな言葉が囁かれるようになったな〜・・・。トヨタの本気に対抗できなかったホンダは、トヨタが「やっている」といわれる下請けへの圧力ではなく、「外注」による開発の多元化に舵をとりました。

  もはや日本ではその存在も忘れ去られてしまっている「シビック・ハイブリッド」ですが、なぜこのホンダの看板モデルが日本で販売されないのか?・・・プリウスにボコボコにやられてしまったことで、ホンダのCセグにおける影響力が日本では低下してしまったことが大きく影響していると思われます。もちろんトヨタにとっても「プリウス」は社運を賭けた一大プロジェクトなわけで、あまりにも一方的に敗北者の側から語るべきではないですし、その後にホンダは日本市場においてフィットや軽自動車に活路を見出していますので、災い転じて福と成すのごとく、負けたことによって成長する部分も大きいと思いますけども。

   そしてプリウスに雪辱すべく、シビックが全てを刷新して日本に凱旋する可能性があることがホンダから明らかにされました。その露払いを務めるかのように、シビックtypeRが日本でもすでに販売されまして、これから納車が始まるようです(イギリスから輸入)。そういえばこのターボ化されたtypeRは開発の最終段階でFFのニュル最速を記録しましたね・・・。さらに遡れば、ルノー・メガーヌがFFニュル最速を掲げてから、一躍ドイツ市場に突入し、あれよあれよという間にホンダ、三菱、日産、マツダ、トヨタの日本勢をまとめて交わし、VW傘下以外ではドイツ国外ブランドでナンバー1の座を奪い取ったなんてこともありました。

  そして今回はVWゴルフGTIクラブスポーツがFFニュル最速をマークしました。VWにとっては昨年の屈辱を晴らして新たなる攻勢の始まりを意図しての決起なのかもしれません。もともとボデー剛性に定評があるゴルフは、市販車で300psに到達しているAWDのゴルフRの評判が良かったです。さらにこれを400psにまで引き上げたゴルフR400も試作車が登場していて来年に発売される予定です。どうやら価格は700万円以上にはなってしまうようですが・・・ゴルフRですでに0-100km/h加速の公式タイムが4.9秒ですから、GT-Rや911ターボの領域(3秒切る!)まで近づきそうな勢いです。

  AWD車による速さへの追求もいいですが、GTIクラブスポーツのタイムアタックの動画(下にリンクあります)を見ると、まるでニュル北コースを市販のFF車が走っているような苦しい挙動が8分間に渡って続いていて、やたらとリアリティがあります。GT-Rや911ターボそれからコルベットといったワイド&ローのスポーツカーだと、あまりにも速いので特別なクルマと特別なスキルのドライバーが走っていて、F1のオンボードみたいですが、これはぜんぜん勝手が違っていて見ていてヒヤヒヤします。タイヤのスキール音も市販車に近い!!!市販車との一番大きな違いはコーナー脱出直後の姿勢制御が素早いことですね。スタビが付いて、FF用のデフ制御が付いて、さらにリアシートを取っ払って軽量化して、Cセグハッチバックで採用できる方策を全て揃えるとここまで走りが変わるのか!!!

  そして映像で見ていてもボデー剛性の高さが大きく効いているのがわかります。これまでFF車のスポーツタイプを作り続けてきたルノーやホンダと完全に肩を並べるクルマを、VWが意外とあっさり作ったのには、案外ゴルフのボデーの素性の良さが大きく貢献しているのかもしれません。ゴルフRの完成度の高さから、アウディ&ポルシェの大幅な関与が噂されていますが、このFFモデル関しても同じなんですかね・・・。タイムアタックのオンボード映像にここまで夢中になったのは初めてです。マツダ車などに乗っている人にはなかなか血が騒ぐ動画になってますよ!!!


ゴルフGTIクラブスポーツのタイムアタック動画

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2016年4月22日金曜日

VW復活へ・・・良いクルマが増えてる!

  昨今ではプロのライターがVWをあからさまに褒めると、読者からも同業者からも疑惑の眼が向けられるようです。いいじゃん別に提灯記事書いたってさ。一般メディアの執拗な報道により日本市場の販売シェアを大きく失ったVWが、再び本来のポジションへ復帰する道のりはなかなか前途多難なようです。プロのライターが書かないなら、変わりにド素人でクルマのこと何もわかっていない私が書いてやろうじゃないか!(VWにとってはいい迷惑かも)

  日本メーカーのクルマも全く売れないどん底なのに、お金を貰って輸入車をやたらめったら褒めるとは何事か!!けしからん!!・・・それでも諸外国と比べても国産車シェアが90%と異常なほど高い日本ですから、もっと門戸を開けることが大切なのかな!?時たまそんな正論を吐くカーメディアに出くわすとこれはもっともに思えます。全ての輸入車ブランドがフォードみたいに日本市場から逃げ出してしまったら、さすがにツマラナイですよね。

  しかしですよ!今よりももっともっと輸入車が希少だった時代(バブル期)だったからこそ、日本では伝統的に輸入車の価値が高かったわけですから、輸入車のシェアが10%を越えてさらに今後は20%まで拡大するとい事態ならば、その分だけ希少価値は下がるので、価格ももっともっと下がっていいはず。需要曲線が示すごとく、2000年代中頃から人気ブランドでも価格がやや控えめのモデルが増えてきた結果として輸入車シェア10%という数字を達成したともいえます。メルセデスもBMWもアウディも200万円台に突入した上での数字です。

  そんな中で価格をなかなか下げようとしなかったVWは、数年前に輸入車シェア1位をメルセデスに明け渡し、今年はいよいよBMWにまで抜かれてしまいました。うーん。VWには売るべきクルマがないのか?インド産のポロとか大量に持ってきて「179万円」くらいでバラまいても十分に利益が出るはずなのに・・・。

  それでもせっかくVWに乗りたい!という人が居たならもっと「らしい」クルマをオススメしたいです!VWのブランド本来の価値は、輸入車ゆえの割高なイメージをそれほど感じなくても、優れたスペックで中身の詰まったモデルが買えることです。ラインナップを見てみると今でもその伝統は生きていて、さすがは元々首位のトップブランドだけあってオススメしたいクルマはそこそこ揃っています。

  まず1台目は「ゴルフGTI」です。従来からVWの絶対性能を示す代表的なモデルでしたが、昨年の中頃からMTモデルが日本でも復活しました。趣味のクルマとしてゴルフGTIをさくっと買える(総額400万円くらい)世代に向けたものでしょうが、元々ベースのゴルフとは違う仕様のDCTを搭載していて、駆動系のフィールには定評があったので、これから買う人にとってはもしかしたら余計な悩みが増えたかもしれません。「男だったらMTだよな・・・」みたいな変なプライドが意図せざる選択をするかも。

  同じくMTモデルが復活したポロGTIに関しては、DCTがゴルフのベースモデルと同じで若干ギクシャクする廉価タイプなので、WRC参戦車両としてのポロのスポーツ性を追求するならばMTの選択が多くなるような気がします。ポロGTIは2016年モデルからめでたくエンジンの乗せ換えが行われました。これまでのポロは1.2Lモデルが南アフリカでの委託製造で、1.4Lモデル(GTIとブルーGT)がVW系列のスペイン・セアトの工場で製造されていましたが、これまで通り生産地の変更は無いものの、GTIは新たに1.8ターボに変更になりました。

  それに伴って車重がいくらか増えたり燃費が若干は悪化したわけですが、1.2Lや1.4Lでは高速道路の巡航時にエンジンがうなって煩わしかったので、これに関してはかなりの改善が見込めます(高速走るなら1.8L以上は欲しい)。ただしポロの狭いボデーで遠距離を走るのは居住性という意味ではかなりしんどいとは思いますが・・・。

  ポロGTIと同じエンジンが使われていて、長距離もこなせるゆとりのボデーを持って登場したのが、ゴルフ・オールトラックというCセグワゴンをベースとしたクロスオーバーモデルです。北米で異様な盛り上がりを見せるSUV市場で完全に後手を踏んだVWが、少々急ごしらえで用意した北米VW(メキシコ)の現地生産モデルです。クルマの存在感はゴルフ・ヴァリアントやパサート・ヴァリアントと見間違えてしまうくらいで、車高がいくらか高いくらいです。

  しかし日本市場に投入されているゴルフVとパサートVはいずれも1.4L(ゴルフV-Rを除く)なので、同じタイプのVW車で低速トルク仕様の1.8Lターボが搭載されるのはこのオールトラックのみです。しかも本体価格が347万円ですから、日本市場で今でも大人気のスバル・レヴォーグやマツダ・アテンザワゴンなどとも「ガチンコ勝負」ができるほど輸入車としてはコスパに優れているのが特徴です。

  あと2台くらいオススメさせて欲しいのですが、1台は大型SUVの「トゥアレグ」です。日本で販売されるVW車としては現行では唯一のV6&AT装備車です。VWがグローバルでのライバルとなるトヨタ傘下のアイシンAW製ミッションを使っているというのも興味深いです。一般に広く知られていることですが、このクルマはあのポルシェ・カイエンと共通設計の姉妹車でして、カイエン(860万円〜)に比べてトゥアレグ(637万円〜)は200万円以上も安いです。カイエンの日本価格がボッタクリなだけですが!BMWのX5(860万円〜)と比べても性能面で全く引けをとらないですし、ファミリーカーとしてならかなりコスパにも優れていると思います。

  もう1台ですが、あまりにもエンジンに偏った選び方をしたので、最後の1台はVWの代名詞とも言える1.2Lターボを配した「ザ・ビートル・ベース」です。VWのブランド初期に見られたスタイルをリバイバルさせたボデーが日本でも多くのファンを獲得しています。234万円という優れたコスパも光ります。欲を言えばライバルのルノー・ルーテシアやミニ、プジョー208のようにMTモデルも設定されるともっと魅力的なクルマになると思いますが、それはあくまでクルマ好き目線であって、ザ・ビートルのシリーズはVWの懐を広げ特に女性ファンを増やす非常にポジティブな存在だと思います。

  VWは今後SUVラインナップが拡充されるでしょうし、一時的に日本市場から消えているシロッコやCCなども再び日本に戻ってくれば、多種多様な価値を求めるクルマ好きの注目を集めるブランドへと復活していくでしょう。ケイマン/ボクスターと共通設計のスポーツカーがポルシェよりも200万円安く出てきたら嬉しいですね!今後のVWに注目したいです。

動画リンク「VWシロッコRはカッコいい!!!」

  

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2015年6月28日日曜日

ゴルフヴァリアントR 「レヴォーグの成功&欧州上陸で急遽?」

  いよいよMQBの本領発揮というところでしょうか?  まるで3Dプリンターのように設計の自由度が高く、いろいろなボディタイプとパワーユニットを組み合わせることができるというのはなかなか便利なようです。といっても従来の工法でもヴァリアント(ワゴン)のボディにゴルフRのユニットを組み込むことはそれほど難しいことではなさそうなので、実際のところはMQB云々ではなくて、「レヴォーグ」や「メガーヌエステートGT220」が高い走行性能に加えて、なかなか個性的なスタイリングを誇るようになり、VWグループの看板モデルである「アウディA4アバント」の市場を土足で荒らすようになった事態への対処がホンネなのかもしれません。

  本体価格でおよそ600万円の「アウディA4クワトロ2.0TFSI」ですが、現状のライバル関係を考えると、ゴルフGTIと同等程度の211psの出力ではプレミアムワゴンとしては少々魅力が不足?ではないかという気がします。アウディの質感の高い内装を考えれば、価格は納得という声もあるでしょうけど、せっかく600万円出してプレミアムワゴンを買うならば他にも目移りしそうなモデルがたくさんあります。例えば「ボルボV60T6」は同じ600万円で安全やパワーユニットの面では非常に魅力的です。横置きながらも直6ターボを使って333psを発揮する上、ワゴンデザインが得意なボルボですから非常に満足度が高いクルマです(残念ながらT6の生産が終了した模様)。さらに「BMW320dツーリング」は売れ線グレードの本体価格が550万円とA4に比べお買い得で、Mスポ仕様でも580万円です。ワゴンという荷室に特徴があるキャラクターだからこそ、トルクが高いディーゼルユニットがいい味を出しています(ワゴンこそディーゼルだ!)。これでAWDモデルがあればいいのですけど・・・。

  ほかにもいろいろと候補はあるでしょうが、要するに「A4アバント」の競争力がここ数年で急速に弱まっていて、実際のところ相当なアウディ好きしか買わないクルマになってしまっています。ブランド全体としてもSUVも小型モデルに目立ったヒット作が無く、中国市場でこそ健闘していますが、日本やアメリカにおいてはVWグループの苦境で、ドイツの3グループでは特にメルセデスの台頭が目立ちます。そこでVWグループが考えたであろうことが、A4アバントよりも安くて、しかも性能面で上回る280ps出せるワゴンを作ってしまおう!ということで、いよいよ「ゴルフヴァリアントR」が登場しました。現行A4アバントのモデル末期にさしかかるまで発売を控えていたのは、A4アバントのシェアを喰わないための経営上の判断だったと思いますが・・・もしかすると次期A4にはアバントが無くなる?あるいは「メルセデスCLAシューティングブレイク」みたいな、色モノワゴンへと変化するかもしれません。

  さてかつての「レガシィSW」「パサートヴァリアント」の頃のような機能性重視で、もっさりしたデザインばかりだったのが嘘のように、最近に登場した「プレミアムワゴン」のデザインは美しいです。いずれも端正な顔つき(フロント)にスタイリッシュなサイドもリアを備えていて、「見た目で欲しくなるデザイン」をかなり意識した作り込みです。一方で大規模なフェイスリフトも無いままに7年が経過しているA4アバントは・・・やはり経年の劣化は隠せません(かつてはオシャレワゴンの最右翼だったのに!)。そしてE91ではちょっとオーラが足りなかったBMW3ツーリングのリアデザインも、F31になってからBMWらしからぬ「ポップ」さが備わり、現状ではA4アバントをややリードしていて、まさかのBMWがアウディにデザインで勝利するという展開になっています(あくまで主観ですが)。

  しかしワゴンを巡るライバル関係は大きく変化していて、プレミアムワゴンの代表モデルだった「A4アバント」と「BMW3ツーリング」の2台の存在が完全に霞んでしまうほど、新たに登場した「レヴォーグ」、「メガーヌエステート」、「ボルボV60」、「ゴルフヴァリアント」、そして「アテンザワゴン」といった新興勢力の5台は「プレミアム」であることを意識していて、シェア獲得に向けて洗練されたクルマ作りにとても力が入っています。何に対してプレミアムなのか?というと、それはパッケージ性を目一杯重視していることがスタイルから分るトヨタの「カローラフィールダー」、「アベンシスワゴン」などのワゴンと比べるとわかりやすいです。まずはフロントマスクやシルエットへの「エクステリアのこだわり」、そしてアウディやBMWに匹敵する「インテリアの良さ」、そしてアウディ、BMWを超えるほどの「走行性能」とまさに三拍子揃った実力車ぞろいです。

  「より良いものを、より安く」というのは、情報化が進む現代社会では大衆の行動原理として避けられないものです。ディーラーに行かなくても自動車専門誌を買わなくても、ネットで必要な情報がいくらでも無料で入ってきます。メーカーが発信する広告なのか?第三者が出している「評価」なのか?といったメディアリテラシーを駆使して判断することさえ出来れば、自宅でパソコンの前に居ながらにある程度までは候補車を搾りこむことができる時代です。そしてそこで行われる「第一次選考」では、「見た目」と「価格やスペック」といった分り易く数値化された情報がどうしても重要になってしまいます。

  先述の通り、本体価格が600万円のアウディA4クワトロ2.0TFSIは、同クラスのモデルよりも高価格で低スペックに映り、やはりアウディに好意的であっても「コスパが悪い」という印象を与えてしまいます(実際は値引きなどあるわけですが)。VWグループとしてはアウディが逃しているであろう「プレミアムワゴン」ユーザーを上手く掬い取るため「ゴルフ・ヴァリアントR」なのだと思います。本体価格が560万円で280psガソリンターボとして登場した「ゴルフヴァリアントR」ですが、確かに300psが出せる「レヴォーグ2.0GT」の最上級グレードが360万円ですから、まだまだ割高感は否めません。それでも輸入車に高いステータスを感じる層(スバルに対して否定的な高級志向な層)を、BMWやボルボから奪還するには十分な商品力とコスパを備えているといえます。

  そしてVWの欧州市場におけるライバルになっている、ルノーのメガーヌエステートのハイスペックモデルである「GT220」(330万円)に対しても出力面でも優位に立っています。しかもGT220はMT仕様しか日本に導入されておらずユーザーが限られる上、FF車であり積載量によってトラクション面での振り幅が大きくなるワゴンにとっては、やはりゴルフヴァリアントRのAWDが有利です。T6以外の「ボルボV60」もFFですし、BMW320dツーリングもFRのみの設定なので、「AWD」でフィルターをかけるならば、ゴルフヴァリアントR(560万円)、レヴォーグ2.0GT(最上級で360万円)、アウディA4クワトロ(600万円)、アテンザワゴンXD(最上級で400万円)の4台が「プレミアム・AWD・ハイスペック」を兼ね備えたモデルになります。

  かつて(2000年頃)はエンジントルクの豊富さとフルタイムAWDの実力の高さから、「鬼トルク」などと形容されて、ユーザーからそのダイナミックさを称賛されてきた「アウディA4クワトロ」ですが、この4台の中で改めて乗り比べてみると、やはりトルク40kg・mを誇る他の3台に比べて貧弱な乗り味に感じてしまいます。やはり15年も経つとクルマの進化の幅は大きく、常にクラスの頂点を守り続けるというのは非常に難しいことであるようです(もちろん「S4アバント」や「RS4アバント」といったスペシャルモデルはありますけど)。

  「レヴォーグ」がヒットし、「アテンザワゴンXD」にAWDが設定され、そして「ゴルフヴァリアントR」が登場するなど、俄にも中型車の新たな魅力を発掘するような「魅力的なジャンル」が突然に盛り上がってきたように思います(レヴォーグの功績?)。ワゴンのデザインも日進月歩に進化しましたし、コンパクトカーとはハッキリと一線を画すくらいに迫力の走行性能を備え、パッケージ面でも車中泊も十分に可能です。高級車が並ぶ六本木ヒルズの地下駐車場から夏のキャンプ、そしてAWDの利点を生かして真冬の豪雪地域まで・・・あらゆるシチュエーションで楽しめるクルマということを考えると、多少は高価でもいいかなという気もします。さらにメルセデスからも「CLA250スポルト4MATIC・シューティングブレイク」が550万円(211ps)が発売され、さらに競争が激化して盛り上がりそうです(アウディA4クワトロはFMCまで苦しい戦いになりそう)。

  この「プレミアムワゴン」市場がさらに盛り上がるためにも、ぜひ日産にもスカイラインベースの「ステージア」の復活を、そして三菱にも一念発起してギャランフォルティス後継として新型ワゴンを作り、ランエボで熟成されたユニットを使った「プレミアム・ハイスペック・ワゴン」なんてどうでしょうか。日本とドイツの技術力を持つメーカーがそれぞれに総力を挙げて、走行性能とデザインを競い、そこにジャガーやアルファロメオが参戦してくる?なんてシーンを期待したいですね。


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↓このクルマがドイツ勢を本気にさせたことは認めます!

  

  

  

  

2014年9月17日水曜日

VWゴルフのユーザーはもっとクルマに自信を持っていいと思う。

  秋の夜長ともなるとクルマ好きが集まる掲示板をちょくちょく見てしまいます。雑誌には載らない貴重な情報が怪しげに出る事があったり、いろいろな人のクルマ趣味における意見が見れるので、一度ハマるとなかなか止められず、気がついたら朝方なんてことも・・・。夏休みくらいからの傾向でしょうか、VWゴルフの板でちょっとした異変が起きつつあるようです。ユーザーの中から自然発生的にゴルフ7の世間の評価と現実にギャップを感じ、かなり疑心暗鬼に陥っている様子がみられます。確かにあれだけメディアに煽て上げられてしまったら、どんないいクルマだって買ったあとには「あれ?」って思うことが出てくるのも無理ないことでしょう。「一体何が神様降臨だって?え?福野(礼一郎)さん?」とか凄みたくなってしまうほどの違和感(幻滅感?)は多くの人が感じるはずです(言い切ります!)。

  私自身も発売時のあまりの賞賛っぷりにはさすがに胡散臭さを感じましたし、自分なりにはある程度の確信を持った上で、カーメディアによる「消費者に対する偽善」「自動車産業全体に対する背信」という要素が排除できない!という結論に達して否定的な論調でブログを書きました。それでも今思えば「私にとって!このクルマがツボなんです!」と言い切る人が出て来たなら、素直に共感してあげられるくらいの実力があったのも事実です。しかしそういう「前向きな」ユーザーレビューには一切と言っていいほど巡り合わないんですよね。もしゴルフ7に部外者には分らない知られざる色気があるとしたらぜひ聞いてみたいと思いますが、掲示板では全くと言っていいほどその手のコメントは出てこないです。蛇足ですがマツダ車の板がユーザーの気色悪いまでのデザインにゾッコンなコメントで溢れかえっているのとは大違いです。VWファンはクールなの?

  クルマへの確信に満ちあふれたコメントが無い(あるいは不足している)掲示板というのは、たいていはアンチによってボコボコにされてしまうもので、ゴルフ7掲示板もアクセラやインプレッサといったライバル車ユーザーによって、無神経にもVWの欠点を挙げ連ねられてました。「ゴルフ7はコストダウンが酷い」と鬼のクビを獲ったように書かれているのをみると、現行のアクセラやインプレッサだって基本的には同じだろ!って思わず突っ込みたくなります。しかしゴルフユーザー側の投稿者も掲示板に張り付いているほどのクルマ好きだとは思うのですが、マツダ車やスバル車に全く興味がないようで、そういった反論が一切出てこないんです。ゴルフをよく知ってるマツダ・スバル派とアクセラ・インプレッサを知らないVW派の論争ですから、孫子の兵法書じゃないですけど、クルマそのものの評価においてはマツダ・スバル派が一方的に言い負かす傾向にあります。それに対して「くやしかったら輸入車買ってみろ!」と”すり替え”で反撃するVW派にはさすがに唖然としてしまいます。

  見ていて思わず感じてしまう虚無感・・・VW派vsマツダ・スバル派というのは全く不幸すぎるマッチアップですね。こんなしょうもないことで不健康すぎるストレスが日本中に拡散されるなんていくらなんでも不毛すぎます。そもそも双方ともに言ってることがやたらとオカシイ・・・。クルマの性能をどこまで評価するかにも寄りますが、現行のアクセラやインプレッサでは残念ながらゴルフハイラインを完全に凌駕するレベルには達していないので、マツダ・スバル派が一方的に勝利するのもなんだか不思議な結論です。マツダ・スバル派はゴルフのスペックにはとても詳しいようですが、ハッチバックの実用車としての力量を絶対的に見誤っていると思います。BMW1シリーズやメルセデスAクラスやMC前のレクサスCTが相手ならば、乗り味などのクルマの基本性能でアクセラとインプレッサが十分に上回っていると言えますが、ゴルフ(ハイライン)相手ではいろいろな点で分が悪いです。

  VW派もこのことを自らの言葉でしっかり言い返してこそ健全なクルマファンの交流につながるでしょうし、無知蒙昧で井の中の蛙なマツダ・スバルファンを啓蒙することもできるでしょう。そもそもクルマの掲示板に近寄るならば、自分が選んだクルマに確信めいた自信を持ち、何を中傷されても痛くも痒くもないくらいの知識を備えておくべきです。1年前に良いと感じて買ったゴルフ7なのだから、周囲が乗り味が悪いと言い始めたくらいで不安に思ってはいけません。そして有名な評論家がどんな結論を下そうとも、悪いのはクルマではなくて、それを選んだあなたの無知がすべての元凶です。福野礼一郎氏にどんだけ貶されても、アルファロメオやBMWの乗り味がいいとか言ってるクルマバカにこのクルマの良さが分るわけがない!と大きく出ればいいのです。

  VW派はマツダやスバルに「追い上げられている」と感じ、マツダ・スバル派の多くは「追い抜いた」と思っているようですが、ゴルフ自体が5代目で大きく質感をアップさせた時に、フォード(マツダ)の技術責任者を引き抜いて基本設計を盗み、ホンダシビックが始めたクラス初のマルチリンクを真似して採用し、そしてトヨタカローラの当時クラス最高の内装の質感をそのまま謙虚にコピーして作ったクルマです。そもそもはVWにとって日本メーカーは偉大なる存在であって足向けできる立場じゃないのです。それなのにバイアスのかかった評論家の意見を丸呑みしてVWが世界をリードしていたと思っているのが不思議です。

  そして「VWを追い抜いた」という意見を丸呑みするマツダ・スバル派も愚かです。マツダもスバルも基本戦略はコストダウンにあります。今風の乗り味に改良して誤魔化しつつも環境性能を避けて通れない両メーカーのエンジンはどんどんつまらないものになっています。少なくともゴルフ7を「コストダウン」と嘲ることなんてできないほど、アクセラとインプレッサも「コストダウン」が酷過ぎます。そんな現実を全く見る事なくを「クルマが良くなってる」と無邪気に思い込んでいる「俄マツダファン」や「俄スバリスト」がゴルフ7掲示板で大暴れしているのは、実に痛々しい限りです。とりあえず「最近のマツダ車はいいね!」とか真顔でほざいている人は、マツダのことを何も分ってないと見做していいです。

  ゴルフ7ユーザーは、ハイラインに限らずどのグレードでももっと自信をもって良いと思います。コスパを考慮すればアクセラやインプレッサとは甲乙付け難い部分もありますが、少なくともAクラス、V40、ジュリエッタ、1シリーズを選ぶよりは賢い選択をしています。MC前のレクサスCTを凌ぐほどの静音設計は、ゴルフのキャラを決定付けていますし、その実力はもちろん防音材をケチっているアクセラやインプレッサそして輸入車の各モデルを軽く上回っています。しかも防音材をケチって軽量化に走ったはずのライバルを上回る加速と制動性能をデータ上でも発揮しています。ブレーキングにおいてスポーティなイメージのあるBMW、マツダ、スバル、アルファロメオを上回っているのは立派です。ちなみに三菱ベースのブレーキング性能を持つAクラスがCセグで最も良く止まるモデルだそうですからAクラスオーナーももっと自信を持っていいと思います。

  それでもCセグ各車のオーナー様は、安全性能やら快適性の議論などには興味がないようで、1にも2にも「ブランド力」にばかり関心が向いてしまうようです。ユーザーがこれでは、マツダもスバルも内外装だけを良さげに仕上げた「ハリボテ」のクルマ作りに走ってしまうのも無理ないかもしれません。私がCセグ車全般を好きになれない理由は、設計に宿る哲学みたいなものが感じられないからです。ちょっとオーバーですがフェラーリのようなフィーリングを醸すショートストロークNAのガソリンエンジンに、段数の多めのトルコンATを組み込んだ、由緒正しきグレードを用意することくらいどのメーカーでも朝飯前だと思うのですが、この低いたった2つの条件を満たす現行のCセグモデルは日本で正規販売されている中ではたったの1車種しかありません。

  この貴重なクルマは基本性能だけみれば、完全にオンリーワンな素晴らしいクルマなんですが、これ実は日本で一番売れてないCセグとか言われています。地味なデザインと300万円という強気の価格が災いしているのでしょうが、本気で選ぶならば欲しいCセグ車はこの「フォード・フォーカス」の一択です。載っているのはマツダが作り上げた傑作エンジンで、アクセラでは先代の後期から使われなくなりました。ゴルフ7のオーナー様は掲示板にやってくるうっとおしいアクセラユーザーに対して、「本物のマツダファンならばアクセラじゃなくてフォーカス買うべきだろ!」とキツい一言を浴びせて撃退してほしいなと思います。


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2014年6月21日土曜日

直6のメルセデス と EVのBMW という従来のキャラ無視の展開・・・

  欧州車=ダウンサイジングターボという「先入観」が日本の自動車評論家の頭の中にはあるようですが、それはあくまで「アジア市場向けのモデル」での話であって、欧州ではディーゼルが約半分ですからガソリンターボの割合なんてせいぜい30%程度でしかないです。中国と日本のユーザーはやたらとターボを喜ぶので、日本のVWなどほぼ全モデルがガソリンターボですけど、アメリカのゴルフは「GTI」と「R」以外はNAですし。

  そもそも欧州ブランド自体が「ガソリンターボ」というキャラ設定を嫌っている節があるように見受けられます。VWがゴルフⅦを発売した直後くらいから、「これからはPHVの時代!」と宣言し始め、まだまだバッテリーが高くて、容量が低いですけどあと5年もすれば「価格は1/8になって容量は8倍」みたいなことを付け加えて、暗にユーザーに向けて「現行のトヨタやホンダのHVを買い急ぐ事はないですよ!」とでも言いたげなんですよね。

  いままでは散々に「HVに興味は無い(将来はない)!」といった態度をとりつづけていたのに、なかなかの豹変ぶりにビックリです。バッテリーの価格の話もごもっともですけど、この話には裏があるみたいで、要するにトヨタとホンダが特許で雁字搦めにしていた技術がフリーになるのを待つ「遠謀」というのが真相のようです。VWグループだとこれまではアウディA6とポルシェパナメーラといった高級車にしか設定されないのは、それくらい利幅が大きいクルマじゃないと権利金が嵩んでしまって利益が出せないという「苦しい」台所事情があったようです。もっとも燃費の悪い高級車の方がHVにした時の省エネ効果は抜群に高いので、理にかなっているという見方もできます。

  HV技術はあたかもトヨタやホンダが最先端で争っているというイメージがありますが、エンジンの出力とモーターの出力を合成して走らせれば良いだけで、それこそEVなんて操業間もないテスラや中国メーカーでも比較的に簡単に作れてしまうことを考えると、ネックなのは特許ということになります。それらが一斉に無効になったら、世界中のメーカーが一斉にほぼ全てのモデルにHVを設定し出すのではないかという気がします。

  しかしそんな「よーいドン」を待っていては、先進イメージが台無しになると考えるBMWはさすがというべきか、先にEVで実績を作ってしまえ!とばかりにもの凄いプロモーションをかけて「i3」を拡販してきました。日本のクルマ雑誌は「BMWのEVだけに、走りも超一級品!」みたいな調子の良いことを書いていたりと相変わらずに理解力が低すぎることを露呈してます。こういうクルマこそ、頭のよく回る評論家に徹底的に掘り下げて分析してもらいたいものですが、出て来るのは売れっ子で「新しいモノ好き」「セルフイメージ番長」の河口まなぶ氏や竹岡圭氏といった面々。

  「BMWが考えるサスティナビリティ」というのがなかなかツッコミどころが満載で、天然素材や廃材を探してきて使うのは結構ですが、そもそも1台のクルマを日本車みたいに20年でも走るように設計するのが本物の「サスティナビリティ」ってやつじゃないですか?そんなに「アピール」したいなら、すぐに摩耗してしまうブレーキパッドの素材から見直した方がいいんじゃ?なんてちょっと意地が悪い意見が浮かんでしまいます。BMWは「走り」のメーカーでいいんじゃないですか?もちろんこの「i3」に罪は無いですが、ブランド全体で考えれば、もしシフトレバーやサイドブレーキが無くなったら、BMWなんて魅力半減ですよ。まだ乗ったことないですけど、アンダーステアが日本の小型車並みに酷いという評判も・・・。もちろん「アンダー傾向」自体は安全性を担保する大事な要素ですが、「BMWらしい走り!」とは相容れない気が・・・。

  そしてBMWのライバルであるメルセデスも、「イメチェン」に勤しんでいます。去年発売されたSクラスと今年発売するCクラスでいよいよ、ドイツ流の「質実剛健」な内装をキャンセルして、まるでマセラティか?レクサスか?というような洒脱な内装へと転換しました。やや高齢者セレブ・ユーザー向けだった「ショーファーカー」としてのメルセデスSクラスでしたが、新興国の若手実業家にも愛される「セクシー・ショーファー」へと、完全に方向性を変えているのが一目瞭然です。はっきり言って「チャラい」!固めの黒レザーが基本だったのに、気がつけばふかふかの「パールホワイト」で、バックレストには女の子が使ってそうな形の枕が・・・。

  欧州車大好き!福野礼一郎氏も唖然としたようで、「気持ちいいから、まあいいか・・・」と見事に含蓄のある表現をされてましたね。サイドテーブルのグラグラ加減が完成度を根底から破壊する爆弾で、「こんなの付けるな!」といった欧州の立て付けクオリティ、日本の国鉄時代の新幹線を思い出すとか書いてあったっけ。やっぱこの人は面白い。Sクラスは「自走不能」な巨漢セレブの為のクルマに成り下がったため、次期Eクラスは一気にクオリティを上げて、全メルセデスの「オーナードライバー」が憧れる、プライベートセダンを目指すようです。これまでメルセデスが冷遇したため、BMWやアウディへと流出していったクルマ好きを再び味方につけて「メルセデス神話」を復活させるのが狙いみたいです。

  レクサスにも負けない前後マルチリンクサス(もちろんエアサスあり)に、圧巻は直列6気筒の新開発エンジン。環境性能ばかりに気を取られて、V6が直4よりも噴けが悪くて、完全に行き詰まってしまった中で、HVの洗練度でリードするレクサスに勝つためには、直6を復活させるしかない!という判断のようです。しかしいきなりここまで極端なイメチェンをされたら、従来モデルのユーザーは立場が無くなってしまいますよね・・・。メルセデスにしてみれば、現行のEクラスは「ひと声100万!」の大判ぶるまいをしているのだから文句は言わせない!といったところかもしれませんが・・・。


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2014年1月21日火曜日

ゴルフ・ヴァリアントとレヴォーグ・・・どっちでも良い?

  なぜレクサスはワゴンを作らないのか? それはレクサスが欧州市場を軽視しているから。一般メディア(産経や東洋経済など)ではしばしば「レクサスはドイツメーカーへのコンプレックスの塊」として紹介されたりするせいか、ドイツメーカーのパクリと揶揄する声が多いのですが、ワゴンを作らないというこだわりには何らかの意味があるのでしょう。レクサスだけでなく、ホンダや日産も同様で日本メーカーにとってはもはやワゴンなんて作るだけムダと考えている節がある。

  日本メーカーで唯一欧州市場を大事にしているマツダは、未だにワゴンを作り続けていて、アテンザも日本市場でもそれなりに存在感を出しているので、日本車のワゴンが少なくなったという実感はまだない。しかし現実には日本のほとんどのメーカーはすでにワゴン開発を放棄していて、今後は絶滅していく見通しだ。街中でもレガシィとアテンザそして旧型アコードくらいしかDセグワゴンは見かけなくなって久しい。

  そんな情勢の中、ワゴン専用の新規車種であるレヴォーグをスバルが発売するのは、他の日本メーカーとは違う路線を模索するスバルのスタンスが良く現れていると言える。軽自動車生産を整理して、中型車だけで勝負すると腹をくくったせいか、以来出てくるモデルがBRZ、フォレスター、XVと全てヒットして目下のところ絶好調。そして次は意欲作のレヴォーグというわけだが・・・。しかしスポーツカーやSUVのヒットとは勝手が違うようで、ちょっと逆風が吹いているようだ。

  初売りから、予約を受付!と大々的にアピールするも試乗車も無い状況。それでも10日間で2400台のオーダーがあったそうだが、なんとも微妙な数字です。試乗車がくれば今後増えるのだろうけど・・・。ちょっとプロモーションにお金掛け過ぎて、本体価格にお買い得感が感じられない印象が気になる。レガシィの後継なのかインプのワゴンなのかよく分からない立ち位置も決断を鈍らせているのだろうか。

  夏頃には、一回り立派になった新型レガシィB4が日本でも結局は発売されるんじゃないかという見方もある。すでにデザインの概要が発表されているが、現行のB4が高級化に手間取った失敗を繰り返さないように念入りに作り込まれているようで、2014年の大きな話題になることは確実だ。あくまで日本発売は未定だが、「これが新しいスバルだ!」というバイブレーションは、レヴォーグやWRXではなく新型レガシィから感じる。そしてそれが実現した後のレヴォーグやWRXはおそらく「過去のスバル」として色褪せてしまうのでは?

  そんな複雑な事情を抱えるレヴォーグに敢然と立ち向かうかのように発売されたのが、VWのゴルフヴァリアント(ゴルフのワゴン版)だ。VWがドイツメーカーの中で現在のところ頭一つ以上抜け出しつつあるのは、高剛性の鉄鋼やスポット溶接を多用してボディの堅牢性を優先したクルマ作りが一定の評価を得ているからだ。ボディに直接投資してクルマの基本能力を担保してから高出力ユニットのパワーを余す事無く使うという発想は、日産やスバルの高性能モデルに通じる概念だ。

  この手法を使って作られる新たなVWの戦略車ラインナップの中で、最も効果的に実力を発揮するのがこのワゴン版のヴァリアントではないかという気がする。極論するとBセグとCセグの丁度中間に位置するゴルフのホイールベースならば、それほど剛性が旋回性能に影響はしない。ゆえに昔から軽いボディを信条とする日本車は小型車分野では圧倒的に強かった。その一方で中型以上のクルマはグローバルでなかなか評価されなかった。

  その中で日産スカイラインとスバルレガシィは、日本メーカーの意地とばかりに高剛性ボディの開発へと邁進したが、それに反比例するように燃費が悪化したのでニーズは極めて限定的であり、おまけに日産とスバルの業績悪化・・・、そしてスカイラインとレガシィの貢献利益を考えると「モデル廃止」か「再検討」が妥当な水準だった。しかし自動車メーカーとしての「基礎工学」という意味では価値があったとは思うが・・・。

  ドイツではスーパースポーツセダンに分類される旧スカイラインGT-Rやレガシィターボは当然ながらドイツメーカーにとっての恰好の研究対象になった。今ではVW、マツダ、スバル、日産の4メーカーが量産車レベルにも関わらず、次世代の中型車の覇権をめぐって堅牢ボディの開発合戦を繰り広げている。この4つの中では最小のボディ構造を持つゴルフがヴァリアントへと拡大しても同等の性能を発揮できるのか? そしてレヴォーグと張り合うことができるのか? もし高いレベルを維持しているなら、日本車にとってはゴルフ以上に新たなる脅威となりそうだ。



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2014年1月9日木曜日

up!、V40、Aクラス。いくらなんでも低レベルすぎだろ・・・

  1000万円クラスのクルマを作っているメーカーがその自慢のフラッグシップを日本に送り込むことに関しては、総じて異論はない。ポルシェ、マセラティ、ジャガーは日本人のニーズを強く満たしてくれるし、メルセデス、BMW、アウディもハイパフォーマンスモデルに限れば、ほとんどの日本メーカーがカタログモデルとして用意できないレベルなので、日本で売ることの意義を強く感じる。

  その国の自動車産業が不得手なところを補完するのが輸入車の本来の役割であるはずが、怪しいブランドイメージに包み込みながら、とんでもないクルマを無理矢理に売ろうとすることがお人好しな日本市場では起きていたりする。日本車は世界中の国々へ輸出または生産され、地域によっては80%近いシェアを獲得しているが、これは小型車の安全性と信頼性に置いて日本車が特別な地位にあることの証明だ。

  欧州市場でもかつては日本の小型車に人気があったが、バブル期以降は日本メーカーと同水準以上の生産技術を獲得したフォードやVWの生産車に関税の影響で価格面で遅れを取っていることもあり、日本車のシェアは下がっている。さらに近年ではEUといち早くFTAを結んだ韓国車が日本のシェアを奪っていると言われている。実際にドイツ国内の価格を見ると日本の小型車が1万ユーロを切ることは無いが、ヒュンダイ系のキアやVW系のシュコダ、独立系のダキアなどから7000ユーロ程度の低価格車が発売されている。

  特にシュコダは旧型のゴルフやアウディA3、A4のノックダウン生産で大きくシェアを上げているようだ。日本で例えるならトヨタ系の関東自動車がアルテッツァやアリストを低価格で販売しているようなものだ。こういう商習慣が日本にもあっていい気がするが・・・。ちょっと話がズレたが、日本車は欧州でかつては技術力で称賛されたが、大きな差が無くなり価格面で不利となると、一転して不人気になってきた。スポーツメーカーと勘違いされているスバルやマツダは日本生産車が根強い人気を得ているが、トヨタ・日産・ホンダに至っては現地生産工場がある国でしか人気がないというシビアな現実に直面している。

  しかし一転して日本市場では、輸入車に対してあまり厳しい眼が向けられることは少ない。もちろんプロモーション不足で認知されずにフェードアウトするクルマもあるが、最近では販売戦略を綿密に練り上げた上でカーメディアを巧みに抱き込み、発売前から大々的にプロモーションを行うため、かなりの確率で良い結果が出るようになっているようだ。実際は広告費に圧迫されてほとんど利益は出ないのかもしれないが、VWup!やボルボV40、メルセデスAクラスなど、日本車には絶対にあり得ないくらいに低レベルなクルマがそこそこ売れてしまっている。

  メルセデスAクラスは発売後の半年で欧州で9万台を売り上げたそうだが、メルセデスが欧州で売れないわけにはいかないので、必死のプロモーションだったとか。メルセデスがプライドを捨てて大衆車のコンセプトをパクる・・・。まるで欧州の破綻への序章のような象徴的な出来事といったところか。ジャガーとベントレーがスバルのようなSUVを必死でコピーし、BMWがホンダのようなミニバンを作るなんて、数年前までは確実に笑い話の次元だったのに・・・。しかもスバルやホンダよりも安い価格で発売?と言われている。欧州ではスバルとホンダは高過ぎではあるけど・・・。

  up!はVWがインドや東南アジアの20億人市場に送り込んだ「秘密兵器」で、そのままじゃ日本に出せないから廉価な安全装備を適当に盛り込んだクルマ。実車を見るとそこかしこにクルマのルーツを語る不思議なパーツが・・・。これとフィットが同価格って完全にイカれてるとしか言いようがない。

  V40は一見お手頃価格に思えるが、このクルマは一体何が売りなんだろうと果てしなく首を傾げたくなるレベル。日本市場で完全に埋もれていて自他ともに認める失敗作の三菱ギャランフォルティスというクルマがあるが、これが日本の2強であるアクセラとインプレッサに完敗した理由を考えると、あらゆる設計理念において完全に遅れをとっていることが挙げられる。2008年発売の1.8LのギャランFが2009年発売の2Lのアクセラに完膚なきまでに叩きのめされ、日本だけでなく欧州やオセアニア、北米からも叩き出された理由を考えれば、いまさらのように新型車としてV40を出してくる状況はジョーク以外の何者でもない・・・。鉄の棺桶を動かすための劣悪燃費の直4ターボ。300万円だすならAWDのギャランFのラリーアートにしておいたほうが何倍も楽しめる。

  

   ↓島下さんのお情け採点でもAクラス「6」V40「7」。Aは輸入車Cセグワースト。ちなみにゴルフ「10」アクセラ「9」インプ「8」。もっと隔絶した差があるように思うが・・・。
  

2013年11月15日金曜日

VWパサートって日本に持ってくる必要あります?

  VWのクルマはプロ・アマ問わずなんとなく「ぬるい」評価を連発して、全くクルマの本質が見えてこないのが全体的な印象なのですが、その中でも日本に導入されている意味不明なモデルが「パサート」だと思います。結局は評論する人が誰一人としてこんなクルマを選ぼうとは思ってないので評論全てがテキトーになってしまうのでしょうが・・・。

  このクルマの一番イラッとする点が、非常にアンバランスな加速をするので、後ろを走っていると速度の調整が難しい点です。アクアやプリウスなら出足も遅くて中間加速もゆったりなので、アクセル開度をシンクロさせれば、それほどストレスなく追従できます。それに対しパサートはDSGのもたつきで出足が意味不明に遅く、その後ターボラグが発生して変なタイミングで再加速します。前方の信号との距離を考えると明らかにエネルギーのムダな出力を繰り返します。このクルマは1.4Lターボだそうですが、本当にエコなのか疑問です。実際にユーザーレビューを見ると10km/L超えないレベルという記述が多いです。

  先日も多摩センターにあるアップダウンのある一本道を夜中に家路を目指して走っていたのですが、前方を走るパサートに追いついてしまいました。ちょっと接近すれば欧州車オーナーのプライドでしっかり走ってくれるだろうと期待したのですが、なかなかペースも上がらず・・・でした。後ろから見ているとFFにもかかわらず、スタイリングを意識したような太めのタイヤを履いていて、これではどう考えても上手く曲れないだろうなと思いました。

  峠道セクションはダラダラとカッタルそうに走り、その後2車線区間に入りました。コイツの後ろは絶対にゴメンなので、さくっとかわしてやろうと思ったのですが、散々つつかれてイライラしていたようで、猛然と自慢の低速トルクを使って加速を始めました。実は左折して2車線道路に入ったときにビニールと紙袋が路上に落ちていて、パサートはそれを介さずにつっこんでいきましたが、後輪が舞い上げたゴミがパサートの排気口の辺りにへばりつくのを見せつけられて、ゴミの行方を目で追ってしまったため、スタートが遅れちょっと離されました。

  緩いカーブの下り坂で左車線に1台だけ遅いクルマがいたので右車線のパサートの後を走ります。こちらは中速域まではトルクが細いNA車なので、出足の加速は互角でしたがそこから先はVWの回らないロングエンジンとマツダの回るショートエンジンの戦闘力の違いが発揮されあっという間に距離が詰まり左車線に出て追い抜きました。相手はクリーンな道路状況を見て引き離そうという意図がある加速を繰り出してきたようですが、そういう運転をするのならレガシィワゴンのターボにでも乗り換えた方がいいのでは?と思いました。

  結局はパサートというクルマはカローラフィールダーの1.5L以上1.8L未満程度の「互換性」しか持ってないと思います。ドイツでもアメリカでも同クラスのアテンザ・レガシィよりもかなり安く設定されていて、せいぜい価格も200万円くらいが適正価格だと思うのですが、なぜか日本だけぼったくりに近い価格設定が行われていて残念ですね・・・。

  その価格を真に受けてしまって、高性能車と勘違いしているユーザーが多いようですが、基本性能として0-100km/hのタイムはプリウスと同じなんですよね・・・。そんなこと微塵も感じさせずBMW3と同等のクルマかのように錯覚させて売りさばいてしまうVW(その代理店?)の大胆不敵な戦略はさすがで、マツダやスバルはしっかり学ぶべきなのかもしれないですが・・・。


 

2013年2月26日火曜日

ゴルフ7はデザイン変更なしの強気!

  ゴルフ7は先代からほとんど外観を変化することなく去年の暮れに欧州で発売された。4年でのFMCはゴルフとしては異例の早さであるが、世界的な経済危機の影響を受けた2008年頃に登場したクルマはどのメーカーも短いスパンで製造が打ち切られているので、ゴルフもその影響を受けたのだろう。この短命の2008年モデルからのFMCは、経営の見直しから押し進められると考えられるので、その内容(コストダウンはないか?)をよく見極めたほうがいいかもしれない。

  このクルマは日本において毀誉褒貶が激しいクルマで、さまざまな情報がまかり通っていて正しい評価がされていなかったりする。「日本価格が高すぎる」という声もあるが、米国販売価格は約$18,000(約150万円)〜だが、北米生産をほとんどしない日本勢のマツダのアクセラが約$16,000(約135万円)〜で、新型アテンザが約$20,000(約170万円)〜なので、ゴルフの日本価格250万円〜はそこまで極端に高いわけではない。

  「カローラのライバルなのに価格差が酷い」とも言われます。それはあくまで北米市場での話であって、北米のカローラは1.8L仕様で約$16,000〜で、上級モデルのマトリックス(ブレイド)は2.4L仕様でゴルフよりも高い約$20,000〜です。はっきり言うとトヨタが日米のカローラに格差を付けて売っていることが問題なのであって(日本の新型カローラはヴィッツと同じ)、ゴルフの価格自体は「グローバリゼーション」そのままに、ごくごく標準の販売価格です。

  日本のモータージャーナリストが度々言及していることは、トヨタが軽自動車に対抗するために代表車種カローラを低スペックなクルマにしてしまっていることを、一般化して「日本車はダメ」と言っているのだと思います。しかし受け取る側は日本のクオリティカーにもそれを当てはめて解釈してしまう部分があります。「軽自動車規格」が価格設定の主導権を握ってしまっていることを指摘しているジャーナリストも多いです。そういった要因がここ10年余りの日本車の不遇な時代に横たわっていたのですが、ここにきて日本のクオリティカーにも正当な評価がされるようになってきたことは良い兆候です。

  このゴルフというクルマも10年前なら日本で発売されるカローラと同じ水準のものでした。しかし日本市場とは別にグローバル市場(欧州・北米)はクオリティカーが順当に売れる健全な市場へと進んだ(やはりクルマ文化の違いか・・・)ため、このゴルフはその市場のニーズを満たすクルマとして、グローバルでの評価は高まりました。当然ながら評価軸がグルーバル市場とはズレていた今までの日本市場では「このクルマはいったい何なんだ?」ということになっていました。

  もちろん渋滞のヒドい日本ではドイツで走るようなクオリティカーは要らないという人もいます。世界一の高齢社会なので、低価格な国内専用車で十分という声も「健全」なものです。じゃあ「クオリティカーの土俵」に乗っけたときに、ゴルフと日本車はどっちが優れているのか?といわれれば・・・、北米で圧勝しているのはだんぜん日本勢です。日本でもっとクオリティカーが売れるようになれば、北米トヨタも北米ホンダも本気でゴルフへの対抗車種を日本に送り込んでくると思います(フォードフォーカスもやって来たので、そういう状況になっている気もしますね)。