2016年2月26日金曜日

フィアット124スパイダー 「マツダシャシー&ターボのお味は?」

  ここまで散々に気分を盛り上げておいて「日本では売りません!」なんて非情な展開もあり得るらしいです。買う・買わないは別として、とりあえず興味はすっごくあるんですけどね。もしかしたらフィアット124スパイダーを試しにきた客が、密かに販売している「パンダ4×4」という存在に気がついて、これを気に入って買う!なんてこともあるんじゃないでしょうか・・・。とりあえず日本でも「客寄せパンダ」的にラインナップすることをオススメしますよ。

  ご存知の通りフィアット124スパイダーは日本にあるマツダの工場で生産されます(メキシコではなく広島だそうです)。マツダは非常に優れたメーカーなんですけども、このクルマのベース車になるNDロードスターを始め最近のモデルは・・・「良くも悪くもマツダ」なんですよね。いろいろなモデルを試してみたのですが、「さすがマツダ!」と感じる部分と、「やっぱりマツダだな・・・」と少々がっかりする部分がどのクルマにもあります。どのクルマも押し並べて非常に「平均点」は高い・・・けれども、「絶対に買うぞ!」と興奮させてくれる「最後の一押し」が無いのも事実です。

  どこかのメーカーとコラボすれば、殻を破って「壁」を越えてくるモデルが出てくるのではないか? なんて薄々思っていた次第です。フォードに頼んでマスタングの開発をやらせてもらえればいいのにな・・・(結局、エンジンと塗装技術だけが現行マスタングに受け継がれたようです)。またはボルボとかアストンマーティンとかの旧フォード陣営のブランドをどれか1つ思い切って買収してしまえば・・・そんな期待もあるのですけど、なかなか実現には至っていません(実現しそうにありません)。

  そんな「孤立」から糞詰まり状態のマツダに手を差し伸べてくれたのがフィアットで、一説によるとフィアットからのOEM依頼がなければ、NDロードスター自体が幻に終わっていた可能性もあったようです。もしかしたら・・・フィアットの依頼が舞い込んで、「作る」と決断して、それからのタイムテーブルがあまりにもタイトだったため、NDは「NAロードスターの再現」という極めて保守的なコンセプトに終始したのかもしれません。あるいは・・・開発が決まっていたフィアット向けモデルとハッキリと差別化するために、意図的に本来のマツダらしい(?)というか、愚直なまでにストイックな「ライトウエイト」スポーツカーに仕上げたのかもしれません。

  なんでマツダが作るクルマを、わざわざフィアットから買うのか?・・・たしかにちょっと引っ掛かるポイントではあります。マツダ版が使う1.5L自然吸気から、フィアット版の1.4Lターボに変わったところで、高速道路での巡航性能が大幅に高まるということもないでしょうし(高回転がウルサイ!)、本体330万円のスペシャルプライスで「至れり尽くせり」のフル装備になっている「ロードスターRS」でいいんじゃない?という気もしないでもないです。

  それでは「フィアット124スパイダー」のどこに魅力を感じるのか?・・・まずはロードスターとは完全に目指す方向が異なるデザインです!そしてそれが如実に示すようにボディサイズもロードスターより拡大されているとのことです。なんと全長は140mmもも伸びてます!!!これって先代と現行のアテンザセダンよりも大きな差です。しかも4mに満たないロードスターから140mmの拡張ですから、そのインパクトは相当にあると思われます。ラゲッジもだいぶ広くなっているんだとか・・・。

  さらにマツダの社風といいますか、外向き・・・とくに欧州向けの仕事をするときのマツダの気迫には毎度のことですが非常に高いモチベーションを感じます。フォード傘下で欧州フォードやボルボとエンジンやらシャシーやらの開発を競ったときも、マツダの仕事ぶりは強烈だったようで、フォードグループの標準シャシー&エンジンにはことごとくマツダのものが採用されました。今回のフィアットからの受注に関しても、かなりの時間と労力を費やしていたようで、フィアットに認めてもらえる素晴らしい仕事をしていることが予想されます。・・・将来的にはマツダのシャシーにフェラーリ・ファクトリー製造の高純度なエンジンが搭載されることすら考えているのかも!?

  あとは・・・せっかくフィアットがマツダに手を差し伸べてくれた!ということを素直に歓びたいです。フィアットがアメリカで売るためのスポーツカーを、広島で開発して製造する・・・これってスゴいことだと思うんです。かつてマツダは北米向けのフォード車を作っていた時期もありましたけども、スポーツカーの生産ではありませんでした。世界中のどこでもできるノックダウン生産ではなく、新規モデルの開発・製造を日本の自動車メーカーに「丸投げ」するという非常に斬新なビジネスモデルがこれからも後に続いて欲しいですし、フィアットの「英断」にも敬意を払いたい!!!こういった想いからこのクルマに非情に興味が湧いてます。

  フィアット傘下ではOEMが盛んに行われていて、イタリア製のジープ・・・なんてちょっと不思議なクルマが日本にも入ってきています。フィアット124スパイダーが成功したならば、アバルト(すでに開発済み?)、クライスラー、ダッジ(北米専売ブランド)、ランチア(欧州専売ブランド)などにも供給されて、「ジュリエッタ」や「クライスラー200」と並ぶフィアット&クライスラー屈指のブランド横断モデルになれるかもしれません。

  まあ夢物語に過ぎないかもしれないですが、フィアット&クライスラーグループ(FCA)の重要なモデルにまで「フィアット124スパイダー」が登りつめたならば・・・。FCAが持つ豊富なエンジンバリエーションとのコラボが進み、2気筒(ツインエア)だったり、あるいはアルファロメオが持つ自慢の1750ccの直4ショートストロークだったりの搭載も実現するのでは・・・ロードスターにはやっぱりショートストロークでしょ!!! 昨今のFCAのグローバル展開は非常にスピーディなので、来年の今頃には「フィアット124スパイダー」の周辺に魅惑の1台が出現している可能性も十分にありそうです。


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↓アバルト124スパイダー・トリビュート・フェラーリ・・・そんなグレードが出たら感無量!
  

2016年2月6日土曜日

プジョーRCZ 新グレードは「GTライン」だって?

  「いよいよ販売終了までカウントダウン・・・」なんてちょっとしんみりとする報道も出てきた「プジョーRCZ」ですが、プジョーのHPをなにげなく覗いてみたら新設グレード「GTライン」がプロモーションされ、まだまだ売る気があるようです。2010年の発売開始から相変わらずの「左ハンドル&MT」という非常にマニアックな設定も継続中です(もちろん右ハン&ATもあります)。街中でこのクルマを見かけた際に左ハンドルで乗っていたらよっぽどのクルマ好きであり、右ハンドルで乗っている人(こちらが大多数)は「ファッション・スポーツカー」愛好家といった風情の年配の人が多いようです。

  2010年の発売・・・というだけで、全くヒット車になる要素が奪われるなど、かなり不幸なクルマではありますが、2016年の段階になってみると、かなり中途半端な印象を受けます。輸入車の作り込んだスペシャリティカーとしては価格を抑えてあるので、全く売れないということもないのでしょうけど、基本コンポーネンツが先代のプジョー308と共通で、ベース車より100万円高い設定はどうか?・・・MT(200ps)と目立つエクステリアを高く評価できるならばお買い得かも。

  「ホットハッチじゃない!」という主張こそが、このクルマがユーザーの心に刺さる最大のポイントだと思います。最近の日本市場では「プレミアムハッチ」ばかりが増殖してしまって、200万円台で手軽!しかも軽快で早いコンパクト(Bセグ)&スモールカー(Cセグ)といういわゆる王道の「ホットハッチ」は目立たなくなってます。スバルはインプレッサのハッチバックの高出力モデルを、HV化し重厚で上品なまさに「プレミアムハッチ」へと方向転換しました(まだ評価は定まってませんが)。国内メーカーでは競技用のフィット、ヴィッツと、日産NISMOのコンプリートカーを除けば、スズキやマツダといった欧州の大衆ブランドの中で奮戦しているブランドが作り続けているだけです。

  また日本市場ではB, Cセグの「ホットハッチ」の流通が減っている影響で、これらのクルマに適したタイヤが割高だったりします。ベースモデルが15インチを標準装備していたりすることが多く、スポーツモデルなのにエコタイヤを履いて納車されます。150psを越えてくると、タイヤがパワーに負けてちょっと踏み込むとすぐに泣き出します。BMWやメルセデスがブランド全体で展開しているランフラットタイヤを使うことで、多少は乗り心地を犠牲にしてでも、性能を引き出すという意味では確かに効果的ではあります(下手にエコタイヤを持ってくると危ない?)。

  じゃあそもそもエコタイヤしかない軽スポーツはどうしているの?(最近になって軽自動車用にポテンザRE003が出ました) と思うわけですが、S660はエコタイヤでの走行に耐えられるように軽量&低重心の専用シャシーを使っています。普通車ではどうか? 日本最大の所帯であるトヨタのラインナップを見ると、タイヤの自由度が圧倒的に上がるのはマークXから上のカテゴリーのクルマです。それよりも小さなクルマはスポーツモデルにしたくても出来ない「構造的欠陥」を抱えています。それがよくわかっているトヨタは、わざわざ1車種のために専用設計シャシーを企画してスバルに作らせた「86」というモデルを開発しました。「86」も標準ではプリウスと同じ銘柄のエコタイヤを履いていることが有名ですが、兄弟車のBRZtsでは225mm幅で18インチを装備していて、プリウスよりは確実にタイヤ選択の幅は広く設計されています。

  そして何より水平対抗エンジンを採用するなど低重心化にこだわっていることで、エコタイヤを感じさせない走りをします!一説によるとリアが滑りやすい(ドリフトに入りやすい)設定を狙って限界が低目のエコタイヤを標準装備しているのだとか・・・(なんじゃそりゃ)。なにはともあれ、日本のタイヤメーカー(BS、横浜、ダンロップ、トーヨーなど)が心血を注いで作り上げたエコタイヤ(転がり性能&ウェット性能でトップカテゴリー)で、十分に楽しめるようにクルマの側が進化しろ!という時代なのかもしれません。

  何が言いたいか?というと・・・「RCZ」というクルマの存在意義なんですけども、ベース車のプジョー308のシャシーを切り詰めてホイールベースを短縮して、ハンドリングを楽しめる乗り味へと改変し、ワイド&ロー化そしてホイールハウスを拡大することで、タイヤの選択幅(標準でR18、限定車でR19、ともに235mm幅)を増やし、高性能なタイヤが選べますよ!ってことです。「235-R18」はAWDのメルセデス(A45AMG、A250シュボルト)と同じです。このサイズはFF車にはややオーバースペックか・・・という気がしないでもないです。FF最速として知られる「ルノー・メガーヌRS」と同じ!なのでおそらくFFの小型では最大では?と思うのですが、さらに気合いの入ったモデルがありました! RCZが手本としたアウディTTの現行モデルです(ちなみに245-R18)。

  「走行性能の限界とはエアロダイナミクスとタイヤの限界だ!」みたいなことを、GT-Rの生みの親である水野和敏さんは言っていました。軽量・ワイド・低重心を基本に、ホイールハウスの容量に関して一切の妥協をしない。そしてそれを突き詰めると・・・それはケータハムになって、フォーミュラカーになるわけです。ケータハムもF1もエンジンとか無関係に前提として「速いクルマ」です(おそらく楽しいはずです)。つまりクルマの本質はエンジンではなくて車体であり、ここを妥協しては「走りのクルマ」と呼ぶのは憚られる? 確かにエンジンやサスペンションの設計は低重心化にも影響はするでしょうけども、出力や減衰力などそれらの本質的な性能については結局は二の次三の次で・・・、車体に徹底的にこだわることが「走り」のクルマを作る原点だと思います。

  日本のカーメディアが「走り」のクルマについてレビューすると、すぐにトルクだのダンパーだのダイレクトなハンドリングだのといった話に終始しますが、それよりももっと大事な要素があるだろうな・・・というのがドライブ好きの直感です。かつて販売されていたMSアクセラやIS-Fといった高性能モデルは、確かに踏み込む右足に強烈な刺激を与えてくれるクルマではありましたが、「何か」大事なものが抜け落ちている印象が拭えませんでした。

  最近では小さなボデーにデカいエンジンとデカいキャビン、さらに様々な電装品を押し込んだ結果、ミドルセダン並みにヘビーな車重になった・・・「ホットハッチ」ならぬ「プレミアムハッチ」がカーメディアの主役です。確かに「コンフォータブル」という言葉が良く当てはまる!手に余ることないサイズ感!など人気の理由もわからなくないですけど、これらのクルマに700万円も払ってしまう日本のユーザーにはちょっと呆れてしまいます。軽量でも低重心でもないままのハッチバックに無理やり高出力化した直4ターボを押し込み、その出力に耐えるために18インチタイヤを履かせてその限界の高さに頼るといった、いかにも「ドイツ的」な設計です。そんなに「AMG」が嬉しいですかね。

  ちなみにこのクルマはイギリス誌によって、サーキット性能の低さが暴露されました(この雑誌も野暮ですけど)。いくらエンジンとタイヤで武装しても、ボデーの重さと重心の高さが仇となっていて、200万円で買えるフォード・フィエスタの足元にも及ばない!と複数の判定員が衆口一致で断罪していました。700万円の駄作がやたらと売れる日本・・・そして200万円の佳作ホットハッチが、残念ながらブランド撤退により今年限りで日本から消えていきます(日本にはスイフト=スポーツがあるさ!)。カーメディアによるミスリードによって、M135iとかA45AMGとか足し算だけの低俗な乗り味のクルマばかりがもて囃される風潮をどうにかしたいなぁ・・・。

  カーメディアでは誰も言い出さないですけど、「水野理論」とポルシェのスポーツカー設計思想に共通する、「タイヤ&空力主義」に基づいたクルマは、多少は大金を出してでも手に入れる価値がある!と思います。488GTBや650S(マクラーレン)といったスーパーカーはともかく、軽量・ワイド・低重心で、クルマの性能を引き出せるタイヤが装備できるクルマならば500万円くらいかけてもいいかな・・・おそらく下取りもいいでしょうから車両価格自体はそれほど負担にはならないはずです(ケイマン、エリーゼなど)。さらに言うとメンテナンス・フリーのエコタイヤでもそれなりの走りをしてしまうS660、ロードスター、86/BRZなんかも、ハイブリッド全盛の中でも高い商品力を維持できるのではないかと思います。

  「アウディTT」と「RC-Z」は市販車ベースであまり注目されませんが、「M135i」や「A45AMG」よりも「200kg軽く、100mm近く低い車高」これこそが最大に評価されるポイントです。BMWやメルセデスが備える300ps超のエンジンはスペック面では華やかですが、これが車重にとって仇になっているわけです。さらに正規輸入でMTが選べるRC-Zは特に貴重です(初代TT中古で僅少ですがMTあります)。

   さて今回新たに追加されたRC-Zの「GTライン」ですが・・・・ん? RC-Z自体がもともとエクステリアから判断して足回りが固められたスポーツモデル(GT)のような気がするのですけど、なんで今更に新型308に準じたような「GTライン」という命名になるのか不思議です。そう感じてしまう自分もまた、日本のカーメディアによって垂れ流された間違ったイメージから完全に脱却できていないのだと思います。新型308は、RC-Zとは違う「EMP2」という新世代プラットフォームを使っていて、VWゴルフを見事にコピーした!と専らの評判です。確かにゴルフみたいなしなやかな乗り心地で、1シリーズやAクラスといったプレミアムブランドの「手抜き車」の乗り心地がアホに思えてくるところは似てるかも・・・。

  つまり新型308は設計思想がVWに近く、ゴルフGTIのように長距離を走るための「ホットハッチ」グレードなどで用途を分けてグレードが追加されるようです。そんな中で作られた、長距離走ってもしなやかなサスペンションで疲れない!ことを売りにした「GTライン」が新型308に設定され、それを旧世代シャシーのRC-Zにまで拡大して追加したようです。つまり「サーキット」で走るような固さではなく、もっとやわらかいアシを配備した「GTライン」になるのでは・・・なんて勝手に妄想しました。

  しかし・・・誰がプジョーにそこまで求めるのかって話ですよね。どうやら足回りの変更はないようで、ホイールが19インチになって専用バッジが付く以外は、専ら内装の変更が主なようです。パワーシート&シートヒーターを標準化しました!ってのが大きいようですね。最近の日本車は価格関係無しにパワーシートだからそれに対抗するためなんでしょうけど、このサイズのクルマにパワーシートは不要だろ・・・。価格はベース車から10万円程度アップですけど0%ローンが用意されています。・・・はぁ〜なんだかな、結局はプレミアム路線か・・・。つまらん。

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