2017年4月15日土曜日

シボレー・コルベット 「USカーが世界を覆うとき」 

  「アメ車なんてクソだ!!」・・・まだまだ日本に蔓延するプロパガンダですが、これ一体誰が言い出したんだろ? なんでもかんでもカーメディアの仕業にして片付けるのはなんの解決にもなってないですね。メディアとは、メーカーよりも圧倒的に製品に関する情報が少ないユーザーを助けるという意味で「不可欠」な存在です。資本主義のルールに基づけば、もっと尊敬されていいと思うんですけどね。

  ユーザー同士がSNSで広く繋がっている昨今では、メディアなんて広告主の読者の動向に神経を尖らせている風見鷄みたいなものです。ご存知のように、アメリカと日本の間には、自動車産業における世界で史上最も険悪な「啀み合い」があったのですから、結局のところは「アメ車はクソ!!」というのはある種の国民感情なのかもしれません。それが刷り込まれたのは、どうやら輸出規制や貿易摩擦が巻き起こった1980年代よりもさらに前なようです。

  戦前の日本ではアメリカメーカーによる生産が行われていた・・・と記録にあります(野口悠紀雄著「戦後日本経済史」)。1936年に「自動車製造事業法」を制定し、この法律は「許可会社」に営業税免除などの特権を与え、フォード、GM、クライスラーを強制的に日本から排除しました。この時の許可会社がトヨタと日産です。これだけ見ると戦前の日本政府が国際的な見地で相当に横暴な「立法」を行っているように見えますが、もちろんこれは世界恐慌を受けてのアメリカによる日本への市場締め出し方針への報復処置です。日本はすでに国産連盟からも脱退済みでした。

  この時期に「松下」「日立」や話題の「東京芝浦電気」も急成長したので、戦争によって高度経済成長期やバブル経済が生まれた・・・そんな事を言って「軍国時代」を美化する風潮もあるようです。そして行き詰まる韓国や日本の経済への効果的な打開策として、東アジアの「非常事態発生」が有効ではないか?と考えている(期待している)人もいる?シリアも半島といった文明の衝突地点は、なんとも恐ろしい宿痾を抱えた地域です。

  戦前に相次いで急成長を遂げたメーカーは、そのまま21世紀まで生き延びました。旧財閥系の「三菱」「富士」は同じくナチス協力メーカーとしてその地位を得た「ダイムラー」「BMW」「VW」とともに、現代の自動車産業の規範とされています。世界の多くのメーカーが三菱のエンジンを搭載し、さらに多くの地域がスバル(富士)こそが最高のクオリティカーだと評価していて、最近では特にアメリカ市場でよく売れています。そんなスバルがニューヨーク国際オートショーで、「特大クラス」の戦略爆撃SUVを公開したとニュースになってました。これアメリカ以外に撃ち込むところが見当たらない重量級BOMBですね!!72年ぶりの大反撃!!




  日本人は自動車産業に関してはかなり楽観的な見方をしているようです。確かにここ数年の自動車関連株は旨味が多い。日本メーカーは国内販売が低迷しようとも、世界のどこかに突撃していって、勝手にシェアをもぎ取ってくるから大丈夫だと思ってる。系列サプライヤーも独自に販路を見つけてくるだろうし。中国市場と並んで今後さらなる成長が見込めるASEAN市場で9割以上という異常なシェアを持つことも日本車にとっては追い風です。三菱が世界に誇る「トライトン」(日本未発売)はタイ工場で作られてたりしますが、「三菱」を熱く支持する東南アジア諸国という構図・・・。実はここにフォードがマツダと合弁したタイ工場や、豪州の拠点からクルマを投入して制圧しようしたのですが、全くの空振りで日本市場撤退と同時にASEAN最大のインドネシアからも撤退を発表しました。あの戦争の記憶は・・・。

  さて日本や東南アジアがヒステリックに「偏見」を持つアメリカ車ですが、72年前のような圧倒的な強さを再び見せるんですかね。北米のサイトを見ると「シボレー・コルベット」は55,450米ドル〜です。これはなかなか「天衣無縫」な存在です。同じV8自然吸気を搭載するレクサスRC-Fが64,000米ドル、レクサスLCが92,000米ドルなことを考えると、V8自然吸気の専用設計スポーツカーの価格としては、ほぼ「無敵」といって水準です。

  フェラーリもランボルギーニも東京モーターショーに来なくなって、NSX、GT-R、RC-F、LCの日本価格がぼったくり・・・で販売は限定的で、トヨタ86、マツダロードスターこそがスポーツカーなんだ!!と必死で思い込もうとしている、クルマ難民だらけの日本に、600万円の戦略価格で「コルベット」が降り立ったら一体どうなるんだろう? さらに北米価格では86やロードスターよりもさらに安い25,000米ドルなのに、280psの2Lターボを積んでいるシボレー・カマロもいよいよ日本に投入されるようです。この2台を見て日本のキッズ達は何を想うのか? 「ギブ・ミー・ファン・トゥー・ドライブ!!カモン!!」と諸手を挙げて大喜びする姿がうっすら浮かびます・・・。 


  「アメ車はクソだ!!」と教えられてきた日本人の頭にガツンと一撃をかます2017年になるのかなー。レクサス、AMG、BMW-M、アウディRS、ポルシェによる「枢軸ブランドの支配」「カルテル」の時代を打破して、「真の民主主義」とやらを日本や東南アジアに展開する・・・そんな大転換のタイミングが案外近くにまで迫っているような気がするんです。日独のスポーツカーがアメリカ車に負ける!!とかそういう話ではなくて、レクサスLCもポルシェ911も90,000米ドル、BMW・M4が66,000米ドルといった北米価格に近い水準で買える「ルール」を日本に広げるきっかけになったらいいなーってことです。


  

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