2018年3月18日日曜日

BMW・X1(2018 / NO1) 『不当評価』に断固反対!!


BMW近代化60周年
  2018年はBMWにとっては非常に「メモリアル」な1年になるとのこと。たくさんの新型モデルが出てくるだけでなく、その中には複数の自信作もあるようで、新しいBMWのフラッグシップステージとして復活する8シリーズでは、2ドア、4ドア、M8を含めたトータル展開を行い、ボトムではなかなか競争力がありそうなX2を欧州に続いて日本でも発売するようです。他にもZ4とi4などがあるらしくなかなか豊作。そして3シリーズのFMCはいつなんだろう!?

プロペラマーク
  BMWという社名は100年くらい前にあった航空エンジンメーカーに遡り、第二次大戦のドイツ空軍の主力機のエンジンを作っていた。世界初のジェットエンジンの開発を任されるものの実用化に失敗するなど、航空エンジンメーカーとしては三流だったようだが、そこから世界のBMWとして高級自動車メーカーへの第一歩を刻んだのが1959年。その年に発売した後輪駆動の乗用車が、今のBMWの原型とされる。

日本はBMWが好きだ
  航空エンジンメーカー時代は、ユンカースやメルセデスの足元にも及ばなかったBMWが、今ではメルセデスと肩を並べるプレミアムブランドへと成長しました。日本でも大人気ですねー。「BMWとはなんなのか?」についてブログに書くと他の投稿の1.5〜10倍くらい読んでもらえますし、時には怒り狂ったコメントがやってきたりもします。なんで俺のBMWへの愛が伝わらないのだろうか!? 未熟なだけなんでしょうけど、それでもなんとかこのブランドの「本質」に迫ろうとあれこれ調べてきました。とにかくBMW(とスバル)についてブログで書くとびっくりするくらい読者が増えましたね。もうBMWには頭が上がらないです。

親和性の高さがポイント
  私なりの見解では、BMWとは「メルセデスに憧れているフリをしつつ、徹底して日本メーカーを研究して商品力を上げて成功したブランド」だと思っています(定義しています)。80年代にアメリカを超えて世界トップに躍り出た日本の自動車産業は、間違いなく世界のメーカーのお手本なのですけども、BMWはその中でも最も熱心に日本車を分析しています。そして何より驚きなのが、日本の自動車産業がまだまだ二流の域を出なかった、1970年代前半くらいから早くも日本メーカーの技術やデザインに注目していたと思われる例がいくつもあります。02シリーズのサイドデザインなど。

技術✖️ブランディング
  バブル期以降は、他の欧州メーカーとは異次元のスピード感覚を見せつけます。P10プリメーラが革新的な乗り味で欧州で好評になると、日本車を模倣することに躊躇するメルセデスを横目に3シリーズに取り入れて、80年代以降にDセグに殴り込みをかけてきたメルセデスに応戦し、未だに3シリーズはCクラスに対して優位な戦いを続けています。さらにオリジナルのエンジン技術にこだわるメルセデスとは違って、三菱GDIの直噴ターボもライセンスを取って導入し、ホンダ&トヨタがバブルの終わりに開発競争を繰り広げた可変バルブ機構も、欧州メーカーの中では真っ先に導入します(バルブトロニック)。

決断が早い
  さらにトヨタ・ハリアーがアメリカなどで成功すると、これまたメルセデスとは比べものにならないスピード感でSUVに全力投球し、北米最初のプレミアムSUVブランドとしての成功を目論んでランドローバーも買収します(その後1世代を共同開発した後で売却)。BMWみたいなブランドは「意識高い系」と命名したい。なぜ日本メーカーは技術こそ開発できるのにBMWみたいに魅力的な商品としてまとめることができないのか!?日産もホンダも見ていてイライラすることも・・・。

X1登場
  ちょっと前置きが長くなりましたが、全ブランドの中でも間違いなく「意識高い系」に分類されるBMW。その高い商品力が最も端的に発揮されているのが「X1」だと思う。日産が欧州でキャッシュカイ(デュアリス)を発売すると、2年度には初代X1が用意されていた。メルセデスやVW&アウディが全くついていけないペースで発売される。とりあえずFRで発売しておいてから、2015年に満を辞してFFベース化された2代目が登場。

正常進化
  ニューモデルマガジンXの「ざ・ジャッジ」では、高齢の業界関係者に「450万円の価値はない」とか言われてましたが、そもそもX1をFRにしておくメリットはほとんどないです。むしろスタイリッシュに乗れるファミリーカーとして手頃なSUV、新古車ならば320万円くらいで買える!!それでいてJNCAPでホンダフリードやマツダデミオにも敗北した先代X1の致命的な「衝突安全性」をFF化によってスピーディに改善を成し遂げたことをもっとも評価すべきではないかと思うのですが、BMWの希少性(FR設計)を維持してほしい想いがあるんだろーけど、やはり冷静に車の中身を考えて選択すべきじゃないの!?

現行X1の選択は間違っていない
  高速道路での直進安定性と衝突安全性。これらは日本で中型車を使う上で、とても大切な要素ですが、X1に関してはどちらも先代よりも数段にレベルアップしています。そもそも6気筒ユニットを積まないならば、FRをFFに変えることは非常に合理的で有益な判断だと思う。例えば日産の2代目エルグランドを6気筒ユニットをラインナップし続けるのにFF化を強行したことに関しては疑問が残る。そういう意味ではBMWの判断は正しい。

政治の影響?
80年代、90年代にアメリカの議会では、RWD車に対する強烈な批判が巻き起こり、特にRRのポルシェは名指しで「完全に間違ったクルマ」とまで扱き下ろされたらしい。今日のカーメディアは、アメリカ議会のジャッジに抗議する意味も込もっているかのように、極端にFF車のメリットを語るレビューは見られないです。アバルト595とアバルト124スパイダーを比べて、FFの方が断然に運転が面白い!!と断じたものがありましたが、これはかなり稀な例ですね。政治的なイデオロギーで、FRやFFに関する評価が歪められてしまったのは残念なことです。

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2018年3月11日日曜日

ボルボXC60(2018 / NO1) 『WCOTYに手がとどくか!?』


世界の頂点が見えてきた 

  WCOTY2018のフィナリスト3台が発表された。マツダCX5、レンジローバー・ヴェラールそれからXC60。3台ともSUVになってしまうのは昨年と同じですども、今年は旧フォードグループが独占しての「エモーショナル頂上決戦」となりました。去年はどんぐりの背比べのスペック&装備ポイント評価に対して、「エモーショナル」評価でジャガーFペースだけが8点台を記録して圧勝。(WCOTYの採点表にはエコ、安全性、売り上げ、エモーショナルなどいくつかの項目があります)

「エモーショナル」の進化は?
  ここ数年の「ワールドカー」部門(メイン)で、エモーショナルで8点台後半以上を繰り出せているのは、旧フォードとポルシェだけ。ラグジュアリー部門でこそBMWi8が「8.9」を記録してますが、「ワールドカー」部門では渾身デザインの4シリーズで「8.2」こそありますが、他のモデルは低調。日本で売れているメルセデスはびっくりなほど評価されていません。ちなみにCクラス「8.0」がメルセデスでは「ワールドカー」部門の最高です。伝統主義の頭デッカチが審査員に多いから、最近のメルセデスデザインは「邪道」とか思われているのか!? 

M以外の日本メーカーはダメだ・・・
  トヨタや日産などの日本の主流メーカーはもっと悲惨で、2014年にスカイラインとレクサスISが参戦して「激戦」と注目されたものの、両車ともに4シリーズに及ばないばかりか、格下のマツダアクセラにも大きな差をつけられる始末。WCOTYが正しいという根拠は全くないですけども、安定企業が大好きな日本のサラリーマンにカーデザインなんて無理だ!!という先入観が強まる。トヨタ、日産の名誉のために書いておくとトヨタ86は2013年に「8.3」を、GT-Rは2009年に「8.6」を獲得。

旧フォードグループの創造性は止まらない
  昨年(2017)はFペース「8.4」の他に他部門ですがDB11が「8.8」のミラクルスコア。さらに一昨年(2016)はNDロードスターが史上最高タイの「9.0」を記録。9.0を過去記録したのは2011年のレンジローバー・イヴォークと2010年のメルセデスSLSだけ。その前(2015)は大賞こそ取れなかったもののマスタングがエモーショナルでトップスコアを記録。新生ボルボにとっては未だに8点台も出せていないのでプレッシャーがかかる展開ではあります。今年のXC60に加えて来年のXC40にも期待がかかるところ。

エモーショナルなSUVとは?
SUVってのは「アクティブ」か「ファミリー」かをはっきりさせた方がいいと思う。キャラクター、カテゴリーを色濃く示してくれないと書いにくい。そう感じるのは、去年CH-Rが、そして今年はCX8が目立ってブレイクしているからかもしれないけど。日本市場だけならば、今後しばらくもしかしたらCX5よりCX8が売れるかも。CX3はややキャラ設定に失敗したな・・・。

「ボンクラ」に見えるけど・・・。
  ボルボにおいてもXC90と今年登場する新型XC40の間に位置するXC60は少々ボンヤリ見える。河口さんは「ボンヤリ」でも売れると太鼓判を押してますけど、実際のところ、潜在ユーザーの推計7割近くは「個性不足」というだけで敬遠しているんじゃないだろうか。そんな状況で強力なライバルモデルが出現したら販売はほぼ壊滅的だと思う(ボルボにとってはいつものことだけど)。600万円台のDセグメントSUVで印象的なモデルは、今のところはマカンとRXですが、スポーティとラグジュアリーファミリータイプに分かれて市場を二分してます。この2台と比べてもXC60、SLC、 Q5、X3はちょっとボヤけた印象がある。

販売業者の都合でトレンドが左右されてしまっている!?
  輸入車販売業者にとっては、適度な値引きをしておけば、「アクティブ」「ファミリー」どっちに需要に対しても売り込み可能なので重宝するのだろう。今のところ日本導入モデルは全グレードがAWD。ガソリン(T5・254ps)でもディーゼル(D4・190ps)でも実勢価格は500万円〜。BMW、メルセデスのAWDのDセグ・SUVを同じ価格で買えたら相当にラッキー。ハリアーのAWDで2LターボもしくはHVを選んでも400万円以上するので、トヨタ並みにコスパが良いとも言える。


輸入車のメリットが伝わる市場になればいいけど・・・
  いろいろなタイプのユーザーがいるから、なかなか輸入車にヒットモデルが生まれにくい。日本メーカーの新型車にしてもメーカーが巧妙なPR戦略を繰り広げてなんとか誘導して売っているけど、半年もすれば一気に売れなくなる。定価で600万円とかするクルマではほとんどのPRが空振りに終わる。早い話が金を持っている人だけにDMを撃った方が圧倒的に効率がいいわけだ。東京モーターショーにのこのこやってくる人々に、高額モデルを見せつけたところで販売は伸びないから、どんどん参加メーカーが減る。

いいクルマを効率よく売る方法がない
  ボルボはXC60は東京MS2017ではインポーターが独自に展示を行ったけど、ボルボ本体は参加を見送っていた。まあS90やXC90を売るなら東京モーターショーとは別の方法がいいのは素人にもわかるからそっちにお金を使ったのだと思う。WCOTYも「ワールドカー」「アーバンカー」「ラグジュアリーカー」「パフォーマンスカー」に細かく分かれて審査する時代なので、メーカーもジャンルに応じて販売方法を選ぶ時代なんだろうな。

自動車販売における大革命が待たれる
  東京MSで販売が捗るのは「アーバンカー」と「パフォーマンスカー」くらいじゃないだろうか!?今ではBMWやメルセデスよりも敷居が高くなりつつある新生ボルボにとって東京MSにはもはやメリットを見出せないかも。ポルシェのようにわぎゃわぎゃいる観衆を観客に見立てて「太い客」をステージにあげて、優越感を煽る接客をやってたりするけど・・・。

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2018年3月4日日曜日

アルファロメオ・ジュリア(2018 / NO1) 本物の・・・欧州設計&欧州車



Dセグが再び活性化する!?
  プジョーが新しい508を発表するらしい。いわゆるDセグセダンだけれども、4800mmを超えていた先代モデルから一転して4750mmまで全長が縮まるようで、何やら新しい潮流がやってきたようにも感じる。実際のところ実用域でのDセグセダンの落とし所は4750mmくらいにあるのでは?とは日本で走っていて薄々は感じてましたが、日本市場で堂々の躍進を果たしたメルセデスCクラスの成功により、いよいよそれがスタンダードになる!?ちなみにマークXや先代アテンザなどがこのサイズです。やっぱりベストだよね。

北米&中華サイズに振り回されすぎ
  アメリカビッグ3が作るDセグのシボレー・マリブ、クライスラー200、フォード・フュージョンは4860~4950mmの範囲にある。これほぼクラウンサイズです。北米と中国をメイン市場と定める日本車のうち、カムリ、アコード、アルティマ(ティアナ)、アテンザなどはいずれも4850mm前後の車体を持つようになった。北米には展開されないフランス車も中国市場のトレンドに左右されていて、ルノー・タリスマン、現行プジョー508、シトロエンC5は4800mm台に突入している。その一方で、やや保守的なスバル(レガシィB4)とVW(パサート)は、先代で躍進したものの、現行も4700mm台に留まった結果、現在の北米市場ではやや苦戦を強いられている様子。

Dセグの選び方
  日本市場のDセグ4ドアをまとめると、4600mm台が3/4シリーズ、A5、ジャガーXE、ジュリア、キャデラックATS。4700mm台がCクラス、A4、スカイライン、レクサスIS、マークX、パサート、レガシィB4。4800mm台がカムリ、アコード、アテンザ、ティアナ、現行プジョー508。 同ブランド内にCLAやA3セダンを持つCクラスとA4は、差別化のためにワンサイズ上げているようだ。

406の時代とは違う
  プジョーは新しい508でDセグのマーケットを再び獲得して、映画「TAXI」の続編を作りたいでしょうけども、どーですかね。406が人気だった頃と比べて、Cクラスは確実にレベルアップしていますし、後から出てきたジャガーXEやアルファロメオ・ジュリアもひたすらに「商品力」「付加価値」を意識したクルマ作りになっているので、406時代の技術アプローチのままで、主要市場で影響力を持つことは難しいのではないかと思います。

4700mm未満は北米ではサブコンパクト
  4600mm台のDセグセダン。岩貞るみ子とかいうライターは「存在意義が無い」と断言しておられました(ジュリアは特別にOKらしいが・・・)。4ドアなのにリアのスペースが結構きつそうなイメージかもしれませんが、最新のモデルは結構座れる。4800mmサイズのFFセダンはそのスペース効率を生かして5000mm級のFRセダンと同じかそれ以上のゆとりを持たせているので、それに比べるとFRの4600mm台は不利なんですけど、3シリーズでもF30系からは後ろが極端に狭いとは感じなくなりました。XEやジュリアにしてもF30の寸法をかなり意識しているので、同様に使い勝手は悪くないです。

Dセグを引っ張ってほしい3台
  基本フロントシートしか使わないカーライフで、かつ中長距離を楽しむGTセダンとしてスポーティな要素を重視するなら、むしろ4600mm台のFRを積極的に選んでもいいんじゃないの!? キャデラックATSは、400万円代で276psのハイパワーユニットが付いてくるコスパ最強の1台ですが、左ハンドルだけしか導入しないのがややネックか。グランドツアラーへのイメージにつながる『力強さ』と『安定感』を求めるならA5スポーツバックのクワトロなのですが、やはりハンドリング対決となると、4シリーズグランクーペ、XE、ジュリアの3台に絞られる。A5はデザイン先行でまだ決定的な中身のクルマにはなっていない。

ストイックさは伝わった!!
  ホイールベースは2810mm(4GC)、2835mm(XE)、2820mm(ジュリア)で、単純に2400mm前後のスポーツカー的ディスタンスに近いのは意外にもBMWですが、他の2台はフロントサスペンションにダブルウィッシュボーンを仕込んでいて、これが効いているようでBMWよりもハンドリングのレスポンスに関しては優位に感じます。さすがはジャガーとアルファロメオがそれぞれ3シリーズの『長所』を潰すべく作り込んだ結果だと思いますし、BMWもそれに応戦するかのように仕上げた4シリーズがこれまたいい。いくら日本車好きでも認めなければならない。今のBMW、アルファロメオ、ジャガーは・・・ホンダ、MAZDAよりも清々しい設計であることを。


さらに先の勝負
「スポーツセダン」という商品を、そつなく設計してライバルと切磋琢磨して、高い評価を得た4erGC、XE、ジュリアですが、この先に何があるのか!?ベースグレードから6000rpmオーバークラスのガソリンターボを使う!? Eデフ装備のAWDになる!? 4WS&トルクベクタリングでFRのままスポーツカーに挑む!? まだまだ車体&シャシーの素材であったり、タイヤやサスペンション形式における進化も見込めるでしょう。あとは世界のユーザーが実際にドライビングを楽しんで、この手のクルマの価値が高まるかどうか・・・。この3台の売れ行きに注目したい。10年後にこの市場がどーなっているのかな!?


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