2018年2月21日水曜日

BMW・4シリーズグランクーペ(2018 / NO1) 迷ったらこれ買っとけ!!


全ての不信感を払拭したBMWの会心作
  4シリーズグランクーペはいいクルマだと思う。ドライビングプレジャーの追求や、ラグジュアリーな非日常の演出など、BMWが世界のユーザーに謳っている「価値」をストレートに表現できているモデルだから。「やればできるじゃん」とちょっと上から目線で言いたくなる。

3と4の差がわかるか!?
  3シリーズの「かっこつけ」が4シリーズとか言われているみたいだけど、3シリーズと4シリーズを乗り比べて「同じ」と結論づけるヤツの感性はちょっと特殊だと思う。ベントレーとフェラーリばかりに乗ってる人かな? F30系(現行モデル)に関して言えば、3シリーズがトヨタ・ブレビスならば、4シリーズはホンダ・インテグラってくらいにキャラが違う。ブレビス復活を期待する人は3を、インテグラ復活を期待する人は4を買えばいいと思う。インテグラはFFだけど、イメージが案外バッチリなんですよ。

BMWで感じる日本の名車たち
  E90系に関して言えば3シリーズも3シリーズクーペ(4シリーズの前身)もトヨタ・アルテッツァみたいなクルマだった(それが3と4に分かれてブレビスとインテグラに分かれた)。アルテッツァ(現レクサスIS)もいい味出していたけど、さらにマニアック度が高いブレビスとインテグラへとシフトしてきたBMWの日本車オタクぶりにはちょっと頭が下がる。現行M3/M4のツインターボ(S55)は、いわばBMW版のRB26DETTというくらいに類似点が多い。

カムリではない4シリーズ・グランクーペこそが伝統の継承だ
  BMWの日産傾倒はエンジンだけでなく、1990年代に欧州を騒がせたP10プリメーラにBMWの乗り味の原点があるとも言われています。日産傾倒というより水野という天才カーガイにBMWが惚れたんだね。とにかくプリメーラだか、プレリュードだか、インテグラだか、シルビアだか知らないけど、日本車の素晴らしさをストレートかつ端的に表現したかつての名車達の面影をうまく受け継いでいる現行モデルってのは、このBMW4シリーズグランクーペ・・・とアウディA5スポーツバックとアルファロメオ・ジュリアとトヨタ86/スバルBRZ、あるいはホンダ・シビックといったところですね(結構いろいろあるね)。

スイスポではダメな理由。
  「シルビアを復活させろ!!」って騒ぐならば、やはり420iグランクーペの設計思想を理解してあげたらいいんじゃないですかね。このクルマがBMWでもっとも気持ちがいい理由は、なんだかんだ言ってもヒップポイントだなと思うわけです。中古のE46、E90、F30はかなり手軽な価格で買えますけども、420iと比べちゃうともうダメです。むしろ某国内大手メーカーのHVの方が着座位置だけならしっくりくるぞ・・・。

クルマ好きが作っている!!間違いない!!
  グランドツーリングカーってのはヒップポイントが大事だと思う。昨年話題だったシビックもスイスポもその部分の設計がダメだなー(やり直せ!!)。MAZDAはシートリフターの調整幅が大きいので好きなんですけど、それに慣れてしまうとE46やF30もダメだ・・・。E90はヒップポイントはいいけど、今度はアイポイントが変な気分になる。ボデー構造&インパネの質感に少々難がある。簡単にいうとくつろいだ長時間ドライブに向かない。

モデルが多ければ「当たり」も出てくる!?
  クルマが好きで毎週のように長時間ドライブを楽しんでいるような人が、設計の主導権を握っていればいいクルマができるはず。そういう意味で4シリーズグランクーペという企画は、かなりミラクルな結果を生み出していると思う。トヨタ86やスバルWRX・S4の内装をMAZDAが担当すれば結構いい感じなんじゃないか!?とか考えちゃいますけど、4シリーズグランクーペはそのさじ加減が奇跡的にうまくいっている。





4er・IN STYLE SPORTS
  青山スクエアから久々にDMが来た。いつも気になるモデルはムラウチで乗せてもらっていて、買う気になったらムラウチに仁義を通すと思うけど、数年前にセレブなヤツに同伴してジャパンの青山スクエアに1度行っただけなのに律儀に4シリーズのDMはくれるようだ。4シリーズの限定モデル「In Style Sports」というらしいが、よくあるレザーシートが標準になった限定モデルですけども、420iが694万円で440iが925万円。ちなみにレザーシート以外に特にコストがかかってそうな変更点はないです。

日本の限定車にも負けない内容だと思うが・・・
  86GRMNや、S208なども600~700万円くらいするのに抽選になる人気だったので、同じくらいの価格帯の420iの限定車は決して無茶な価格ではないと思うけど、要は「投機目的」で買う人はいないだろーね。日本のクルマ文化においてまだまだ420iグランクーペの素晴らしいバランス感覚が評価されていないので、中古価格が高騰することもないだろう。しかしこのクルマはもっと売れて人気になるべきだと思う。

もっと褒めろよカーメディア!!
  「エンジンではない。トータルバランスこそが素晴らしい。」といった賛辞を受けるお手本みたいな設計は素晴らしい。P10プリメーラ、3代目プレリュード(4輪DWB)、GGアテンザ(4輪DWB)など、創意工夫の日本車を徹底的に評価してくれたのがドイツ市場なのに、現行のドイツ車の中でどれが本物なのかが判断できてすらいない日本市場の音痴っぷりはちょっと恥ずかしい。


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2018年2月13日火曜日

アウディA5スポーツバック(2018 / NO1) ちょっとだけAudi

Audiってさ・・・
  アウディがやりたい事が市場に伝わらなくなったのはいつ頃からだろうか。90年代の終わりにアウディは、定評があったメカではなく、デザインによって業界を根底から変える力を持っていることを世界に示していました。『ミレニアム』という世界的な転換機運の高まっているタイミングもあって、誰の目にも21世紀の自動車業界の覇者は多分アウディになるだろうという予感はあったんですけどねー。結局は日本市場はアウディではなくてプリウスを選んだという・・・。

エコカー減税はAudi侵略を防いだ!?
  エコカー減税を国に働きかけて、無理やり市場にプリウスを選ばせた部分もあるわけですが、アウディが日本市場の定番高級車にいまいち成りきれていないのは、アウディ自身にも色々と問題があった気がします。「ディーゼル」とか「反日」とかそういう政治的な問題はどうでもいいのですが、結局のところ90年代に振り上げた拳で当時停滞していたBMWやメルセデスを叩くことには成功しましたが、アメリカ車や日本車が持つ技術的な支持を得られないままに、なんだかフワフワと『根無し草』のようなブランドになってしまったことは、「アウディの悔恨」として後世に語り継がれていくと思います。

90年代のメカAudiの万能感
  「何を言ってんだ?」って人もいると思いますが、90年代のアウディは、ホンダにも負けない高回転ユニットと、日産、三菱、スバルのAWDターボ軍団(いわゆるスカG、エボ、インプ)をも凌駕する高性能なシャシーとAWDシステム(クワトロ)を併せ持つ、ドイツ自動車産業の誇りだったわけです。それを思うと今のアウディは不甲斐ない。時代はかわり北米でも欧州でもSUVが大ブームなようですが、トルクベクタリングのエクストレイル、Eデフを装備したアウトランダー、デフロックこそないもののLSDを備えたフォレスターなど、技術的なポイントを押さえて投入される日本勢に対して、アウディのSUVのガラクタ感は半端ないです。

クワトロという名の詐欺
  昨年フルモデルチェンジした「アウディA5」は、日産GT-R/インフィニティQ60に対峙するモデルです。かつて『スカG』に対するドイツ最強のライバルという意味で君臨したアウディにとっては、このA5シリーズは特別なモデルだと思うのですが、アウディの関心はどうも新興国市場でバカ売れしているロングボデーのサルーンにばかりあるようで、A5は完全に後回しにされている感じがしますね。このFMCでも一体何が変わったのかいまいちピンとこない。しかもいつの間にか日本メーカー製のオンデマンドAWDを装備したクルマが「クワトロ」を名乗っているのはちょっと残念です。

日産の挑戦に見向きもせずに利益に走る!?
  それでもまだまだアウディの名声は生きていて、北米市場で攻勢を強めるインフィニティの主力エンジンになったVR30DETTは、アウディS5スポーツバック(北米仕様)の3L・V6の354psのユニット(EA839)をターゲットにした為に、特別に400ps版を設計したと日産の開発担当者はインタビューで明かしています。ちなみに北米市場ではEA839のツインターボ版は存在しないです(RS4アバント/RS5は導入されていない)、よって5400rpmがピークのEA839に対して、6400rpmのターボにしては異例の高回転ユニットにしたのも、アウディを徹底的に叩く為だったとか・・・。

もう少し日本価格が・・・
  北米ではS4が51000ドル、S5スポーツバックが54000ドルで買えるのに対して、日本ではS4が839万円、S5スポーツバックが913万円。ドイツメーカーではこれくらいの日米格差は当たり前なんですけども、ちょっと価格差が気になって日本ではS5なんてなかなか視界に入ってこない。しかし90年代のアウディの志をそのまま理解するならば、スカGやエボのようなグランドツーリングカーこそがこのブランドの魅力であり、そのど真ん中は間違いなくS5スポーツバックなんですよねー。

日本のAudiがダメな理由は顧客にある!?
  アウディジャパンは、そんなことをまるで気にしていないようで、せっせと廉価な横置きエンジンのクルマを仕入れて売りさばいているようです(それAudiじゃねーし)。350万円で数字が出せるクルマを多めに注文して量販するのは、日本車ユーザーをうまく引き寄せる現実的な戦略なんでしょうけども、正直言ってその内容はお世辞にも納得はできない(コスパがいいとは感じない)。やはりアメリカ向けと日本向けでAudiのイメージが大きく違ってしまう原因は、ユーザーにあるのかな!?

1.4LのAudiはもうやめてー
  北米向けのアウディは、直4なら252ps、V6なら354ps。非常にアウディらしいハイチューンなユニット『のみ』が使われていますし、RSともなると直5、V8、V10のみの特別なユニットだけを設定。ベースモデルとは全く違う異次元のマシンに仕上がっています。それに対して日本向けのアウディは1.4Lターボとかいう、今ではインドやパキスタンなどの新興国市場くらいでしか売ってなさそうなユニットが平気で使われているわけです(中国でも1.4LターボにDSGなんてもうとっくに廃止されているのに)。

ハイパワー/ハイトルクに合ったシャシーとサスなんだが・・・
  何が言いたいかというと、やはりアウディには北米市場で展開しているようなラインナップで、本当にいいクルマだけを売って欲しい。縦置きエンジンのA4なのに1.4Lや控えめな2.0Lのユニットを搭載したFF車になっていたりすると、これならA3の横置きユニットの方がロスも少なく乗り味も居住性も安全性も上じゃないかって思う。しかも高出力AWDを意識した4輪マルチリンクの実力をほとんど使いこなせていない。それだけじゃなくて、アシが粘るものだから余計にユニットが物足りないクルマだと感じてしまう。ハンドリングもスッキリしないし・・・。

FFのA5・・・
  2017年のFMCで登場したFFのA5スポーツバック543万円という不思議なモデル。日本でもアウディの本質に近づいてもらえる価格で!!という配慮なんだろうけども、「違うだろー!!」って心の声が聴こえてくる。アウディジャパンからクルマを買う立場の日本市場にとっては今後に期待を抱かせる一歩だとは思うのですけどね。アウディのグランドツアラーで『群長超え』ルートでも存分に味わえば、やっぱりドイツ車っていいよな〜という気分に浸れると思うのですが・・・。

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2018年2月8日木曜日

ルノー・メガーヌ(2018 / NO1) CMFの本気?

ルノーがドイツ車に挑む

  いまいちどこへ向かっているのかわからないフランスブランドのルノーです。欧州では主要市場で強力なVWグループを徐々に駆逐しつつあり、フランス本国はもとより、VWの本籍地であるドイツ市場にも侵略しつつあります。今ではVWグループのチェコのシュコダを除けば、ドイツで最も売れている国外のブランドになるらしいです。ちょっと前まではトヨタ、日産、MAZDA、スズキなどの後塵を拝していましたが、今では日本勢とは別格に売れているらしいです。

ドイツ車がつまらないからルノーが売れる!?
  ドイツ市場のユーザーはとっても素直で正直な人が多いようで、メカ的に優れている要素がはっきりわかるクルマなら例外なくそこそこ売れるらしい。歴代の日本車でもアコードCA(3代目)、P10プリメーラ 、歴代のMAZDA626、MAZDA6GG(アテンザ)、欧州カローラ(カローラランクス)、歴代エボ、歴代インプWRX、歴代スイフトスポーツなど、日本ではあまり人いがなくても、設計がやたらと意欲的な日本車はことごとく売れてきました。残念ながら日本車の大将格である『スカG』は、34が短期間のみの正規輸入でしたが・・・。

フランスブランドは「本格志向」
  そんな「メカ」好きなドイツ市場で『メガーヌGT』の販売が好調らしい。フランス車ってのはちょっとドイツ人からバカにされているところがあるようで、高速安定性は期待できないけど、デザインが独創的だからという理由でちょっとは売れているらしい。しかしPSAなどはかなり無視されているという話も。そんな中でメガーヌGTのようにドイツ市場を攻略しようというモデルも出てきます。「ドイツ人好み」のメカ的なフランス車は、以前にもあって、例えばプジョー406、407といった90年代2000年代のプジョーの看板モデルも「メカ」でドイツウケしたらしいが、リーマンショック以降のフランス車ではどうやらこのメガーヌGTが初めてかも。

VWはもはや完全に中国がメインだが、ルノーはまだまだ欧州中心。

  ルノーの販売で評価できるのが欧州市場でその多くが売れていること。欧州メーカーなのだから欧州市場でたくさん売るのは当たり前のような気がするが、ライバルのVWやPSAはすでにグローバル販売の半数以上を中国市場に依存しているのに対して、ルノーは6〜7割を欧州市場で販売している。欧州の「走り」の伝統で最も評価されている一般ブランドといってもいいのかも。低成長なはずの欧州に軸足を置きつつも、2017年は前年比10%の伸びを記録するなど、なかなか『ミラクル』な展開です。

トヨタが失敗した道を押し通る!?
  そんなルノー・メガーヌが「GT」グレードを前面に押し立てて日本市場にやってきました。スポーティと実用性を兼ね備えた「GTカー」&「ハッチバック」=『ホットハッチ』は、あのトヨタも一度仕掛けましたが日本では成功しませんでした。2000年頃にトヨタがカローラランクス発売で仕掛けた「Cセグハッチバックツアラー」を日本で売る!!という構想は、日本では全く受け入れられなかったです。しかしトヨタが失敗した地獄の道をルノーがやってしまおう!!という憎いまでの心意気には敬意を示したいです。


「ルノーは楽しい」という評価は定着するか
  シビックtypeRやゴルフRなど高性能なデフを装備したサーキット向け改造車ならば一定のユーザーは見込めるようですが、エンジン換装(排気量UP)とスポーティな足回りへの変更といった、クルマの使い方自体はそれほど変わらない程度のチューンだけを施して、「日本市場」で余分にお金を払わせるのはなかなか難しいんじゃないかと思います。幸いにCセグで200ps程度のユニットを積む車両の新車価格の相場がやや曖昧になっていて、ホンダ・シビックを基準とすると265万円くらいになります。果たしてここに4WSと派手なサポートが着いたスポーツシートなどの装備で差別化されたとはいえ、334万円のメガーヌGTは割って入っていけるのか!?

ルノー日産CMFの実力!?
  メガーヌに使われるプラットフォームは日産CMFプラットフォームです。これ業界では、MQB、TNGAに先んじて展開された共通シャシー化のトップランナーとか言われていて、欧州で大ヒットしたSUVキャッシュカイ(エクストレイル)とも同じものです。MQB、LMP2、TNGAと比べて、日本市場ではその実力が測定しにくいプラットフォームでしたが、エクストレイルを検分する限りでは、同クラスのSUVに採用される中では、最も優秀なモジュラー型プラットフォームという感触はあります。

北米セントラとの違い
  メガーヌGTに搭載されるエンジンは、1.6Lの208psのユニットで、北米セントラの上級ターボグレードと基本は同じですが、北米の日産版は188psなのでルノーによって特別にチューンが施されています。北米セントラと日本のシルフィは、どちらも旧型のBセグ用シャシーを引き延ばして使っていて、搭載できるエンジンもやや控えめです。CMF時代ルノー日産の本格的なCセグ車としては、このメガーヌと日産パルサー/ティーダが第一弾になりますが、日本に入ってきているのは今のところはメガーヌだけという状況。

国内生産でCMFの実力を見せて
  日本ではトヨタやVWによるメディア支配が進んでいて、TNGAやMQBはよく知られていても、CMFは知らないという人も多いです。TNGA代表のプリウス&C-HR、MQB代表のゴルフに対抗するような、ルノー日産グループCMFの大本命として登場したメガーヌですけども、とりあえず最初に乗った印象では、プリウス、ゴルフを蹴散らすに十分な操縦性が目立ちます。ルノー日産の熱いパッションが伝わって来るような、いい意味でトガった乗り味です。シートのせいもあるかも!?ぜひ日産にもNISMOベースに最適なピュアCセグを国内生産で期待したい。

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