2016年10月24日月曜日

プジョー508GT 「日本のカーメディアを封殺する珍車登場」

  突然ですが、サスペンション形式はやっぱり大事だと思います。BMWやポルシェのファンが顔を真っ赤にして反論するのかもしれないけど、より上質なクルマの選択としては、トヨタや日産が正しかった!! 素人が何を言っても〜・・・なんですが、「上質なクルマ」という線引きを皆さんどこで感じますか? 例えばVWパサートとアウディA4はかつては同じ設計でしたけれでも、今ではサス形式やエンジンなど全くの別ものになってますし・・・。

  もっと直感的に分るのは日産スカイラインとスバルWRX・S4の違いでしょうか。大上段に「上質な大人のスポーツセダン」を掲げたスバルは完全に発売時期を見誤ったようですね。スカイラインという「本物中の本物」(北米ではクラス最高評価)に軽く大人と子どもの違いを見せつけられました。あれは素人でも十分にわかるレベルの断然な格差で、価格差もわずか100万円程度ですから、WRX・S4が全く売れないのもよくわかります。もちろんスカイラインよりも使いやすいサイズですし利点もあるわけですが・・・。違いは何か?サスとミッションですね。

  アテンザもアコードもサスペンション変更で先代モデルより明らかにハンドリングが悪くなりました。「それでもアウディやトヨタよりは・・・」とか反論されそうですけども、そこと比べてどーするの? 欧州向けアコードの廃止は痛かったなー。シビックだけで補うにはちょっと大き過ぎる穴だと思います。アテンザもアクセラがちょっと大きくなっただけのクルマになりました。うーん・・・これではジャガーやアルファロメオの新型FRスポーツセダンには及ばないんじゃ!? シビックやアクセラはゴルフGTI/Rのようなスポーティな仕上げは可能だけど「大人なクルマ」は到底に無理っす。本物を知る大人はおそらく好きにはならない!フーガやセルシオからの乗り換えなんて現実的ではないです(経済的事情以外で)。

  メルセデス、ジャガー、アルファロメオの新型モデルが、トヨタや日産の方式を採用したことによって今まで「ストラットもダブルウィッシュボーンも変わらない」とディーラーに言いくるめられていたピュアな人々(BMWファン)も眼を覚ますんじゃないかな。再起を賭けるメーカーが迷わず手をつけるところが「サス」なんですよね。良いクルマ作るならここにカネかけろ!って開発者はよく分っているんだと思います。コストはちょっと高く付きますけど、やはりフロントはダブルウィッシュボーンがいい具合なんです。ボルボはどーなんだ?とか言わないで〜(笑)。

  BMWが新たに設計している「3er&5erの共用シャシー」では一体どちらが採用されるのでしょうか?すでに本国では新型5er(G30系)が発表されていますがまだ仕様の詳細がわかりません(ライトとグリルがくっついてるよ!!)。ちなみに7erと共通だったF10の5erはダブルウィッシュボーンだったけど(F30はストラット)。一般的に限界性能を上げるにはダブルウィッシュボーン。競技用(ラリーベース車)で修理をやすくするのがストラットみたいなことが自動車辞典には書いてある。クラウンは前者、86は後者といった具合で使い分けられているようです。

  冒頭にも書きましたけど、ポルシェやBMWの信者は「サス形式なんて関係ない」と言い張る(傾向にある)。確かにウィキペディアにもそんな記述がみられますね。ダブルウィッシュボーンは気休めに過ぎないということか?なら採用しているメーカーはアホ?素人にとっては真相がカーメディアからもなかなか漏れてこないのでイライラする部分ではあります。だけども現実に考えて、2つの形式が主流になっているのだから、それぞれにメリットがあってメーカーが適切に選択していると考えるのが妥当じゃないですか?

  実際はポルシェもBMWも好き好んでストラットを使っている節があります。もちろんコスト面で有利とかいうセコい話ではまったくないです。「リア優勢」という言葉がありまして、ハイパワーユニットを積んで300km/hオーバーを視野にいれた後輪駆動のロードカーでは、意図的にフロントの接地を弱めに設定して、推進力の伝達を邪魔しないように躾るみたいです。後輪の推進を邪魔する前輪の操舵力を大きく影響しない範囲で制限して摩擦を下げる工夫らしい。BMWではE46の後期、E90、F30とその方向が続いているみたいで、それらをベースとするM3がハンドリングマシンと言われなくなったことにも関連するようです。

  これがリアエンジンのポルシェならなおさらのことで、このクルマが加速・制動時に独自のメカニズムで姿勢変化させるのも、過激なまでのリア優勢で限界走行での挙動がきわめて危険とされているからだ(それがポルシェの魅力だけど)。RR設計の宿命らしい。ポルシェを強く意識し後方に重量があるミッションを置くトランスアクスルを採用するM3ならまだしも、ノーマルでミニマムな320iがストラットを使う利点はほぼ無いといっていいのかも。このグレードを多くのクルマ好きが毛嫌いする理由の一つがこれみたいです。

  BMWだけがダメというわけではないです。スバルだって全面的にストラットが採用されています。そしてマツダやホンダもこれらと同じ土俵に堕ちた!?。VWと共通設計のアウディやFFのメルセデスだってストラット。ポルシェや300ps超のBMW直6、ラリーベースのスバルには一定の根拠があるけども、他は「ストラット大衆モデル」でもはや走りを云々言うのもバカらしいクルマに過ぎないです。ディーゼルやハイブリッドで燃費を稼ぐ方向性がよく合ってますよ。

  そして「プジョー508GT」。いよいよ日本に上陸しましたが、このクルマ「GT」だけはサス形式が違うという珍車。そんなこだわりを21世紀になっても持ち続けるプジョーというブランドに感動すらします。ベースモデルはストラット。「GT」はダブルウィッシュボーンです。わざわざユーザーの趣向に合わせて二種類用意されています。もちろんブランドの最上級モデルだからという意地もあるのでしょう(マツダ・・・)。

  これまでサス形式への言及を徹底的に避けてきた輩てきてプジョーの心意気を語っててくれよ!S水K夫、K沢M宏、S下Y久。まあダブルウィッシュボーンが良いなんてメルセデスの時も決して書かなかったから、よほどバツが悪いとは思いますが・・・。動画で素直に「メルセデス良くなりましたねー。サス変更大正解です。」と吐露したK口Mなぶ氏は逆に何も考えてないのかもしれないですが・・・あっぱれでしたね。

リンク
BMW新型5er(G30系)の動画
最新投稿まとめブログ
 

2016年10月6日木曜日

日本車やドイツ車の優位はもうすでに終わりを迎えたかもしれない・・・。

  「クルマの多様化」という観点からみれば、日本メーカーの突き進みっぷりは、海外ブランドを圧倒しています。規制でガチガチで設計の自由度が制限される軽自動車においてさえも、「動力性能」はアルトワークスやアルトターボRS、「コンフォート」ならムーブ、「エクスペリエンス」ならばS660やコペンなどなど、どの分野においても1Lクラスの普通車ならば軽く上回るのでは?というくらいのレベルに達しています。

  これが普通車になるとそのスケールもけた違いに広がり、言うまでもないですが「動力性能」ならGT−RやNSXやRC-F、「コンフォート」ならLSやアルファード、「エクスペリエンス」ならロードスターと、いずれも世界にその名を轟かせる名車がずらりと並びます。ちなみにこれがドイツ代表だと「動力性能」911ターボや63AMGの各モデル、「コンフォート」だとSクラス、「エクスペリエンス」だとSL、911タルガ。ドイツというよりメルセデスとポルシェですね・・・。

  これがイタリア代表だと「動力性能」488GTB、「コンフォート」クワトロポルテ、「エクスペリエンス」カリフォルニアT。イギリス代表だと「動力性能」ヴァンキッシュ、FタイプSVR、「コンフォート」だとファントムやコンチネンタルGT、「エクスペリエンス」だとロータス、ケータハム、モーガンの各モデルなどなど、貴族的あるいはマニアックなクルマばかりですけども、やはり自動車先進国らしく、エッジの効いたモデルはしっかりと揃ってます。さてアメリカや韓国は?

  そんな風に大雑把にラインナップ全体を見て、世界でのクルマ作りの中心地がどこだか理解した気になっていると、思わぬクルマに後ろから頭をゴツンとやられます。日本やドイツが馴れ合いでそこそこのクルマを作り、イギリスやイタリアが貴族趣味のクルマで自己満足している、ある意味では非常に「ゆるーい」業界を、疾風のごとく駆け抜けていく上昇傾向にあるメーカーが2つありますね・・・。

  1つはアメリカのテスラです。徹底的にエンジンで走らないクルマばかりを作る異色のメーカー。ガソリンか?電気か?なんて読者をナメすかした議論を延々と展開してお茶を濁してばかりのカーメディアには少々うんざりしてます。そんな毒にも薬にもならない議論では全く想定出来ていないアッパーなユーザー層だけに向けて、テスラのビジネスドメイン開かれています。とりあえず初期費用などの価格設定をみる限りは、社会インフラとして機能しようという気はまったくないようです。

  あくまでテスラが目指すのはEVにおけるフェラーリ。EVにお金を惜しまない人々が一定数いれば、クラッチ制御に勝てるコンバータ制御だって作れますよ!という技術的な担保だけがこのメーカーの存在理由なんだと思います。現状でのテスラの評価なんてその1点だと思うのですけど、あーでもないこーでもないと書いているカーメディアの記事があまりに空振り過ぎて、日本では全く何も起こせていないですね。カーメディアのレベルがどうしようもなく低いことを偶発的にもアメリカ企業が暴いてしまった瞬間です。まあテスラも日本のカーメディアには何も期待していないでしょうけど。

  もう一つはボルボ。F1でもWRCでもなくツーリングカー選手権を看板に、「ポールスター」という名を冠したとても真面目なロードカーを作ってます。テスラがアメリカ政府の手厚い支援を受けているように、ボルボもスウェーデン政府と中国資本のバックアップを受けて「国際競争力」を強く意識したクルマ作りをしています。もちろん日本のマツダやスバル、あるいはドイツのVWやオペルのような自画自賛レベルの幼稚な次元ではなく、どのレベルのユーザーやマーケッター、シェアホルダーにも直感的に「躍動」が伝わるようなダイナミックな展開を見せています。

  意地悪く言うならば、マツダとかいうメーカーがユーザーには直感的にわからない「圧縮比」やら「Gコントロール」やらで優位性を語ったり、スバルがテレビCMで情緒たっぷりに衝突安全性や予防安全性における取り組みを刷り込んでますけども、ボルボはそんな間にマセラティと同等の価格のラグジュアリーなSUVとセダンを北米に堂々と投入しましたとさ!!!なんと大胆なことを!!!

  さらにマツダが熱心に語るエンジン効率においても、元々はフォード傘下で共に協力した関係でもありますし、フォードとトヨタ系列のバックアップもある現在のボルボは技術面においてもマツダと同等以上の水準にあります。マツダがコトあるごとに強調する乗り心地に関しても、ボルボの一般モデルを試してみるとビックリなことに、とてもしなやかで減衰力に富んだアシの路面への対応力は日本やドイツの一流ブランドすら出しぬいたレベルに達しています。そしてとても有名な話ですが、衝突安全のテストでは常にスバルのはるか上がボルボの定位置となっています。

  マツダやスバルが必死にアピールしているコトって確かに大事ですけど、スウェーデンの一匹狼になったボルボにとっては、もっともっと市場に対して影響力があるコトを限られたスキームで発信する必要があるんだと思います。自国の市場だけではとても生きていけない。縄張り意識が強いEU諸国も大きな成長は見込めない。ボルボの価格帯から考えてまだまだぺーぺーの新興国では話にならないので、世界が注目する中国やアメリカで生き残るしかない。だからマツダやスバルのような「きれいごと」だけでは到底済まされないシビアな現実のなかでキレキレのリアリスト集団がタクトを握っているのだと思います。

  新しくなった「S60/V60ポールスター」も直4スーパーチャージャー&ターボチャージャーで、レスポンスも最高出力も目一杯まで押し広げていて、直4最強を掲げていたAMG45のエンジンを上回るスペックに達しています。割と自由なクルマ作りで独自路線のイメージがあるボルボが、突如として勝てそうなジャンルの頂点に目星を付けて、そこに集中的に資本投下して非常に競争力の高いモデルを作る。「選択と集中」がもしかしたらトヨタよりも上手くできているのではないでしょうか? 今後のボルボに大いに期待したいです。