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2015年3月27日金曜日

プジョー308が破滅気味な日独デザインに水平チョップ!

  2014年の欧州カーオブザイヤー獲得をひっさげて日本に上陸を果たした新型プジョー308ですが、そのやや保守的なデザインを見ていろいろな憶測がよぎりました。一体このブランドは何を考えているのか? 真っ当に評価するならば、「我々は安易な流行には乗らね〜ぞ!」というプジョーの熱い意志が叩きつけられているといったところでしょうか。カーメディアをにぎわす独・日の最近の新型モデルを見ていると、まるで担当デザイナーがメーカーから脅迫(何かしらの圧力)を受けているかのような印象を受けることがあります。「一目見て新型車だとわかるようにデザインしろ!」という指令は新車を売らねばならないメーカーとしては当然のことではあるのでしょうが、ユーザーの乗り換えをゆるやかに促す!といった生半可なものではなく、先代モデルを完全否定するかのような大胆なデザイン変更が目立ちます。

  そんな中でこの新型308はというと、プジョーが過激に演出したパリサロンのコンセプトカーが目指す「先端モード」とは、だいぶ逆行した印象を受けます。ユーザーによっては「ちょっと物足りない」あるいは「やや退屈」と感じる人もいるでしょうし、これぐらいが「むしろ乗りやすい」「飽きがこないのではないか?」という意見もあるでしょう。一つ考えられることは、プジョー=シトロエングループ(PSA)では、急速に広がる「プレミアムブランド」市場に対応するために、シトロエンから派生した「DS」という上位ブランド(プレミアムブランド)を展開する予定となっていて、今後はグループ内では基幹ブランドとなるプジョー車のデザインを戦略的に「控えめ」にしているという可能性もあります。

  ちょっと悪のりして、輸入車好きなライターが言い出しそうな「屁理屈」を想像して書いてみたいと思います。
プジョー308のデザインに見られる「質実剛健」な味わいはいい。最初はやや平凡という印象を受けたけど、一般ブランドの量産車とはこのようにあるべきである。同じ一般ブランドでも日本車に施される安っぽいギラつきにはいつも閉口させられる。たとえばこの308とライバル関係になる日本の最大手メーカーのモデルは、何とも品のないデザインだ。あの救いようがないフロントデザインのせいで、このクラスのインプレッサやアクセラがなかなか健闘しているのに対して相当に苦戦している。
といったところでしょうか。

  プジョー308の日本上陸が今後どれほどの影響力を持つかわかりませんが、日本メーカーの支離滅裂気味なデザインのあり方に一石を投じてくれたらいいな・・・なんて密かに応援したい気分ではあります。ト◯タのオー◯スに限らず、アクセラやインプレッサにしても現行モデルは従来(先代)のデザインからは大きく変化していて、メッキパーツを多用した分り易い演出で、よりコンセプトカーに近い洗練された印象を受けます。しかし誰かをもてなすための高級セダンでもなく、スポーツカーのような非日常な趣味のクルマというわけでもなく、ごくごく平凡で実用的なクルマという両者の素性(属性)を考えると、変に盛り込まれたデザインはやや使いにくい部分もあるのかなという気がします。

  この手の「過剰」気味なクルマは日本車に限った話ではありません。まだまだ発売前の新型車ですが、メルセデスCLAシューティングブレークという凝ったデザインのワゴンがあります。クルマの立ち位置としてはプジョー308SWの上級モデル「シエロ」と同じようなクルマ(プレミアムワゴン)になりますが、車格を考えたときにどっちのデザインがよりベターなのか?という選択の幅が、日本のユーザーに与えられているのはうれしいことです。中にはメルセデスとプジョーではぜんぜん意味が違う!という人も多いでしょうけど・・・。この2台に同じくCセグワゴンに属する「ゴルフ・ヴァリアント」「メガーヌ・エステート」「カローラ・フィールダー」「レヴォーグ」の4台を加えて比較すると、改めてプジョー308SWのなかなか味わい深い立ち位置が見えてくる気がします。

  流線型をふんだんに使って「繊細」なボディラインで彩られたメルセデスCLAシューティングブレークと真っ向から違う価値観を見せつけるのが、「骨太」なバンパーラインやサイドビームが特徴的なデザインの308SWです。フランス車かイタリア車を思わせる洒脱さを一生懸命に表現しようとしているドイツブランドのメルセデスと、古き良き時代のドイツ車(メルセデス・BMW・アウディ)のバンパーの肉厚感が目立つデザインに活路を見出したプジョーが、なんとも見事なコントラストを描いているように思えるのです。冒頭にも書きましたが、欧州カーオブザイヤーにこのクルマが選ばれたという事実に、欧州の自動車文化の伝統と誇りを見るような気がします。韓国車や日本車によってデザインの潮流がかき乱され、中国市場を意識すればするほどに、欧州車の流儀を無視するかのような革新的デザインが増えている欧州自動車産業。その行く末を案じる人々が、このクルマを大賞に選ぶことで、全ての欧州メーカーに対して警鐘を鳴らしているとしたら、とてもいい話だなと思います。

  さて日本車やドイツ車にも昔の良さを呼び起こしてくれるモデルが出てくるでしょうか?ランクル70のスマッシュヒットには、ユーザーの趣向を端的に示す要素があったように思います。しかしそんな復刻を仕掛けたメーカーが今度は看板モデルといっていいクラウンに「空色」と「若草色」の限定車を設定するんだとか。なんだかなあ・・・。

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↓かつてのプジョー車もたくさん紹介されていて、このシリーズでは抜群にいい内容です!

2014年10月24日金曜日

新型プジョー308・・・何か吹っ切れた感が。

  クルマ雑誌を見てるとしばしば「最大の激戦区のCセグ」と書かれていることが多いです。しかし世界最大の市場であるアメリカでは明らかにDセグの人気が先行していますし、日本を始め欧州では販売の中核を占めるコンパクトカーの主流はBセグに移りつつあります。Cセグはアメリカでも欧州でも中国でもそこそこ需要が確保されているので、グローバルで見れば最量販ジャンルになるのでしょうが、こういう「薄く広い」売れ方をしてしまう現状では、どうしても最大公約数的なクルマ(=駄作)が多くなってしまう気がしないでもないです。

  かつてはCセグ車がメインだったWRC参戦モデルも今では完全にBセグになっています。WRCを勝つのに必要な設計が織り込まれたベース車になるインプレッサやランサーは数年前までは世界各地でコアな人気を誇りました。ドイツでもアメリカでも日本の陸軍機を作っていたスバルと、海軍機を作っていた三菱は、BMWと並ぶ「戦場を駆けたエンジン」の自動車メーカーとして畏敬の念で敬われていたようです。しかし今ではインプレッサもランサーもBMW318ti(現1シリーズ)も、ブランドを牽引するような魅力はすっかり失われてしまいました。

  WRC(Bセグ)と独DTM/日スーパーGT(Dセグ)の狭間にあって、オーバースペックな設計などは特に要求されなくなったCセグの水準は、数年前からどうやら停滞している気がします。例えばトヨタがスーパーGT用のベース車として設計したレクサスRCは、クラスの頂点に立つISをさらに強固にした車体剛性を持つようですが、CセグのレクサスCTやオーリスにはそんなこだわりは一切見られません。そしてライバルの日産もそれに対応するように、自然とスカイラインをハイクオリティに仕立ててしまう一方で、Cセグのシルフィにはそのクオリティがほとんど反映されていない気がします・・・。

  またスバルを見ていても、WRCから撤退して以降は中核のCセグモデルがどんどん説得力を失っています。ブランドイメージを牽引するはずの「WRX」が新型ではグレードによって巧妙にエンジンを載せ分けていて、大雑把に言うとこだわり過ぎの「STI」に対して、ちょっと主旨がブレている「S4」の2グレード併存になりました。たとえ筋金入りのサーキット派に嘲笑されようとも、もし良いクルマだと感じれば「S4」を買ってみようと思ってディーラーまで出向きましたが、結局のところスバルは何がしたいのかさっぱりわかりませんでした。確かにすっかり覇気の無い他ブランドのCセグ車の中では、完全に頭一つ抜けた存在なのでしょうが、「操縦性(小型)&機動性」というコンセプトから期待するような「身体との一体感」は、残念ながら他ブランドのクルマに負けているように感じました。

  今もWRCに参戦しているVWや欧州フォードが突き進むペースと比べてスバルの「エンターテイメント性能」の進化にはいささか疑問があります。明確な目標を失うと日本のクルマ作りは「弱い」と言われますが、今のスバルにはそんな危険な空気包まれている気がするのです。自らのブランドコンセプトの成長のためにもモータースポーツに復帰して得られることは多いと思います。WRCをきっかけに世界的にスポーツブランドとして知られたわけですから、やはりBセグ車を開発してラリーシーンに戻ってくるくらいの気概を見せて欲しい気がします。

  現在ではスポーティなグレードが次々と作られるのは、WRCを通じてクルマ好きに好印象を与えているBセグが圧倒的に多くなっています。特に1.2と1.6の二本立てのエンジン構成になっているPSA(プジョー・シトロエン)は、各メーカーのCセグのスポーツモデルが到達しつつある300psを達成するのが困難ということもあり、旧型308をベースにしたRC-Z以外はBセグの208をベースにスポーツグレードを展開しています。208はライバル車はVWポロ、フォード・フィエスタと合わせて欧州市場の「コンパクト御三家」を形成していて、ここに食い込もうとする韓国勢や日本勢にもかなりの意気込みを感じます。フィエスタの同プラットフォームのデミオを始め、トヨタ・ヤリスも欧州もモーターショーで「本気のトヨタ」を見せつけています。

  一方でCセグはというと、一般グレードはともかくスポーツグレードに関してはBセグよりもはるかに地味になってきた感じがします。少数の勝ち組であるルノー日産(メガーヌRS)とVW(ゴルフR)の争いにホンダ(シビックtypeR)が再び参戦を予定する形でまだまだ盛り上がってはいますが、スバルはWRXのHB化を放棄し、マツダもMSアクセラの開発に後ろ向きだったりと、グローバル8(米3強・日3強・ヒュンダイ・VW)以外の大衆ブランドでは安易な参入が難しくなってきているようです。そこにKYなメルセデスが豊富な顧客名簿を武器に「A45AMG」というアルマゲドン的なモデルを投下し、VWがアウディブランドで迎え撃つ構えを見せています。もはやFFのままではどうにも出来ない400psの水準までパフォーマンスレベルが跳ね上がってしまいました。

  こうなってしまっては、もはやクレイジーなドイツメーカーとコンプレックス丸出しの日本メーカー(日産とホンダ)以外は全面撤退しかないですね。日産はジュークに続いて、パルサーにも「VR38DETT」を積んで、小賢しいメルセデスやアウディを踏みつぶす!かもしれません。ただしエンジンだけで380万円するそうですが・・・。噂によると欧州フォードもナンバー1ブランドの意地というか、エコブーストエンジンの宣伝も兼ねてフォーカスの400psモデルを作るみたいです。こんなわけの分らない「モンスター」が乱立してしまっては、PSAやスバルやマツダが「やってられるか・・・」とへそを曲げてしまう気持ちもわからないではないです。

  しかし日産とは全く思考回路が違う「優良企業・トヨタ」はすでにCセグにおいては新しい方針で動き出しているので、今後は業界全体に影響を与えていくかもしれません。トヨタは一時期は欧州へ本格展開するために、ハッチバックの開発に執着していましたが、その成果が実らないままに高性能モデルのブレイドを廃止して、オーリスに関しても過度なハイパワー化には否定的な立場をとっています。トヨタの優秀なマーケティング部門はすでに「オワコン」となった高性能Cセグに完全に見切りをつけた模様です。Cセグを過度に高性能化して500万円を超える価格で販売したところで、ユーザーは満足できないでしょうし、存在価値を敢えて探すならば、最も優秀なモデルを作ったメーカーにとって広告塔になり得るという、作る側のエゴでしかないです。

  そんなトヨタが作る潮流に乗っかって日本にやってくるのが、BMW2シリーズグランドツアラーとプジョー新型308で、どちらもこれまでのブランドイメージを打ち破る「エコ」で「コンフォータブル」な日本車(特にトヨタ車)のような装いが特徴です。多少語弊があるかもしれませんが、初代プリウスのサイズをトヨタが決めて、その運用に必要な過不足ないパワーを可能な限り経済的に配分した「パッケージの美学」を、欧州きっての伝統のブランドといえるBMWやプジョーがトヨタをリスペクトして作ったクルマのように感じます。

  新型308はプジョーが現在製品化できる最もエコなパッケージを採用しつつも、プジョー車のプライドとして全グレードに「ドライバー・スポーツ・パッケージ」というものが付いてきます。これはVWでおなじみの「Sモード」と同じようなものみたいです。最上級グレードにはPSAの得意技であるパノラマミックウインドーが付きます。1.2Lターボですから絶対的な動力性能は大したことはないでしょうが、欧州ブランドの意地と、PSA車のアイデンティティが備わって300万円台前半ですから、なかなか貴重なクルマと言えるかもしれません。内外装のデザインもとても洗練されたものとなっていて、アクセラ登場で"ワーキャー"言っていたのが、だいぶ昔に感じられるほど進化のスピードは早くなっています。マツダと同じで倒産の危機に晒されたPSAだからこその思い切りの良さも随所に感じられます。日本COTYではデミオの前に敗北しましたが、この新型308は割と日本人の感性に寄り添うクルマに仕上がっている気がします。


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