2015年8月27日木曜日

BMW3シリーズセダンに「340i」いよいよ直6ターボが復活!

  アクティブハイブリッド3とかいうやたらとヘビーなモーター付きグレード以外に、直6の設定がなかった3シリーズセダンですが、今回のビッグマイナーを機に日本でも「340i」の導入が決まったそうです!ってすでに価格も出てますね・・・。ラグジュアリーもMスポも776万円となかなか強気な価格設定で、4シリーズの直6ターボ「435i」と変わりません!文句のある人は「M135i」(556万円)、「M235i」(613万円)がありますよ!という余裕な感じが伝わってきます。

  これまで散々にF30系を批判してきました。なんといっても直6がハイブリッドのみ!ひたすらに「素」を感じさせる直4ターボの味気なさ(所有意欲ゼロ!)、そして明らかに日本製なら不良品レベルの騒音公害なディーゼル・・・。これを大人しく受け入れているカーメディアやBMWファンはマジでバカなんじゃないの?って試乗の度に思いましたよ!まさか・・・と思いつつ4回も。空ぶかししてもエコターボで雁字搦めのエンジンが「らしさ」を見せることもなく(当たり前だけど)、こんなクルマに500払うってアホ? もちろんお金の価値は人によって違いますけど、恥を忍んででも中古でF01(先代7シリ)買った方が・・・BMのNAがほしかった!って言えば筋も通るし。

  そんなに気に入らないなら無視すればいいじゃんとも思うのですが、「駆け抜けるセダンこそが麗しい!」というBMWの旗の元に、ホンダ(アコード、オデッセイ)、日産(スカイライン)、マツダ(アテンザ)、スバル(レガシィ、WRX S4)、アルファロメオ(156、166)、フォード(フォーカス、マスタング)、アウディ(A4)、ボルボ(S60)が結集して切磋琢磨した結果、日本の多くのクルマ好きがこれらのどれかからクルマを選んでいるのが現状ですし。旗振り役のBMWが低調では、それほど崇高なポリシーなど期待できないその他の「ファミリーカー・メーカー」は一気に霧散してしまうのではと・・・。現実に日本版のアコードではVテックが姿を消しましたし、レガシィもアテンザもだいぶ様子がおかしいわけですが。

  「直4&FRで高級セダンを気取るヤツはアホ!」と少々過激かと思いつつも心を鬼にして「正論」を繰り出してきました。当然のようにやってくるBMWファンからの批判にも真っ正面から対峙し、いろいろご意見を頂戴しつつなんとかブログ運営をしてきました(批判いつでもウェルカムです!)。個人的にはBMWに対する捨て身の忠告のつもりでして、その甲斐があってか、いよいよBMWからの「吉報」が届きました。しかし760万円はちょっと高い・・・クラウンアスリート3.5Gが600万円くらいですから、実勢価格をここら辺で売ってくれるならば喜んで5回目の試乗に行きますよ。余談ですが、南アから運ばれる320iと違って本国から来る340iは運送費用が少々割高なのでしょうか。タイタニックの二の舞になるリスクの北極海か、海賊稼業がいまだに盛んなアデン湾を越えるか・・・。欧州メーカーが中国の現地生産に躍起になるのもわかります。

  M235iは当たり前ですが、エンジンに比して車体が小振りな「サーキット仕様」なので、サーキットに行かない人にとっては明らかにオーバースペックです。実際に公道向けスペックを追求するならば、絶対的に直6をNA化して250psくらいにデチューンしてしまうのがいい気もしますが、ペダル踏む力も無くなった評論家連中から「パンチが無い」と叩かれるでしょう(AWDでも乗ってろ!)。もはやBMWの直6は昔と違ってターボ前提のロングストロークなので、いくらNAでもタコメーターの針が機敏に激しく動くような噴け上がりは期待できないですけど、NA化によって中速域でのコントロール領域の広さを確保できれば、ポルシェみたいな醍醐味のある中型車になると思います。その辺をホンダがどれくらい意識しているかわかりませんがターボ化された新型のシビックtypeRはハッキリ言って期待薄です。

  せっかく日本でも直6ターボのセダンを復活させてくれたBMWですが、さらにぜひにお願いしたいのがMTの設定です。もちろん320iにはすでに設定がありますが、こだわりのユーザーが多いであろう340iでもこれは必須じゃないでしょうか。本国にあるグレードなので特に日本導入にも障害があるとは思えないです。個人的には「レクサスの梯子を外してやれ!」と思っています。レクサスは高級車チャンネルとしての正当性を高めるために、高性能ドイツ車のエッセンスをそのまま設計の核に持ち込むケースが増えています。もちろん世界トップクラスの開発資金を持つトヨタですから、BMWが先行していてもすぐに追いつかれてしまいます。

  BMWも当然にそのターゲットにされているわけですが、レクサスがまず真似しないようなピーキーなハンドリング、ブレーキ、アクセルへと時代を逆流したならば、BMWを指名買いしたくなるキャラがハッキリしてくると思います。マツダなどはその辺の部分でハッキリとトヨタとの差別化を図ることで独自の需要を掘り起こしています。レクサスISは成りもの入りでその高性能さがアピールされましたが、実際に乗ってみると乗り味の随所にトヨタらしさが表出していて、シート剛性は素晴らしいし、ハンドリングもいい!けどブレーキとアクセルが完全にトヨタ・・・で「がっかり」してしまうんです。「350Fスポ」って一体どこ向いたクルマなの? とりあえず若者にウケるクルマを1シリーズや3シリーズでは目指して欲しいです。

  レクサスは現行GS以降に「4WS」(4輪操舵)という技術を復活させていますが、この機構の一番の狙いはBMW車と同等以上の「カニ走り」性能の向上にあるそうです。ほどよい感じで走りやすい混雑度の2車線道路を走っていると、BMW車がレーンチェンジを繰り返しながら気持ち良さそうに走るのを度々見かけますが、あれはドライバーのマナーではなくて、クルマの性能がそういう走りをさせてしまっている側面があります。レーンチェンジは事故やトラブルの元になるので不必要にしたいとは思わないものですが、BMW車や現行のレクサスだとあっという間に完了するので、他車に迷惑をかけずに済むならば・・・とその実行するハードルが下がります。レーンチェンジ開始から完了して安定走行状態になるまでのタイムの体感時間は、特にBMW3シリーズが優れているように感じます。

  カーメディアも私のブログにイチャモン付けてくる方々も、本当にBMWの美点がわかってんのかな?と思うことが多かったりしますが、紛れもなくBMWの味付けで秀逸なのは、このスムーズなレーンチェンジを可能にする「戻り」のハンドリング性能の高さです。この領域に関してはホンダ、マツダ、スバルといったFFベースのクルマではまず対抗できません。前方に右折待機車がいて左のスペースを使ってすり抜けるケースで、進入する交差点の複雑に荒れた路面を考えると、ある程度の「お釣」(戻り時にヨー運動が解消できず変な挙動をすること:タコ踊り)は覚悟するものですが、3シリーズを試した限りでは物理法則をちょっとばかり超越したような「機械制御」がスムーズに入ります。

  BMW(3シリーズ)は90度旋回時に、オーバーステア傾向のドライバーにとっては、機械制御の是正がやや気持ち悪いところがありますが、シケインをクリアするような直進方向への体勢維持に関しては日本車にはまだ見られない水準の身のこなしを持っています。日産(スカイライン)やレクサス(IS)で同様の場合だと、ヘビーな車重にタイヤのグリップが負け気味でちょっとヒヤリとします。マツダ(アテンザ)の場合はハンドルの入力舵角に対して非常にピーキーな反応をするのでやや神経を使います。ホンダ(旧型アコード)の場合はアメリカンなマイルドハンドリングで応答遅れが露見します。スバル(レガシィ)の場合はAWDだから当たり前ですが、応答遅れこそ少ないものの他車と比べて「曲らない」です。

  日本での販売がディーゼル頼みになっているBMWにとって目指すべき着地点は「愛されるファミリーカーブランド」なのかも知れないですが、BMWが迷走すれば後ろに続いてくる日本メーカーも方向感覚を失ってしまうでしょう。3シリーズが40周年をそれなりに歩んできたおかげで、V35スカイライン、アテンザ、レガシィ、アコード、アルテッツァ(レクサスIS)が誕生したのは紛れも無い事実ですから、「340i」の発売によって、再び6気筒へと回帰したミドルセダンが次々に発売され、その圧倒的な上質さで、直4ターボ300psオーバーのクレイジーなコンパクトカー(A45、ゴルフR、シビックR、メガーヌRSなど)を凌駕する時代への足掛かりになってほしいなと思います。(ゴルフGTIじゃ満足できません!)

リンク
最新投稿まとめブログ

  

  

2015年8月14日金曜日

PSAグループから新ブランド「DS」が誕生!これはプレミアムファミリーブランド!?

  シトロエンから新しいプレミアムブランドとして独立した「DS」の今後の展開が楽しみです。フランスにもプレミアムブランドの波が・・・と言われたらそれまでなんですけど、単なる「PSA版のアウディ/レクサス」というわけではなさそうです。PSA車をベースにFFのオシャレに仕立てていて、格式張った「高級」を狙わないクルマ作りこそがこのブランドの特徴ですが、今の自動車業界に求められているのがまさにコレでは?という気がします。「高級」よりも「センス」という視点は・・・まるでバブル期にマツダが創設して瞬く間に終わった「ユーノス」みたいです。

  しかしあれから25年経った現在にユーノスブランドみたいな存在があったら面白いんじゃないかと思います。幸いなことに今ではマツダブランド全体がユーノスで目指そうとした形に収束してきているようで、今度は見事に成功?を収めつつあります。1989~1990年頃にマツダが生産する独自モデルを次々に展開した「ユーノス」のデザインは今見てもセンスが薫る出来映えです。フラッグシップに置かれたロータリー搭載のラグジュアリークーペ「コスモ」は、スープラ、三菱GTO、スカイラインGT-R(R32)をも上回っていた豪華版だったようですが(実勢価格は知りません・・・)。

  そもそもユーノスはマツダがまだまだ欧州市場が群雄割拠の時代(1990年頃)に、「デザイン」で覇を唱えるといった、自動車メーカーの経営戦略の枠を超えた「野心」に満ちた企画だったのだと思います。残念ながら冷戦終結後に押し寄せたバブル崩壊の波に飲まれて木っ端みじんになりましたが、RX7FD3Sが「フェラーリよりも美しい」という本物の評価を得ていたマツダゆえに、欧州で躍進して世界的な権威のある自動車メーカーへと登り詰める青写真を持っていたのかもしれません。

  マツダの高いデザイン力をまったく理解してくれない日本市場から抜け出し、その実力がそのまま「競争力」になるうる欧州市場へと軸足を移すのは必然の流れだったようで、同じ境遇の三菱も日本ではパジェロとランエボのイメージが強いですが、ディアマンテやエクリプスなど非常に高いデザイン性を持ったクルマを2000年代まで輸出していました。

  「スープラ」「スカイラインGT-R」「NSX」「GTO」「コスモ」「アルシオーネSVK」とバブルの絶頂に作られた日本のラグジュアリー・スポーツクーペ(いずれも当時はポルシェよりも断然に速い!)を改めて比べると、三菱GTOとユーノスコスモの知名度がやや劣るのかな・・・という気がします。しかしドイツでは、この時代に築き上げたブランドイメージによってマツダや三菱が大手3メーカーを凌ぐ人気を誇っています。

  マツダや三菱の魅力はもちろん世界最高を自認できる高い技術開発力ですから、「コスモ」や「GTO」といったハイテク車でブランドイメージを牽引する戦略は当然であり、それ自体を否定することはできません。しかし「ロードスター/RX7」や「ランエボ」を育て上げたマツダや三菱にはオシャレな小型スペシャリティも手を抜かずに作り込むというDNAが備わっていたようで、その流れがそのまま現在の欧州スペシャリティ市場で芽を開きました。日本でも人気の「ボクスター」「BMW Z4」あるいは「アウディTT」「A45AMG」などは、マツダや三菱が築いたジャンルの上に成り立っているといってもいいでしょう(パクリです)。

  ロードスターやランエボのコンセプトを、ポルシェやメルセデスがコピーすると700万円のクルマに変わる!?ようで、このなんともバカヤローなドイツメーカーの手法が、スペヤルティカーの市場を徹底的につまらないものにしてしまった感はあります。ロードスターがボクスターになったからといって、そのまま華やかな都心の大通りに出て行ける風格があるわけでもないですし、ランエボがA45AMGになったところで使い道が増えるということもありません。オーラも車格もそのままでただただ車両価格が高くなっただけ・・・。

  先駆的で輝く存在のクルマをさらにブラッシュアップして、新たな付加価値を加えることが、プレミアムブランドの本来的な意味ならば、それを実直に行っているのは・・・「レクサスCT」なのではないかという気がします。HV創成期にトヨタは普及のためのダンピングを行ったため、プリウスは基本的な素養においていささか不満が噴出するモデルでしたが、それをしっかりフォローして満足度をしっかり引き上げ、それに応じた車両価格を適正に賦課した「レクサスCT」は世界的にもヒットしました。

  レクサスにおいては異端的な存在とされている「CT」ですが、トヨタブランドの上級モデルをそのままスライドさせた他のモデルに対して、顧客の視点から納得できる「プレミアムカー」ではないかと思います。実際のところレクサスHSとSAIあるいはレクサスNX/RXとハリアーにそれほど決定的な違いはないですが、CTとプリウスの間には看過できない開きがあります。残念ながらレクサスは低価格路線のこれ以上の展開は、トヨタブランドとの兼ね合いを考えても無理そうなので、「ヴィッツ/アクア」のレクサス版が出ると噂されていますが、実現するかどうかは微妙です。

  そんな「レクサス」の隠れた美点に目を付けたかどうかはわかりませんが、「DS」ブランドは現行のラインナップを見る限りは、レクサスCT的な手法のモデルで上から下までの全ラインナップを構成しています。「そんなブランド興味ない!」という人もまだまだ多いでしょうけど、少なくともメルセデスやBMWが裾野を広げるために投入している、廉価ファミリーカー路線のモデルを選ぶくらいなら、もともとFF車で実績のあるPSA車をベースにデザインされた「DS」の各モデルがいいのではないか?という気がします。

  これまでは「ファミリー」と「プレミアム」はあまり関連するキーワードではなかったのですが、プレミアムブランドにとってはいかに「ファミリー」を攻略すべきか?が今後の戦略では非常に重要となっていて、その一つの解決がSUVのフルラインナップ化だったりするようです。そして「DS」ブランドのもう一つの特徴が「SUVに背を向ける戦略」のようです。プレミアムブランド化を宣言して、SUVをフルラインナップしたところで、ドイツ・日本・韓国のメーカーとの煩雑な販売合戦に巻き込まれるだけ!ということを見越しているのでしょうが、「オレたちはフランスのブランドだ!」という自己主張とも受け取れます。もちろんフランス市場は日産ジューク以来SUVブームが続いていて、ルノーもプジョーも小型SUVで業績を確保しているわけですが、「DS」にはアンチSUVのアイデンティティが備わっているかのようです(発売されちゃうかもしれないですが)。

  「DS」ブランド設置の追い風となるのが、欧州の排ガス規制強化で、BMWやメルセデスなどによるハイパワー化の流れは完全に止まり、ガソリンターボは200ps程度に抑えられ、4気筒が完全に主流なので、PSAのエンジンでも全く引けをとりません。さらに日本でも欧州車はディーゼルへという方向が完全に出来上がってきていて、PSAのクリーンディーゼルがプジョー、シトロエン、DSの3ブランドから発売されるのも時間の問題となっています。どのブランドが最も早く「プレミアム」「ファミリー」「ディーゼル(経済性)」を高いレベルで融合させるのか?・・・DS(5)・BMW(218d)・メルセデス(CLAシューティング)・ホンダ(ジェイド)・マツダ(アテンザワゴン)・スバル(エクシーガ)に対してトヨタがどう出るか?(フィールダーではちょっと・・・)

  とにかくSUVは嫌いです!というファミリーユーザーは少なくないです。理由は・・・お察しください。まあ基本的には好き嫌いの問題ではあるんですけどね。SUVは確かに売れてますが、日本においては一時の勢いは弱まってきています。ライバル車も多いですから見かけ程には儲からないジャンルになってきていると思います。そんな中でも力強く伸びていくためには、SUVやミニバンではない「裏メニュー」的ファミリーカーを試行錯誤して売り抜く(シェアを奪う)ことが大事なのだと思います。ホンダなどの日本メーカーに負けない「低床化」のノウハウなどを持つPSAが、DSブランドを使ってファミリーカーに新しい流れを作り、ドイツブランドも日本ブランドも押し退けることが出来るか?見ものです。

リンク
最新投稿まとめブログ