2013年12月23日月曜日

ジュリエッタ緊急値下げ!いよいよ底が抜けたか・・・

  こんなことを書いたら大ブーイングかもしれませんが、輸入車に乗るなら新車で1000万円超くらいのクルマにしない限りは、あえて「輸入車」と強調する意味がないのではと思います。メルセデスとVWが日本で300万円程度のクルマをヒットさせているようですが、飛びついているのは失礼ですが分別と情報が十分でない人々ばかりのようです。そもそも日本の道路事情でダウンサイジングターボを走らせるなんて、よっぽど人が通らなくて1時間走っても信号機が1つもないような場所にお住まいでない限りは、バカがやることです(NA&CVT中心の日本メーカーの判断はほぼ正しい)。

  情報化社会の中で分別のある若者達はゴルフやAクラスなんて見向きもしないで、トヨタが発売した新型ハリアーを素直に買います。ゴルフやAクラスをハリアーよりもいいクルマと本気で思っているのは、世界中見回しても日本の一部のおバカさんだけです。アメリカ行っても欧州行っても日本のSUVのパッケージングの良さはずば抜けていますし、羨望の眼差しを受けます。そしてハリアーやオデッセイが積んでいるNAの2Lクラスのエンジンこそが日本の市街地と高速をどちらも考えた現状ではベストな選択なのです。

  いくら評論家が欧州Cセグの人気を煽ってみたところで、もはや若者達はそんな雑誌は読まないですし、評論家が誰のために仕事しているかもすぐに見抜きますし。自分の頭でちょっと考えれば「Cセグターボ車」の欠点なんて山ほど思いつきます。とりあえずその手のクルマを盛んに勧めてくるジャーナリストなんてのは、バカか嘘つきのどちらかです。そして私がいちいちそんな啓蒙活動なんてする必要もないようで、華々しいプロモーションとは裏腹に、賢明な日本人の判断力は大勢において極めて健全なようで、それら「Cセグターボ」の市場価格はどんどん落ち込んでいて、すでに値引き合戦に突入しているようです。

  もともと日本で輸入車Cセグのトップの座にいるVWゴルフは、大衆ブランドという敷居の低さもあってか、これまでも50万円を超える大幅値引きで販売台数を伸ばしてきました。アクセラのライバル全車に乗ってきたというマツダの担当者も、Cセグ輸入車ではゴルフ・ハイラインが断トツの出来で、あとはアクセラの敵ではないと熱心に語っていましたが、一番熟成されているゴルフが大幅値引きして月1000台がやっとなのです。実勢価格は月2万台のプリウスとほぼ同じですし、早くも2万台受注したハリアーよりも断然に安いのです。

  結局ゴルフだけが辛うじて損しないレベルのクルマとなっていて、それ以外の例えばBMW1などは発売当初に購入した多くのユーザーが痛い目に遭ったようです。ダウンサイジングターボですので、5年も乗れば査定額は付かなくなることぐらい想像できないのでしょうか? そして今度はAクラスやV40に飛び付いた人々が痛い目に遭うのではないでしょうか。3年で50万円、5年でゼロです。そして10年乗り潰そうものなら、ほとんどの期間を「ダサい」「満足できない」クルマと付き合う羽目になってしまいます。さらにタービンや電装が壊れたら見積をみるだけでもう修理代を出す意欲はなくなるはずです。

  これだけ「Cセグターボ」のリスクが目に見えているのに、これまでのジュリエッタのベースグレードが余裕の300万円オーバーという殿様商売には正直言って驚きです。VWやメルセデスならまだしも、今後の展開次第では日本から尻尾を巻いて逃亡しそうなアルファロメオですから、そのリスクを考えたら新価格の299万円でもまだまだ異常です。自動車大国のアメリカで店じまいしてしまうほどのマズいブランドなんだからもっと謙虚でよさそうなものですが・・・。

  そもそもCセグの貧弱なターボに価値を感じている感性が全く理解できないです。まともな評論家ならこの手のターボユニットを評価する人などほとんどいません。そもそもGT-Rや911ターボが過給器を使うのとはそもそも意味合いが違うのですから・・・。その辺がまったく分かっていないクルマ音痴なオッサンと、冷静に情報を精査してその手の輸入車に対して軽蔑の念しか抱かない若者の温度差は歴然たるものがあります。若者の多くはゴルフやAクラスなんてダサいとしか思っていません。そしてもしアルファードやハリアーがターボだったらどうなるかわかりますか?想像できますか? ゴルフではなくハリアーを買う人なら分かっているでしょう。

2013年12月3日火曜日

メルセデスの"汎用進化"が日本を覆う予感

  A45AMGがなかなかの繁殖力を見せています。AMGモデルが600万円台という本体価格もなかなか巧妙です。「メルセデス乗るならAMG」というプレッシャーを気にすることなく乗れる、しかも安いので、とりあえずクルマにかかる費用を圧縮したい人にとってはうってつけのモデルのようです。これまではAMGモデルは新車で買えば1000万円を超えていました。それでも必死で見栄をはろうとする人のために、バッジとマフラーを30万円程度で交換して"偽装"するというパーツメーカーまで存在し、堂々とメルセデス専門誌に広告を出しています。

  街中でチンタラと走るC63AMGを見かけることがありますが、そういうクルマはC200から"偽装"だったりするわけです。まあそんなこんなで日本におけるメルセデスは如何わしい人々を惹き付ける、汚いイメージに塗りつぶされたブランドだったわけですが、今後のメルセデスはそんなイメージを払拭すべく、「人を幸せにする」クルマ作りへとシフトしていくのではないかと思います。

  2004年に発表したCLSをヒットさせプレミアムブランドの第一人者としてデザイン力を見せつけてから、早くも10年が経過しブランドが辿るべき路線もだいぶ変調してきた感があります。SクラスもCLSも新品同様の新古車が700万円程度で市場に溢れていて、ブランドを支え続ける部分が陳腐化しているのが実情です。つまりクルマに関心が薄い人々が気まぐれに購入する類いのクルマへと堕落していて、クルマ本位でユーザーが寄ってくるような価値観が感じられず、日本市場ではジリ貧の状況です。

  そんなメルセデスがこれまでのクルマ作りを改め、クルマが好きな人が純粋に良いクルマとして選ぶブランドへの脱皮が着実に進んでいる様子が、AクラスおよびA45AMGの好調以外にもいろいろと感じられるようになってきました。1つは小型車ブランド「スマート」の次期戦略モデルにRR設計の小型車を投入するというものです。これまでのスマートは三菱が発売していたコルトをOEMして発売していましたが、こんなクルマはよっぽどメルセデスブランドの前に盲目になっている人でないと手を出さないはずです。当然ながら日本市場では大惨敗を喫しました。誰にだってコルト・ラリーアートの方がいいということがわかります。

  とりあえずコルトがVW車を大きく上回る制動力とハンドリングを持つ高性能FF小型車だったいうのは事実で、メルセデスもそれを高く評価してラインナップ化したのでしょうけど、あくまで三菱のクルマなのですから日本人には違和感しかありませんでした。コルトの技術も一巡して新陳代謝が早い小型車市場では、インパクトもなくなったのでいよいよ新しい局面へと移るなかで、ルノー日産と「プレミアムな小型車」を共同設計しました。

  ホンダがS660で軽自動車をMRにして値打ちを付けたのと同じ発想ではありますが、メルセデスがエントリーグレードのクルマにここまでこだわって作るというのは、これまでとは大きく姿勢が変わったことを示していると思います。日本を代表するイノベーションブランドのホンダと同じタイミング、そして同じ土俵でメルセデスが新型車を用意する時代になったわけです。ほかにもまだまだメルセデスが「ホンダ」「スバル」「マツダ」的なブランド展開へ突き進む「予兆」はいろいろありますが、それについては又の機会にしたいと思います。

  

  

2013年11月28日木曜日

アテンザの登場でさらに輝くメルセデスSクラス

  日本には昔から「穢れ」という考え方があります。日本人の価値観を今もなお大きく支配する概念といってもいいほどで、私もまだまだカーシェアやルームシェアに対してネガティブなイメージがあるのも、それらに「穢れ」を感じてしまっているのだと思います。タクシーやバスは平気で乗るし、ホテルにも喜んで泊まれるのに、まあ不思議なことです。

  輸入車ユーザーの多くは別の意味で「穢れ」(アンタッチャブル)というものを感じている様子があります。「とりあえず乗るなら輸入車」なんて40歳以下の世代ならば、学生の頃に不思議と考えていたはずです。現実には新車で輸入車を買う事がとても贅沢というか不経済であることが分かり・・・不幸なことに「それならばクルマなんていらない」となってしまう人が多いですね。全ては大学進学率が上がり、その結果世間しらずなアホが量産され、何もできないくせにプライドだけは一人前で「絶対に輸入車」と・・・学生時代から何も進歩していない人が多いんじゃないかと思います。

  ただプライドとかポリシーとか個々に感じている「輸入車への憧れ」は結局は、「穢れ」という昔から日本人に備わっている「気質」によって形成されていたりするわけです。なので輸入車ユーザーは決して「西洋気触れ」などではなく、意識の変化を拒む保守的な感覚の人が多い気がします。

  日本の自動車メーカーにとってはこの「日本人の気質」が国内で高級車を売ることの難しさに大きく根ざしていると分かっているようです。それは作る側にも言えることで、誰よりも強烈な「日本人的な気質」を発している日産やマツダが挙って輸入車への憧れを隠すことなくクルマ作りに取込んでいたりします。

  ポルシェそっくりのデザインと酷評されたFC3Sから、いよいよポルシェを完全に怒らせたGT-Rまで、欧州コンプぶりは随所に見ることができるのですが、マツダの新型アテンザはいよいよドイツメーカーとその愛好者に大きな衝撃を与えつつあるようです。メルセデスが2014モデルとしてSクラスのFMCを行いましたが、現在日本国内ではこのクルマへの賛辞が日に日に高まっています。少し前まではあらゆる部分でEクラスに飲み込まれたと酷評するほど旧型Sクラスへの関心は低くなっていたはずなのに、オッサンジャーナリストの豹変ぶりがなかなか強烈です。

  確かにFMCでメルセデスがあらゆる部分に改良を施し、ブランドの再生を志しているのを感じることはできます。その点を純粋に評価したといわれればもちろん納得も出来ます。しかし実際に飲み込まれたのは旧型Sクラスではなく、マツダ・アテンザにあちこち凌駕された現行Eクラスの方だったりするんですよね・・・。オッサンJの永遠の崇拝対象であるはずのメルセデスは、ついにEクラスまで陥落してしまったわけです。


  Eクラスまでが「アンタッチャブル」な日本車に凌駕されてしまい「穢れた」存在になってしまいました。当然ながら最後の砦となった新型Sクラスに対する賛辞がいつも以上に声高になるのも当然と言えるかもしれません。BMW5に対しては「直4かよオイオイ」みたいなことを連発していたハズの有名オッサンJN川氏が「100点満点」とか言ってしまっています。ちなみに最近の同氏の採点はクラウン(70)V40(85)/ゴルフ(99)となっています。読者をナメてんのか? クラウンはやっぱり「穢れ」なんですね・・・。


2013年11月26日火曜日

ボルボの新陳代謝は日本で通用するのか?

  目下のところ昨年同月比で73%増の販売台数となり、全般に好調な輸入車ブランドの中でも特に目立っているのがボルボです。好調の原因は、もちろん現在の販売の主力となっているV40で、昨年の段階ではまだ発売されていないのですから当然の結果ではあります。しかしBMWミニに追いつき、停滞気味のアウディを捉えようかという勢いを感じます。

  ミニとアウディが本来は獲得するべき、好景気による増加分をボルボが吸収したわけですが、印象としてはボルボがかなり日本市場で宣伝を掛けてじっくりと自信の新型モデルを売り込むことに成功した感があります。ミニはともかくアウディは新型A3の日本市場への投入を躊躇し、欧州・北米・中国を優先していて、はっきりと日本市場を軽視していることから、大手輸入ブランドの中で大きく出遅れたことは仕方が無いことだと思います。

  アウディは日本メーカーが中国で大きくシェアを落とす中で、「ある種」の問題行動を起こしていて、日本の特定の思想を持った団体からはその存在を完全に抹殺されているので、フジテレビが受けているような制裁が少なからず存在しているようです。

  一方でボルボは他のブランドよりも日本重視の姿勢を見せていて、現在開催されている東京モーターショーでもアウディとは全く熱意が違っていて、先日欧州で公開された最新のコンセプトモデルをロサンゼルスではなく東京に持ってきました。

  ボルボとしてはアウディが日本市場で思わぬ躓きをみせている今が千載一遇のチャンスなのですが、発売から1年近くが経ってV40頼みの状況では更なる飛躍は望めそうにありません。ボルボが従来から持っているラインナップはセダン・ワゴン・SUVで強力なライバルが多く、日本市場でも大きな拡大が期待しにくいジャンルに集中しているので。新たな戦略モデルが不可欠な状況です。

  そこでボルボが日本市場に切り込みをかける第2弾として期待しているのが、東京MSでも公開されたボルボ「コンセプト・クーペ」です(動画はこちらです)。自動ブレーキと受動安全性さらに歩行者保護エアバックなどで話題を重ねたV40に続いて、今度はボルボの殻を破って登場した「スタイリッシュ」「環境性能のPHEV」「高性能」といった本質的な魅力を強く訴えるクルマです。もちろんボルボ的に標準な安全装備は全て載せるはずなので、どこからもつつきようがない完全無欠に近いスペシャリティ・クーペです。

  堅実なデザインと十分に所有欲が高まるであろう過不足無い性能で人気を博したV40は、ある意味で日本人が求める「今のクルマの理想型」に割と近かったと思います。新しく出るスバルの日本限定モデルのレヴォーグがどことなく従来のスバルではなく、このボルボV40のスペックを参考に設定されている気さえするほどに、V40のスペックは日本市場を研究した素晴らしいものなわけです。さらに堅牢なボディなど共通点も多く、V40はスバル車の互換車種として日本市場に打ち込まれた楔と言えます。

  そして次なる楔となるこの「コンセプト・クーペ」の市販モデルは、こんどは日本市場の「非スバル」的なニーズを掘り起こす為の戦略モデルといった趣があります。良くも悪くもマツダらしいデザインであり、アウディらしいデザインでもあるように感じます。スバルには見向きもしない目立ちたがりのユーザーを、狙い撃ちするには理想的なデザインだと思います。もちろん上手くいくかは価格次第なんでしょうけど・・・。


  ↓ボルボのC/Dセグ車もマツダ風にフェイスリフトして日本市場に溶け込むか?

  

2013年11月19日火曜日

ポルシェ VS BMWの行方は・・・

  間もなく開催される東京MSに参戦する海外メーカーの中で特に鼻息荒そうなのが、ポルシェとBMW。どちらももはや日本市場は眼中に無いのかなと思いきや、マツダやスバル以上に気合いが入ってますね。まあ素直に嬉しいことです。ドイツの2大スポーツブランドがそれぞれどんなクルマを披露するかというと・・・、新型SUVとエクステンダー付きのスーパースポーツ!?あれまあガチンコ対決になっているじゃないですか・・・。

  「BMW X5」VS「ポルシェ・マカン」という新旧のプレミアムSUV対決は、下馬評で大ヒット確実と言われるマカンの方が注目を集めているようです。アウディQ5をそのままポルシェにしただけと思いきや、エンジンがかなり強力なものに換装されているのだとか。ジャストサイズとか言っているが、アウディQ5の1900mm幅ですでに相当にアウトじゃないかという気もするが、SUVの基準はどうやらセダンとはだいぶ違うらしい。

  仕事で日本一「沿線所得」が高いと言われる京王井の頭線に乗る事が多いが、世田谷区の中央部はスプロール現象の影響で異常なほどに道幅が狭いが、そんな通りを1985mmのアウディQ7が結構走っているんですよね・・・。実際に二子玉あたりの細い路地でQ7に出くわしたときは、マジで焦りますよ。さっさとバックしないと踏みつぶされてしまいそうな勢いです。なんでこんな街でSUVに乗るのかな・・・まったく世田谷区民の考えることは分からないですね。

  アウディQ5でも十分にデカいんですが、それがパワフルになって450psだなんて・・・。そんなクルマが本当に日本で必要なんですかね?1700kgの車重で突っ込まれたら相手のクルマはひとたまりもないですね。でも1700kgという数字はこのクラスのSUVとしては相当に軽い方なのだとか。対するBMW X5も2000kg超の車重なので高速道路でこんなのとぶつかった軽自動車は絶対に助からないですね・・・。

  マカンもX5もこんな意味不明な巨体ボディですからさぞ燃費も悪くて不人気確実なのかと思いきや、どちらもディーゼルターボが主流になっていて、その点が最大のセールスポイントになっているようです。どっちがカッコイイかと言えばBMW X5の方が数段上な気がしますが、50歩100歩といったところです。SUVなんて所詮はピックアップトラックの亜種に過ぎないわけでデザインの価値基準もトラックのデザインの良し悪しに準拠して考える必要があるかもしれません。

  さらに言うと、BMWもポルシェも車台をトラックと共有なんて当然してませんので、乗用車プラットホームにデカいボディとタイヤを付けて非効率にしただけの「なんちゃってSUV」なわけです。いくら北米で売れてるからといっても、そんな本質的には著しく合理性を欠くクルマで「プレミアムSUV」とか盛り上がっているのはやや滑稽です。マカンもX5も上級モデルだけあって、安価なSUV(ハリアーなど)にありがちのパワー不足はなさそうです。

  今回ポルシェとBMWはEVスーパースポーツの先駆的存在として「928」と「i8」でも競合していて、どちらも超高額車なのでまあ量販は期待できません。ということでこの両メーカーは東京MSで一体何をしたいんだ?という気がします。「ケイマン」とか「2シリーズ」みたいな日本的なモデルでガチンコしてもらいたかったですね・・・。

 

2013年11月15日金曜日

VWパサートって日本に持ってくる必要あります?

  VWのクルマはプロ・アマ問わずなんとなく「ぬるい」評価を連発して、全くクルマの本質が見えてこないのが全体的な印象なのですが、その中でも日本に導入されている意味不明なモデルが「パサート」だと思います。結局は評論する人が誰一人としてこんなクルマを選ぼうとは思ってないので評論全てがテキトーになってしまうのでしょうが・・・。

  このクルマの一番イラッとする点が、非常にアンバランスな加速をするので、後ろを走っていると速度の調整が難しい点です。アクアやプリウスなら出足も遅くて中間加速もゆったりなので、アクセル開度をシンクロさせれば、それほどストレスなく追従できます。それに対しパサートはDSGのもたつきで出足が意味不明に遅く、その後ターボラグが発生して変なタイミングで再加速します。前方の信号との距離を考えると明らかにエネルギーのムダな出力を繰り返します。このクルマは1.4Lターボだそうですが、本当にエコなのか疑問です。実際にユーザーレビューを見ると10km/L超えないレベルという記述が多いです。

  先日も多摩センターにあるアップダウンのある一本道を夜中に家路を目指して走っていたのですが、前方を走るパサートに追いついてしまいました。ちょっと接近すれば欧州車オーナーのプライドでしっかり走ってくれるだろうと期待したのですが、なかなかペースも上がらず・・・でした。後ろから見ているとFFにもかかわらず、スタイリングを意識したような太めのタイヤを履いていて、これではどう考えても上手く曲れないだろうなと思いました。

  峠道セクションはダラダラとカッタルそうに走り、その後2車線区間に入りました。コイツの後ろは絶対にゴメンなので、さくっとかわしてやろうと思ったのですが、散々つつかれてイライラしていたようで、猛然と自慢の低速トルクを使って加速を始めました。実は左折して2車線道路に入ったときにビニールと紙袋が路上に落ちていて、パサートはそれを介さずにつっこんでいきましたが、後輪が舞い上げたゴミがパサートの排気口の辺りにへばりつくのを見せつけられて、ゴミの行方を目で追ってしまったため、スタートが遅れちょっと離されました。

  緩いカーブの下り坂で左車線に1台だけ遅いクルマがいたので右車線のパサートの後を走ります。こちらは中速域まではトルクが細いNA車なので、出足の加速は互角でしたがそこから先はVWの回らないロングエンジンとマツダの回るショートエンジンの戦闘力の違いが発揮されあっという間に距離が詰まり左車線に出て追い抜きました。相手はクリーンな道路状況を見て引き離そうという意図がある加速を繰り出してきたようですが、そういう運転をするのならレガシィワゴンのターボにでも乗り換えた方がいいのでは?と思いました。

  結局はパサートというクルマはカローラフィールダーの1.5L以上1.8L未満程度の「互換性」しか持ってないと思います。ドイツでもアメリカでも同クラスのアテンザ・レガシィよりもかなり安く設定されていて、せいぜい価格も200万円くらいが適正価格だと思うのですが、なぜか日本だけぼったくりに近い価格設定が行われていて残念ですね・・・。

  その価格を真に受けてしまって、高性能車と勘違いしているユーザーが多いようですが、基本性能として0-100km/hのタイムはプリウスと同じなんですよね・・・。そんなこと微塵も感じさせずBMW3と同等のクルマかのように錯覚させて売りさばいてしまうVW(その代理店?)の大胆不敵な戦略はさすがで、マツダやスバルはしっかり学ぶべきなのかもしれないですが・・・。


 

2013年11月13日水曜日

「428i」が1780kgなのに「M4」が1500kgだってさ!

  とうとうBMWがプリウスの技術を使って走り出したみたいですね。プリウスの運動性能を馬鹿にする人が多いようですが、そのメカニズムの根幹には世界最高水準の素材が使われています。もちろん世界最高の燃費を叩き出しているクルマですから、その為には想像以上のダイエットが必要で、ハイブリッド車の「車重」としては完全にライバルメーカーを圧倒してます。そんなトヨタの虎の子の技術は、復活を期すスポーツメーカーのBMWの目に留まり、いよいよ「新生」BMWの新たなクルマ作りに必須の技術として、メカー間の提携が成立し、トヨタの軽量化技術が供与されています。

  そしてトヨタとしてもBMWを自社の「外郭スポーツメーカー」と位置づけ、メルセデスとアウディへの反撃を開始すべくグループの再編を図っていくようです。レクサス・BMW・スバル・サイオンの4チャンネルを使えば、スーパースポーツとマッスルカーを除くスペシャリティカー市場をジャックすることができそうです。

  ちょっと深読みですが、BMWの「下級グレード」(4シリ以下)はレクサスとラインナップが被らないように、軽くしてよりスポーティなラインナップへと置き換えていくという方針で合意しているようです。とりあえず4シリーズはF30系のままで「重い」ですけど、この後に出てくる2シリーズとM3・M4は「次世代BMW」になるようです。ちょっと現行F30系と4シリーズの購入者には気の毒な気もしますが・・・。

  BMWはラインナップのほとんどが4気筒エンジンに換わりブランドの魅力が薄れたと言われていますが、その一番の理由は直4ターボのRWDなのに、AWDのスバルよりも重いことです。ご存知のようにスバルはAWDによる車重増を補うためにエンジンの軽量化に拘っていて水平対抗エンジン(ボクサーエンジン)を全車に搭載しています。

  直6時代のBMWならば方向性が違うということで無視できましたが、直4でも重いBMWにはやはりクルマに対するこだわりが感じられません。FRの設計が災いしてFFよりも重くなってしまう上、全体的に車重のバランスをとらないと後輪に荷重が適切にかからずにトラクション不足に陥ってしまいます。つまり現行モデルのBMWは失礼な表現ですがいずれも「泥沼状態」です。

  そのことはBMWもよくわかっているようで、トヨタとの技術提携に渡りに船とばかりに応じて、もの凄いペースでラインナップ刷新のための開発を行っているようです。BMWとしてはこれ以上大型車の販売が伸びないと踏んで、小型車市場に今後のブランドの命運を委ねていて、結局はこれまでのプライドを全て捨て、小型車開発に優れる日本メーカーの技術を片っ端からパクるのではないかと言われています。簡単に言うと日本車にそっくりなBMWがゾロゾロと出てくるわけです。

  それでもさすがはBMWでしっかりi3とi8という新しいブランドコンセプトをすでに発表していて、スポーティEVの先進メーカーであることを印象づけて、新たな顧客を取込もうとしています。東京モーターショーにも大挙してやってくるそうなので、続きは見てきてからにしたいと思います。

  
 

2013年10月25日金曜日

BMWをバカにしてはいけない! F10系528i初期モデル 「最後の傑作」

  2010年のFMCで登場した「F10」はたった1年で2.5Lと3Lの直6NAが消滅するという、なかなかドラマチックな展開を見せているBMWの主力セダンです。年数が違うので単純比較はできないですが、初期モデルの方が中古車価格が高いのでは?という感じがします。BMWの事情は解りませんが、528i(3L直6NA)を2011年に「価格をそのまま」で2Lターボに変えました。必ずしもデメリットだけではないでしょうが、やはり同じ価格で2Lターボはいくらなんでも暴挙では・・・。

  その後、当然のように販売不振に陥りましたが、幸いな事にタイミングよく世界的に大不況期(リーマンショック)を迎えていて、高級車の販売は総崩れになったおかげで、さりげなく値引きをすることに成功しました。そのため今ではデビュー時より15万円ほど安くなっています。「殿様商売」と思われていたBMWが結構シビアに価格の調整をしてくるあたりに何らかの後ろめたさがあったはずです。もちろん上級モデルの方が限界利益は相当に大きいでしょうから、それなりの値下げにも耐えられるのですが・・・。

  2011年にF30(3シリーズ)が登場して以降、BMWびいきのプロライターの歯切れが悪くなり、ことあるごとにBMW全体の直4ターボ化に対してチクリチクリと言うようになりました。一方で他のプロライターは千載一遇のチャンスとばかりに「太鼓持ち」記事の仕事を大量に受注したようですが・・・。そんな裏事情もあって、少なくともカーメディアを見ている限りでは、F10もF30も相変わらず称賛され続けていたように思います。

  それでも現実問題としてBMWのラインナップに「買う(ほしい)クルマがないぞ〜」状態になってしまいました。ポルシェもどきの135iで満足できればいいですが、普通の感覚では5シリーズが1stチョイスだと思います。535iはありますが、初期の528iの方が断然に良いとまで言われる始末です。大型な車体をシャープなハンドリングで楽しむクルマにターボ付けてど〜すんだ!というのはアウトバーンの無い日本人特有の感覚かもしれませんが・・・。

  もちろん「いつもM5だよ」という筋金入りのセレブBMWファンにとっては、何にも変わらない日常なんでしょうが、700〜800万円クラスのクルマをちょっと(相当)無理して「夢を買おう」としていた人々にとっては完全にハシゴを外された恰好になってしまいました。憧れのBMWに乗る為に一生懸命頑張ってきた人々に「中古車」あるいは「直4」で我慢しろというのはあまりに殺生なことです・・・。

  できれば2010年モデルの528iをできれば当時のアメリカ価格(約500万円)に近い価格で再販してくれれば、「BMWは日本の宝だ!」とばかりに再び威光が復活するのですが・・・。このままだと「中国向け高級ブランド」として、ドイツ・英国・豪州・日本・アメリカといった市場で今後もバカにされ続けるだけですよ・・・。

  それにしてもF10特に初期の528iは惜しいモデルだったと思います。北米でインフィニティ(スカイラインとフーガ)に敗北したE60の汚名返上とばかりに、サスを日産と同じダブルウィッシュボーンに変えた効果でハンドリングも冴え渡り、ターボの535iよりもNAのこちらが良いという評価が続出するほどの傑作車でした。これはもう来年あたりに300万円を用意して中古を狙うしかないな・・・。

  

  

2013年10月5日土曜日

なぜ日本人はドイツ車が好きなのか?

  ドイツ車が好きですか?と聞かれたら、好きなクルマもあるし嫌いなクルマもあると自分なら答えます。まあ冷静に考えてこれ以外の答えがあるのか?という気もするのですが、不思議な事に、日本には「ドイツ車好き」という謎の思想を持った人々が多いように感じます(しかもプロのモータージャーナリストにこういう人がたくさんいます)。この思想・主張の本意はおそらく「(日本車よりも)ドイツ車が好き」ということなのでしょうが、この意見には私は真っ向から反対します。

  ドイツ車と日本車の統計を取ったときどちらが「工業製品」として優れているのか? 私の考えでは、ドイツ車の底辺が1でテッペンが10だとするならば、日本車の底辺は4でテッペンは12くらいではないかと思います。これを裏付ける客観的な資料はいくらでもあります。2013年の名目GDP比は日:独=10:7くらいですが、販売台数は日メーカー:独メーカー=5:2くらいです。平均販売価格のデータがないのでボラティリティはありますが、北米や欧州での価格は日本車の方が高いくらいです。他にもJDパワーの評価や衝突安全基準などあらゆる点で日本車の優秀性は客観的に証明されています。しかし、インドで競合しているVW・ポロとスズキ・スプラッシュのいったいどちらが優れているか?なんていう議論には、正直言ってそれほど興味はないです。

  日本市場で競争しているドイツ車と日本車の優劣の現在地点はどうなのか?ということにおいて、先述のドイツかぶれジャーナリストが語る虚言や空論がそのまま日本のクルマ文化を形成しつつあることには危機感を覚えます。ドイツ車の本質を語ることなく、日本車の揚げ足をとり「ドイツ車>日本車」という結論ありきで論じることに何の意味があるんだろうってカネ払って読んでいる立場からふと思ったりします(まあ自分のブログ記事も似たようなものですが・・・)。

  実際に日本に輸入されるドイツ車は高級モデルが大半なので、7~9くらいのクルマが多いです。まあ4や5のレベルの日本車と比べれば良く出来ているでしょうが、価格も2~3倍高いのだから当たり前かなという気もします。

  ちょっと前までドイツ車至上主義のジャーナリストのテキストには「車体剛性」や「油圧ステア」という紋切り型の文言がならび、日本車を次から次へと一刀両断していたようですが、今日ではそんな「定義」は全てなくなりました。ドイツメーカーが日本車をお手本に軽量化と電動ステアの改良に励むようになってきましたので・・・。

  福◯◯◯郎というジャーナリストは、ドイツメーカーの安易な日本車追従を「モラルハザード」と断定して厳しい意見を述べていましたが、そもそもドイツ車を「車体剛性」や「油圧ステア」といった言葉で「記号化」=「定義」してしまった日本人の認識が大間違いなのではないかと私は思います。先ほどの福◯◯◯郎氏は「定義」を踏み外したドイツ車を「似非」と断罪したようですが、おそらくドイツ人からしたら「コイツら馬鹿じゃねーの」と失笑を買うレベルの意見じゃないでしょうか・・・。

  ニーチェの金言に「定義できるのは、歴史をもたないものだけである」とあるように、ドイツ人は「歴史あるものは定義ができない」ということがよく解っています。ドイツ車も日本車も韓国車もそれぞれに歴史を持っているので「定義」できないというわけです。クルマを支配する第一義的な原理は「定義」でも「物的価値」でもなく「行動」だと考えるのがドイツでは一般的です。日本の金持ちが家の前に停めてる400psのAMGや911ターボはほぼ「定義」や「物的価値」としてしか意味を成しませんが、同じクルマがドイツで所有されればそれが「行動」という意味を持ちます。そしてアウトバーンを日本に作らないかぎりこの格差は埋まりません。

  正直言って、日本でクルマを作っている人とクルマを論じている人の間には天と地ほどの大きな隔たりがあるように感じます。日本車の1台1台にもドイツにおけるドイツ車のように「行動」の哲学をしっかりと感じることができます。しかしドイツ車至上主義のジャーナリスト(誰だよ?)の手にひとたび掛かれば、まったく無意味な「定義」で測定されたあげく、「せいぜい☆3つだな・・・」なんて評価をしたりしています(もちろん評価すること自体は自由ですが・・・)。その度に私は心の中で呟きます「オマエらみたいなクルマキ◯ガイなブサ◯クオヤジにまともな人の幸福とかわかるのか?」と・・・。

  

          ↓「☆3つ!」とか言ってんじゃねーよ・・・日本人の恥さらしが!
  

2013年9月27日金曜日

神を恐れないドイツ車

  「C63AMG」「M3」「RS5」・・・なぜドイツメーカーは「乗用車」の超高出力モデルを作り続けるのでしょうか? もちろん需要があるからなんでしょうが、ドイツメーカーは特にこういうクルマへの執着が強いです。日本メーカーといってもレクサスだけが、このジャンルに参入していますが、全ラインナップを「環境対応」と掲げるトヨタとしては本音を言えばこんなクルマを作りたくはないのだろうと想像できます。

  ドイツは「環境先進国」として世界の最先端に位置しています。当然に自動車産業も世界をリードする環境基準の厳しさの中で「環境対応車」を次々と開発しているようです。しかしどうもトヨタほどの覚悟があるようには見えないです。おそらく彼ら(ドイツ人)は「環境」がそれほど好きじゃないのではないでしょうか? 「環境」なんかより「ハイパワー」の方が断然に好きなのだと思います。Dセグの一般向け3BOXにV8エンジンを押し込んで450psのモンスターカーを、プロパーでラインナップするとことは恐らくHVモデルを設定するよりも重要なことなのでしょう。

  おそらくドイツメーカーにとって「環境対応」は「仮面」に過ぎない存在で、その裏には「世界最強のハイパワー」という「本心」が隠れています。「環境対応」と「世界最強のハイパワー」という「二元論」というのはどうやらドイツ人の民族意識の根底に深く根ざしたものなのではという気がします。

  あまり安易なことを言うべきではないかもしれませんが、19世紀初頭の段階で欧州の先端を自負したドイツ哲学はイエーナ・ロマン主義の「無神論」論争から一つの極めて明快な「二元論」に辿り着きます。「無か神か」 フリードリッヒ=ハインリッヒ=ヤコービのニヒリズム批判(フィヒテ批判)を要約すると、「実存的選択」は常に「無」か「神」の選択を迫ります。すべての「認知」や「自我」は例外無く、この2つに分類されます。「無」を選ぶとは「自分自身を神とすること」であり、「神」を選ぶとは「自身の外部に自立した神が存在すること」です。


  「神」の定義は難しいですが、自らでは変えようが無い「普遍的な価値観」といったところでしょうか。例えば現代の自動車メーカーにとって「環境対応」は侵す事ができない真理(=「神」)です。異論があるかもしれませんが、トヨタやホンダは「神」を全面的に選択してクルマを作っていることになります。

  一方で「無」の選択をするとは、「神」の存在を否定して新たなる「価値観」を作ることです。それは「プロメテウスの火」のような科学的合理主義が怪物的なものに支配された感覚に近いものです。「拳銃」や「原子力」などを想像してもらえればいいと思います。既存の価値観に背くので「背徳感」を伴いますが、「人が神になる」ということには、強烈な「誘惑」の力が秘められています。

  ドイツメーカーはそのDNAの中に「無か神か」の二元論が刻まれているかのように、「環境対応」と「世界最強」の真逆のベクトルを同時に突き進んでいます。中世のキリスト教社会のように、「神」への盲目的な追従は破滅への道を連想させます。例えば自動車が「神=環境対応」に盲目的に突き進んでいった先にある「カタチ」は、限りなく「鉄道」か「自転車」に近いものになり「自動車」の尊厳は徹底的に破壊されるかもしれません。鉄道のように軌道の上しか走れなかったり、自転車のように航続距離と走行性能の限界がとても低かったら・・・。

  「無」の選択、つまり「神の否定」こそが、人々をより強く惹き付ける力を持ち、自動車ブランドの価値を維持する手段だとドイツメーカーはよく解っているのでしょう。決してナチスを例にあげようとは思いませんが・・・。よってこれからもドイツメーカーは「神」を殺し続け、自らを「神」と位置づけるような「怪物的」なクルマを次々に作っていくのだと思います。ただ世界にはいろいろな「神」がいます。「アフラ=マズダー(MAZDA)」や「涅槃の蓮(ロータス)」といった神々を殺す力がドイツ車にあるのでしょうか?

  



2013年9月16日月曜日

「ホットハッチ全面戦争」勃発前夜 フランス車の逆襲が始まる?

  ドイツ人と日本人は「虚構」の民族だと感じることがある。クルマ作り一つとっても非常に「論理的」でその優秀さで世界に認められてきた。いや正確に言うと、絶対的な自信に裏付けされた「論理」を押し付けて世界を納得させてきたのかもしれないが・・・。

  カントとかヘーゲルの時代からドイツ人は世界をリードすべき存在だという自負があっただろうし、ちょっと的外れかもしれないが石原莞爾のような思想家は戦前の日本にはたくさん居ただろう。これまた語弊があるかもしれないが、いずれも「虚構」の巨人じゃないか・・・。

  このドイツと日本の「妄想癖」と「乾いた理性」を宮崎駿監督の最新作を見て改めて感じた。おそらく現代のドイツや日本の自動車メーカーでもあんな「すっとぼけた」主人公が密かに活躍しているのだろう。

  そんなドイツと日本の「虚構」が鍔迫り合いを繰り広げるささやかな舞台がやってきた。新型ゴルフGTIと新型マツダスピードアクセラの対決が迫っている。200psオーバーのFF車を安全でしかもいかに早く走らせるか、そしてコストの壁をいかにかいくぐるか。 まるで大戦期の戦闘機の開発競争のようなスリリングさを感じる。

  このクラスのクルマに興味がない人には何も面白くはないかもしれないが、例え購入対象ではなくても、その歴史を見ると合理性の追求の為なら「何でもあり」の総力戦の中で、幾多の名車が生まれている。2000年の英「Car」誌が行った伝説の企画によると、FF4気筒NAで武装したホンダ・インテグラtype-R(DC2型)が当時の最先端であるポルシェ996型911とフェラーリ360モデナF1に迫る走りと評価された。高出力AWDの34GT-RやエボⅥよりも高い評価を得ているほどだ。

  AWD化してしまえば、400psクラスでも問題なく市販できてしまうようだが、FFにこだわってギリギリの馬力とトラクションで走らせるところに凄みがある。早くも次世代のプロトタイプが続々と発表されているが、本場欧州での競争は激しく、盟主ゴルフGTIの新型に批判が集まっている。すでに発売されているルノー・メガーヌRSとフォード・フォーカスST-3(日本未発売)の現行2トップの牙城を崩すことができていないようだ。

  縮小する欧州市場に後ろ向きなトヨタはオーリスの高性能化には否定的なようだ。86用のボクサーエンジン(スバルFA20型)でも積んでほしい気がするが・・・。日本勢でここに参戦を表明しているのは、ホンダのシビックtypeRとマツダのスピードアクセラだ。スズキは得意な小型車市場にも関わらず、スイフトのさらなる高性能化には否定的だ。Bセグながら後輪にもディスクブレーキを備えた意欲作だが、5ナンバーサイズの車幅では圧倒的に不利と判断しているようだ。

  プジョー・シトロエンも主戦場のFF&小型車が舞台ということで、RCZの新型エンジンを308やDS4に載せ変えて参戦してくるようだ。ただVWに習った多目的プラットホームの採用が、高性能化の足枷になるかもしれない。アウディはゴルフGTIと基本設計が同じ新型A3だろう。早くもwi-hiを車内で飛ばすなど、ライトユーザーの心を捕える打算的な戦略を打ち出しており、クルマの性能での勝負を避けているようだ。そして新規参入となるメルセデスはこのクラスとの競合を嫌ってAWD高出力化を選択した。格式を重んじる欧州メーカーとしては自然な成り行きか・・・。

  どうやらストイックなまでの「虚構」主義を掲げてもどうにもならないほど、トップセグメントとの差は決定的になってしまったのだろうか。メガーヌRSのように「ミッドシップのAWD」と対等な走りを「FF」で実現しようという「クレイジー」な開発者のさらなる出現に期待したいが・・・。


↓デザインも走りも超一流のメガーヌRS。日本での知名度はまだまだだが、WRX STIと互角に走れるFFって!!!
  
  

2013年9月9日月曜日

輸入車の良さがわからないヤツは・・・心が腐っている!

  最近ではトヨタ・スバル・マツダといった国産メーカーがツボを心得た高性能車を次々と作るようになり、国産車と輸入車の立場にもはっきりとした変化が見られるようになってきました。とは言っても自動車ファンの間での印象でしかなく、一般の方々の意見をネット等で目にすると、日本車側も輸入車側も完全に明後日の方向へ意見が飛び交っていてまさに「カオス」だったりします。

  特にライトユーザーが集中する傾向にある、日本車の代表プリウスと輸入車の代表ゴルフを巡る議論を覗くと、そこには???なメチャクチャな罵声が飛び交っています。大抵はゴルフ側が「日本車と違って走る・止まる・曲がるの基本性能が違う」とか、???なことを言っています。もはや突っ込みどころが満載なのに、日本車側は大抵は核心を突くことができなかったりします。


  まずそもそも日本を走るゴルフがドイツ車と言えるのか?という大前提からしてかなり怪しかったりします。生産国がタイやメキシコだからという訳ではなく、日本向けゴルフはブレーキなどの主要部品がアジア地域で調達されていて本国とは仕様が異なります。制動テストではドイツではメジャーな存在であるマツダ車や三菱車とくらべてはっきりと劣っています。ドイツのブランド評価では(1)メルセデス(2)トヨタ(3)マツダ(4)三菱でありこれらの上位ブランドは「高性能」ブランドとして最量販のVWより上位と考えられています(あくまでドイツ人の評価です)。

  一般にゴルフは直進安定性に優れると言われていますが、そう感じる主な要因は国産の同クラスよりも100kg以上重い車重にあります。車体剛性が高いと言われていますが、これもマツダ車・三菱車と比べて優位にあるわけではありません。VWが溶接技術を積極的にアピールしていることから、この点で優位にあると考えられていますが、実際には鋼鈑の軽量化技術などを含めた総合的な完成度は、トヨタがプリウスに惜しみなく投入した技術レベルから考えるとまだまだ低い水準です。1.4Lターボのゴルフと1.8LHVのプリウスが車重に於いて同じ土俵で戦っているという事実は、ドイツメーカーにとってプリウスの技術レベルがほぼ超える事が不可能なレベルであることを示しています。

  そもそも「国産車VS輸入車」の論点をそのまま「プリウスVSゴルフ」に当てはめることこそが不毛です。トヨタ陣営もVW陣営もどちらもこの看板車は「走り」のクルマではなく、「経済性」のクルマであると完全に割り切っているからです。結論を言えばプリウスは経済性のみを追求したクルマであり、ゴルフは「大衆を煙に巻く」クルマです。どっかのゴルフオーナーがゴルフ(1.4LTSI)は高速走ってなんぼのクルマとか言っていましたが、専門誌の詳細なテストによるとゴルフの燃費MAXは40~60km/hの時だそうで、100km/hだと急激に燃費が悪化するので、その特性はまさにプリウスそのものです。

  トヨタとVWのクルマを比較したところで、期待するほどの差なんてありません。同じ部品供給メーカーが作り分けた似たような部品でどちらも組み立てられています。VWが搭載する2ペダルMT(7速DCT)は性能を優先したわけでなく、コスト削減の一環として行われています。日本製のATに勝てないドイツ部品メーカーが作ったシロモノです。ATよりシフトアップが早いのでスポーツカーでも採用されていますが、重量がある高級車では変速ショックが乗り心地の致命傷になるので採用されることはないです。実際にアウディではほとんど採用されていません。それでも小排気量ロングストローク&ターボという、まさにエコカーエンジンのレスポンスの悪さを補うという目的には適っていますが・・・。
 
  ゴルフのこの複雑怪奇な設計により、日本のクルマユーザー内では意見が紛糾してしまっていて、それもまた面白いのかもしれません。しかし今度はアンチゴルフ派が「輸入車」を全てひっくるめて批判するのも、それはそれでまったく的を得ていません。VW・BMW・メルセデスといった「煙に巻く」ブランドばかりが輸入車ではありません。日産GT-RやホンダNSXといった国産スーパースポーツカーが生まれた前提として、ポルシェ・ジャガー・マセラティ・アストンマーティンといった超一流ブランドの存在があったわけです。

  最近読んだ「ジャガーFタイプのすべて」には「ゴルフのすべて」や「Aクラスのすべて」とは全く違う次元の記述がなされていました。同じインポートシリーズなのに三笠書房も読者を完全に区別して記事を書いているとしか考えられないほどの歴然たる差が存在しています。Fタイプの内容は「最高のクルマ」を作るための現代のクルマ作りの水準が、様々な面でよくわかる記述がふんだんに盛り込まれていて、ライターが嘘偽りなく書き抜いている爽快感があります。一方でゴルフとAクラスは文章の向こうからライターの冷ややかな笑いが聞こえてくるような、読者をナメた文章が目に付きます。「自分なら絶対に買わない」という主張が文面に透けて見えるほどです。

  どうせ初心者やミーハーばかりだから、真面目に書いても理解して貰えないだろうし、緩いことを書いて誌面を費やさないと褒めるところがほとんどないクルマだからキツいとでも言いたげです。さらに補足すると最近の国産車についての同シリーズにも同様の怠い記述が多いです。アテンザ・クラウン・アコード・レクサスISとどれも気合いが入っていません。たまたまFタイプだけ良いライターが担当したということなのでしょうか?


  

2013年7月27日土曜日

輸入車は安全って本気かよ・・・


  ヤマダ電気のパソコン売り場に行ったときのこと、ある日本メーカーのSSD搭載型のパソコンを見て絶句してしまいました。その◯芝製のノートパソコンが遠目から見て普段使っている11.6インチのmacbookairにとてもよく似ていたからです。◯芝もサムスンと同様にアップルに訴訟を起こされるレベルなんだとがっかりしました。

  Macbookairも中身は◯芝製のSSDが使われていて、中身が三菱コルトのメルセデスAクラスみたいなものだとは分かっているのですが、見かけた◯芝のパソコンは三菱がAクラスそっくりの新型車と作ってくるようなもので、どうしても違和感があります。せっかく重要な基幹技術を持っていても最終デザインが間違っていたら、パソコンだろうとクルマだろうと製品としての魅力はゼロになってしまうようです。

  余談ですが、家電専門店が大っ嫌いです。失礼を承知で言うと、家電専門店は厳密な意味で存在価値は無くなっていると思います。高齢者ならまだしも若い世代にとっては全く必要がない場所になっています。だけど騙し騙し消費者を店舗に招き入れて、キャンペーン価格がべたべた付けられて定価が分からなくなっている製品を必死で売りつけようとしています。

  家電はクルマと違って、故障によって生命の危機に晒されるようなことが少ないです。よって中国製の製品でもそれなりに安心して使えるとあって、国内メーカーにとってはビジネスモデルが非常に難しくなっています。日立は早々に撤退して経営の保全が図られていますが、それ以外の大手はどこも青息吐息の状況でまったく先が見えません。そんな絶望的な状況が、自分が見かけた◯芝のパソコンに凝縮されている気がして、とても暗澹たる気分になりました。

  安全性の高さに定評があるドイツ車や日本車は家電とは違ってまだまだ世界中の消費者から選ばれる状況にあります。それでもドイツ車をはじめとする輸入車のイメージもだいぶ変わってきました。少し前までは「高価」「高級感」といったものだったのですが、今では「お買い得」「安全」といったイメージが強いように感じます。もともと海外では安かった輸入車が適正価格で売られるようになり、日本車の高級志向がさらに強まっていて立場が逆転しつつあります。

  輸入車も「ブランド」だけで売れる時代はとっくに過ぎ去っています。MBBMWであっても、同クラスの日本車より低価格で燃費が良くしないと全く見向きもされなくなってきています。アメリカのテストではあらゆる面(特に安全性)でアコードやスカイラインに劣っていると判断されているCクラスや3シリーズは、もはやまともな情報収集能力のある人なら率先して選ぶ車種ではなくなっています(人気にあぐらをかいていて進化が遅れた?)MBBMWはなんといっても故障率が異常といえるほどで、アメリカの調査(JDパワー)ではアキュラ、インフィニティ、レクサスに大きく差をつけられています。

  一説によると、アメリカの調査は現地生産しているモデルに対しては甘いと言われています。同じドイツ車でもVWパサートはアメリカ生産のせいか販売台数(アコードの3分の1程度)の割には評価が高いような気がします。それでもアメリカ4大勢力(米・日・韓・独)の中で一番勢いが無くなっているのがドイツ勢なのも事実です。日本では今でも輸入車=欧州車でしかなく、単純に日独の2大勢力の争いになっています。まだまだドイツ車の人気は高いようですが・・・。

  日本とアメリカではクルマに対する嗜好が異なるとはいえ、アメリカで化けの皮が剥がれたドイツ車を、日本では今なお「世界最高峰」とプロのカーライターの方々が崇める根拠って一体何なんでしょうか? またアメリカナイズされたドイツ車SUV(カイエンやX5)を「アメ車っぽい」の一言で軽蔑する彼らの姿勢もまた如何なものなのかという気もします(あくまで個人の趣味ではありますが・・・)

  同じ日本人のプロライターが書いていることを信頼してあげたい気持ちはもちろんあります。それでもやはりクルマ文化の成熟という意味ではアメリカの方が日本よりも数段上手だなと思うこともあります。例えば、プリウスでよく発生するバッテリーの故障があるのですが、専門のメカニックでもハイブリッドにはなかなか手が出せないので、日本では丸ごと交換します。しかしアメリカではそれをインターネットの情報を元に冷却ホースの交換だけで直してしまうそうです。

  これだけのバイタリティの差を見せつけられてしまうと、煮ても焼いてもマズくて喰えないドイツ車のアメリカでの不人気ぶりにはそれなりの理由があるはずだと思ってしまいます。逆にクルマ文化がまだまだ未成熟な地域(中国?)ではドイツ車は人気です。   ちょっと長くなってしまったので続きはまた・・・


  

2013年7月17日水曜日

普遍的価値を持つ輸入車たち・C5コルベット 「FDのパクりでもかっこ良ければいいか・・・」

  C7コルベットの発売がいよいよ迫ってきた。スタイルも性能も価格も全てに興奮してしまう注目のスーパーカーは、イタリア製のマニア&富豪向けとは違ってより身近な存在だ。GT-Rを凌ぐパフォーマンスを見せるモデル(ZR1?)は恐らく1000万円を超えてしまうだろうが、ベースモデルなら700万円台という設定は、ちょっとした市販高級車を片っ端から蹴散らしてしまいそうな「バーゲン価格」といえる。同価格帯のレクサスGS450hとどっちが欲しい?と言われたらコルベットでいいと思う。

  コルベットとGT-Rに代表される、お手頃価格(700万円~)のスーパースポーツ市場は、中国の経済成長とともに俄に活気づいている。ポルシェやマセラティなど名だたるスーパーカーメーカーがこのゾーンでの覇権を懸けて新型車を投入してきている。すでに発売されているコルベットの有力なライバルにポルシェ・ケイマンがある。日本のクルマ好きにとってこの2台は正直言って相当に悩ましいところかもしれない。首都高湾岸線を走るならコルベットの方が迫力があるだろうし、箱根を走るならケイマンの方が楽しめそうだ。

  時代に逆行してでも「スペシャル感」を求めてV8搭載にこだわるなら、やはりコルベットはとてもピッタリの1台だ。最近の高級車はただ高いだけでなにも特別でなかったりすることが多い。英国のスポーツカーを買ったら、トヨタプレミオと同じエンジンだったなんて笑えない話もあるくらいだ。そんなご時世なので買ったクルマに本当に価値があるか判断しきれない人も多いだろう。とりあえず8気筒エンジンのクルマなら文句なしで高級車でいいと思う。8気筒のクルマの中でもコルベットのコストパフォーマンスは高い。ただ価格だけを見るならばフォードのV8マスタングの方が安かったりする。ただアメリカ本国での価格はコルベットの方が倍以上に高価であり、それを考えるとマスタングの日本価格はやや高すぎる気もする。

  自分のようなマツダデザイン好きにとってはコルベットと言ったらやはりC5コルベットになる。なんといってもGMがマツダの名車「RX-7FD3S」(通称FD)のデザインを全面的にパクって作ってしまった史上一番美しいコルベットだ。いまでも15年落ちが200万円越えの高値の人気車になっている。さすがにアメリカ車&スーパーカー&15年落ちを購入するのは度胸が入る。RX-7より少しだけ新しい2003or4年製のモノもまだまだ手に入る。

  このC5コルベットは前面がFDで後面が日産GT-Rのようなセクシーな造形の4灯ライトのデザインでこれまた素晴らしい出来映えだとても18年前にデビューしたクルマには見えない(当然ながらFDはもっと古いが・・・)。同年代のフェラーリ456など同じリトラクタブルライトのデザインと比べても、フェラーリの方が明らかに古くてダサく感じてしまうレベルだ(456は4シーターではあるが・・・)。それでもフェラーリ456の方が市場の評価額は高くて約3倍の開きがある。

  C6コルベットも同年代デビューのフェラーリF430に近似したデザインだが、すばらしいことにコルベットの方がデザインの寿命がハッキリと長かった! そして今年C7コルベットが登場し、ホンダの次期NSXに今度は似ていると言われている(ホンダは去年の内にコンセプトカーを公開)。それでもなんだかNSXよりも日本人の感性にスルリと入ってくる気持ちの良さを感じる。ちょっと贔屓目もあるかもしれないが、FDとならぶマツダの伝説のデザインとなった2代目アテンザを彷彿とさせるヘッドライトとフェンダーのうねりが特徴だ(グリルなどは別物だが・・・)。これまたマツダファンを熱狂させるデザインだなと思う。



  

2013年3月19日火曜日

アウディTTの魅力

  「官能的なドイツ車」とは存在しない理想のクルマを指す言葉だそうですが、あまりにも乱暴で「四角四面」な表現だなと思います。アウディTTを初めBMW6やメルセデスCLSなどいくらでも官能的なクルマはあるので、もはや死語なのかもしれません。ドイツ車のデザインが急速によくなったのはアウディがメルセデスとBMWに肩を並べるブランドに成長してからで、それまでは日本車もドイツ車もバッジが違うだけのデザインだったような気がします。

  アウディは2代目TT(8J)発売とともに、ブランドの勢いが増したようですが、このTTというクルマはデザインがスペシャルなだけで、シャシーやエンジンは全て他車からの流用という、なんとも評価が難しいクルマになっています。普通だったらボロクソに言われてしまうところなのですが抜群のデザインのおかげで、ブランドを代表する名車になっているあたりはさすがと言えます。ほぼデザインだけでここまでの名声を得ているクルマは他にはないんじゃないでしょうか。

  トヨタの部品を流用するレクサス車に対して厳しい意見がたまに見られますが、このアウディTTはゴルフのシャシーをそのまま使っています(アウディA3も同じ)。もともとゴルフの設計が優れているので、最高速度250km/hにしても問題ないようです。車体はアルミが多く使われていてゴルフよりも軽量になっています。エンジンもバリエーションが豊富ですが、いずれもゴルフやジェッタ、イオスといったVWブランドのものをベースに作られています。

  アウディはこのTTで世界にとても大事なことを発信したと思います。たとえ狭い車内だろうが、VWブランドの部品を使い回していようが、最高のデザインのクルマこそが最高なのだということです。日本のスポーツターボや欧州・北米の大排気量エンジンじゃなくても最高のスポーツカーは作れるし、デザインさえ良ければそれは最高に楽しいクルマになることです。このTTをクルマの本質に反するものと断じることができるでしょうか?TTより三菱ランエボXの方が乗る人に満足感を与えると言い切れるでしょうか?

  もっともTTだけが異端というわけではありません。スポーツカーの定義はもっと緩やかなものだし、乗る人を幸せにするアプローチはそれぞれのクルマによって違うのだということだと思います。ランエボとインプのように1つのニーズに双子のようなスポーツカーが存在するのは、ライバルを上回ることだけに眼が行ってしまって、あれほどモデルチェンジを繰り返しても一部のマニアにしか受け入れられないクルマにしかなれない結果になってしまうこともあります。日本メーカーにもこのアウディTTのような孤高の存在感を誇る「スペシャリティカー」を開発してほしいものです。

2013年3月14日木曜日

フォードマスタングとアテンザの融合

  北米では2万ドル〜で販売されている、フォードの看板車マスタングの日本価格は430万円〜とやや高めです。北米価格で3万5千ドル〜のメルセデスCクラスと日本ではほぼ同じ価格帯になってしまいます。インポーターの言い分としては、少量の輸入車なので輸送コストが高く付くということなのでしょうが・・・。フォードには「ONE-Ford」主義なるものがあって、世界のどの地域でも同じ性能のクルマを売るということらしいのですが、それだったら価格も揃えてほしいというのが率直なところですね。

  アメリカメーカーが日本市場で勝負するには、とてつもない信念と体力が必要になってきますが、1000万台クラスのメーカーなら世界第3位の日本市場を簡単には諦められないと思います(ヒュンダイにとっても同じ)。経営破綻を乗り越えて、GM・フォード・クライスラーは日本市場に新型車の導入を初めましたが、日独の壁はなかなか厚いようです。フォードとしても提携関係にあるマツダを足掛かりにするなどの工夫が必要かもしれません(ライバルのクライスラーの親会社フィアットはマツダOEMという画期的な戦術を採ってきました)。例えば次期マスタングをマツダと共同して開発して、アテンザと共通設計にすることで日本での市場を開拓できるのではと思います。

  元々、フォードのフュージョン/モンデオはアテンザと共通の設計でしたが、袂を分かってから独自の発展を遂げていて、アテンザは新型ではより上のグレードの車格を求めて「脱皮」しようとしています。もし新型アテンザのボディにマスタングのV8エンジンを載せることができたら、レクサスIS-Fに対抗できる上級グレードができるので、マツダにとっても望むところではないでしょうか。マツダの防府工場で作られるOEMのマスタングは日本でも話題になって売れそうですし、マツダの輸入車が好評のオセアニアにもフォードの足掛かりができそうです。

  ライバルのGMとクライスラーは日本にミドルクラス以上のセダンをそれぞれ投入してきました。GMの「キャデラックATS」はBMW3をコピーしたドイツメーカーのオペルのクルマで、ドイツ車のクオリティを持っていると認知されています。さらにクライスラーの大型セダン「クライスラー300」はダイムラー=クライスラー時代に流入した旧ベンツEクラスのノウハウが下地にあり、日本市場にも割と受けが良いのではないかと思います。
  
  フォードも日本市場への本格参入の為には、どこか日独の有力メーカーと手を結ぶことが現実的だと思います。VW&アウディはガチンコのライバルです。BMWとスバルはトヨタに取込まれています。日産とメルセデスは既に提携に至っています。三菱はヒュンダイに全面的な技術供与を行っています。残る有力メーカーがホンダとマツダだけです。ホンダは他車との提携には否定的だし(意外と有望かもしれないが・・・)、マツダはトヨタとフィアット(クライスラー)が引っぱり合いをしているようで、ここにフォードも一応は提携関係にあるので、もっと突っ込んだ関係に持ち込んだらいいのでは?と思うのですが・・・。「マスタング/アテンザクーペ」みたいなクルマが出来たら日本のクルマ文化もさらに成熟しそうな気がします。

2013年3月11日月曜日

コルベット投入で日本のスポーツ車を叩き直してほしい」

  日本メーカーが何を思ったかスポーツカー作りに夢中のようです。今のところはまだまだ珍しいさもあって、クルマファンも好意的なようですが、トヨタが150万円のスポーツカーを作るというニュースもあり、だんだんと雲行きが怪しくなってきました。別に150万円のスポーツカーにケチをつけるつもりはないですが、これが日本を代表するスポーツカーとか言われたら、せっかくスバルやマツダがいいクルマ作ろうと頑張っているのに水をさしてしまうのでは?と思ったりします。

  スポーツカーは本来は高額なものです。ポルシェターボやBMWアルピナが1000万円とかしたりします。日本ではまったくナンセンスな価格だと思います。こういったクルマは200km/hで安定して高速道路を走れるからこその価格であり、日本では一番端の車線が200km/h走行用に空いていたりすることはありません。フェラーリやランボルギーニも同様で、道路が混雑する日本やアメリカでは価格に見合った活躍ができません。アメリカでは毎月日本の10倍の新車販売台数を記録しますが、フェラーリやランボルギーニはせいぜい2倍くらいです(どちらもマニアしか買わないので比較する意味もありませんが・・・)。とにかく欧州のスポーツカーは使用環境も違うので、日本の感覚ですとバカ高いです。

  そこで日本と使用環境が似ている(あくまで制限速度だけ)アメリカのスポーツカーは欧州車にくらべるとかなりリーズナブルに感じます。いくらハイウェイでも十分な実力を発揮できないので価格が押さえられているようです。その代表的な車種がシボレー・コルベットです。GMの大衆ブランドのシボレーが出す歴史のあるスポーツカーで、ちょうど日産のフェアレディZのような位置づけで米国では販売されています(価格は違うが・・・)。北米ではスポーツカーと言えばこの33000ドルのZと50000ドルのコルベットが中心で、欧州車は(比較的に)人気がありません。日本の小型スポーツはそれなりに需要はあるそうですが、ハッチバックの一つの派生型くらいの扱いでスポーツカーとしてのスペシャリティは薄いようです。

  いま日本で一番オススメのスポーツカーはシボレー・コルベットです(自分ならこれ買います)。欧州車のように高額過ぎず、イタリアやイギリスのスーパーカーに負けないオーラもあり、GT-Rよりも低価格で買えます。投資に見合った価値を提供してくれる数少ないスポーツカーだと思います(他にGT-RとZかな)。日本メーカーはコンセプトさえ決まれば簡単に世界有数のスポーツカーを作れることはバブル期の頃にすでに証明されています。ただそのコンセプトが偏向したものだったりするので、マニア向けになってしまったり(ランエボ、インプ)、一過性のブームに左右されてしまったり(86)、なかなか広く親しまれるクルマにならなかったりします。コルベットのような筋の通ったコンセプトを持つスポーツカーは、そういった日本メーカーの迷走にとって、良いお手本になるのではと思います。

2013年3月10日日曜日

メルセデスCLAはアテンザのパクリ!?」

  メルセデスの今年の目玉の新型車CLAは北米と東アジアでの量販を目指した世界戦略モデルとなるそうですが、このクルマの一番の目的は間違いなく「他のブランドからの乗り換え客を獲得すること」に主眼を置いている。ユーザーの裾野を広げて、8大グループに迫る販売台数を誇るメルセデスというのも想像しづらいが、もはやプレミアムブランドとして頂点に君臨するためには、世界シェアでトップを争うようなグループの力が必要なのも確かのようです。実際アウディやレクサスの成長はメルセデスにとっては無視できない状況ですが、VWやトヨタという「巨人」の前に形成を逆転できる状況にはないようです。

  これまでもsmartや旧Aクラスといった「確信犯的」なモデル展開でブランド価値を落とす事無く(smartや旧Aクラス・Bクラスはメルセデスの特殊車両扱い)、ユーザーを増やす取り組みをしてきたようですが、去年からプレミアムブランド使用の廉価モデルの販売に方針を転換してきました。ものの見方にもよると思いますが、このメルセデスの新しい展開は「低コスト車へのシフト」ではなく、豪華でオーバースペックなクルマの代名詞のメルセデスが、フォードのような「堅実なクルマ作り」を始めたというのが自分の印象です。

  新型Aクラスを見た時、メルセデスの「ネームバリュー」よりもクルマそのものが持つ「バリュー感」が先に出ていて(もちろん価格も含めて)、高級感というよりも「お買い得かも?」と思わせてしまう魅力がこのクルマにはあると感じました。続くCLAも価格こそ発表されていませんがCクラスより安いならば、このクルマも非常にお買い得な雰囲気がありますね。なんかメルセデスのクルマというよりも、マツダのアテンザを見るような「お買い得の塊」のオーラが出てます。「お買い得」というのは決して「安かろう悪かろう」というのではなくて、運転していて楽しくて、同乗者をもてなすことも十分にできるクオリティを持っていて(当然所有することに満足できる)、それを払っても惜しくない金額に収まっているという意味です。

  アテンザとCLAはFWDであったりサスが同じであったり、ボディサイズもほぼ一緒(アテンザの方が大きい)で、良く似たポジションのクルマになっている気がします。クラウンとかレクサスISとか魅力的なセダンがどんどん増えてきてますが、この2台の立ち位置はその中でもかなり近いところになりました。BMWとの比較に嫌気がさしたメルセデスが、近年BMWを超える評価(アテンザXDとBMW320dでカーグラフィックはアテンザに軍配を挙げました)を得て来ているマツダのアプローチに急接近してBMWへ反撃を試みようとしているのか?去年辺りからメルセデスはかなり復調をしてきていて、逆にBMWは低調になってきています。メルセデスがFWDで新しい時代を切り開けるかがとても注目です。

2013年3月8日金曜日

プジョーとシトロエン 日本人が愛するブランド

  プジョとシトロエンは意外なことに北米では販売されていません。理由はいろいろあるのでしょうが、簡単に言うと「フランスメーカーのプライドが北米仕様のクルマを作ることを望まなかったから」というのが両メーカーのファンの皆様の見解です。日本メーカーのように国内市場を無視してまで北米仕様のフラッグシップモデルを作ろうとは思わないようです。

  ドイツ車のように北米や東アジアを強く意識したクルマを作ることは、欧州車としてのアイデンティティの喪失につながるとフランス人の多くは考えていて、そのことは日本車をめぐる環境にもそのまま当てはめることができます。日本の普通車市場ではトヨタだけが国内専用車を多数展開していますが、その甲斐あって日本で5割に及ぶ普通車のシェアを持っています(独占禁止法の上限すれすれか?)。プジョとシトロエンが北米へ進出しないことは「プライド」であると同時に「戦略」ともいえます。欧州におけるPSAのシェアは13%でVWグループに次いで2位です。これは世界シェアでは9位のメーカーグループとしてはかなりの好成績です。VWグループはドイツとチェコ(シュコダ)とスペイン(セアト)の多国籍編成に加え超小型車を売りにして販売台数を伸ばしているので、フランス単独のメーカーであることと、ミドルクラス主体の展開であることを考えれば欧州ナンバーワンのメーカーと言ってもいいと思います。

  また北米や東アジアを意識したクルマ作りをしていないので、日本で販売される輸入車ではフィアット(アルファロメオ)と並んで最も「欧州車」と呼ぶのにふさわしいメーカーといえます。日本のインフィニティ・アキュラ・レクサスとドイツのメルセデス・BMW・アウディが、世界市場(主に北米)で競合する中でお互いによく似ていて個性のないクルマ作りになっているのに対し、プジョやシトロエンのクルマには日独のメーカーにはない「オリジナリティ」を感じます(たとえエンジンがBMW製でも・・・)。どちらがよいかとなるとまた話は別ですが。

  アメリカ人やドイツ人のクルマ好きは、日本人がスカイラインよりもベンツCやBMW3に高い価値を持っていることに驚きを感じるようです。彼らにとってベンツCやBMW3ももちろんいいクルマですが、スカイラインはスーパーカーとも言える別格の存在だからです(日本ではベンツCやBMW3よりスカイラインが安いことも驚きのようだ)。だからスカイラインがあればドイツ車はいらないということでは決してないですが、日本車に無い魅力が輸入車の本質だとするならば、プジョ・シトロエン・フィアットの方がその要素は強いと思います。素晴らしいことに日本にはこれらのクルマの愛好者もたくさんいて、それぞれ日本向けに右ハンドル車(イギリス向けか?)を作って正規販売が続いています。日本のクルマ好きの懐の広さは世界のどの地域にも負けないものがあると思います。北米専用車しか受容しないクルマ先進国のアメリカよりも優れた部分ではないでしょうか?

  

  

2013年3月7日木曜日

クライスラー200は日本市場に来るのか

  去年の暮れにフィアット傘下のクライスラーはフラッグシップセダン「クライスラー300」を日本仕様で販売開始した。レクサスLSをも上回る大型セダンで立派な車体をしていますが、ベースグレードの「リミティッド」は400万円〜ととてもお買い得になっています。286馬力の3.6Lエンジン搭載ですが、北米市場ではスカイライン3.7Lよりも断然安く設定されていて、お買い得なクオリティカーといったところか。さらにこのクライスラー300はダイムラークライスラー時代の遺産として、旧ベンツEクラスのシャシーを使っているので、輸入車として非常に高いレベルにあります。

  クライスラーは経営破綻したのち、フィアット傘下で再建が進んでいます。ブランドや車種の統廃合を進めていて、現在は4ブランド「クライスラー」「ダッジ」「ジープ」「ラム」のみの展開ながら、アメリカで毎月10万台以上で、ホンダ・日産・ヒュンダイの上を行っています。車種も極めて絞られていて、「クライスラー」ブランドの北米での展開はDセグの「クライスラー200」(2万ドルカー)とEセグの「クライスラー300」(3万ドルカー)とミニバンの「タウン&カントリー」の3車種のみしかないです(200のコンバーティブルもある)。

  この少数精鋭のラインナップながら、日本進出も本格的に視野に入れているようで、右ハンドル車をわざわざ用意して来ている(豪州向けのついでか?)。それだけでもキャデラックATSよりは好感が持てるのですが・・・。ただこのクライスラー300は車幅が1900mmを越えていてサイズが大きすぎて日本ではかなり使いづらいですね。インポーターはLSの半額以下でベンツのプラットフォームならいけると考えたようですが、価格とは別の意味で所有できる人が限られてしまいますね。代わりにクライスラー200を右ハンドルにして持ってきてくれれば、日本市場ももっと大きく反応するのではないかという気がします。200にはコンバーティブルもあるので、今の輸入車オープンモデルの密かなブームのなかで意外なヒットが期待できそうです。車体も大きめでどこか旧型ベンツのオープンをリフレッシュした佇まいでラグジュアリーなクルマになっています。

  このクライスラー200もダイムラークライスラー時代のシャシーを使っていて、三菱と共同開発されている由緒正しい信頼性のあるプラットフォームのクルマになっています。北米向けギャランに使われているものと同じものを使っています。三菱は北米のクルマ好きの間では一番技術があるメーカーとして定評があり、ダイムラーも高く評価している日本メーカーです。サイズも日本向けなのに日本で発売しないところを見ると、もしかしたら契約上このシャシーを使ったクライスラー200は日本市場に投入できないのかな?という気がします。そうだとしたら三菱は日本でミドルセダンを発売しないのだから、日本市場にとってはなんとももったいないことだと思います。なんとかこのクライスラー200が日本で発売されるのを見てみたいと思います(外観は新型シルフィを大きくしたみたいですが・・・)。

2013年3月6日水曜日

アテンザとRX-8を作ったフォード

  一部のSUVを除いてフォードは日本市場にあまりコミットできていない「ビッグメーカー」です。ただ日本で現在ノリにノっているマツダのかつての親会社として、フォードから出向した社長の元、現在のマツダの原動力といえるコンセプトを数々生み出した功績はとてつもなく偉大だと思います。2002年のアテンザ誕生とともにマツダが「ZOOM-ZOOM」(アメリカの子供がミニカーで遊ぶときに発するクルマの擬音語)というコンセプトを掲げてきた理由は、当時の社長がアメリカ人だったからです。

  今そのマツダに触発されたのか、トヨタも「良いクルマ」作りへとシフトしてきて、日本のクルマ業界はにわかに明るくなってきました。それはもちろん日本のクルマ開発に関わる人々の情熱によるものですが、日本メーカーよりも長い歴史を刻むフォードが「自動車後進国」日本の発展のために誠意を持って示してくれた「クオリティカーの文化」によるところも大きいと思います。2000年頃の世界規模の自動車業界再編に対しては批判の声もありますが、マツダがフォードの傘下にいたことは、日本のクルマ好きにとってはとても幸せなことだったのではないでしょうか。

  いま30歳くらいの人にとっては、社会に出るころにデビュした「アテンザ」と「RX-8」に憧れた人も少なくないと思います。当時はまだ世の中のことがよくわからず、この2台がフォードがマツダに作らせたクルマなんて知る由もなかったですが、どちらも抜群にカッコ良くて、クルマ雑誌をコンビニで立ち読みしては「250〜300万くらいか・・・」なんて目標というか意識していた記憶があります。当時ほかにもアルティツァなどが人気がありましたが、その頃からアテンザの方が圧倒的に好きでしたね。

  今の30〜35歳は一般にクルマに興味がない世代とか言われていますが(なんとなくわかりますが)、もしマツダのこの2台が発売されてなかったら、クルマに憧れるイメージが作れずにもっと興味なかったのでは?と思ってしまいます(BMWに500万円掛けたいとはなかなか思いませんね・・・)。20代は「丁稚奉公」として休日返上で働く人も多くいて、クルマなんてそもそもいらないですし、それでいいと思います(20代都会暮らしでクルマ所有は人生狂うかも・・・)。30代になって働き方が変わって生活の中にクルマが入ってきて、クルマへの興味も高まるのですがそんなとき、このマツダの2台があったおかげで純粋にクルマが好きになれたと思います。まさにフォードさん「ありがとう」の気持ちですね。

  

2013年3月5日火曜日

日本市場のVWグループはアウディだけでいいのでは?

  フォルクスワーゲンと日産は北米市場での販売増を目指して、グローバルモデルの低価格化に取り組んでいる。この両社が韓国メーカー以上の「ダンピング」でアメリカのクルマ文化を破壊しているという批判もあるくらいだ。しかもこの両社はともに「利益率」でトヨタを大きく上回っている。いったいどこで儲けているというのか?

  Cセグセダンのジェッタ(ゴルフのセダン版)の新型は日本市場には投入されないようだが、これは北米でGMクルーズや日産セントラ(シルフィ)と対抗したモデルとして大幅に値下げを行っているため日本では売りにくいのかもしれない。北米ではセダンタイプよりハッチバックの方が2000〜3000ドル高くなるのが一般的なようで、ジェッタが1万6000ドルに対して、ゴルフは1万8000ドルからの価格になるので、日本市場でも実際ゴルフの在庫車は200万円台前半で売られてるそうだ(これならほぼ適正価格と言えるかもしれない)。

  ただ日産同様にVWもグローバル市場での低価格化を進めてコストダウンを図るなら、日本の消費者に大きく支持されることはないだろうし(そもそもVWに低価格を求めて買う人は少ない)、日本のクルマ作りが余計に混乱するだけなのでそんなブランドは早く撤退してほしいと思う。日産についても同様で、高級なクルマを思いっきり高くし、コストダウンをし尽したクルマを思いっきり安く売るだけのメーカーになっている感がある。

  VWもアウディやポルシェを日本で展開しているが、それら高級ブランドとVWブランドとの中間のラインアップが空白になっていて、そこまで高くないクオリティカーを売るということはしないようだ。アウディでもA4はあまり売る気がないようで、それよりも上級のA6などの販売に熱心な様子が伝わってくる。日産についても言えることだが、誰が買うのかよくわからない価格帯の商売と、コストダウンだらけのお買い得なクルマの商売の二極化が過剰すぎて、ブランドとしての魅力があまり伝わってこなくなった気がする。この両社に日本市場で300万円くらいで若者が買えて、満足ができるクルマはどれなのか訊いてみたいものだ。

  

2013年3月4日月曜日

キャデラックATSよりホールデンVXR8を日本へ

  日本市場ではドイツ型プレミアムセダンは過渡期を迎えていると思います。もちろん売上が激減することはないのですが、日本人がクルマに求める魅力はすこしずつ変化していて、セダンという枠組みだけではまったくと言っていいほど売れる要素はなくなってきています。今はそのクルマの魅力がそのまま評価につながっています。デザインで好調なマツダとトヨタ、「アイサイト」などの機能で先行するスバルの上級モデルは好調なのに対して、日産とホンダは新機軸を提示できずに上級モデルでは低迷しています(もともと国外向けではありますが)。

  「キャデラック」のブランドだけで(機能はBMW3のほぼパクリ)、500万円するクルマがどれだけ売れるか(BMW3を超えるか)は微妙なところだと思います。左ハンドルのみの設定は完全に逆機能なので、それだけで敬遠する人も多いのではないでしょうか。ただドライブスルーと有料駐車場で煩わしいくらいなので、ETCさえ付けておいて、使い方を工夫すればそこまで気にする必要もないかもしれません(ひとりでドライブスルーなんて普通は行きませんし横浜での買い物に一人でいくこともないですね)。

  日本のクオリティカー市場(300万円~600万円)は月販1500台を超えれば、かなり競争力がある方だとは思いますが、トヨタの販売力をもってもそのレベルまで持ち込めるのは数台の規模です。キャデラックの月販はブランド全体で50台程度なので、このクルマで500台規模まで押し上げられればまずは成功ではないでしょうか。どこか日産のVC35スカイラインクーペ(先代スカクー)のように見えるデザインなのですが、フォーマルに使うとすれば小さい気がするし、プライベートに使うとすれば堅苦しい印象です。日本のどの風景に馴染むのか?あまりイメージが湧きません。

  やや偏見かもしれませんが、東京近郊ではなく、関西圏の方が似合っている印象があります。借家住まいの多い東京と違って、関西圏では資産家がレクサスなどの高級車を乗り回すイメージがあります。おそらく奈良や京都は人口比率でいくと一番レクサスが売れているのではないかという印象があります。また関西圏ではベンツよりもジャガーやシトロエンの上級モデルのセダンをよく見かけたので、東京でジャガーを見ると関西出身の人だなと勝手に思っています。横浜よりも京都や神戸の方が、このキャデラックATSもしっくりくるのでは(あのグリルも関西の風景なら溶け込みそう)?という気がします(近所でよく高齢者マークを付けた1台のCTSが走ってますが、東京では完全に浮いてますね・・・)。

2013年3月3日日曜日

BMWは一番真面目に見えるメーカー

  ちょっと失礼かもしれないが、BMWのイメージは今や「真面目すぎなメーカー」になった感がある。もちろん真面目に他社よりもいいクルマを作っているのだが、どうも真面目すぎて、多くのクルマ「初心者」にはついていけないレベルになっている。別にBMWが悪いわけではないが、プレミアムブランドというものは何かしらの新しいトレンドを発信する義務があるように思う。最近のメルセデスやアウディに対してBMWのクルマには「新しさ」を感じなくなっていませんか?

  BMW3はディーゼル設定がお買い得で、装備も充実していて、たしかに完成度が高いクルマだ。輸入車を買うとなれば、一番賢い選択だと誰もが思うだろうクルマであるが・・・、全方向的な要求に答えるプレミアムセダンのはずなんだが・・・。「初心者」(=20代・30代)が何を犠牲にしてでも買いにいくような「掴み」が薄い気がする(ないとは言わないが)。そういった「掴み」では日産スカイラインクーペなんかの方が遥かに上な気がする(スカクーには若者にローンを組ませるある種の魅力がある)。

  BMW3シリーズは現在の日本のセダン人気を牽引する車種(アテンザ・クラウン)が一番のライバルとしてきたクルマだ。日本メーカーの開発担当者もBMW3のようなクルマこそが売れると考えているのか?それともこのクルマには根本的な何かが欠けていると考えているのか?はわからないが、BMW3が今のセダンのベースになっているのは確かだ。ただ一つの事実としてこのクルマは前評判ほどには日本で売れていない。同価格帯のクラウンにあそこまでやられたらもはや「セダン不振」とは言えない。

  BMW3とイメージが被るのがトヨタのマークXだ。このクルマも「賢者のセダン」などと言われているが、その合理的なパッケージの割にヒットとは程遠い状況になっている。BMW3もマークXも皮肉なことに、完璧過ぎて魅力が乏しいのかもしれない(おそらくそうだ)。どちらのクルマも、ローンを組んでまで欲しいとは思えないのだ・・・。

2013年3月2日土曜日

新生メルセデスの実力は?

  クルマ文化の中心地の北米で今も最高峰の高級車としてメルセデスSクラスが持つステータスは別格だ。ほとんどのクルマが日本より安く販売されているが、このクルマだけはほとんど価格差がない(CLとSLも)。アメリカで10万ドルで売れるステータスを持つクルマは他には見当たらない(ないことはないが)。ところが日本では「孤高」というほどではなく、アウディやBMWの方が勢いがありそうで、メルセデスはちょっと影が薄くなっている印象すらある。そんな日本でのジリ貧状態を変えるべく、従来の高級モデルだけではなく、若い世代も取込めるクルマを投入してくるようだ。

  ドイツプレミアム3社が横並びに設定している主力の「3クラスのセダン体勢」は、日本市場のニーズに合わなくなってきている。日本の個人所有車でステータスになっているのが、BMW5やベンツEといったクルマで、このクラスなら世界のどこでも高級車として知られた存在だ。それに対してお手軽な(日本では十分に高いが)その下のクラスのBMW3やベンツCは上のクラスのセダンをそのまま小さくしたような、(プレミアムカーにしては)魅力の乏しいクルマだ。「六本木カローラ」とか「赤坂サニー」と揶揄された時代とはだいぶ変わってきているが、それでも500万円払って買おうとは思えなかったりする(北米ではスカイライン(3.7L)より50万円ほど安いクルマなのに、なぜ日本では逆転してるのか?)。

  そこでメルセデスは新しいクルマを考えたようですが、これがなんともプライドをかなぐり捨てたような他社の追従作戦のようです。去年の9月に欧州で発売するや瞬く間に10万台近く売れたという新型Aクラスを、輸入ハッチバックが大盛況の日本に持ち込んできました。ゴルフ7がやってくる前に展開できたことと、メルセデスのネームバリューでモデル初年度から日本でも大成功を収めそうな感じがします。ただ日本のハッチバック市場は去年あたりからだいぶ冷え込んでいるという見方もあり、実際に予定通りに売れるかどうかはわからない部分もあります。

  Aクラスよりも注目を集めているのが、年内に日本にも投入されると言われているCLAです。ベンツがDセグのFFセダンを作ってきたわけですが、これはフォードモンデオ(フュージョン)やホンダアコードといったFFセダンの世界的ヒットに触発されたものだと思います。しかもメルセデスの絶妙な戦略によるものでしょうが、日本で好評のマツダアテンザをデザインをそのままに日本で使いやすいサイズに縮めたクルマに仕上がっているようなので、こちらも初代モデルながらかなりの販売実績をつくりそうです。今年から来年にかけて、ここにきて一気にレベルが上がった日本のセダン同士の対決に割って入っていけるくらいのクルマにはなっていると思います。レクサスISやスカイラインよりも低価格の設定が予想されるので、日本勢もさらなるアピールが必要になってきそうですね。まさに「台風の目」になりそうな新生メルセデスに注目したいと思います。

2013年3月1日金曜日

PSAグループは早くも苦境から進化を見せている!

  フランスを代表する2つのメーカー「プジョ」と「シトロエン」のM&Aによって生まれたPSAグループは北米や日本ではシェアが小さいので、主戦場の欧州での不況により一昨年から苦境に立たされています。日本市場を狙った?渾身のスポーツカー「RCZ」は、トヨタ86などの強力ライバルの出現で思うように販売が伸びない(ユーザーにとってはうれしいかも・・・)状況です。それでも日本でのプジョー車は「ドイツ車ほど高価ではない」「オープンモデルが豊富で作りがよい」「リアデザインの日本車やドイツ車にはない良さ」などに定評があり、神奈川県や静岡県辺りの別荘地では良く見かけます。

  プジョはこれまで、Bセグハッチバックからフルサイズセダンまでラインナップして、車種ごとに別々のスペックを持っていましたが、今では経営再建のためほぼ全てのエンジンをBMW製1.6Lエンジンにしていて、Bセグの208からミニバンの5008まで同じエンジンになっています(シトロエンも同じ)。これは他社に先駆けての素晴らしい思い切った戦略だと思います(エンジンでリコールが発生したら全車に及ぶが、それはBMWが負担?)。BセグやCセグだとライバルよりもハイパワーのいいエンジンだし、セダンやミニバンでもダウンサイジングエンジンとして十分過ぎるパワーがあります。

  もう一方のシトロエンも不振が嘘のように新型モデルのDSシリーズをどんどん発売しています(不振だから勝負してるのかも・・・)。こちらも新しいデザインが受け入れられていて、日本市場で復活しつつあるアルファロメオやランドローバーと同じくらいは売れています(月400台)。このDSシリーズはトーションビームを使っていて、日本で大人気のトヨタのファミリーカーの趣があります。「DS3」はヴィッツにBMW1.6Lターボエンジン搭載。「DS4」はオーリスにDS3と同じエンジン。「DS5」はエスティマにこれまたDS3と同じエンジンを積んだようなクルマになっています(あくまでデザインは別物ですが)。このシトロエン「DSライン」はあくまでデザインで買うものであって、中身(ドライビングフィール)にはあまり過剰な期待をしない人にとってはとても納得できるものじゃないかと思います(オーリスやエスティマがかっこ良かったら嬉しいですよね)。個人的にはシトロエン車にはセダンのC5に装備されている世界で唯一の乗り心地を実現した「ハイドロサス」のような装備が欲しいと思ってしまいます(C5ももちろん絶賛発売中です)。

  シトロエンDSシリーズは大雑把に言うと、「トヨタの合理的といえるハッチバック・ミニバンを、シトロエン版のデザインにして、信頼性の高いBMWの1.6Lターボエンジンを積んだ」クルマです。輸入車としては価格も十分に押さえられていて悪くないと思います。例えばDS4は本体で約300万円ですが、オーリスにこのBMWエンジンならトヨタでも200万以上の価格になるので、デザインが大幅に向上しているので、オーリスの外装を取り替えて100万円と考えれば納得できます。もっとブランドの知名度を上げていければ、トヨタのデザインに物足りない人をうまく取込めるのではないかと思います。

  プジョもシトロエンも輸入車にしてはお買い得で、小型車になると日本車とあまり価格が変わらなかったりします。それでも内外装はさすがの出来映えで満足感も非常に高いクルマになっています。ブランドの強みである「デザイン力」を武器に、トヨタをベンチマークした車体にBMWのエンジンという最先端の「企画力」を発揮できていると思うので、ブランドが定着すれば確実に業績は上がってくるのでは?と思います。

2013年2月28日木曜日

アルファロメオに日本製スポーツカーを投入予定。

  フィアットの新しい戦略はとてもユニークだ。アルファロメオの新しいオープンスポーツを日本のマツダに供給させるというものだ(マツダロードスターと基本設計が同じ)。この提携は前代未聞で、海外ブランドのスポーツカーを日本で作らせて(決してタイやメキシコの工場ではない)、国産への愛着が高い日本のユーザーだけでなく、「メイドインジャパン」がよく売れるオセアニアなどの市場への展開も狙っているようです。

  日本における現地生産はまったくないわけではないが(アストンマーティンシグネット)、欧州の有名ブランドの中核モデルを日本で作るというのは珍しいことです。できれば小型スポーツだけでなく、アルファロメオ159の後継モデルまでマツダが作り始めたら、買ってみたいなと思いますね。こんどトヨタがBMW製のミドルサイズクーペを販売するそうだが、ドイツ製の日本ブランド車よりも、日本製のイタリアブランド車のほうに強い興味を持ってしまう人は結構多いのではないでしょうか。フィアットの「日本生産戦略」はぜひうまくいってほしいですね。

  フィアットはさらに今後マセラティで新型セダンを複数投入して、ドイツプレミアムや日本プレミアム(レクサス・インフィニティ・アキュラ)の6メーカーを、マセラティが持つさらなる高いステータスで押し潰す計画があるようです。グランツーリスモやクワトロポルテに近い質感とフォルムを持ち、もっと買いやすい価格設定の新型セダンを投入するようです。マセラティは北米価格でも12万ドル〜でメルセデスのSやCL以上のステータスがあるのですが、6万ドル(北米だとBMW5やベンツEよりちょっと上)くらいまで下げてくるという噂です。

  ありきたりなセダンのデザインを展開するドイツ勢と比べると、マセラティのフォルムはセダン(クワトロポルテ)もクーペ(グランツーリスモ)のどちらも官能的で、ドイツ車や日本車にはなかなか影すら踏ませない抜群のデザインです(なぜ他車がコピーできないかが不思議)。このブランドが「超高級ブランド」から「プレミアム」へ下がってきたときに、3BOXカーの概念もまた大きく変わるように思います。アテンザやクラウンでセダン人気が復活との噂がある日本でも、マセラティが少し「一般化」されるようになったら、いままでドイツセダンをベンチマークしていたクルマ(ドイツ車を超えつつあるデザイン?が再び進化を遂げそうです(新型ISはマセラティのレベルかも・・・)。

  

2013年2月27日水曜日

マスタングとアテンザは北米価格はほぼ同じ

  フォードマスタングとマツダアテンザが同じ価格だったらどっちを買うか本当に迷いそうなんですが、素晴らしいことに北米ではどちらも2万ドルから買えます。北米で2万ドルで売られるクルマなら、日本でももうちょっと安くていいのかなという気もします(マスタングV6は430万円〜)。フォード車は輸入車としての「華」はないかもしれないけど、全てのラインナップに「フォードのポリシー」が感じられます。変にユーザーに媚びたモデルがないのも魅力で、フォードが好きな人はメーカーが一台一台に魂を込めて作っているから好きという人も多い(マツダやスバルのファンみたいですね)。


  マツダの現在のラインナップも以前フォード傘下にいたときに作られたクルマで構成されている。マツダの開発者はRX-7の後継モデルを2ドアで作らせてくれなかったフォードの経営陣を恨んでるという話も聞くが、GMではなくフォード傘下であったことはマツダにとっては幸せなことだと思う。GM傘下だったスズキは小型車の専門メーカーになってしまったが、フォードは小型車に興味がなかったようで、日本メーカーだからといってマツダを小型車メーカーにしようとはしなかった。

  もしマツダがフォード傘下じゃなかったら、いまでもセダンにロータリーエンジンを積んで、クルマ好きしか感動しないようなモデルを作り続けてとっくに倒産していたかもしれない。一般の人にとっては「ロータリー」なんて、「熱くて・うるさくて・燃費が悪くて・壊れやすい」といった最低のエンジンなのだから・・・。「スポーツカー以外にはロータリーは積むな」という当たり前が当たり前じゃなかったのが、フォード以前のマツダだ・・・。たしかにマツダの技術力はスゴいが、だからといって「フォード後遺症」といって「旧宗主メーカー」を厄介払いしたような気分になっているのは、間違っていると思う(そのように報じるメディアもおかしい)。

  アクセラやアテンザが発売当初から欧州で大ヒットしたのは、マツダの技術力とフォードの魂が注ぎ込まれたクルマに欧州のユーザーが好意的だったからだ。フォードはアメリカの会社だけど、戦前から(クルマの歴史の最初から)イギリスを中心とした欧州にしっかり根を張ったメーカーだった。いまでも欧州シェアはどの日本メーカーよりも上だ。

  少ないラインナップだけど、全車種に魂を込めるフォードのクルマ作りとその成功は、2000年代のコストダウンに堕ちた日本メーカーへの厳しい教訓になっていると思う。品質を無視したマーチやミラージュの逆輸入の販売が失敗しつつあり、今後の日本メーカーは品質の向上へと方針転換していくだろう。フォード傘下でそのクルマ作りを学んだマツダが今、脚光を浴びつつあるのは偶然ではないと思う。

  

2013年2月26日火曜日

ゴルフ7はデザイン変更なしの強気!

  ゴルフ7は先代からほとんど外観を変化することなく去年の暮れに欧州で発売された。4年でのFMCはゴルフとしては異例の早さであるが、世界的な経済危機の影響を受けた2008年頃に登場したクルマはどのメーカーも短いスパンで製造が打ち切られているので、ゴルフもその影響を受けたのだろう。この短命の2008年モデルからのFMCは、経営の見直しから押し進められると考えられるので、その内容(コストダウンはないか?)をよく見極めたほうがいいかもしれない。

  このクルマは日本において毀誉褒貶が激しいクルマで、さまざまな情報がまかり通っていて正しい評価がされていなかったりする。「日本価格が高すぎる」という声もあるが、米国販売価格は約$18,000(約150万円)〜だが、北米生産をほとんどしない日本勢のマツダのアクセラが約$16,000(約135万円)〜で、新型アテンザが約$20,000(約170万円)〜なので、ゴルフの日本価格250万円〜はそこまで極端に高いわけではない。

  「カローラのライバルなのに価格差が酷い」とも言われます。それはあくまで北米市場での話であって、北米のカローラは1.8L仕様で約$16,000〜で、上級モデルのマトリックス(ブレイド)は2.4L仕様でゴルフよりも高い約$20,000〜です。はっきり言うとトヨタが日米のカローラに格差を付けて売っていることが問題なのであって(日本の新型カローラはヴィッツと同じ)、ゴルフの価格自体は「グローバリゼーション」そのままに、ごくごく標準の販売価格です。

  日本のモータージャーナリストが度々言及していることは、トヨタが軽自動車に対抗するために代表車種カローラを低スペックなクルマにしてしまっていることを、一般化して「日本車はダメ」と言っているのだと思います。しかし受け取る側は日本のクオリティカーにもそれを当てはめて解釈してしまう部分があります。「軽自動車規格」が価格設定の主導権を握ってしまっていることを指摘しているジャーナリストも多いです。そういった要因がここ10年余りの日本車の不遇な時代に横たわっていたのですが、ここにきて日本のクオリティカーにも正当な評価がされるようになってきたことは良い兆候です。

  このゴルフというクルマも10年前なら日本で発売されるカローラと同じ水準のものでした。しかし日本市場とは別にグローバル市場(欧州・北米)はクオリティカーが順当に売れる健全な市場へと進んだ(やはりクルマ文化の違いか・・・)ため、このゴルフはその市場のニーズを満たすクルマとして、グローバルでの評価は高まりました。当然ながら評価軸がグルーバル市場とはズレていた今までの日本市場では「このクルマはいったい何なんだ?」ということになっていました。

  もちろん渋滞のヒドい日本ではドイツで走るようなクオリティカーは要らないという人もいます。世界一の高齢社会なので、低価格な国内専用車で十分という声も「健全」なものです。じゃあ「クオリティカーの土俵」に乗っけたときに、ゴルフと日本車はどっちが優れているのか?といわれれば・・・、北米で圧勝しているのはだんぜん日本勢です。日本でもっとクオリティカーが売れるようになれば、北米トヨタも北米ホンダも本気でゴルフへの対抗車種を日本に送り込んでくると思います(フォードフォーカスもやって来たので、そういう状況になっている気もしますね)。
  

2013年2月25日月曜日

シボレークルーズは日本へ来るのか?

  危機的な経営状況(事実上の破綻)から米政府の支援を受けて再建された「新生GMグループ」が債務返済を終え、米政府の管理下から離れ再び「世界征服」へと邁進するようだ。トヨタを初めとした日本メーカーにとって、米BIG3の「躓き」は「天佑」だった、もしこれがなかったら、経営体質の古さを指摘されていた日本メーカーはBIG3に大きな差を付けられ、VWやヒュンダイに追い抜かされ、トヨタが代わりに深刻な経営危機に陥っていた(ホンダは潰れたかも)かもしれない。

  BIG3の代表格のGMがついに復活した。日本のメディアはこのメーカーの実力を過小評価していて、日本ではあまりいいイメージがないが(スズキと揉めてます)、日本以外の全ての主要市場でトヨタを販売台数で上回っている唯一のメーカーだ。技術力もとても高く、シボレーコルベットはドイツのニュルブリックリンクで日産GT-Rとトップの座を争うレベルにある。レクサスの4000万円もするスーパーカーのLFAよりも速いタイムを出している(しかもこのクルマGT-R並みに安い)。

  GMの主力車種がCセグセダン/ハッチバックの「クルーズ」だ。このクルマは北米だけでなく、韓国・中国・タイ・豪州・インド・ロシアで生産される「成長市場向け」のグローバル戦略車で、「日本以外の」ほとんどの市場に投入されていて、欧州でも販売されている。このクルマはスズキが作っていた初代とは全く別のクルマで、2009年頃から順次販売された新しいクルマで北米日産が発売しているセントラ(シルフィ)に対抗するモデルだ。シルフィが日本で発売された時、なんか良さそうな雰囲気を感じた人も多かったと思います。アメリカではこのクオリティがスタンダード車で、日産にはこれより小型のクルマが1車種(ヴァーサ[ラティオ])があるだけだ。シルフィは日本のディーラーでは高級車扱いだ・・・。いかに日本のクルマ文化が未成熟なのかを痛感させられる。

  シボレークルーズも同様のスタンダード車だが、日本の基準から見ると豪華に見えてしまうだろう。北米の日本車はこのクルーズより売れていたりするが、それは日本メーカーが「ダブルスタンダード」(日本仕様と海外仕様を差別化)で誤摩化して来た部分も多い。日本市場がコストダウン競争を繰り広げたため、北米向けのクルマとの差が大きく広がってきた。その結果として、近年カムリHVやティアナを日本へ導入したとき、その充実度に日本のユーザーは度肝を抜かれた・・・。VWゴルフが良く見えてしまうのも当然といえば当然だ。「クルーズ」が200万円(北米価格150万〜)で日本で発売されたらどうなるのか?北米では2Lのクリーンディーゼルが$24885〜(約210万円〜)だ。これが日本に上陸したらマツダの新型アクセラのディーゼル(250万?)より安いかもしれない。

  日本での報道はトヨタやホンダへの配慮があってかやや偏向しているような気がする。日本と北米には歴然としたクルマ文化の「格差」があり(日本のクルマは一時期とてもヒドかった)、GMが本気を出せば、トヨタの本拠の日本を一気に飲み込むくらいのポテンシャルを持っている。VWグループとBMWグループが月7000台、メルセデスが月6000台で、スバルやマツダ(どちらも月1万台)を抜かそうとしている。まだまだ日本にはクオリティカーが不足している。GMの復活によって日本市場の「再生」(いいクルマが増える)につながればいいのだけど・・・。