2017年3月17日金曜日

MINIとはSUV嫌いの救世主?

  日産ノートが車種別月間販売台数で日産車としては30年ぶりに1位を獲得しました(2016年11月)。そして2016年の輸入車ランキングでは、王者ゴルフが陥落してMINIがトップに立ちました。「MINI」というのは車名なのか?ブランド名なのか? 例えば・・・「クルマなに乗ってるの!?」「MINIだよ!」「MINIの何?」「MINIはMINIだよ」「だからMINIの何?」「え?普通のだよ」「クーパーとかクラブマンとかあるでしょ?」「それっておかしくない?クーパーはグレード名で、クラブマンはボデータイプでしょ?だから『普通』でいいんだよ・・・」みたいな煩わしい会話があちこちで行われているのではないか?と推測します。

  日本メーカーが共通シャシーを使ってラインナップの多くのモデルを作りわけていることを考えると、同じシャシーなんだから全部MINIとしている方が潔いのかもしれません。スバルもいっその事シャシーが異なるBRZとダイハツOEMの軽自動車以外は全部「インプレッサ」にしたらどうでしょうか?そうすれば北米車種別ランキングでは「インプレッサ」は第2位になれます!!(月に5万台超を売るフォードFシリーズには合計で4万台そこそこのスバルでは勝てない・・・)

  現行の3代目MINI(BMW傘下以降)では、ベース車の定番3ドアハッチバックのホイールベースをちょっと広げた5ドアが登場しました。車幅は5ナンバーをはみ出すサイズで、全長も近年大型化しているBセグの中でも長い部類に入る4m超えを果たしています。ノートとデミオは国内Bセグではちょっと大きめと言われますが、5ドアはちょうどそれくらいの長さです。この車で両親を後ろに乗せて長時間走れるか?・・・そういう用途には5ドアではちょっと不満なので、より大きなサイズ(ホイールベース2670mm)のクロスオーバーやクラブマンが日本ではジワジワと来ているようです。

  MINIというとトルコ移民がイギリスで作ったアイディアカーがそもそもの成り立ちで、他の英国ブランド(ジャガーやアストンマーティン)に見られるような、「伝統と洗練」へのこだわりこそ十分に感じられますが、そのテイストの根本は「かなり」違う立ち位置にあります。初代ゴルフが登場した70年代のデザインが、東洋のどっかの国で起こったバブルの影響をモロに受けて、欧州の他のブランドはデザインがアップデート(かっこいい!とは言ってません)していく中で、まるでインドのヒンドゥスタン・アンバサダーのような旧車の魅力を残すデザインが保存されました。

↓なんかインドが羨ましいんです。

  こりゃ80年代というより60年代ですね。日本でもこの時代にクルマを所有できた人は相当な金持ちだったようですし、こんなクルマからパーカー&スウェットのオッサンが降りてくる姿は想像できないですし、クラウンなんかよりもよっぽど服装もオシャレな人々が楽しむクルマです。現代のVWやプジョーのような、ちょっと言葉が悪いですけども、資本主義経済に叩きのめされた果てに溢れる「下流」や「疲弊」を示すメタファーなデザイン(になってしまっている)とは違うんだ!!・・・ある種の「社会変革」だったり「巻き直し」を感じられるデザインを追求して欲しかったのですけど、クロスオーバーやクラブマンは・・・中途半端なデカさゆえにスウェットが似合ってしまうユルさがあります。

  メルセデスが「下流」というとちょっと違和感があるかもしれませんが、日本で売れている価格帯のメルセデスだったり、アウディ、BMW、ボルボ、マツダ、スバルといったブランドのユーザーの満足度は実はそれほど高くないと思います。これらのブランドは「中間層」に狙いを絞っていて、例えばマツダはアクセラの発売時に、世界でくすぶる若者に希望を与えたい!!という壮大なテーマ(「巻き直し」)を掲げていましたし、メルセデスやアウディなども長時間労働のアーバンライフに彩りを与えるクルマ!!というテーマを掲げているようですが、現実は「プレミアムブランド」という選択肢の枠組みの中で300万円前後のモデルを「強制的」に選ばされているに過ぎません。それなりの所得はもらっているはずなのにジャガーやポルシェは無理・・・という現実が突き刺さります。

  だからこそMINIには、本来の姿のままでいてほしい!!俺はメルセデスやマツダを選ばされているのではない!!唯一無二のMINIを選んでいるんだ!!・・・VWやプジョーではこんな「反骨精神」は表現できないです(シトロエンなら)。そしてMINIを選ぶなら「あえて」の5ドアがいいと思います。確かにトヨタやホンダのようなスペース効率が良い日本車から見れば、4mもあるんだったらキャビンスペースをもっと上手く作れよ!!という不満もあります。後ろのシートはやはり狭いですが、3ドアよりは確実にマシですし、後ろに大きな荷物を置く際には5ドアのありがたみがよくわかります。

  ヒンドゥスタン・アンバサダーほどのインパクトはないですけども、個性的なエクステリアは・・・細部を部分的に見ても、ボデー全体をトータルで見ても抜群に洗練されています。昨今の新型車はどうも「手術痕」が生々しいものが多いですよね。例として挙げるのは失礼ですがクラ○ン、アウ○ィA3、メルセ○スCLAなどなど。これでよく市販にこぎつけたなー・・・まずは発売スケジュールありきだったのかな?なんて気がしないでもないです。どこの芸術家がスケジュール通りに傑作を作るっていうんだ!?

  ボデーが「小さい」ということを魅力的に見せるクルマという意味でもMINI5ドアは優れています。他にもアクア、アルト、イグニス、フィアット500などが上手いです。コンパクトであることに合理性を見出せるデザイン(小さいからいい!!)のボデーに、BMWが使うエンジンが載る・・・15年前のBMWエンジンだった素直に「これはすごい!!」でしたけど、それでも2Lターボ180psが搭載される「クーパ・S」(367万円)は、「スペシャルティーカー」のような走りができます。願わくばゴルフGTIに揺さぶりをかけるためにも、5ドアにもMT仕様を用意してくれるといいのですが・・・。





  

0 件のコメント:

コメントを投稿