2013年9月9日月曜日

輸入車の良さがわからないヤツは・・・心が腐っている!

  最近ではトヨタ・スバル・マツダといった国産メーカーがツボを心得た高性能車を次々と作るようになり、国産車と輸入車の立場にもはっきりとした変化が見られるようになってきました。とは言っても自動車ファンの間での印象でしかなく、一般の方々の意見をネット等で目にすると、日本車側も輸入車側も完全に明後日の方向へ意見が飛び交っていてまさに「カオス」だったりします。

  特にライトユーザーが集中する傾向にある、日本車の代表プリウスと輸入車の代表ゴルフを巡る議論を覗くと、そこには???なメチャクチャな罵声が飛び交っています。大抵はゴルフ側が「日本車と違って走る・止まる・曲がるの基本性能が違う」とか、???なことを言っています。もはや突っ込みどころが満載なのに、日本車側は大抵は核心を突くことができなかったりします。


  まずそもそも日本を走るゴルフがドイツ車と言えるのか?という大前提からしてかなり怪しかったりします。生産国がタイやメキシコだからという訳ではなく、日本向けゴルフはブレーキなどの主要部品がアジア地域で調達されていて本国とは仕様が異なります。制動テストではドイツではメジャーな存在であるマツダ車や三菱車とくらべてはっきりと劣っています。ドイツのブランド評価では(1)メルセデス(2)トヨタ(3)マツダ(4)三菱でありこれらの上位ブランドは「高性能」ブランドとして最量販のVWより上位と考えられています(あくまでドイツ人の評価です)。

  一般にゴルフは直進安定性に優れると言われていますが、そう感じる主な要因は国産の同クラスよりも100kg以上重い車重にあります。車体剛性が高いと言われていますが、これもマツダ車・三菱車と比べて優位にあるわけではありません。VWが溶接技術を積極的にアピールしていることから、この点で優位にあると考えられていますが、実際には鋼鈑の軽量化技術などを含めた総合的な完成度は、トヨタがプリウスに惜しみなく投入した技術レベルから考えるとまだまだ低い水準です。1.4Lターボのゴルフと1.8LHVのプリウスが車重に於いて同じ土俵で戦っているという事実は、ドイツメーカーにとってプリウスの技術レベルがほぼ超える事が不可能なレベルであることを示しています。

  そもそも「国産車VS輸入車」の論点をそのまま「プリウスVSゴルフ」に当てはめることこそが不毛です。トヨタ陣営もVW陣営もどちらもこの看板車は「走り」のクルマではなく、「経済性」のクルマであると完全に割り切っているからです。結論を言えばプリウスは経済性のみを追求したクルマであり、ゴルフは「大衆を煙に巻く」クルマです。どっかのゴルフオーナーがゴルフ(1.4LTSI)は高速走ってなんぼのクルマとか言っていましたが、専門誌の詳細なテストによるとゴルフの燃費MAXは40~60km/hの時だそうで、100km/hだと急激に燃費が悪化するので、その特性はまさにプリウスそのものです。

  トヨタとVWのクルマを比較したところで、期待するほどの差なんてありません。同じ部品供給メーカーが作り分けた似たような部品でどちらも組み立てられています。VWが搭載する2ペダルMT(7速DCT)は性能を優先したわけでなく、コスト削減の一環として行われています。日本製のATに勝てないドイツ部品メーカーが作ったシロモノです。ATよりシフトアップが早いのでスポーツカーでも採用されていますが、重量がある高級車では変速ショックが乗り心地の致命傷になるので採用されることはないです。実際にアウディではほとんど採用されていません。それでも小排気量ロングストローク&ターボという、まさにエコカーエンジンのレスポンスの悪さを補うという目的には適っていますが・・・。
 
  ゴルフのこの複雑怪奇な設計により、日本のクルマユーザー内では意見が紛糾してしまっていて、それもまた面白いのかもしれません。しかし今度はアンチゴルフ派が「輸入車」を全てひっくるめて批判するのも、それはそれでまったく的を得ていません。VW・BMW・メルセデスといった「煙に巻く」ブランドばかりが輸入車ではありません。日産GT-RやホンダNSXといった国産スーパースポーツカーが生まれた前提として、ポルシェ・ジャガー・マセラティ・アストンマーティンといった超一流ブランドの存在があったわけです。

  最近読んだ「ジャガーFタイプのすべて」には「ゴルフのすべて」や「Aクラスのすべて」とは全く違う次元の記述がなされていました。同じインポートシリーズなのに三笠書房も読者を完全に区別して記事を書いているとしか考えられないほどの歴然たる差が存在しています。Fタイプの内容は「最高のクルマ」を作るための現代のクルマ作りの水準が、様々な面でよくわかる記述がふんだんに盛り込まれていて、ライターが嘘偽りなく書き抜いている爽快感があります。一方でゴルフとAクラスは文章の向こうからライターの冷ややかな笑いが聞こえてくるような、読者をナメた文章が目に付きます。「自分なら絶対に買わない」という主張が文面に透けて見えるほどです。

  どうせ初心者やミーハーばかりだから、真面目に書いても理解して貰えないだろうし、緩いことを書いて誌面を費やさないと褒めるところがほとんどないクルマだからキツいとでも言いたげです。さらに補足すると最近の国産車についての同シリーズにも同様の怠い記述が多いです。アテンザ・クラウン・アコード・レクサスISとどれも気合いが入っていません。たまたまFタイプだけ良いライターが担当したということなのでしょうか?


  

0 件のコメント:

コメントを投稿