2013年2月25日月曜日

シボレークルーズは日本へ来るのか?

  危機的な経営状況(事実上の破綻)から米政府の支援を受けて再建された「新生GMグループ」が債務返済を終え、米政府の管理下から離れ再び「世界征服」へと邁進するようだ。トヨタを初めとした日本メーカーにとって、米BIG3の「躓き」は「天佑」だった、もしこれがなかったら、経営体質の古さを指摘されていた日本メーカーはBIG3に大きな差を付けられ、VWやヒュンダイに追い抜かされ、トヨタが代わりに深刻な経営危機に陥っていた(ホンダは潰れたかも)かもしれない。

  BIG3の代表格のGMがついに復活した。日本のメディアはこのメーカーの実力を過小評価していて、日本ではあまりいいイメージがないが(スズキと揉めてます)、日本以外の全ての主要市場でトヨタを販売台数で上回っている唯一のメーカーだ。技術力もとても高く、シボレーコルベットはドイツのニュルブリックリンクで日産GT-Rとトップの座を争うレベルにある。レクサスの4000万円もするスーパーカーのLFAよりも速いタイムを出している(しかもこのクルマGT-R並みに安い)。

  GMの主力車種がCセグセダン/ハッチバックの「クルーズ」だ。このクルマは北米だけでなく、韓国・中国・タイ・豪州・インド・ロシアで生産される「成長市場向け」のグローバル戦略車で、「日本以外の」ほとんどの市場に投入されていて、欧州でも販売されている。このクルマはスズキが作っていた初代とは全く別のクルマで、2009年頃から順次販売された新しいクルマで北米日産が発売しているセントラ(シルフィ)に対抗するモデルだ。シルフィが日本で発売された時、なんか良さそうな雰囲気を感じた人も多かったと思います。アメリカではこのクオリティがスタンダード車で、日産にはこれより小型のクルマが1車種(ヴァーサ[ラティオ])があるだけだ。シルフィは日本のディーラーでは高級車扱いだ・・・。いかに日本のクルマ文化が未成熟なのかを痛感させられる。

  シボレークルーズも同様のスタンダード車だが、日本の基準から見ると豪華に見えてしまうだろう。北米の日本車はこのクルーズより売れていたりするが、それは日本メーカーが「ダブルスタンダード」(日本仕様と海外仕様を差別化)で誤摩化して来た部分も多い。日本市場がコストダウン競争を繰り広げたため、北米向けのクルマとの差が大きく広がってきた。その結果として、近年カムリHVやティアナを日本へ導入したとき、その充実度に日本のユーザーは度肝を抜かれた・・・。VWゴルフが良く見えてしまうのも当然といえば当然だ。「クルーズ」が200万円(北米価格150万〜)で日本で発売されたらどうなるのか?北米では2Lのクリーンディーゼルが$24885〜(約210万円〜)だ。これが日本に上陸したらマツダの新型アクセラのディーゼル(250万?)より安いかもしれない。

  日本での報道はトヨタやホンダへの配慮があってかやや偏向しているような気がする。日本と北米には歴然としたクルマ文化の「格差」があり(日本のクルマは一時期とてもヒドかった)、GMが本気を出せば、トヨタの本拠の日本を一気に飲み込むくらいのポテンシャルを持っている。VWグループとBMWグループが月7000台、メルセデスが月6000台で、スバルやマツダ(どちらも月1万台)を抜かそうとしている。まだまだ日本にはクオリティカーが不足している。GMの復活によって日本市場の「再生」(いいクルマが増える)につながればいいのだけど・・・。

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