2013年9月16日月曜日

「ホットハッチ全面戦争」勃発前夜 フランス車の逆襲が始まる?

  ドイツ人と日本人は「虚構」の民族だと感じることがある。クルマ作り一つとっても非常に「論理的」でその優秀さで世界に認められてきた。いや正確に言うと、絶対的な自信に裏付けされた「論理」を押し付けて世界を納得させてきたのかもしれないが・・・。

  カントとかヘーゲルの時代からドイツ人は世界をリードすべき存在だという自負があっただろうし、ちょっと的外れかもしれないが石原莞爾のような思想家は戦前の日本にはたくさん居ただろう。これまた語弊があるかもしれないが、いずれも「虚構」の巨人じゃないか・・・。

  このドイツと日本の「妄想癖」と「乾いた理性」を宮崎駿監督の最新作を見て改めて感じた。おそらく現代のドイツや日本の自動車メーカーでもあんな「すっとぼけた」主人公が密かに活躍しているのだろう。

  そんなドイツと日本の「虚構」が鍔迫り合いを繰り広げるささやかな舞台がやってきた。新型ゴルフGTIと新型マツダスピードアクセラの対決が迫っている。200psオーバーのFF車を安全でしかもいかに早く走らせるか、そしてコストの壁をいかにかいくぐるか。 まるで大戦期の戦闘機の開発競争のようなスリリングさを感じる。

  このクラスのクルマに興味がない人には何も面白くはないかもしれないが、例え購入対象ではなくても、その歴史を見ると合理性の追求の為なら「何でもあり」の総力戦の中で、幾多の名車が生まれている。2000年の英「Car」誌が行った伝説の企画によると、FF4気筒NAで武装したホンダ・インテグラtype-R(DC2型)が当時の最先端であるポルシェ996型911とフェラーリ360モデナF1に迫る走りと評価された。高出力AWDの34GT-RやエボⅥよりも高い評価を得ているほどだ。

  AWD化してしまえば、400psクラスでも問題なく市販できてしまうようだが、FFにこだわってギリギリの馬力とトラクションで走らせるところに凄みがある。早くも次世代のプロトタイプが続々と発表されているが、本場欧州での競争は激しく、盟主ゴルフGTIの新型に批判が集まっている。すでに発売されているルノー・メガーヌRSとフォード・フォーカスST-3(日本未発売)の現行2トップの牙城を崩すことができていないようだ。

  縮小する欧州市場に後ろ向きなトヨタはオーリスの高性能化には否定的なようだ。86用のボクサーエンジン(スバルFA20型)でも積んでほしい気がするが・・・。日本勢でここに参戦を表明しているのは、ホンダのシビックtypeRとマツダのスピードアクセラだ。スズキは得意な小型車市場にも関わらず、スイフトのさらなる高性能化には否定的だ。Bセグながら後輪にもディスクブレーキを備えた意欲作だが、5ナンバーサイズの車幅では圧倒的に不利と判断しているようだ。

  プジョー・シトロエンも主戦場のFF&小型車が舞台ということで、RCZの新型エンジンを308やDS4に載せ変えて参戦してくるようだ。ただVWに習った多目的プラットホームの採用が、高性能化の足枷になるかもしれない。アウディはゴルフGTIと基本設計が同じ新型A3だろう。早くもwi-hiを車内で飛ばすなど、ライトユーザーの心を捕える打算的な戦略を打ち出しており、クルマの性能での勝負を避けているようだ。そして新規参入となるメルセデスはこのクラスとの競合を嫌ってAWD高出力化を選択した。格式を重んじる欧州メーカーとしては自然な成り行きか・・・。

  どうやらストイックなまでの「虚構」主義を掲げてもどうにもならないほど、トップセグメントとの差は決定的になってしまったのだろうか。メガーヌRSのように「ミッドシップのAWD」と対等な走りを「FF」で実現しようという「クレイジー」な開発者のさらなる出現に期待したいが・・・。


↓デザインも走りも超一流のメガーヌRS。日本での知名度はまだまだだが、WRX STIと互角に走れるFFって!!!
  
  

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