「市販車を売るための演出」言ってしまえばこれに尽きるんですが、自動車メーカーがクルマ好きに向き合って愚直に努力する姿はなんかとってもいいですね。ルノー(メガーヌ)、ホンダ(シビック)に続いて、今回は「VWゴルフGTIクラブスポーツ」と目まぐるしく「タイトルホルダー」が変わります。今後もフォード(フォーカス)やオペル(アストラ)、ヒュンダイ(エラントラ)、プジョー(308)、マツダ(アクセラ)などのアタックもあるのでしょうか・・・。
WRC(世界ラリー選手権)のRC1クラスに出場するクルマが、DS3(シトロエン)・フィエスタ(フォード)・ポロ(VW)・i20(ヒュンダイ)の4台で2017年からトヨタがヤリス(ヴィッツ)で参戦する予定になっています。これらのクルマはもちろんすべてBセグ車でして、日本から撤退予定のフォードと日本では売っていないヒュンダイという事情を考えれば、シトロエンとVWが日本のWRCファンの注目を集められそうですけども、そこにトヨタがズカズカやってきてパイを横取りする構えです(笑)。
Bセグ車には活躍の場が与えられていて、スバルなんかにも「Bセグ作って勝ってこい!」といった意見がぶつけられています。それに引き換えなかなか活躍の場が無く、日本でも影が薄くなっているのがCセグです。このクラスはBMWやメルセデスも参入していたり、北米市場のCセグセダンは4600mm前後まで大型化が進み(使いやすいサイズだけど)、スポーティというよりはラグジュアリーを志向するクルマが増え、また欧州向けではワゴンボディが主流になってきています。スバル・レヴォーグなどがこの流れを体現するようなクルマになってます。
グローバル(北米・欧州・中国・日本・オセアニア)にB・C・Dセグを展開するマツダの販売を見てみると、デミオとアテンザがおよそ1万台(月産)に過ぎないのに、アクセラは4万台(月産)に達するなどCセグの需要は非常に高いのがわかります。日本ではデミオの半分も売れないアクセラなんですが、オーストラリアでは輸入車ナンバー1の地位にあります(右ハンドルが幸い!?)。
なんで日本ではCセグの人気がないのか!?やはりプリウスという「化け物」が全てを喰ってしまっていてシェアを歪なカタチにしてしまったというのはあると思います。1997年から巻き起こったトヨタとホンダによるHV競争は、まさかのトヨタの圧勝に終わりましたが、その影に公正取引委員会がよく黙っていたなというくらいの「ダンピング」があったことはよく知られています。完全に余計なお世話ですが、そういえばこの頃から「下請けいじめ」みたいな言葉が囁かれるようになったな〜・・・。トヨタの本気に対抗できなかったホンダは、トヨタが「やっている」といわれる下請けへの圧力ではなく、「外注」による開発の多元化に舵をとりました。
もはや日本ではその存在も忘れ去られてしまっている「シビック・ハイブリッド」ですが、なぜこのホンダの看板モデルが日本で販売されないのか?・・・プリウスにボコボコにやられてしまったことで、ホンダのCセグにおける影響力が日本では低下してしまったことが大きく影響していると思われます。もちろんトヨタにとっても「プリウス」は社運を賭けた一大プロジェクトなわけで、あまりにも一方的に敗北者の側から語るべきではないですし、その後にホンダは日本市場においてフィットや軽自動車に活路を見出していますので、災い転じて福と成すのごとく、負けたことによって成長する部分も大きいと思いますけども。
そしてプリウスに雪辱すべく、シビックが全てを刷新して日本に凱旋する可能性があることがホンダから明らかにされました。その露払いを務めるかのように、シビックtypeRが日本でもすでに販売されまして、これから納車が始まるようです(イギリスから輸入)。そういえばこのターボ化されたtypeRは開発の最終段階でFFのニュル最速を記録しましたね・・・。さらに遡れば、ルノー・メガーヌがFFニュル最速を掲げてから、一躍ドイツ市場に突入し、あれよあれよという間にホンダ、三菱、日産、マツダ、トヨタの日本勢をまとめて交わし、VW傘下以外ではドイツ国外ブランドでナンバー1の座を奪い取ったなんてこともありました。
そして今回はVWゴルフGTIクラブスポーツがFFニュル最速をマークしました。VWにとっては昨年の屈辱を晴らして新たなる攻勢の始まりを意図しての決起なのかもしれません。もともとボデー剛性に定評があるゴルフは、市販車で300psに到達しているAWDのゴルフRの評判が良かったです。さらにこれを400psにまで引き上げたゴルフR400も試作車が登場していて来年に発売される予定です。どうやら価格は700万円以上にはなってしまうようですが・・・ゴルフRですでに0-100km/h加速の公式タイムが4.9秒ですから、GT-Rや911ターボの領域(3秒切る!)まで近づきそうな勢いです。
AWD車による速さへの追求もいいですが、GTIクラブスポーツのタイムアタックの動画(下にリンクあります)を見ると、まるでニュル北コースを市販のFF車が走っているような苦しい挙動が8分間に渡って続いていて、やたらとリアリティがあります。GT-Rや911ターボそれからコルベットといったワイド&ローのスポーツカーだと、あまりにも速いので特別なクルマと特別なスキルのドライバーが走っていて、F1のオンボードみたいですが、これはぜんぜん勝手が違っていて見ていてヒヤヒヤします。タイヤのスキール音も市販車に近い!!!市販車との一番大きな違いはコーナー脱出直後の姿勢制御が素早いことですね。スタビが付いて、FF用のデフ制御が付いて、さらにリアシートを取っ払って軽量化して、Cセグハッチバックで採用できる方策を全て揃えるとここまで走りが変わるのか!!!
そして映像で見ていてもボデー剛性の高さが大きく効いているのがわかります。これまでFF車のスポーツタイプを作り続けてきたルノーやホンダと完全に肩を並べるクルマを、VWが意外とあっさり作ったのには、案外ゴルフのボデーの素性の良さが大きく貢献しているのかもしれません。ゴルフRの完成度の高さから、アウディ&ポルシェの大幅な関与が噂されていますが、このFFモデル関しても同じなんですかね・・・。タイムアタックのオンボード映像にここまで夢中になったのは初めてです。マツダ車などに乗っている人にはなかなか血が騒ぐ動画になってますよ!!!
ゴルフGTIクラブスポーツのタイムアタック動画
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