2016年4月29日金曜日

BMWに代わってミニが日本で躍進する!?

  BMW傘下になってから3世代目となるミニですが、じわじわと日本でのシェアを拡大してきました。日本市場における輸入車は、グローバルよりも遥かに新規モデルが少ないこともあってか、ブランド間で大きな変動はないです。その中でミニはこれまでもメルセデス、VW、BMW、アウディの定番輸入ブランド以外で月販1000台をキープできる数少ないブランドの中ではトップの実績を残してきています。

  クルマがなかなか売れない日本市場において、輸入車も当然に大きな影響を受けてはいるのですが、日本市場もだいぶ価格面でのグローバル化がすすんだようで、不振のブランドを中心に販売価格の下限が徐々に下がってきたこともあってか、新たにボルボ、プジョー、ジープが月1000台を越えるポジションに位置するようになりました。

  ミニ、ボルボ、プジョー、ジープの躍進した4ブランドに加えて、メルセデス、VW、BMW、アウディもそうですが、購入費用を比べてみれば、すでにマツダ、スバルの同クラス車ともそれほど大きな価格差はなく、どうやら在庫車をうまく狙いさえすれば、むしろかなりお買い得で購入できたりするようです。最近ではネットメディアの発達でやたらと物申すユーザーも増えていて、「安全志向で輸入車からスバルに乗り換えた!」とか「静粛性と乗り心地を考えてメルセデスやBMWではなくマツダにした!」なんて人も結構います。10年前には考えられなかったことですが・・・。

  それとは逆に、いままでマツダやスバルに乗っていた人がアテンザやレヴォーグの価格設定に憤慨して、逆に輸入車に乗り換えるなんて例もそこそこ多いようです。「俄なユーザーが増えてマツダやスバルの価値が下がった」なんて辛辣な意見もありますが、マツダもスバルも一連のFMCで持ち前の軽快さが影を潜めるモデルが続出しています。新しいマツダに乗った!ディーゼルのトルクは確かにスゴいけど自分のフィールには合わない。スバルもFA/FBのエンジンになってから、低重心さや鋭い噴け上がりがなくなって、ただのエコ水平対抗ターボになったエンジンあるいはCVTミッションに対しての不満が多いようです。

  そんな「シャッフル」&「客引き合戦」な状況の中で、ミニも逞しいほどに「日本向け」なラインナップを拡充することで、ライバルに対して優位な状況を作っているようです。まずは3代目になって少々立派になったボデーですが、これは案外追い風なんじゃないかと思います。ファミリーカーとしての利便性が向上して、まだまだ若い夫婦がオシャレな住宅街に居を構えるにはちょうどいいサイズ&ちょうどいいオシャレ仕様じゃないかと・・・。

  さらにFF車向けとしては現状では最良の選択と思われる、アイシンAW製6ATを配したミッションは、Bセグの中ではマツダ・デミオとこのミニだけです。日本市場Bセグでもっとも扱いやすい機構を備えつつ、デミオよりも車幅がいくらかあって高級に見える。しかもボデータイプもカラーヴァリエーションもこちらの方が多いので、好みの選択ができます。デミオは内装をかなり頑張っているのですが、ミニの方がより個性的で刺激的な内装を先代モデル以前から追求していて、この点でもリードしています。なおかつ価格帯がデミオとも競合するくらいに収まっているわけですから売れるのも頷けます。デミオ5000台、ミニ1500台とまだまだ差が大きいですが・・・。

  デミオとミニの関係はなかなか複雑です。ミニはデミオを先回りするかのようにパッケージ性を高めた設計、つまり比較的に日本メーカーが得意としていた点でデミオに対して優位を築いています。その一方でデミオは、「走り」においてミニを越えてしまっていると専らの評判です。ミニをドイツ車と分類するのは語弊がありますが、親会社のBMWが本来は得意とする部分で、デミオはミニを完封しています。確かに乗ってみてデミオの方が圧倒的にバランスがいいのは感じました。ミニはなかなかエンジンの駆動が路面に伝わらないクルマなんですよ。・・・参考までにこの2台の走りを検証した動画をどうぞ!

  昨年の後半頃から、輸入車販売のトップに収まっているメルセデスの特に廉価モデルに対してやや懐疑的な論調がカーメディアで増えてきました。そして2位のVWもアメリカから巻き起こった不祥事問題でブランドイメージを大きく崩しており、それらの「情報」に煽動されるかのように、その2つを回避するユーザーが、比較的に好印象の他の輸入車ブランドあるいはスバルやマツダへと流れているようです。やっぱり1億総スマホ社会はすごいなー!!!テレビやネットの情報がすぐさま拡散されて・・・話題の場所には人がわんさかやってくる!!!休日ドライブの前には情報をよくチェックして混雑しそうなところを避けるようにしなければ・・・。

  メルセデスやVWにとってはちょっとした(深刻な)災難ですが、顧客が過度にブランドに囲い込まれると、どこも革新的なクルマ作りをやらなくなって、「誰得!?」でクソセレブ気取ったババアがアホみたいに歓びそうな「顧客サービス」ばかりが過剰になるので、このような「顧客の再分配」が起こることはとてもいいことだと思います。

  どこも似たようなボデーに似たようなエンジン積んで、同じサプライヤーのミッション使ってる・・・。だから値引きでしっかりと「囲い込み」をしてくれる今のディーラーで買い続けるよ〜。そういう堕落的なサイクルの中で、安定経営を見出そうとしているトップシェアブランド(トヨタ、メルセデス、VWなど)に歯止めをかける「見えない力」が働いている!!!と好意的に解釈したいです。最近ではマツダやスバルもなにやら各地のディーラーの佇まいがどうもキナ臭いですからねぇ〜・・・。

  フォードは日本を諦めて去っていきましたが、日本市場はまだまだユーザーによるブランドの選択にまだまだ弾力性があると思います。BMWにそっくりなスタイリングでお茶を濁したジャガーにはそれなりのリアクションしかないですし、308やチンクをさらに適正価格化したプジョーやフィアットにはそれ相応に報いています。テスラ、ダッジ、ビュイック、ヒュンダイ、キア、オペル、セアト、シュコダ、ラーダ、ホールデン、タタ、マヒンドラ、プロトン、東風、一汽、あるいは復活のMGローバーなどなど・・・自信あるブランドはぜひぜひ日本に上陸(再上陸)してほしいものです・・・。

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