2016年3月27日日曜日

VWが不在で 2016WCOTYの主役は日本車へ BMWセダンに10年ぶりの・・・

  ここ数年はワールド・カー・オブ・ザ・イヤー(WCOTY)で圧倒的な強さを誇っていたVWから、今回は目立った候補車がなかったこともあってか、2016年は「善戦メーカー」マツダが悲願のロードスターの2冠(ワールドカー、デザイン)に輝く!!!という結果になりました。笑い飯が「M1」チャンピオンになった時のようななんとも微笑ましい気分ですね・・・。もうとっくに報道でご存知とは思いますが、5部門あるうちの残りの3部門は、ラグジュアリーカーが「BMW7er」、ハイパフォーマンスカーが「アウディR8」、グリーンカーが「トヨタ・ミライ」でした。

  ワールドカーのみファイナルエントリーが10台、他の4部門は5台ずつ選ばれていて、合計30エントリーあるのですが、ブランド別だと最多はなんとマツダの「4」。ロードスターとCX3がワールドカーとデザインのダブルノミネートを果たしています。他にも同じ組み合わせのダブルノミネートが2台もあって、1つはランドローバー「ディスカバリー・スポーツ」、もう1つはジャガー「XE」。ほかにも「ランドローバースポーツ」と「XF」のノミネートもあるので、ジャガー・ランドローバーを合計すれば「6」となります。どうやらマツダとジャガー・ランドローバーの年だったようです。

  今回のワールドカーもどうせ常勝VWグループから選ばれるだろうから、アウディA4が受賞するだろうと思い込んでいたので、これは少々意外な結果でしたね。やはり「例の件」が影を落としているのかな。欧州ではA4の主力エンジンはディーゼルなので、まさに長いスパンだったA4の先代モデルも「該当車」の1台になるわけで、どうやら「厳正なコンペ(笑)」に水を差してしまいました。昨晩に行われたドバイ・シーマクラシックの日本馬ドゥラメンテの一件みたいな後味の悪さが・・・。

  これまでのWCOTYの受賞車を見てみると、A6、TT、RS4、R8とアウディの躍進を支えた「四天王」がことごとく受賞していて、アウディとともに歩んできた賞なんだな・・・という印象は否めないので、今回のWCOTYでVWとアウディの立て直しを図るのでは?と思ってたんですけどね。来年こそは新型A6がラグジュアリーカーで、早いサイクルでの更新が噂されるゴルフがワールドカーにダブルノミネートしてきて「復活劇」となるんでしょうか?

  2011年の「リーフ」のワールドカー受賞以来5年ぶりとなる日本車の受賞。その間欧州車以外の受賞は2013年のテスラ・モデルS(グリーンカー)のみ。日本車や米国車にとっては果てしなく高い壁なので、それを越えたモデルはどれも文句なしの「名車」ぞろいです。レクサスLS、日産GT-R・・・そしてマツダ・デミオ! マツダはこの賞をやたらと意識しているようで、小型車といえどもデザインにこだわる姿勢を貫いてきました。コンパクトカーだけでなく、中型もしくはスポーツモデルでの受賞がマツダの悲願でしたが、アテンザやアクセラが一歩届きませんでした。今回はCX3もノミネートされるなど、マツダのデザイン戦略が決して「独りよがり」になっていないことは証明されつつあるようです。

  その一方で一流の欧州車にとっては、ノミネートされるのは当たり前!受賞して初めて「失敗作ではない」という保証が得られる!?ものになってます。そういう意味ではラグジュアリーカーに選ばれた「BMW・7er」にとっては意義深い受賞だったと思います。2000年代にアウディに追い上げられ、2010年代にはメルセデスの復調もあり、この10年で注目度をかなり落としてしまった感があるBMW。近年の受賞車はi3やi8などEVばかりになっています。

  BMWの真髄といわれるセダンでは2006年にE90(先代)の3erがワールドカーを受賞してますが、これは失礼ですが・・・「E46」の七光りです。E90がどうというわけではないですが、さすがにE46は偉大すぎました。このクルマは他のメーカーの開発者から多くの尊敬を集めました。日産の水野和敏さんやマツダの金井誠太さん(会長)などなど。E46が親分でスカイライン、アルテッツァ(レクサスIS)、アテンザ、アコード、アルファ156/159、プジョー406/407といった粒ぞろいな子分達、これらが「スポーツセダン」という一大勢力を築いていました。そんな偉大過ぎる「武田信玄」みたいな「E46」の後継として出てくるのは注目こそされるけど・・・ちょっとつらかってですね。

  このE90のデビュー時の受賞以降は、BMWのセダンは低迷します。F01(7er)、F10(5er)、F30(3er)はそれぞれ派生モデル(クーペやクロスオーバー)も含めて10年あまり一度も受賞できませんでした。セダンが全体的に不調な時期であり、デザイン賞でカマロとラピードが受賞したくらいだったのも確かですが・・・。親分が転けて、子分格もみんな転けてしまった。BMWに全ての責任を押し付けるのは筋違いですけども、いまのBMWを低迷から救い、再び浮上させるためには、「E46」のようなライバル全てを巻き込むくらいの偉大な「キング」が必要だと思います。

  そんなE46の「格」になれそうなクルマが、今のBMWでは「7er」とあと「M2」くらいかなと思います。マセラティがセダンのラインナップを拡充し、キャデラックがふたたびフルサイズのFRを仕立ててきましたけども、「高級車」としての充実した価値をジワジワを感じさせてくれるという点で「7er」は魅力です。クワトロポルテ、CT6、XJよりも「知性」を感じさせてくれます。実家を飛び出し立身出世を目指して苦節20年!その末に成功を掴んだ現代社会のヒーローが、実家のお袋さんを迎えにいくために選ぶクルマ!これこそが「知性のクルマ」だとわたしは思っているんですけど、そのポジションはメルセデス・レクサス・ジャガー・マセラティ・キャデラックを押し退けてBMWの「7er」が相応しい!・・・あくまで貴族出身ではない「わたし」の価値観においてですが。

  「BMWならなんでもいいじゃん」という考え(邪念)がとても嫌いです。今月号のルボランのようにBMW特集とか読むのはひたすらに苦痛です。全ラインナップの集合写真とか絶対にやめてもらいたい(同じ顔過ぎて気持ちが悪い)。いっそのこと・・・日本市場は「7er」と「M2」だけにして他のモデルは全て処分してほしいです。そのほうがBMWの価値はずっと上がりますよ。「i3」や「i8」にしてもお試し期間もとっくに終了して日本ではどうやっても商売にならないことがハッキリしてきました。FFモデルやSUVなど車種を増やせば増やすほど、忠誠心に溢れていたユーザーは離れていきますよ。「グランクーペ」も「SUV」も「ファミリーカー」も上手くいかなかった・・・というより最初から無理。どう考えてもE46のような起爆力が無いです。

  「グランクーペ」が欲しいという奇特な客にはロールスを売ればいい。SUVやファミリーカーならミニでいくらでも賄えます。いっそのことX5の兄弟車を作ってミニブランドで売ったほうが注目されて喝采されるはず。さて伝統の6erはどうしたものか!? フェラーリ・カリフォルニアにも勝てるくらいのFRラグジュアリーを本気で作る気概がまだまだBMWにはあると信じたいですけども、現行の焼き直しになるなら止めたほうがいい・・・どんどんブランド価値がブレるだけ。

  「7er」に全力投球して「Sクラス」に勝利し、「M2」にさらに磨きをかければポルシェを打破することもできるでしょう。極論すればBMWの「価値」はSクラスかポルシェを越えることです。日本でホンダ・オデッセイよりも手軽な価格の3例シートミニバンを売っているなんて幻滅ですよ・・・。


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