2016年3月2日水曜日

アルファロメオ・ジュリア 「GTセダンの鎮魂歌!?」

  ほんの10年前までは、そこいら中のカーメディアで「最強のGTカーはどれだ?」みたいなハッピーな企画をやっていました。そもそも「GTカー(グランドツアラー)」という表現自体が最近ではあまり見られず、とにかく「スポーツカー」「スポーツモデル」という表現に終始してます(読者の多い雑誌ではウザいカーキチさんになにかと絡まれるのは勘弁なんでしょうけども・・・)。

  「グランドツアラー」という表現の中には、「乗用車」と「趣味車」の要素が両立していて、さらに「自分のクルマ」というニュアンスもあるので、とっても気持ちがいい言葉です。・・・暗黙の了解かどうかはわかりませんが、総額で2000万円越えたらもはや「乗用車」の域は完全に逸脱してると思いますから「グランドツアラー」の定義から除外でいいと思います。2000万円越えたら、それは「サーキットで走るクルマ」、あるいは「お台場や大黒で見せびらかすクルマ」ですね。

  10年くらい前はまだまだフェラーリもポルシェもせいぜい400ps程度の出力に収まっていて、フェラーリが2000万円以下、ポルシェは1000万円以下で買えた時代です。次元が違うくらいに超絶に速いクルマが欲しい人は、競技用に作られたシャシーを持つベース車(ポルシェか日産)を買って、1000~2000万円くらいの大金を叩いてチューンして600ps台を手に入れていた・・・そんな話を年配のクルマ好きな人々からはしょっちゅう聞かされます。

  話を聞く限りでは・・・600psで武装した某国産メーカーの改造車が、首都高湾岸線を我がもの顔で走っていたら、さぞかし迷惑千万で当然に「規制すべき」ではあったと思います。さて当局から自動車メーカーにどんな圧力があったのかわかりませんが、2002年には排ガス規制強化とともに国産の有名スポーツモデルが多数姿を消すという事態になりました。それでもしばらくは中古車のタマ数も豊富で、NSX、S2000、ランエボ、インプレッサSTIなどの生産が続いていましたから、すぐには風潮が変わることはなかったようです。・・・それから10年以上が経過した今になってなんかジワジワ効いてきたのかもしれません。公共交通機関と都市機能の充実による「クルマ離れ」と、欲しいクルマがなかなか見つからない「クルマ文化の空洞化」は・・・別物!!!

  カーメディアもこの10年で大きく様変わりしました。2000年代前半の雑誌を改めて広げてみると、なんとも素朴で心地よい文章が多いです。今とは何が違うのか、身も蓋もないですが、書いている人も違えば、扱っているクルマも違う・・・だから全てが違う!のかな・・。欧州のセレブがサーキットでモータースポーツを楽しむために作られた「道具」を、あたかも「乗用車」としてインプレする雑誌が多いです。ランボルギーニの詳しい乗り心地なんてほとんどの人は興味はないですから。それから大衆向けの市販「乗用車」を、サーキット基準で検分しようとする愚行も(そんなことやってるから乗り心地が悪くなるスタビを不必要に入れるメーカーが現れる)、・・・市販車を片っ端から筑波サーキットに持って行ってタイム計測して悦に入っているクソ雑誌がありますね・・・。

  ちょっと的外れかもしれないですけど、クルマがつまらなくなった理由はまだあると思います。2007年に某日本メーカーが超絶スポーツカーを発売して世界中で話題になりました。開発者のMさんはメディアに出てきておしゃべりするのも大好きなようで、それが「神様の言葉」であるかのようにカーメディアの編集部員の間に広まりました。「スーパーカーは専門のディーラーで販売すべきだ!」「公道テストができない日本ではいいクルマは作れない!」「ニュルブルックリンクでタイムが出せるクルマこそが至高!」・・・突然に日本の市販車の出力が480psまで跳ね上がり、これまで日本のクルマ文化を支えてきたチューニングショップの仕事をことごとく奪いました。「純正部品以外を使ったら、すぐに保証を打ち切ります!」なんて覚書を交わさないと購入できない仕組みなんてさ・・・ゴミだな。

  この2007年を境に、どんどんとカーメディアは狂ってきたようで、クルマ文化の多様性を作り出してきた名門チューナーは次々と廃業し、後からでてくる次世代の「スペシャルなクルマ」は500ps、600psと最高出力を上げ続けます。価格も3000万円、4000万円が当たり前に・・・これでは「グランドツアラー」が死語になるのも仕方ないですね。「クルマつまんないな・・・」という雰囲気を作っちまった一端は・・・Mさんとその超絶スポーツカーにあるんじゃないですか? ポルシェもBMWもこの辺から魅力が褪せてきたように思います。

  さてスッキリしないジジイの回顧談みたいなしょぼくれた話が続きましたが、今ではMさんは退役し某超絶スポーツカーもだんだんと風化した存在になってきました。先日のデトロイトMSでは新たな2ドアのスペシャルティカーが続々と登場してきて、新しい時代が始まりつつあることを感じます。トヨタ86のような新たな「グランドツアラー」候補も今ではすっかり定番車種に落ち着きました(市民権を得ました!)。個人的に永久保存版として気に入っているレビューの1つに、2001年に発売された「SIGHT」春号に収録されているイギリスメディアによるものがあるのですが、そこで扱われているような「色彩豊かな」スペシャルティカーが再び増えてくれそうな予感です。

  そのレビューでは20台もの人気スポーツモデルを集めていて、ユーモアあふれるライターが、個人所有のユーザー目線でクルマの良し悪しを述べています。20台の中で最も高価なのが「フェラーリ360モデナ」ですが、クルマの性格としては超絶スーパーカーというほどではないようで、3.6L(400ps)のV8は、同じくエントリーされているBMW・Z8の5L(400ps)のV8にパワーでは劣る・・・なんて書かれています。「360モデナ」「Z8」「ロータス・エキシージ」「TVRタスカン」の4台でスーパーカー部門が争われますが、1.8Lのトヨタエンジンを使うエキシージが360モデナとともに勝ち抜く!というなかなか溜飲の下がる展開です。

  BMW・Mのエンジンとフェラーリのエンジンが400psという常識の範囲内で並び立つから、リアリティがあって楽しめます。もしこの20台がここ数年のF1に参戦したフォーミュラカーに置き換えられていたら、あきれちゃいますよね・・・。これがマクラーレン、ランボルギーニ、サリーン、ブガティ、ケーニッグセグ、パガーニだったら・・・やっぱりあきれちゃいますよね。600psオーバーのフェラーリ488GTBはアメリカ基準なんでしょうけども、もうモータースポーツ専門誌で扱えばいいじゃん。

  「BMW・M2」「レクサスRC-F」「ロータス・エヴォーラ」「ジャガー・Fタイプ」「ジャガーXE・S」「アストンマーティン・V8ヴァンテージ」「アルファ4C」「アウディS1」「キャデラックATS-V」「A45AMG」「CLA45AMG」「AMG・GT」「ミニ・ロードスター・JCW」「ゴルフR」「プジョー308GTi」「プジョーRCZ」「ルノーメガーヌRS」「ポルシェ718」・・・・あとは「ホンダS2000」「マツダRX7」が復活してくれれば。それからもちろん「アルファ・ジュリアQV」・・・510psの「バカ仕様」みたいですけども。


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2 件のコメント:

  1. こんにちは、HIROBEEさん
    ジュニオールです。

    アルファ・ジュリアの登場、うれしいです。

    私自身、アルファとの出会いが155、164?でしたので
    これまでのラインナップ(ハッチバック等)では、
    かっこいいいとは思うものの一抹の寂しさを感じていました。

    159の後継だと思いますが「ジュリア」という名前に痺れます。
    しかも、昨年末に見た動画でのエンジン音(確かフェラーリと同じエンジン?)
    真打登場!!! て感じでした。

    MITO、JULIETTAも所有欲をそそりましたが、
    やっぱり、ジュリアでしょう。ただ買えそうにはありませんが。
    見るだけは無料、でも、見たら欲しくなる、面倒な悩みが増えそうです。

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  2. コメントありがとうございます

    やっぱりアルファはセダンですよね。
    156はまだまだ元気で街中でもたまに見かけますが、
    159や166はさっぱりなので、
    セダン絶滅前に、それなりには流通する価格で、ジュリアを供給してほしいところです。
    あとブレラも超絶リアデザインで好きでした。
    BMWに対抗するくらいにアルファロメオには車種を増やしてもらいたいです。

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