2017年4月29日土曜日

ベントレー・ミュルザンヌ 「本物を知る男のクルマ」





  イギリス版の「マジェスタ」ですね。ちょっとわかりづらいかもしれませんが、全長は5575mmもあります・・・の割にはリアシートが狭そうに見えます。日本に正規輸入されているベントレーは、この「ミュルザンヌ」と「フライングスパー」のセダン2種と、フライングスパーのクーペ版である「コンチネンタルGT」、そして新鋭のラグジュアリーSUV「ベンテイガ」の合計4車種あります。セダン2種は3000万円超なのがフラッグシップの「ミュルザンヌ」で、2000万円を切る比較的にヤングなセダンが「フライングスパー」とキャラが分けられています。

  ショーファー・リムジンというと「ロールス・ロイス」が有名ですが、バトル・オブ・ブリテンで活躍したスピット・ファイアなどに搭載された栄光の「マーリン」エンジンの流れを受け継ぐロールスロイスのエンジンは2016年のファントム生産終了によって終焉しています。残った現行モデルに使われているのは「6.6L・V12ターボ」ですが、これは下請けのドイツの田舎くさいエンジン・サプライヤーから供給されています・・・これではもはや伝統のイギリス車と言えるのかな?「シングルモルトのロールスロイス」ことマッカランが、スペイサイド産のピートではなく、ザールラント産のコークスで焚いていたらダメじゃないですか?

  そのドイツの下請けエンジン・サプライヤーをよーく調べてみると、なんと日本でもクルマを売っているあのメーカーだった!!え〜・・・あそこのエンジン(特にディーゼル)はえげつないくらいに騒音が下品じゃないですか!!しかもエンジンはフリクションが少ないというかスカスカというか・・・高性能車としての生命感に欠ける。マセラティや日産のエンジンと比べると全面的に「迫力不足」のエコ設計なんですよねー・・・こりゃもうロールスロイスは終わってますね。

  そもそも「ピュア」なイギリスのエンジンなんて今時あるのでしょか? MINIもドイツ製(設計)エンジンだし、ロータスは日本製(設計)。最近になってジャガー・ランドローバーが、フォードやマツダのエンジンを卒業して、インジウムというモジュラーの自主設計エンジンを開発しましたが、おそらく6気筒以下のイギリスのオリジナルってこれだけじゃないですか? ケータハムやゼノスといったスポーツカーはフォード(マツダ)やスズキのエンジンで・・・。アストンマーティンも今後はメルセデスのユニットを使うのだとか。

  ベントレーもVWの12気筒&8気筒を使っております。イギリス人にはプライドがないのか? やっぱり日本人の感覚だと、エンジンにオリジナリティを持っていてこその自動車メーカーだろーよ・・・という思いが湧いてしまいます。日本車でよそのメーカーからエンジンを供給されていたら何を言われるかわかったもんじゃないです。日産スカイライン200tもだいぶ反発されてましたっけ・・・。

  冨山和彦とかいう元産業再生機構にいたコンサルタントが「新型スープラにBMWのエンジンが乗る時代なんです!!これまではありえなかったことが起こっているんです!!」とか嘘くさいことを先月発売の著書で書いてましたが、新型スープラはOEMですから、同じような例はたくさんある!!5年前からあるトヨタ86も同じだし・・・。余談ですが、この冨山さんはどうもポンコツっぽいですわ。「AI時代だから、これから世界で活躍したかったらMITかスタンフォードで修士とれ!!」とか書いてますけどなんかズレてない!?再建中の会社の社員をやたらとバカにした内容が目立つので、現場で結構衝突しているんでしょうけど、こんなコンサルが乗り込んできてメーカーの方針とか決めちゃったら不幸ですね・・・。

  さてそろそろ生粋のベントレーファンからはツッコミが入るかもしれませんが、「ミュルザンヌ」に搭載される6.75LのV8ツインターボは、VWが作ったエンジンではありません。ベントレーが長らく(約半世紀ほど)ロールスロイスと同じグループにいたときから受け継いでいて、独自に開発を続けている伝統の「6.75L」のマルチシリンダーエンジンが、このモデルにだけ搭載されています。ちなみにコンチネンタルやフライングスパーに使われるエンジンはVWフェートンと共通のW12気筒・・・。なんでそんな非効率なことをする必要があるのか!?それは「ミュルザンヌ」とそれ以外のワンオフモデルに関しては、王室御用達ということで、トヨタがセンチュリー用のエンジンを作っているのと同じ理由なんでしょうね。

  「ミュルザンヌ」は本物志向の大人向けモデルで、「コンチネンタル」と「フライングスパー」は見かけがよければなんでもいい派のクルマ。搭載エンジンはVW製でもBMW製でもスズキ製でもなんでもいい!!クルマにこだわりがない層向け・・・という訳ではないでしょうけども。ベントレーみたいに顧客の気持ちを汲んでモデルを作り分けるくらいの配慮ができるブランドが日本にも現れるといいんですけどね。福島県で生産している「VR30DETT」エンジン搭載モデルを日本では売らないで、国内市場向けにはわざわざメルセデスの北京エンジン工場!?から直4ターボを栃木県の組み立て工場に持ち込んで搭載しているメーカーありますけど・・・ちょっと白けてしまいますよ。

  ミュルザンヌのドアは分厚くていいですね。このクラスのリムジンに要求されるものは、走行性能ではなくてまずは安全性。トラブルフリーや衝突安全性ではなくて、「防弾性能」ですね(笑)  セダンやワゴンが売れないと言われていますが、そもそもユーザーがクルマに何を求めているのか?メーカーにはイマイチよくわかってないんじゃないですか? ロールスロイスにエンジンを供給しているドイツの田舎メーカーが仕立てたフルサイズセダンは、新型になってだいぶ軽量化されていますけども、これに燃費重視の多段式ATと高回転を使わないディーゼルが組み合わされたら、ほぼほぼ設計思想は「プリウス」じゃないですか? そうじゃないんだよなー。マジェスタをよく研究してよ!!



  

  


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