2016年7月25日月曜日

アウディQ2 「ブランド再編にかかる期待大!」

  アウディといえば「フォー・シルバー・リングス」の意味するように4つのオリジナルメーカーにその系譜を持ち、100年以上の歴史とさまざまなDNAを受け継ぐドイツ自動車産業を代表する老舗ブランドです。4つのブランドによる『連合(アウト・ウニオン)』ってのがちょっとややこしいと同時に興味深いところですね。例えば今の日産のルーツには『ダットサン』と『プリンス』という2つの流れがあって、両者の関係は今も『Z』と『GT-R』が並立していて、同じラインで製造されているものの、ゴーンさんでも「統合」出来ない根深さを持ってます(シボレーはコルベットだけなのに、北米日産はなぜ2台ある?)。これがアウディの場合はそれほど顕著に見られずに、『クワトロ』という商標へと溶け込んでいます。

  そもそもアウディらしさって何なのか?日本では名前とデザインだけが先行して人気になっている節がありまして・・・アウディユーザーは好き勝手にブランドのコアを解釈しているようです。スバル以外の日本メーカーのユーザーも似たようなものですけど。主張がバラバラなのははユーザーが悪いのではなくて、作り手側が曖昧に発信しているからってのもありそうです。特にアウディに関しては4つの源流がありますから、「高級」「高品質」「スポーティ」から「エンジン屋」ってものまで全部正解といっていいみたいです。

  簡単にアウディの概略を書くと、カール・ベンツやゴットリープ・ダイムラーが活躍したドイツ自動車産業の黎明期に、アウグスト・ホルヒというエンジニアがいて、ます始めに「ホルヒ」というメーカーを作りました。その後に「ホルヒ」の経営から追い出されると今度は新たに「アウディ」を創業しました(アウディはラテン語でホルヒの意)。『WW-Ⅱ』前のドイツの高級車市場では、ホルヒがベンツやマイバッハに大差をつけて圧倒的なシェアを持っている一方で、アウディはホルヒのようなクオリティカー路線を志向するもののハイパーインフレ時代のドイツでは資金集めもまともに出来ずに伸び悩みます。

  そこに出て来たのが世界最大の二輪メーカーとなっていた「DKW」で、経営が苦しいアウディを買収し、有閑状態だったアウディの工場で「DKW」小型車の大量生産を始めたようです。その後DKWの取引銀行であったザクセン州立銀行とドレスデン銀行の画策により「ホルヒ」と二輪メーカーの「ヴァンダラー」が統合されてフォー・シルバー・リングスとなったようです。・・・つまり高級車得意なトヨタ(ホルヒ)と技術&高品質の日産(アウディ)それに二輪メーカーのホンダ(DKW)とスズキ(ヴァンダラー)が手を組んだみたいなブランドが現在のアウディということになります。

  そんなアウディですが、2000年代の圧倒的な勢いが、ここに来てやや影を潜めていて、どうやらブランドのキャラ設定に相当苦しんでいるようにも見えます。北米で躍進したレクサスIS、メルセデスCクラス、ジャガーXEの前に、対峙する意欲すら無くしてしまったかのような地味なアウディA4のFMC。プラットフォームを更新したばかりでまだまだ本調子ではない!とは言っても、条件はIS、C、XEも全く同じです。

  北米市場のプレミアムブランドでもSUVの販売比率が伸びてますが、こちらも圧倒的に優勢なのはレクサスで、ドイツ勢がもたもたしている隙をついてボルボとジャガーが進出しています。特にアウディの伸び悩みは北米でも日本でも鮮明で・・・これまでのアウディの強みって一体何だったんだ?というくらいに全ラインナップで後手を踏んでいる状況です。そんなアウディの悪い流れを断ち切ってくれそうなモデルが出てきました。日本での発売は来年になるそうですが、いかにも『クワトロ』って感じのスタイリングです。

  ジャンルとしては欧州と日本で流行しているジューク、ヴェゼルタイプのBセグベースSUVなんですけども、とても感心したのが安易な造形に走らずに、アウディのこれまでの伝統に即したスタイルをクソ真面目に踏襲しているところです。日本メーカーみたいにさ、ゴ◯ブリとかガ◯ダムとかにインスパイアされるのではなく・・・えーと顔じゃないですよ!サイドのラインがです!アウディの伝説の名車(今もあるけど)である「RS4アバント」を連想させてくれますね〜・・・。

  1990年代の日本で巻き起こった『AWDターボ革命』ってのがありました。イニシャルDに出て来る須藤京一は「AWDターボじゃなきゃクルマじゃねー!」とまで言い放ちました。そんなやる気満々の日本勢(EVO、WRX、GT-R)に対してたった1台で立ち向かったのが「RS4アバント」でしたねー。ただし280psで自主規制していた日本勢に対してRS4アバントは2.7LのV6ターボで380ps。2000年頃の数値をしてはかなり優秀!それもそのはず本物のスポーツチューナーであるF1のエンジンサプライヤーのコズワースが担当してましたから。技術頼みの日本勢の不粋さの残るエンジンに対して、欧州のレース文化で培ったエンジンの方が優秀だ!!と当時の英国メディアは結論しております。

  そんなアウディの金字塔を忘れないで、最新モデルのデザインに取り込む姿勢がいいですね(RS4アヴァントはまだ現役ですけど)!そういうデザインを取り込みたくなるほどに、開発者の情熱が詰まったモデルなんでしょうね・・・これは禁断の「デザイン買い」でいいんじゃないでしょうか!!!ちなみに中身はMQBの横置きエンジンで、A1に使う3気筒まであるようです。全長4191❌全幅1794❌全高1508mmとのことですが(誤植が多い雑誌からの抜粋なのでちょっと不安)、ちょっと腰高感があるヴェゼルが1600mmの高さなので、なんとも絶妙でいいところに収まっていますね。・・・初代アウディTT以来の何かをやってくれそうなオーラを感じるんですよ!


アウディQ2の動画

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