2016年7月4日月曜日

プジョー208 と アクア 「不完全コンパクトカー」の魅力

  一昔前は、免許取って最初の1台の定番といえばカローラだったですけども、今日では・・・1台目の定番コースはバリバリのフーガ!!!(もちろん中古車ですが、私の周りにも何人かいました)。最初から新車に乗っちゃう派(&潔癖性)になると、人気なのはアクアかプジョー208辺りみたいです。なんとなくスポーティで、なんとなくよく走りそう。それでいて乗り出しで200万円くらいで済む・・・どちらも日本とフランスそれぞれの「代表」みたいな雰囲気ももってますね。初心者にとってはいろいろな意味で「無難」な1台なのかもしれません。

  この2台は町中で見かけると結構よく似てます。どっちがどっちをパクったというわけでも無さそうですけどね。ネコ顔の208とおさかな顔のアクアだから違うといえば違うのだけれども、クルマから醸す雰囲気が同じ・・・ユーザーの視点もかなり近そうです。同クラスのコンパクトカーは他にもヴィッツ、ノート、フィット、スイフト、デミオ、ポロ、ルーテシアといろいろありますけども、他のモデルと比べて「208」と「アクア」はちょっとだけ「トレンディ」です。なんなんだ!その抽象的な表現は。ちょっとだけ・・・なんだろ「かわいい」ですかね。これならデートしても許される雰囲気がある!?

  ずいぶんと手前勝手な話ですけども、「アクア」と「208」がOKで、「その他」がNGだと感じてしまう理由を考えると・・・。ちょっと誤解を招くかもしれないですが、「アクア」に関しては走りが不自由だから! 「208」もまた右ハンドルが不器用で笑っちゃうくらいだから! コンパクトカーに乗るっていろいろ考え方があるとは思いますが、実は「不完全」こそがこのクラスの醍醐味なんじゃないですかね。 

  ちなみに「その他」のモデルは、廉価なコンパクトカーのはずなのに、その弱点を無様に晒すこともなく、なぜか不思議なほどにお買い得感を出してます。フィットやノートなんて近くで見ると「コレは結構広そうだなー」と感心するほど・・・。さらに走りを良くして、デザインも良くしてなんだかかなり無理しちゃってないですか?と心配になるくらいです。いくらあれこれ頑張ってみたところで、Bセグシャシーでそれなりの小型エンジンしか付いてないわけですから、クルマの本質としては限度があるわけですが、それをユーザーに感じさせないところに、「もしかして騙されてる!?」というちょっとした不信感が・・・。

  それに対してプジョー208は「狭そう・不器用そう」ってダメな雰囲気がプンプンしている。これが「逆」に好感が持てる!!!(アホですね・・・) 特に一番安い199万円のモデルなんて実際に相当な安普請ですけども、それもコミコミで208のキャラクターを受け入れたユーザーにだけ響くクルマなんだな〜・・・としんみりします。クルマが相当に好きでないとなかなか「納得して買う」というところまでは行かないかも。なんとも贅沢な話ですけども、モノが溢れ還っている時代ですから、どんなクルマ買ってもメーカーが見繕った機能がたくさん付いてきます。せっかく運転を愉しんでいるのに警報音とか鳴るのは勘弁してくれよ!!!っていう試乗車ばかりになりましたよ!!!なんだこの風潮は・・・。

  スバルのWRX STIみたいに余計な運転支援機能が付かないクルマっていいかもな。けどこのクルマでさえも、最大300psに年々ネットリさを増しているAWDが付いてきます。「シンプルなクルマが欲しい」という21世紀的(末期的)なクルマ観に取り憑かれて過ぎているんですかね〜・・・厭世?。typeRとかGTI倶楽部スポーツとかあってもいいけど、シンプルなMTのシビックやジェッタを売ってくれ〜・・・。なんで売らないかって?ブランドのスポーツモデル商売が崩壊するからでしょうね。とにかく「シンプル」に一定の価値がある時代!!!

  ひたすらに「ピュア」「プレーン」と宣伝しているマツダ・ロードスターが250万円〜ってことを考えると、数少ない「シンプル」でセンスが良いクルマの中で、ストイックに選択肢を絞るならば、プジョー208は存在感を増します!!! ナビがオプション!!大賛成!! シートベルトじゃないんだから、なんでも標準装備にすればいいってものでもないし、Bセグじゃ長距離も高速道路も使わないわけだし。だからETCも不要!・・・って人もいる。

  ボルボXC90とかBMW7erとか5m超のボデーの隅々まで、いろいろな機能が張り巡らされている1000万円以上するクルマもあれば、200万円で「何も付いていない」クルマもあっていいんじゃないの? そういうクルマを拡充するのって本来は国内の大手メーカーが担う役割だと思うのですが、T社もH社もBセグではなかなかセコいことやってて、MT装備車は最上級グレードといっていい価格設定(まあ安いですけど)。なんかヘンだよなー・・・若者にクルマの運転の楽しさを伝えるんじゃなかったの? 東南アジア向けにはちゃんとMTの廉価モデルがあるのにさー。そういうことをカーメディアで仕事するクソジジイどもも、なぜか関知しないですよね・・・。そのくせロードスターに「小物入れが無い!」とかヒステリックに喚き散らして、WCOTY車から「鬼の首獲った」かのような残念な人がいたり・・・。

  国内のM社はAT車とMT車を同じ価格に設定してます(なぜ?)。販売の主流のATがMTより割高だと心理的に売り上げに影響するし、MTが割高だとクルマ好きからそっぽ向かれるから・・・の極めて経営上の判断でしょうね。輸入車の「MT・3大ブランド」といえばポルシェ、ルノー、アバルトですけども、いずれも当たり前ですが2ペダルより3ペダルの方がかなり安い!!!国内メーカーでこの原理を一応守っているのが「S社」ですが、このメーカーは多感な若者が乗るにはやや社会的なハードルが高過ぎる気が・・・これでデートに行けるのか!?(さらに最近はM社と同じくAT-MT同額車も増えてる!!!)

  結論としてプジョー208は日本の若者の心を掴む売り方をしている!!!ってことです。MTブランドのルノー。ルーテシアの方が好きって人もいるでしょうけど、完成度高すぎ!!!やっぱり5ナンバーで「未完成」な魅力の208に不健全な欲情をしてしまいます・・・。

  それとは全く別の理屈ですが、トヨタ・アクアも独特の立ち位置にあります。アクアは環境性能以外の部分はやっぱり相当に安普請です。けどもスタイリッシュで燃費がよくて、トヨタだから!という安心感もあって・・・これはひと昔前の「入門車」カローラの発展的な後継モデルといってもいいでしょう。評論家連中は「これに乗っても運転好きにはならないよー」とかシビアな意見を述べますが、うるせー!!!日本の交通事情だとどんなクルマでも運転好きにはならねーって!!!(夜中・早朝に愉しむ輩は別だけど)

  Bセグの安普請なんてたかがしれてます。だって同クラスで一番良く出来ているクルマだってせいぜい「???」なレベルですから。これまでプジョー208がしばしば酷評&敬遠されてきた点としては、2ペダル車のミッションに使われていたAMTがやや扱いづらかったことです。同じ問題を抱えるフィアット(アルファロメオ)もこれには苦しめられました。最初から「3ペダルMTを買う!」と決めているユーザーにとっては、フィアットもプジョーもMTが一番安く買えるので嬉しいわけですが、ドイツメーカー車のようにそこそこ売れるためには、大多数の2ペダルのユーザーを納得させなきゃどうにもなんない。そこでちょっとコスト高でも、AMTに変えてトヨタ系サプライヤーの横置きATを採用したことで一気に解消されました。

  アイシンAW化によって「プジョーの個性が消える〜・・・」という声もあるようです。ちょっと面白かったのは、BMW、ミニ、PSA、ボルボが一斉にアイシンAW化する段になって、カーメディアがアイシンAWミッションを「激褒め」するようになったんですよね。中には、トヨタ向けと海外向けは仕様が違う(工場も違う)とかで「完全に別物」と断定したがる頑固モノも(そりゃ市場が違うんだから当たり前だろ)。

  長年トラブル無しでトヨタと付き合ってきた感覚では、やはり「エンジン」「ミッション」「サス性能」に関しては、日系サプライヤーのある程度定評があるものを堂々と使うべきだと思います。ポルシェやBMWは堂々と日本製を使うから優秀なクルマが作れるんじゃーーー!!!またそれ以外の装備は可能な限り簡略化してしまえばいい(エアコンすらも使い方次第では?)。「CVT」にしろ「ステップAT」にしろ乗用車向けのミッションってもはや選ばれたサプライヤーしか作れないほど高度になってきていますが、その大事な部分には最も安心して使えるものを選んでほしいです。あとは「安普請」でもいいじゃん。ちょっと前のポルシェだってさ・・・。

  そもそもBセグに限らずにあらゆる市販車は「欠陥」ばかりです。別にリコールが多いです!って話ではないです。例えば、かなり値引きで550万円でOKですよ!って言われたので某ドイツメーカーのDセグクーペに乗りに行きましたけど、右ハンドル車の足元には、大きめな縦置き8速ATのケースが収まらずに大きく張り出して左足のスペースを圧迫してます。なんじゃこりゃ?って思いましたね。乗り出しで400万円もする別のドイツメーカーのCセグの上級モデルでもほぼ同じようなことが起こってましたけどね。「これでいっか!?」って感じに興ざめします。

  「欠陥」だらけとは知らずに高級車に乗っている人は、プジョー208みたいなクルマを見て、その安普請ぶりに「あり得ねー」とか勝手なこと言いますけど、高級ブランドのクルマだって、まあほどほどにクソだったりするわけです。それでも作り手も乗り手も「いいクルマ」だと胸を張る・・・このとっても不健康な関係が一度リセットされない限りはいよいよクルマは「ジ・エンド」かもしれないな〜。街中でプジョー208とアクアを見ると、まだまだ「ちょっとした」希望があるかな・・・と。


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