2017年3月3日金曜日

シトロエンDS7クロスバック 「PSAグループ渾身の咆哮!?」




  日本に導入されるかも全く解らないモデルなんですけども、たぶんこのクルマは近々日本に導入されると思います。せっかく日本市場向けにディーゼルエンジンを微調整して、プジョーとシトロエンの複数のモデルに搭載してきたPSAグループですが、まだまだ現状ではDSを含めた3ブランドでボルボやMINIの足元にもおよばない販売台数しか計上できていません。ボルボやMINIよりも躾けのいいディーゼルエンジンや新設計シャシーを用意していて、さらに価格ではマツダのディーゼル車と張り合うくらいまで頑張っているんわけですから、もっともっと売れてもいいはずなんですが・・・。

  あくまで個人的な意見ですけども、PSAグループはまだまだ日本の輸入車が欲しい層に訴える「要素」が足りないですね。何より輸入モデルに必要なのは「憧れ」を演出できる部分が入っているか!?なんですが、「さすがはフランス!!」と感じさせる要素を意地でプロデュースできるかどうか!?しかしフランスメーカーはあまりそういうこと考えないみたいです。そんな中でもシトロエンの名車「DS」の名前を受け継いだ「DS」ブランドは、「憧れ」の演出がうまく表現できているので、これをメカ的に完全武装すれば大ヒットもあると思うのです。いよいよディーゼルを搭載したDS5が発売されますから、今年(2017年)こそは躍進の1年になるのかなー。

  輸入ブランドで上位を占めるドイツ勢はブランド力ももちろんですが、カーメディアの手厚いアシストもありますし、ディーラー網など輸入車が初めてという人でも踏み出しやすい環境にあります。PSAも自前のディーラーではなくて、ヤナセなどの国内の販売網を利用するのもいいと思いますし、近年では非常に近い関係にある三菱のディーラー網で売ってもらったりすればもっと売れるんじゃないですかね・・・。

  ということでこれまでPSAに対して否定的(!?)な日本のユーザーの眼を一気に釘付けにするかもしれないモデルが欧州で登場しました。おおー・・・この顔は日本のユーザーが好きなアルファード!?とアウディと三菱(アウトランダー)を足して3で割った感じ!?。いやいや最近デザインで好調なスズキみたいな爽快感が心地よい!?とりあえず欧州で人気だけど日本には未導入なフォードやオペルのデザインよりも日本の感覚に馴染みますよね。変にマツダっぽくないのもいいかも。オペルからはとうとうCX5のそっくりさんが登場しましたが、これが日本で売られたら爆笑!!ってくらいに見慣れたシルエットです。

 

  話はDS7クロスバックに戻しますけど、PSAグループが日本で売れない理由は、割とハッキリしていて、ちょっと前の世代のPSA車があまりにも評判が悪くてイメージが悪化したまま全く収拾がつかないまま今に至ったという事情があります。なにが悪かったか?というと右ハンドルのレイアウトが劣悪であることと、2ペダルのミッションがあまりに不誠実で出来映えだったことの2点に凝縮されます。それでも3ブランドのアイデンティティに心酔して、そんな欠点にも目を瞑り乗り続けた心の広い人もいたのですが、リーマンショックを境に上級モデルが更新されなくなり、右ハンドル国のラインナップから消えPSA自体も赤字転落で経営再建策を採るも、やはり他の赤字転落メーカー(スバル、マツダ、オペル、ルノー)に比べると対応が遅かったような・・・。

  欧州メーカーにとって2000年代後半から現在までの経営は、簡単に言ってしまうと「SUV開発のスピード」に大きなポイントがありました。欧州の基本はCせぐハッチバックだ!!とばかりに力を入れて開発された、VW(ゴルフ)、マツダ(アクセラ)、プジョー(308)ですが、思いの他に貢献利益は小さくて「儲からなかった」です。マツダは収益のほとんどを利幅が大きいCX5が稼いだとレビューされていますし、VWやプジョーは厳しい状況が続いています。

  欧州最大手のVWグループは、SUV開発の遅れで北米シェアを大きく落としたことを首脳陣が認めています。これに対し日産車をベースにしてもっともスピーディに開発を成し遂げたルノーはこの数年で欧州全域で大きく躍進しました。日産は欧州でSUVブームに火をつけたパイオニアとしてジュークとキャッシュカイ(エクストレイル)は今でも「欧州SUVの顔」となってますが、トヨタをはじめとした他のメーカーもいよいよ販売を開始して勢力図が変わってきたようです。

  特に欧州で売れている、ジュークやキャプチャーを追いかけるモデルとして登場した「アウディQ2」「マツダCX3」「トヨタCH-R」は先日発売されたTOP GEAR JAPANでも徹底特集されていましたが、マツダとトヨタの「ただならぬ意欲」が、アウディを内装のクオリティで圧倒する!!という想定外の事態だと報じています(本当かよ!?)。確かにプラスチック丸出しのQ2のインパネに対してCX3とCH-Rにはコンパクトカーとは思えない「特装トリム」が展開されていますね・・・。どうやら素材王国・日本では「プレミアム・コンパクトSUV」というジャンルにおいて「過当」な競争原理が働いているみたいです。

  トヨタとマツダは、このコンパクトでぶつかり合う前に、すでに「ハリアー VS CX5」でハイレベルな戦いを繰り広げました。TOP GEARが報じる「アウディ包囲網」がすんなりと成立した背景には、ハリアーとCX5をそれぞれ真剣に作った経験が生きているようです。辛口で知られるTG誌では、「CH-Rは86に匹敵するくらいトヨタの気迫を感じる」「CX3にはロードスターの魂が乗り移っている」という好感度抜群のコメントを引き出しました(本来の日本車の武器である静粛性ではアウディQ2に遅れをとっているという指摘も同時にありましたが・・・)。


本来ならばPHEVというハイテクを持ち込んだ三菱アウトランダーや、世界的SUVの権威である日産が、カイエンやレンジローバー・スポーツにも対峙できるようなトラクションコントロールを組み込んで仕上げたエクストレイルが、台頭するはずだった中型SUV市場でした。しかしトヨタとマツダの意気込みは発売当初から抜きん出ていて、内装レベルで完全に後手を踏んだ三菱と日産は慌ててMCと特別グレード設定で巻き返しを図るものの時すでに遅し・・・。「ハイテク」が「デザイン」に屈するという皮肉な結果に。アウトランダーもエクストレイルも非常によくできていますけどね・・・。

  SUVに関してはかねてより三菱と共同で開発を行ってきたPSAですから、中型SUVの新型モデルには期待できます。さらにトヨタともコンパクトカー(Aセグ)で共同生産するなどパイプを持っていて、グローバルではトヨタによる「VW包囲網」の一翼を担っています。さらにトヨタ系列のアイシンAWからFF横置き用6ATの供給を受けていて、よりラグジュアリーに使えるSUV作りに向けて「武器」が揃ってきました。PSAが開発したEMP2プラットフォームに、尿素SCRで後処理をするディーゼルエンジンも用意されています。

  「機は熟した!!」・・・と思いますよ。日本市場ではレクサスの販売がNX/RX主体となり、マツダも新型となったCX5と今年発売するCX6に全てを賭けています。これまで上級セダンが担ってきたアッパー・プライベートカー(ハイソ・カー)を、いよいよラグジュアリーに振った中型SUVが担っていくという「地殻変動」が起こっています。明らかにマークXよりもハリアーに開発費用が使われていますし、同じくアテンザよりもCX5が全てにおいて優先されていますが、これはメーカーの分析・予測に基づく判断だと思います。

  2ペダルのSUVと、3ペダルのスポーツカー(もしくはオープンルーフ車)の2台を所有するのがこれからのクルマ人間の基本スタイルとなって、セダンとかワゴンとか消えていくんでしょうね・・・。「ハリアー&86」か?「CX5&ロードスター」か?「マカン&718ボクスター」か?「ヴェゼル&S660」というイケイケコンビもあるかも。3ペダルなんて要らないって人も、2ペダルでゆったりしたSUVは必要なんですが・・・NX/RX、ハリアー、CX5、エクストレイル、アウトランダー、アウトバックなどなど、でもなんか物足りないなー。もっと色々参入できそうな感じがします。VWティグアンとプジョー3008がすでにスタンバイしていますが、やっぱり「華」を求めるならば「DS」ブランドの出番じゃないかなー・・・と思う次第です。早期の日本導入を期待したいです。





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