2016年7月19日火曜日

VWゴルフ FFスポーツに活路を見出す!?そして世界が動く・・・

  「FFスポーツモデル」の販売の盛り上げに、日本と欧州の幾つかの陣営が積極的に動いています。比較的手頃に愉しめる価格帯でスポーティなクルマはもっと売れていい!その潜在的な市場を掘り起こすために、複数の陣営が『小競り合い』を演出することで、少しでも多くの人に注目してもらおうといったマーケティングのようです。クルマにはあまり興味がないオッサンが「カッコいいかも!?」といった軽い好奇心で引き寄せられる「怪我しないスポーツカー」市場は、メーカーの予測をはるかに上回るシェアが隠れているようです。

  FFという駆動方式は、パッケージに優れるばかりでなく、軽量化もしやすい構造上のアドバンテージもあるので、アプローチによってはRWD車と同等以上に軽快なハンドリングを追求することもできます。つまりRWDで軽快なハンドリングを追求すると「マツダ・ロードスター」「ホンダS660」「ロータス・エリーゼ」といった、乗用車としてはなかなか潰しが効かないクルマになってしまいますが、FFベースならば「ルーテシアRS」「アルトワークス」「アウディS(AWD)」といった、ある程度の実用性を兼ね備えつつも『スパルタン』なモデルが可能です。

  この利便性を前面に押し出してプロモーションすればFFスポーツは絶対に人気が出るはず!!とは思うのですが、そんな思惑を軽くぶち破ったのが2012年に華々しくしくデビューした86/BRZで、同年に惜しまれつつ消えていったRX8の『喪失(ロス)』を全く感じさせない活躍をみせました。FRのドリ車として迫力のイメージ、4座による実用性の高さ、徹底的なコスト管理で実現した低価格・・・これだけ揃えられてはシビックtypeRみたいなクルマがたくさん売れる余地はなく、FFスポーツにとっては完全に逆風が吹きました。

  この86デビューによって俄に盛り上がりを見せたスポーツカー市場では、RWDのスポーツカーばかりが脚光を浴びました。86の大成功の裏では、先代よりも圧倒的にデザインが良くなった現行のポルシェ・ボクスター(718ボクスター)が、これまた歴代ポルシェの記録を塗り替えるほどの大ヒットを日本で記録していました。86の登場によってスポーツカーが注目され、スポーツカーが欲しくなったユーザーの中には一定の割合で、「もっと本格的なモデルを!」という希望もあり・・・それを600万円そこそこの適度な価格のボクスターがごっそり持っていった!!というのが真相じゃないかと。

  2015年には86の乗り換え需要を睨んだかのようにマツダロードスターとホンダS660が登場しました。86に3年乗ってみて、「やっぱり屋根開いた方がいいな!」と感じていたユーザー層が当然ながらに乗り換えに動いたでしょうね。それにしても86の中古下取り価格はトヨタの見事な戦略?によってかなり高値で安定しています。乗り出し300万円で3年3万キロなら余裕で150万円以上になるようです(乗り換えラクチン!)

  スポーツカーの王道といえるRWDのモデルが次々と登場して盛り上がっていますが、その影に隠れてひっそりと消えて行くのが決まっているのが、ホンダCRZとプジョーRCZといったFWDのスポーツモデルです。手軽に乗れるスポーティなモデルとして今後の主流になっていくか?と思いきや、この2台はあくまでアウディTT基準で設計されているので、ユーティリティ面では期待できなかった・・・。さらに日本のスポーツカー・ユーザーは非常に保守的なようで頑なにRWDを志向しますし、最終的にはトヨタの大英断(86発売)によってトドメを刺された格好になりました。一時はFFのスポーツモデルの最前線にいたマツダやホンダが気がつけば完全に「RWD路線」へと鞍替えしています。

  「FFニュル最速」と鳴り物入りで日本にやってきたルノー・メガーヌRSも、プロモーションの成果も虚しく日本では全く火が付く気配がないです。アウディが用意した超絶ホットハッチのS1も『さっぱり』です。どうやらFFベースで400万円越えたらアウトみたいですね。日本市場はなんだかんだ言っても輸入モデルに対しては難攻不落な場所で、単純に価格下げるしか突破できる道が見つからないですね(日本価格だけ高いなんて論外!)。特にFFモデルには厳しいですね。やっぱり『あの漫画』の影響が大きいのでしょうね。FF車に乗っているキャラクターはやたらと性格が悪いカス野郎として描かれてましたから・・・(ランエボも酷い扱いでした)

    さてそんな『中二病』?で末期的なスポーツカーユーザーの根性を叩き直すために、欧州メーカーの大ボス・VWが本腰を上げて、突然にスポーティ路線を採りはじめました。VWも『ちょっとした』問題発生で騒がれてしまい、日本での販売も低迷しましたが、今年に入って早くも徐々に販売台数も回復しているようで、さらにこの苦境から完全に抜け出して、新たなファンを獲得するためのプロモーション戦略の『始動』といったところみたいです。

  もちろん何のコトを言っているかというと「FFニュル最速」の称号をニュルブルックリンクがある地元ドイツ勢の手に取り戻して、ドイツ自動車産業の誇りを取り戻した件です。フランスや日本のメーカーにレコードを獲られるのは『国辱』ですから、そんなナショナリズム的な国威発揚的な意味があります。ドイツは羨ましいですね。日本にも海外メーカーが来るサーキットすらない・・・。某日本メーカーはラグナ・セカ(アメリカ・カリフォルニア州)の命名権なんて買っている場合じゃないよ〜。

  近年はニュルでの度々の『屈辱』が報じられるポルシェ(エンジンで勝てないからEVってさ〜)に代わって、ポルシェよりも速いVWまでが出てきています。ポルシェのユーザーにとってはちょっと看過できない事態ですけども、実際に0ー100km加速もニュルのタイムもノンターボのポルシェでは軽く負けちゃうレベル。もちろんVW車も加速重視の超絶モデルはゴルフR400というAWDになりますけども、欧州ではすでに発売されているFF駆動のGTIクラブスポーツの「S」という特別グレードもこれまた相当に速いのだとか。

  VW本格参戦でなかなか面白い展開になってきました。一般ユーザーからの信頼が薄れたVWは、カーメディアを使って下手にステマをするよりも、直球勝負で世界に「VWはやはりナンバー1だ!」と刻み込ませる戦略を採りはじめたようです。安易なメディアプロモーションによって販売台数を底上げするのではなくて、スポーツモデルでファンを掴むという『ピュア』な戦略によってブランド力の回復と新たなる市場開拓が狙いでしょうね。そしてなによりも『ゴルフのシャシー性能の高さ』を考えると、それを使ってスポーティなモデルによってポテンシャルの高さを見せつけるという戦略は非常に理にかなっていると思います。BMWもフォードも一目置くVWのシャシーに、圧倒的な資金力を投じて開発したスポーツエンジンを積めば、FF車を生産するブランドで追従できるところは無いはずです。


  そんなVWに絡んで知名度を上げようとするメーカー(挑戦者)は出てくるでしょうね。あまり資金力が無いブランドにとってこれは絶好のチャンスです。「86の波」に乗れなかった残念組というわけではないですが、今度こそは!!!とAMG、フォード、ルノー、プジョー(PSA)、ホンダ、マツダ、日産といった名だたるエンジン屋がすでに臨戦態勢です(日本撤退のフォードが惜しいなー)。VWが示す水準あるいはそれ以上の領域で各ブランドが火花を散らせば、86やロードスターどころか、『出足&二の足』で911やコルベットを軽くぶち抜いていく350~400psクラスのホットハッチが世界中で目撃され、ハッチバック・レヴォリューションと呼ばれる日々がやってくるのも近いのでは・・・日本では販売なしか!?(何言ってんだコイツ!?と思った人は下の動画見てみて!!FFマジで熱いです!!)



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