2016年6月28日火曜日

格安メルセデスに厳しい事言うのはもうやめましょう!!!

  日本で多く見かけるようになった新型のメルセデス車。それもそのはずで販売台数は輸入車ブランドでも頭一つ抜けた存在です。前々からちょっと気になるのが、割と信頼できる評論家筋からの新型メルセデスへの評価がいまいち高くないことです。いくつか実際に乗ってみたのですが、うーん・・・どうもいまいちクルマ好きの気持ちは捕まえ切れていない「煮詰め不足」はあるのかな〜。よく考えてみれば10年前も20年前もそれほどクルマ好きが率先して乗りたい!!!というブランドでもなかったわけですけども。

  高所得な世帯が多いといわれる人気の「街」では、メルセデスを新旧問わずそこら中で見かけますから、たとえば「自由が丘(東京都目黒区)」みたいなところに住むならばマストなブランドだと思います。こういう事を書くと、必ずといっていいほど「目黒なんて田舎者ばかりが有り難がる街だから!無駄にメルセデスが多いんだ!」なんてご意見を頂戴するんですけども、その辺のことは一応わかった上で書いているので悪しからずに。

  ありがたいことに、最近ではメルセデスの取得価格がかなり下げられていて、女性が乗り回す分には不足なしといったモデルも非常に充実しています。自動車メーカーの鉄則は「女性をねらえ!」ですから、メルセデスの近年の成功はまったくのセオリー通りです。あと「メルセデス」というブランド名もポイントでしょうか。女性は「マ行」と「ナ行」が好きという「ネーミング」マーケティングの基本もしっかり押さえられています。「レクサス」「アウディ」「ボルボ」よりも「メルセデス」「BMW」「アルファロメオ」なんでしょうね。

  また女性をターゲットにすることで、あまり「スペック」を意識しなくても売れる!という好循環があるようです。文句ばっかり言うアホなクルマ好きを相手にするよりも、女性を上手く取り込んだ方が圧倒的に効率がいい!!!結局アホなクルマ好きもあくまで「男」なので、女性が興味を示すブランドにフラフラと寄ってきますから。メルセデスを買う独身男の意図は「婚活」以外の何者でもない!!!・・・なんて便利なブランドだろう。

  ターゲットが「女性」&「婚活男性」ですから、ハッキリ言ってクルマの中身なんてもう「どーでもいい!!」わけです。全く不要で余剰気味の駆動系のコストをガリガリ削って、その分をデザインに回すという戦略も、エコカー全盛の日本では見事に当たっていると思います。「女性にモテる」「見栄えもいい」「燃費もいい」これだけ揃えば商品力は十分!!!

   こんな戦略を採るメルセデスに対して評論家のみなさんは異口同音に「くだらねえ」異論を呈します。さすがにメルセデスを慮って「本質的」な話に突入するヤバい輩はいませんが、心中を推し量るととんでもなくエグい「毒」が出てくるはずです。代わりにちょっとその「毒」を示してみましょう!!! 例えば・・・「メルセデスを買う」ことの本来の意義はメルセデスが最古参の自動車メーカーとして培ってきた自動車技術の「塊」を手に入れること!!!であって、その肝心なところが抜け落ちたモデルはもはやメルセデスではない!!!といった話です。

  メルセデスのエンジニアリングは、VW、トヨタ、GM、ルノー、ヒュンダイなどの巨大グループが林立する中でも、経営基盤こそ小粒なものの、圧倒的な高級車シェアを利していて高級ユニットの製造に関しては非常に高い理想を掲げています。だからこそ高いカネをかけてまでメルセデスを選ぶ意義がある!!!(んだそうです)。端的に言うならば、高級車の乗り味を決めてしまう「縦置きステップAT」は、もはや世界では「ZF」と「アイシンAW」という2つのサプライヤーにほとんどのブランドが頼っているのが現状です。ただし高級車のナンバー1ブランドを自認するメルセデスは、自社専用の縦置きステップATを独自に開発しています。

  サプライヤーとメーカーの「ひとまたぎ」が存在するのは、ほぼ100%コスト意識の現れです。メーカーが究極のクルマを作りたいならば、全てをケチることなく最適化された部品を内製すればいいわけです。瑣末な部品ならまだ理解できますが、クルマの本質を決定する「ミッション」をコストの対象にするのはいかがなものか?というわけです。

  クルマの乗り味を大きく左右する決定的な部品がミッションですが、世界の高級車が挙って採用するのが多段式ステップATです。日本車を中心に燃費競争が過熱していた頃には、ATは「完全に終わった」などと言われてましたが、その後の改良により今ではそのジェントルな乗り心地を武器に見事に復権しています。とはいってもその改良によって、製造コストの面で今ではDCTやCVTを大きく上回るようになりました(もちろんピンキリですが)。世界の高級車市場で競争力がある「多段式ステップAT」は、あまりに設計が複雑になったために、「トルクコンバータ」部分などは機械組みができなくなっていて量産が難しく、まさに職人の手による「工芸品」になっています。

  この「工芸品」に手間を惜しまずに取り組んで自社製で勝負するブランドこそが真の高級車ブランドだと言えます。ジャガー、アストンマーティン、BMWといった錚々たるFR車ブランドはZF製を採用して済ましているのが現状です。またGMとフォードは合弁で独自に縦置き8ATを仕上げていますが、どうやらこれは80kg・mオーバーのトルク容量を持つ1000万円超のスポーティモデル専用みたいです(ちなみにATの元祖はGMです)。これに対してトヨタ(レクサス)はアイシンAW製を、日産(インフィニティ)はジャトコ製の多段式ATを「擦り合わせ」で高級車向けATを特注で作っています。このトヨタと日産の鍔迫り合い対して互角に戦えるポテンシャルを持つのがメルセデスなわけです。余談ですが、この三つ巴に新たなる挑戦者が現れました!・・・新興プレミアムブランドの「ジェネシス」も立ち上げと共に現代パワーテック製の縦置きATを導入してきました!!!おー!!!最高の高級車を作ろう!!!というヒュンダイの心意気は評価したいです。

  ちょっと長くなりましたが、「メルセデスを買うなら・・・」という評論家のボヤキなど、せいぜいこの程度のものですから、無視してFFメルセデスをオシャレに乗ればいいじゃん!!!ってのが私の個人的な意見です。ちなみに本来の「メルセデスらしさ」が楽しめるクルマで最も安いモデルが「C450AMG」というCクラスの上級モデルです。これからの高級モデルの標準スペックとなる「3L6気筒ターボ」を積んで、職人技の7ATが付いてきて本体価格が863万円です。「ここから上が本物のメルセデスだ!」と言われればまったくその通りなんですけども、そんな輩の価値観にわざわざ付き合わなくてもいいですね・・・。

  お手軽価格で買えるメルセデスには「横置きDCT」というミッションが使われています。大量生産されるMTミッションに外部サプライヤーが開発した自動変速機をポン付けした安物です。基本的にサプライヤーに丸投げなのはVWやホンダ(廉価モデル)と同じです。ただしその分だけ内装にコストが割り振られているわけですし、300万円そこそこというお値打ち価格で、女性が目黒区を乗り回すには十分な「外観的」スペックを備えていますから十分にお買い得だと思いますよ。どうせ周囲の住人なんてみんな田舎モノですから、クルマの良し悪しなんてわかってないミーハーばっかりですし・・・。


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