2016年5月31日火曜日

ミニ、プジョー、ボルボが日本で好調なメカ的な事情。

  シトロエンDS3がフェイスリフト!とか言われても、まだまだレアな存在で新鮮さ十分だった現行デザイン、しかも評判がとてもいいわけですから、なんか「もったいない」気がしないでもないです。それでも良い面もあって、現行モデルのユーザーがそのままスライドの代替えをすれば、なかなか見栄えがするDS3が中古車市場で流通するようになって愉しいカーライフをゲットできる人も増えそうです。5年落ちのDS3が100万円くらいで買えるようになれば・・・そう願っている人は結構いるはず。

  日本のコンパクトカーでも100万円以下となるとよっぽど年式が古いクルマだったりします。とりあえず7年以下ならば中古車なかなか高値でとどまっています。日本車の場合は新車乗りだし価格より50万円くらい安ければいくらでも買い手がつくみたいで、プロのバイヤーがおいしいところはことごとく法人需要に回してしまうようです。個人よりも法人相手の方が面倒くさくないでしょうし・・・。

  しかしさすがに輸入車を商用車にすることは少なく、あったとしてもルノー・カングーのようなやや特殊な車両くらいです。これらの事情を鑑みても、いろいろ条件を詰めて比べてみると、案外に中古車ならば輸入ブランドの小型車の方が買いやすかったりします。ただし部品交換が絡んでくると少々やっかいではありますが・・・。ただし2012年以降のモデルであれば、比較的にトラブルの少ないミッションが付いていたり、電装品の品質も良くなっているともっぱらの評判です。

  この頃(2012年)から衝突安全性の定義が大きく変わったりアメリカでは消費者支援のレポート雑誌が人気になるなど、自動車産業を取り巻く環境が一変しました。2011年の大震災で大きなダメージを受けてホンダ以外のすべての日本メーカーが赤字に転落しました。さらにとどめを刺すかのように、トヨタやホンダに燃費やリコールの騒動が巻き起こりましたが、品質をレポートするアメリカの雑誌が、ことごとく日本メーカー車を高く格付けしたために2014年には各社ともに震災以前の水準までV字回復しました。衝突安全でメルセデス、アウディに圧勝したスズキが北米からフェードアウトしたのは残念ですが・・・。

  負け知らずの日本をお手本に、世界のブランドでクルマ作りの姿勢が変わってきたのも多くのメーカーが赤字に転落したリーマンショックの頃でした。品質不良に悩まされてきたアルファロメオが、三菱のライセンスエンジンを採用するなど、日系サプライヤーが欧州ブランドでも活躍するようになりました。特に近年の欧州車の水準アップに大きく貢献しているサプライヤーが「アイシンAW」でしょうか。おなじみのトヨタ系列ミッション・サプライヤーですが、アイシンAWATを採用した欧州車はどれも非常に扱いやすくなりました。

  その代表格が「BMWミニ」「シトロエン」「DS」「プジョー」「ボルボ」といった面々です。BMWFFモデルなどにも採用されています。BMWの本流であるFRシャシー車ではZF製ミッションが使われていますが、これは動きだしとキックダウンの時にそれぞれエラー的な挙動が出ることが多く、このミッションの特性をよく理解していないで乱暴に操作するとすぐに走りがシャクれます。それがBMWユーザーには魅力なのかもしれないですが、例えば信号GPでミニとBMWが対峙するならば、「出足の挙動」の優劣に加えて「FFのアドバンテージ」「シフト回数の少なさ」でミニの方が確実に有利なはずです。

  速さはともかく、アイシンAW製ミッションの普及によって、ミニとPSAとボルボは非常に日本市場と親和性が高いブランドへと成長しつつあります。この傾向は販売台数にも大きく現れていて、去年までミニとボルボは1000台そこそこの水準だったのが、ミニはアウディ(2000~3000台前後)を完全に射程に収め、ボルボもこれに続いています。アウディの小型車はVWと同じボルグワーナーのライセンスDCTを使っていて、ギクシャク感ではアイシンAW勢よりもかなり不利な状況なので恐らく今年中にミニとボルボに逆転されると思います。

  メディア露出はジャガーなどに比べてだいぶ少ないのに、ジャガーの3倍も売れているのがプジョーでいよいよ「1000台ブランド」の仲間入りを果たしました。デザインなどの要素でプジョーを上回ると見られていたルノーやフィアットは割安にも関わらず成長が停滞気味です。どちらもガリガリの低価格戦略なので、日本車が使うCVTはコストに合わず(日本の軽自動車はエンジンよりCVTの方がコスト高!!!)、フィアットはイタリアのサプライヤー・マニエッティ=マレリが作ったAMTを使いますが、これがいすゞのライセンス切れの設計をそのままパクった?として知られる骨董品です。

  ルノーが新たに採用している6速EDC(DCTのルノーの呼称)は、フェラーリやGT-Rでも採用されているゲトラグ製です。ルノー小平(地元です!!!)の店員ブログによれば、ATのように滑らかなシフトチェンジが魅力とされてますが、これを採用していたフォードが日本撤退を決めるなど、あまり良い結果が出てないです。今のところはボルグ&ゲトラグのDCT勢は日本で不調です。・・・VW、アウディ、アルファロメオ・・・。


  日本で売るんだったらアイシンAWかジャトコ使え!!!なんて高言するつもりはないですけどもね・・・。いち早く順応したミニ、プジョー、ボルボ、シトロエンが手頃な価格で拡販すれば、結果的に中古車市場の主役になれるのかな!?という気がしないでもないです。


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