先日、マスタングに乗りにいって以来フォードからしばしばDMがやってくるようになりました。DMの頻度は売り上げの好不調をかなり表しているようで、販売好調が伝えられるマツダやメルセデスなどは新車発表のタイミングくらいしか来ませんが、フォード以外にもBMW、MINIあたりは相当に苦戦しているようで、目立つ位置に「50万円の購入資金プレゼント」(つまり値引き)が書いてあったりします。
そんなフォードのDMには必ずといっていいほど、ビックリのスペシャル価格で登場するのがCセグ車のフォーカスです。1990年代に欧州で大ブレイクして、ゴルフやシビックを蹴散らした欧州フォードの生んだ屈指の名車ですが、マツダ車(アクセラ)と共通設計ということであまり熱心なプロモーションもなかったため、日本では全く知名度がない?クルマですね・・・なにそのクルマ?が普通のリアクションです。
ベンツ、BMW、アウディ、VW、ポルシェ・・・ボルボ、ジャガー、ミニ、ランドローバー、プジョー、シトロエン、ジープくらいですかね。一般の人々に説明なくすんなり理解されるブランドは。フォードとかルノーとか堅実なクルマ作りができるメーカーが日本でもグローバル・フルラインナップを揃えてくれれば、日本メーカーももっと努力するようになって、オッサン相手の軽スポーツカーじゃない形で個性的なモデルが期待できそうですが・・・と悲壮感を込めて書きながらも、ルノーとフォードは今後は日本でもジワジワ来るのではないか?という予兆を感じています。
フォーカスの現行日本モデルは、一応グローバルで現行の3代目の前期に当たります。欧州ではディーゼルがあるので、その気になればマツダやボルボのように日本でも展開できます。2011年発売から2年遅れの2013年に日本に導入されましたが、2L自然吸気エンジンの1グレードのみで、設計自体はボルボV40や先代アクセラと共通のプラットフォームなので、エンジンバリエーション的にもなかなか売りにくい立ち位置ではあります。
ちょっと余談ですが、旧フォードグループは縄張りをしっかり分けているのか、共通設計かつ共通エンジンの別ブランド車が同一市場に登場しないような工夫が、グループ解体後からなんらかの契約に縛られて有効になっているようです。マツダエンジンを積むフォーカスが日本に投入されたタイミングがちょうど、先代アクセラの2L車がスカイアクティブ化した後のタイミングでした。ほぼ同時期に登場したボルボV40には、これとは全く別の1.6Lエコブースト・エンジンが搭載されるなど、アクセラ・フォーカス・V40が全て異なるエンジンを積んで共存してきました。
単純にドライビングだけを楽しむならば、「スカイアクティブ」や「エコブースト」といった低速トルクを重視したエンジンは、「回す」という点では限界があるので、フォーカスが使いつづける「自然吸気・ショートストローク」が一番気持ちいいとは思います。しかしフィーリングに関してはスペックに反映されませんし、低速トルクの使い勝手の良さが一般に浸透してきて、NAショートストローク自体がスポーツカーしか使わないあくまで趣味のエンジンと見做されつつあります。
売る側としてはいまいちセールスポイントが掴みづらい部分もあるかもしれません。私が営業マンなら「低速トルクなんて運転が下手な人向け!本当のドライビングを知りたいなら迷わずNAショートストロークですよ!」くらいのこと言いたいです。運転が大好きなアメリカ人にはこのエンジンがまだまだ人気なようで、2016年モデルとなった本国のフォーカスでも主力エンジンとして使われつづけています。さらにアメリカではフォーカスのスポーツモデルである「ST」が用意され、これが先代からファンを増やしていて、ゴルフGTIやWRX-STIのようにCセグGTカーとして立派に市民権を得ており、2Lターボ(252ps)が使われています。また新たに「RS」というマスタングに使われる2.3Lターボを横置きにした300ps越えのエンジンを装備したグレードも追加されたようです。
さて2016年モデルのフォーカス(3代目後期)ですが、フォードから絶賛発売中のマスタングに似たフェイスへ大きくチェンジしていて、日本で売られている前期モデルとはまるで別のクルマです。あのマスタング顔をCセグに当てはめると、スバルのインプレッサやレヴォーグに似た印象になります。昨今の日本のCセグ市場はなんといってもデザインありきの「外面主義」ですから、現在の不調なフォーカスの弱点をしっかりとマーケティングした上での大幅デザイン変更が施されていますが、北米でも好調なスバルがベンチマークだったのかもしれません。
Cセグ=デザインの風潮を築いたのは、マツダアクセラ!・・・ではなくメルセデスAクラスとVWゴルフの競り合いに端を発しています。フォーカスだけでなく、アルファロメオ・ジュリエッタやその輪郭をなぞったトヨタ・オーリスそしてプジョー308やルノーメガーヌ、BMW1シリーズといった錚々たる顔ぶれをまとめてに置いてきぼりにするくらいにAクラスとゴルフは洗練されたデザインでした(スペックはともかく)。置いて行かれたクルマはその後相次いで、フェイスリフトが行われ、308はゴルフをお手本にし、メガーヌは新生ルノーの「ヴァンデンアッカー顔」(マツダのチーフをヘッドハンティングした!)に生まれ変わり、1シリーズも大変身となりました。
Aクラスとゴルフの洗練度に対抗できたのがアクセラ、インプレッサ、レクサスCT、ボルボV40、DS4、アウディA3といった面々で、これだけ数が揃ってもなおスペックはドングリの背比べですけど、デザインに関してはかなりハイレベルな拮抗といって良さそうです。この中で注目したいのが、日本車よりもお買い得?と思える価格を付けて登場した「ルノー・メガーヌ・ゼン」で、他の各車がプレミアム志向なのに対し、逆張り路線で勝負をかけてきました。マスタング顔のフォーカスには北米と同じくいよいよ戦略価格(250万以下!)の1.0Lエコブーストが投入されるでしょうが、2L自然吸気も残るといいな〜・・・(選ばせろ!)、さらにCT(2Lターボ)やRS(2.3Lターボ)をお手頃価格(CTが350万でRSが400万で!)で出すことで、700万円とかいう価格でぼったくっているA45AMGやシビックtypeRに冷や水を浴びせてほしいですね!
追伸・フォードジャパンからは1.5Lターボ(309万円)がすでにアナウンスされています。
リンク
「最新投稿まとめブログ」
↓マツダの設計を使っているのに、スバルに憧れているクルマ!?
0 件のコメント:
コメントを投稿