プジョーには「クーペ407」という悲しい星のもとに生まれたモデルがありました。このクルマに限らず2000年代の後半に登場した「ちょっと贅沢」なモデルは大体同じような運命を辿ったようですけど・・・。「セダン冬に時代」とか言われた中で自動車メーカーがアイディアを搾り出して、中には優れたデザインのものも含まれていました。その中でもトップクラスに輝いていたのが、この「クーペ407」だった!と断言できます。
あまりクルマに興味を持てなかった30歳手前くらいの私を無理矢理クルマの世界に引っぱり込んだのがこのクルマでしたから。当時話題になっていたハイブリッドカーは2台目プリウスを筆頭にどのモデルもとても酷いリアデザインをしていました。その一方でこの「クーペ407」は完全にリアで主張するデザイン!これには頭をガツンとやられた気分でしたね「カッコイイ!」。それから夢中になって調べ、横浜の方にプジョー車を専門に扱う中古ショップがあることを知り真剣に購入を検討しました。
やがて日本車の中にこのクルマのデザインの影響を強く受けていると思われるものを発見しました。しかもどちらも日本車を代表するスポーツセダン(クーペ)でした。やがて「プジョー・クーペ407」「日産CV36スカイラインクーペ」「マツダGHアテンザセダン」の"クーペ3兄弟"(アテンザは4ドアクーペ調なので)に購入候補を絞り込みました。ここから先の話は何度も別のブログでしているので割愛しますが、やはり今でもこの3台は私の中では別格の輝きを持っています。当時はリアデザインがお粗末なB◯W3(E90,F30)やメ◯セ◯スC(W214)がイモっぽく見えて仕方ありませんでした・・・今も同じ考えですけど(失礼しました)。
そりゃもちろん「BMW6(E63が至高)」や「マセラティグラントゥーリズモ」のリアが良いのはよく分ってますし、もちろん憧れます。しかし"クーペ3兄弟"は300~400万円のクルマで見事にこの"至高の2台"に匹敵する、あの「時間が止まった」ような「フワぁ」としたリアデザインを実現しています。この"官能の極致"のような世界観の前では、レ◯サスなんてブサイク丸出しの「勘違いブランド」でしかなかったです。今は少しはまともになりましたけど(上から目線でごめんなさい)。
その後の"クーペ3兄弟"ですが、「クーペ407」がPSAの経営危機で2011年頃に姿を消し、一応リアは後継の508セダンに受け継がれました。「GHアテンザ」もマツダの経営改革の中で早めにFMCとなり、残念ながらリアは新型(GJ)ではレ◯サスそっくりの不粋なものに変わりました。そして最後まで生き延びた「CV36スカクー」も今年FMCを迎えて消滅します。後継クーペのデザインはまだ公開されていませんが、日産によると相当にド派手なものになるようです。
さてそんな「終焉の時」を迎えつつある"クーペ3兄弟"ですが、いよいよ元々の首謀者であるプジョーが、新たなコンセプトに基づいた、あらゆる意味で「ぶっとんでいる」クルマを発表しました。実は2月頃にカーメディアを騒がせた「プジョー408GT」いう4ドアクーペも発売を控えているようですが、こちらにはデザイン面で正直言ってがっかりさせられました。メルセデスの4ドアクーペ(CLS, CLA)のボディライン、つまりこの世で一番センスが無い3BOXカーのスタイルを踏襲するデザインは「酷い」の一言。ダサさ全開のあのリアは絶対にオカシイ!
その一方で昨日4月10日に公開された新しい4ドアクーペ「エグザルト」には、508セダンから引き継いだ"クーペ3兄弟"調のリアデザインが甦っていました!やはりプジョーはクオリティカー市場を諦めていなかった!中国向けの安価なターボエンジンを配した「408GT」はメルセデスCLAを完全にベンチマークしていて、デザインもほぼコピー(この方法が中国では一番手っ取り早く売れるらしい)。一方で欧州(日本も?)向けの「エグザルト」は何とハイブリッド!そしてデザインもプジョー独自の「魂」の籠った力作!
この「エグザルト」は、10年ほど前に「クーペ407」がライバル車を完全に置き去りにしたのと同じくらいの強烈なインパクトがあります。これは再び何かが始まる予感が・・・!いやもう何もかもが動き出しているのかも知れません。日産の予告どおりに「CV37スカイラインクーペ」がアバンギャドなデザインが発表され、マツダがサプライズで「SHINARI」そのままの「アテンザクーペ」を出すなんてことが起こるのか?
リンク
「プジョー・エグザルトの動画」
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