クルマの機能性が日進月歩で進んでいるようで、最新モデルでは100万円台のコンパクトカーでも、自動ブレーキ・シートヒーターが標準装備!なんてのも当たり前になってきました(日産・ノート、スズキ・ソリオなど)。中古車がダブついていて、手頃な価格で買えてしまうので新車の割高感を少しでも緩和するために、「いいな!」と思える装備がコスト的にクリアできればどんどん搭載される流れなんだと思います。それにしても価格表とにらめっこしていると、必要最小限の装備だけを積んだクルマを新車で買うとしたらいくらになるの?なんて思いが沸々と湧いてきます。
先日テレビ神奈川でやっている「岡崎五郎のクルマで行こう!」を見ていたらアウディA1というモデルが紹介されていて、本体価格で250万円もするのに、オプションでも自動ブレーキが付かないのがちょっと・・・みたいなことを五郎氏に言われてました。プレミアムブランドだからシートヒーターは当たり前!・・・なんてことは決して思ってないですけどね。250万円のバーゲン価格(アウディにとっては)に自動ブレーキは付けられない!?・・・10年くらい前まではドイツ車は安全を妥協しない!という高尚な決まり文句があったようですが。
それにしても岡崎五郎さんは上手い事言うものだと関心したのが、「このクルマには素うどんの旨さを感じた!」という表現です。うどんも蕎麦もそのものが美味しければ余計なものは要らないでしょ! って多少の薬味くらいは欲しい気もしますが、これはこれでこのアウディA1のベースグレードを的確に表現していると思います。アウディA1のベース車はもちろんVWポロなのですけども、ポロも評判の良いよく出来たコンパクトハッチですし、さらにその各部にポロではコスト面で使えない良質な部品を随所に使っているようで、走りのコンパクトカーとして着実に実力が引き上げられているようです。
「素の良さ!」なんて「完全に趣味なクルマ」の形容でしかないですけど、日本メーカーの小型車も「趣味のクルマ」がいよいよ大盛況のようで、S660、コペン、アルトターボRS、ロードスター、G'sアクア、マーチ・ニスモ、ノート・ニスモ、CR-Zなどなど・・・そしてデミオに競技用ガソリン1.5Lモデルが加わりました。これだけバラエティに富んでいると、同じクラスの輸入車が少々地味に思えてくるほどです(輸入ブランド泣かせ)。日産系列のニスモなどは律儀にベース車よりも排気量の大きいエンジンに積み替えています。輸入車には日本車の常識を越えたようなアウディS1やミニ・JCWなどやたらと過激なモデルがありますけども・・・どちらも400万円オーバーはちょっと高いかな。
一つ上のスモールカー・クラス(Cセグ)になると、「86/BRZ」「シビックtypeR」「WRX STI」などなど、このクラスになると輸入車も華やかなもので、「RCZ」「TT」「ゴルフR」「A45AMG」「メーガヌR.S」「M135i」などなど、さらに270psまで出力を上げた「プジョー308GTi」も近々日本に導入されるようです。このクラスは「86/BRZ」を除くと完全に300ps水準のサーキット仕様を前提として開発されているようです。サーキットが趣味な人はいいでしょうけど、休日は観光道路でドライブといったクルマ趣味を謳歌する人には、ここまでのハイパフォーマンスモデルは逆にあまり満足度が高くならないように思います。
いくら心ゆくまで非日常のドライブを体験していたいからといっても、0-100km/hの加速が5秒の超絶マシンでは、非日常を通り越して絶望的な現実が突き付けられてしまいます。強烈なエンジンパワーで理論的に加速はできるのですが、短いストレートが多い日本の道路では止まれません。日本の道路でアホみたいに飛ばしているクルマは、直線番長を除くとポルシェかランエボが多いです。一方で理論上の加速ではこれらを上回る 360psのA45AMGでは、流れの中で全開加速を披露するにはかなり勇気が要ります。なんといってもブレーキが心もとないですから・・・。結局のところ小型車をある程度の加速で楽しめるだけのブレーキを備えているのは、ポルシェ以外だと三菱、マツダ、ホンダといった限られたメーカーのみです。トヨタのウィッシュよりもホンダのオデッセイやストリームが混雑した道路でグイグイ行けるのはブレーキ性能によるところが大きいわけです。
冒頭のアウディA1は90psそこそこで車重は1050kgくらいあります。同じくらいの出力で車重1000kgを下回る新型ソリオよりも理論上の加速は下回ります。こんなアウディA1を「素うどんの旨さ」と言った五郎氏の言わんとするところは、過不足ない加速力が備わって、足回りなどの各部が高品位でスムーズに動くクルマこそが、日本の公道で極めて自然に楽しめる!という意味なのだと思います。アウディS1やゴルフRといったモンスター級スペックをMT車で全開加速すると、あまりの加速にシフト操作が追いつかなくなり楽しいどころではありません。なんか日本で売るにはクルマの設計がチグハグじゃないかなと思うのです。
もし「素うどん」にMT設定があったなら・・・欧州ではこれが当たり前のグレードなんですけども、エンジンパワーを存分に使えて、日本の道路では特に楽しいのではないか!という気がします。残念なことにアウディを含むVWグループの日本の正規ラインナップではGTI以上の高性能車ばかりにMTが設定されています。もっともアウディA1はあくまで女性の買い物用のクルマだ!とブランドが決めつけているならばそれでもいいですけどね・・・。日本車やフランス車を中心にMTの小型車を探しているとアウディA1にMTが付いたならばなかなか魅力的だな(中古で狙う?)と思ってしまいます。
さてBMW1シリーズも新エンジンになって200万円台のグレードが復活しました!「200万円台・後輪駆動・BMWの駆け抜ける歓び」の3つが揃っているのだからこれで十分だ!という声もあるでしょうけど、ここにもやっぱりMT設定が欲しくないですか? やはりこのクルマもセレブな奥様御用達の買い物カーなんでしょうか・・・。BMW1シリーズは何度乗っても、私のようなオッサンが乗る限りでは使い道が明確に想像できないやや残念なクルマです。オールラインナップで「8速AT」にこだわるならば、もっとリラックスして長距離ドライブを楽しめるクルマであってほしいですけど、コクピットは若干狭く長時間乗っていたくないです。乗り心地に関しても、Mスポでも特に足回りの「固さ」を強く意識するほどのものではなく、フニャフニャと言ってしまうと語弊がありますが、FR特有のグリップ感の希薄さで、ちょっとした弾みに斜め前方へクルマがスライドしていきそうな、なんとも落ち着かない気分での運転を強いられます。
「駆け抜ける歓び」というフレーズにさらに説得力を持たせる意味でも1シリーズにMT仕様を追加してみてはいかがでしょうか? 価格に関しても再考の余地がありますけどもワンクラス下のアウディA1が250万円ですから、300万円を下回る価格ならば頑張っていると思います。CセグでMT車というとオーリスが1グレードのみで250万円、アクセラは180万円からありますが、118iと同等のスペックの2L自然吸気だと230万円です。もしBMW1シリーズがMTの「素」のモデルで270万円!くらいのスペシャルプライスを断行したならば、もっともっとBMWの良さが伝わると思うのですけど・・・。
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