2014年6月21日土曜日

直6のメルセデス と EVのBMW という従来のキャラ無視の展開・・・

  欧州車=ダウンサイジングターボという「先入観」が日本の自動車評論家の頭の中にはあるようですが、それはあくまで「アジア市場向けのモデル」での話であって、欧州ではディーゼルが約半分ですからガソリンターボの割合なんてせいぜい30%程度でしかないです。中国と日本のユーザーはやたらとターボを喜ぶので、日本のVWなどほぼ全モデルがガソリンターボですけど、アメリカのゴルフは「GTI」と「R」以外はNAですし。

  そもそも欧州ブランド自体が「ガソリンターボ」というキャラ設定を嫌っている節があるように見受けられます。VWがゴルフⅦを発売した直後くらいから、「これからはPHVの時代!」と宣言し始め、まだまだバッテリーが高くて、容量が低いですけどあと5年もすれば「価格は1/8になって容量は8倍」みたいなことを付け加えて、暗にユーザーに向けて「現行のトヨタやホンダのHVを買い急ぐ事はないですよ!」とでも言いたげなんですよね。

  いままでは散々に「HVに興味は無い(将来はない)!」といった態度をとりつづけていたのに、なかなかの豹変ぶりにビックリです。バッテリーの価格の話もごもっともですけど、この話には裏があるみたいで、要するにトヨタとホンダが特許で雁字搦めにしていた技術がフリーになるのを待つ「遠謀」というのが真相のようです。VWグループだとこれまではアウディA6とポルシェパナメーラといった高級車にしか設定されないのは、それくらい利幅が大きいクルマじゃないと権利金が嵩んでしまって利益が出せないという「苦しい」台所事情があったようです。もっとも燃費の悪い高級車の方がHVにした時の省エネ効果は抜群に高いので、理にかなっているという見方もできます。

  HV技術はあたかもトヨタやホンダが最先端で争っているというイメージがありますが、エンジンの出力とモーターの出力を合成して走らせれば良いだけで、それこそEVなんて操業間もないテスラや中国メーカーでも比較的に簡単に作れてしまうことを考えると、ネックなのは特許ということになります。それらが一斉に無効になったら、世界中のメーカーが一斉にほぼ全てのモデルにHVを設定し出すのではないかという気がします。

  しかしそんな「よーいドン」を待っていては、先進イメージが台無しになると考えるBMWはさすがというべきか、先にEVで実績を作ってしまえ!とばかりにもの凄いプロモーションをかけて「i3」を拡販してきました。日本のクルマ雑誌は「BMWのEVだけに、走りも超一級品!」みたいな調子の良いことを書いていたりと相変わらずに理解力が低すぎることを露呈してます。こういうクルマこそ、頭のよく回る評論家に徹底的に掘り下げて分析してもらいたいものですが、出て来るのは売れっ子で「新しいモノ好き」「セルフイメージ番長」の河口まなぶ氏や竹岡圭氏といった面々。

  「BMWが考えるサスティナビリティ」というのがなかなかツッコミどころが満載で、天然素材や廃材を探してきて使うのは結構ですが、そもそも1台のクルマを日本車みたいに20年でも走るように設計するのが本物の「サスティナビリティ」ってやつじゃないですか?そんなに「アピール」したいなら、すぐに摩耗してしまうブレーキパッドの素材から見直した方がいいんじゃ?なんてちょっと意地が悪い意見が浮かんでしまいます。BMWは「走り」のメーカーでいいんじゃないですか?もちろんこの「i3」に罪は無いですが、ブランド全体で考えれば、もしシフトレバーやサイドブレーキが無くなったら、BMWなんて魅力半減ですよ。まだ乗ったことないですけど、アンダーステアが日本の小型車並みに酷いという評判も・・・。もちろん「アンダー傾向」自体は安全性を担保する大事な要素ですが、「BMWらしい走り!」とは相容れない気が・・・。

  そしてBMWのライバルであるメルセデスも、「イメチェン」に勤しんでいます。去年発売されたSクラスと今年発売するCクラスでいよいよ、ドイツ流の「質実剛健」な内装をキャンセルして、まるでマセラティか?レクサスか?というような洒脱な内装へと転換しました。やや高齢者セレブ・ユーザー向けだった「ショーファーカー」としてのメルセデスSクラスでしたが、新興国の若手実業家にも愛される「セクシー・ショーファー」へと、完全に方向性を変えているのが一目瞭然です。はっきり言って「チャラい」!固めの黒レザーが基本だったのに、気がつけばふかふかの「パールホワイト」で、バックレストには女の子が使ってそうな形の枕が・・・。

  欧州車大好き!福野礼一郎氏も唖然としたようで、「気持ちいいから、まあいいか・・・」と見事に含蓄のある表現をされてましたね。サイドテーブルのグラグラ加減が完成度を根底から破壊する爆弾で、「こんなの付けるな!」といった欧州の立て付けクオリティ、日本の国鉄時代の新幹線を思い出すとか書いてあったっけ。やっぱこの人は面白い。Sクラスは「自走不能」な巨漢セレブの為のクルマに成り下がったため、次期Eクラスは一気にクオリティを上げて、全メルセデスの「オーナードライバー」が憧れる、プライベートセダンを目指すようです。これまでメルセデスが冷遇したため、BMWやアウディへと流出していったクルマ好きを再び味方につけて「メルセデス神話」を復活させるのが狙いみたいです。

  レクサスにも負けない前後マルチリンクサス(もちろんエアサスあり)に、圧巻は直列6気筒の新開発エンジン。環境性能ばかりに気を取られて、V6が直4よりも噴けが悪くて、完全に行き詰まってしまった中で、HVの洗練度でリードするレクサスに勝つためには、直6を復活させるしかない!という判断のようです。しかしいきなりここまで極端なイメチェンをされたら、従来モデルのユーザーは立場が無くなってしまいますよね・・・。メルセデスにしてみれば、現行のEクラスは「ひと声100万!」の大判ぶるまいをしているのだから文句は言わせない!といったところかもしれませんが・・・。


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