1000万円クラスのクルマを作っているメーカーがその自慢のフラッグシップを日本に送り込むことに関しては、総じて異論はない。ポルシェ、マセラティ、ジャガーは日本人のニーズを強く満たしてくれるし、メルセデス、BMW、アウディもハイパフォーマンスモデルに限れば、ほとんどの日本メーカーがカタログモデルとして用意できないレベルなので、日本で売ることの意義を強く感じる。
その国の自動車産業が不得手なところを補完するのが輸入車の本来の役割であるはずが、怪しいブランドイメージに包み込みながら、とんでもないクルマを無理矢理に売ろうとすることがお人好しな日本市場では起きていたりする。日本車は世界中の国々へ輸出または生産され、地域によっては80%近いシェアを獲得しているが、これは小型車の安全性と信頼性に置いて日本車が特別な地位にあることの証明だ。
欧州市場でもかつては日本の小型車に人気があったが、バブル期以降は日本メーカーと同水準以上の生産技術を獲得したフォードやVWの生産車に関税の影響で価格面で遅れを取っていることもあり、日本車のシェアは下がっている。さらに近年ではEUといち早くFTAを結んだ韓国車が日本のシェアを奪っていると言われている。実際にドイツ国内の価格を見ると日本の小型車が1万ユーロを切ることは無いが、ヒュンダイ系のキアやVW系のシュコダ、独立系のダキアなどから7000ユーロ程度の低価格車が発売されている。
特にシュコダは旧型のゴルフやアウディA3、A4のノックダウン生産で大きくシェアを上げているようだ。日本で例えるならトヨタ系の関東自動車がアルテッツァやアリストを低価格で販売しているようなものだ。こういう商習慣が日本にもあっていい気がするが・・・。ちょっと話がズレたが、日本車は欧州でかつては技術力で称賛されたが、大きな差が無くなり価格面で不利となると、一転して不人気になってきた。スポーツメーカーと勘違いされているスバルやマツダは日本生産車が根強い人気を得ているが、トヨタ・日産・ホンダに至っては現地生産工場がある国でしか人気がないというシビアな現実に直面している。
しかし一転して日本市場では、輸入車に対してあまり厳しい眼が向けられることは少ない。もちろんプロモーション不足で認知されずにフェードアウトするクルマもあるが、最近では販売戦略を綿密に練り上げた上でカーメディアを巧みに抱き込み、発売前から大々的にプロモーションを行うため、かなりの確率で良い結果が出るようになっているようだ。実際は広告費に圧迫されてほとんど利益は出ないのかもしれないが、VWup!やボルボV40、メルセデスAクラスなど、日本車には絶対にあり得ないくらいに低レベルなクルマがそこそこ売れてしまっている。
メルセデスAクラスは発売後の半年で欧州で9万台を売り上げたそうだが、メルセデスが欧州で売れないわけにはいかないので、必死のプロモーションだったとか。メルセデスがプライドを捨てて大衆車のコンセプトをパクる・・・。まるで欧州の破綻への序章のような象徴的な出来事といったところか。ジャガーとベントレーがスバルのようなSUVを必死でコピーし、BMWがホンダのようなミニバンを作るなんて、数年前までは確実に笑い話の次元だったのに・・・。しかもスバルやホンダよりも安い価格で発売?と言われている。欧州ではスバルとホンダは高過ぎではあるけど・・・。
up!はVWがインドや東南アジアの20億人市場に送り込んだ「秘密兵器」で、そのままじゃ日本に出せないから廉価な安全装備を適当に盛り込んだクルマ。実車を見るとそこかしこにクルマのルーツを語る不思議なパーツが・・・。これとフィットが同価格って完全にイカれてるとしか言いようがない。
V40は一見お手頃価格に思えるが、このクルマは一体何が売りなんだろうと果てしなく首を傾げたくなるレベル。日本市場で完全に埋もれていて自他ともに認める失敗作の三菱ギャランフォルティスというクルマがあるが、これが日本の2強であるアクセラとインプレッサに完敗した理由を考えると、あらゆる設計理念において完全に遅れをとっていることが挙げられる。2008年発売の1.8LのギャランFが2009年発売の2Lのアクセラに完膚なきまでに叩きのめされ、日本だけでなく欧州やオセアニア、北米からも叩き出された理由を考えれば、いまさらのように新型車としてV40を出してくる状況はジョーク以外の何者でもない・・・。鉄の棺桶を動かすための劣悪燃費の直4ターボ。300万円だすならAWDのギャランFのラリーアートにしておいたほうが何倍も楽しめる。
↓島下さんのお情け採点でもAクラス「6」V40「7」。Aは輸入車Cセグワースト。ちなみにゴルフ「10」アクセラ「9」インプ「8」。もっと隔絶した差があるように思うが・・・。
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