2015年5月29日金曜日

BMW2シリーズ・グランツアラー 登場でこれはマジで売れそう!

  BMWから2シリーズアクティブツアラーのロングホイール版の「グランツアラー」が発売されました。「BMWが3列のミニバンを作った!」と聞いてなんかとってもBMWに親近感が。いよいよBMWも日本(的)メーカーの仲間入りですね。ちょっと突飛ですがこれからはBMWからも4ナンバー商用車が登場してきたりするのでしょうか。今月のニューモデルマガジンXで「ホンダ・グレイスは明らかに社用車を狙っている」なんて書かれてましたが、実際のところ移ろげな個人ユーザーの嗜好なんていちいち相手にせずに、使用目的がハッキリした社用車や商用バンを洗練させるほうがはるかに作る側はやりがいを感じるんじゃないですかね(デザイナー以外は)。いよいよ消耗気味なBMWも「商用車作りたい!」と思ったかどうか知りませんが、きわめて社用車と性格が似ている「3列シートのファミリーカー」を作り始めることに、BMW経営陣はそれなりの勝算を導き出していると思います。

  バブル期以来の筋金入りのBMWファンなどからは、多少は反感を買うかもしれないですが、日産、マツダ、スバル、ホンダと等身大のメーカーだとみれば、スポーツカーとファミリーカーの両方作っていることは何ら不思議ではないですし、たとえBMWであっても特に問題はないと思います。実際のところ世界のいたるところでBMWと競合しているのは、この日系中堅の4メーカーです。日産やホンダにはこれまで幾度となく特に北米市場で痛い目にあわされていますし、今となってはグローバル販売でも簡単にはひっくり返らないほどの大差をつけられています。またマツダとスバルはトヨタグループの尖兵として、なかなか厄介な存在となっていて、今後も至る所でBMWの市場を荒らしまわるでしょう(BMWもトヨタとは友好関係にありますが・・・)。

  もちろんBMWだってやられっぱなしではなく、しっかりと日本メーカーに対して反撃しています。日本市場ではも高級セダンの代名詞といっていいほどに確固たる地位を築いていますし、その影響力は日本の隅々まで広がっています。とりあえず痛快なまでに日産・ホンダ・マツダ・スバルの上級グレード車に大きな壁となって立ちはだかります。それに加えてBMWでは近寄りが難いコンパクトカー市場にも、傘下のMINIを見事に楔として打ち込むことに成功していますし、またBMW/アルピナ/MINIの3ブランドでのディーゼルエンジンの素早い展開はマツダの独走を部分的に牽制しています。そして今回はいよいよ日本メーカーの本丸といえる「ファミリーカー」部門へと進撃することになりました、果たしてどれくらい日本市場をかき回すことができるのでしょうか。

  BMWの持つ「強み」は日本市場における圧倒的な知名度です。「BMW」であるというだけで簡単に注目され(もちろん注目に値するブランドです)、BMWのクルマ作りがそのまま日本市場のトレンドに重要な影響を与えることもしばしばです。BMWがステップATを使えばカーメディアは「正義だ!」と言いますし、BMWが直4や直3のダウンサイジングターボを使えば、それこそが「正義だ!」と絶賛されます。他にも実際にマツダのディーゼルに割とあっさり火がついた要因の1つにBMWの参入と時期が重なったことが大きかったように思います。

  そんなBMWですが、今回の「2シリーズグランツアラー」が狙うのは、同じ3列6人乗りで最近になって新たにターボも追加された「ホンダ・ジェイド」ではありません。クルマの設計上は間違いなくジェイドと同じ分類になるのでしょうが、実際にBMWジャパンが日本での「仮想ライバル」として狙うのは、ジェイドのような新参の小物ではなく、おそらく「キング・オブ・ミニバン」に君臨するアルファードです。クルマの方向性こそ違いますが「目立つファミリーカー」という意味でユーザー層が被るはずです。そもそもユーザーの欲望を肯定するクルマという意味で、アルファードは非常に素晴らしいですが、そういう要素でクルマを売ってきたのが他でもなくBMWです。それにしてもアルファードとは!なかなかデカい獲物を狙ってきたわけですが、BMWの抜群のブランド力に加えて、売れ線のディーゼルを使った「318d」がアルファードよりも安い本体379万円!という強烈な値段設定ですから、エルグランド・オディッセイ・MPV・エクシーガといったいまいちパッとしない日本勢にとってみたら、とんでもない「黒船」じゃないですかね。

  もちろんミニバンブームの中で、子どもを乗降させるにも大変に便利なパワースライドドアを備えるなど、日本での使い勝手を最大限に汲んで総力をあげて開発されてきたわけですから、そんな熾烈な「戦国時代」を戦い抜いてきた日本の高級ミニバンが、初参戦のBMWにあっさりと敗れ去るのは想像できません。しかしあれだけの強さを誇ったプリウスが、弱点を突かれてまんまとVWゴルフの餌食になったことを考えると、この2シリーズグランドツアラーが意外にもかなり早期に予想以上の支持者(ユーザー)を集めるかもしれません。

  いくらBMW製だからといっても、3列シートを備えていて、さらに全高1600mmを超えるFF車ですから、ドライブフィールも日本勢と大きく変わることはないと思います。しかしBMWが使うモジュラー装備がそのまま移行されるわけですから、あのZF製8ATを備えたミニバンが登場するこということです。アルファードの上級グレードは横置きした3.5LのV6エンジンを使っていますが、クラウンやレクサスのようなアイシンAW製8速AT(ZF製よりも一般に性能が上と言われる!)を装備するなんてことはなく、CVTのままなんですよね。あのインパネに内蔵されたシフトが8ATでギコギコとMTモードを使っていたらちょっと笑えますけど・・・。けれどもトヨタが誇る最上級ミニバンなのだから、トヨタの最高級ミッションを使うくらいの演出があっても良さそうです。しかしそんなミッション付けたら、毒々しい評論家から「ミッションの前に走りを改良すべき!」なんて嫌味を言われそうですけど・・・。

  もはや引退間際のマツダMPV以外は、オデッセイもエルグランドもエクシーガもアルファードもついでに、ターボになったジェイドも搭載されているミッションは全てCVTです。もちろん渋滞する都市部を走ることが多いわけですから、商品設計としては何ら間違いではないのですけど、もう少しバリエーションがあっても良いでしょうし、どっかのメーカーがここにあえてATを投入して差別化を図るなんてこともできたと思います。そんな盲点をBMWが見事に突いてきました! しかも前述した通り、ディーゼルエンジンで経済的ですし(これはデリカD5で採用済みですけどBMWなら影響力が違う!)、価格も高級ミニバンを相手にするならば、かなり魅力的な設定になっています。このクルマはそこそこ売れる、いや異例の大ヒットでもするんじゃないですかね!今後の経過が楽しみです。


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2015年5月20日水曜日

フォード・マスタング 「いっそ車名変更もありかも!」

  かねてから「直4のFRなんてダメだ!」なんて生意気な主張を繰り返していましたが、いろいろ思う所があって新型になって直4モデルの限定車のみで先行販売が始まった「フォード・マスタング」に乗ってきました。最近の輸入車スペシャルティカーは最初に「限定モデル」によって市場の反応を探り、そのうえで日本での正規価格を決めるというやり方が多いです。もし限定車がさっさと売り切れて大人気ならば、正規の日本価格はさらなる利益と納車日数の短縮のためにさらに上昇していくでしょうし、なかなか売れずに残るようならばもしかしたら日本への本格導入は見送られるかもしれません。どっちに転んだとしても、なんだか日本のユーザーにとってはあまり面白くない結末がチラホラします。

  さてマツダが20年以上前に設計した2.3LのMZRエンジンに、フォード自慢の「エコブースト」を組み合わせたユニットに私は興味振々だったわけですが、営業マンは少々震え声で「フォードの最新鋭のエンジンです!」と言い切っていました(笑)。それでも乗ってみると現在のマツダの「スカイアクティブエンジン」よりも間違いなく楽しいです。「エコブースト」という商標を使って「ダウンサイジングターボ」の最先端を自負するメーカーらしく、最高出力314ps / 最大トルク44.3kg・mといったスペックは、2.3L直4ターボで4.5L・V8自然吸気に匹敵するというフォードの説明を十分に裏付けています。そして何よりこの新型マスタングの最大の魅力は、欧州車相手でも負けないハイスペックな足回りに強化しつつも、価格設定もほぼ「WRX STI」「ランエボXファイナルエディション」「スカイライン350GT」といった、「馬力単価が安く」良心的価格で知られる日本の高性能車とほぼ同じコストパフォーマンスを実現している点です。

  しかもこの3台の日本車よりも格段に目立つスタイリッシュで洗練された印象を放つ新型デザインは素晴らしく、この美点をきっちりと「商品力」に入れこむならば、3台の日本車を軽く超える「超絶・コスパ」のクルマと言っても過言ではないです。単純に街中での注目度は「マスタング>>>>>スカイライン>>WRX=ランエボ」くらいで、そのまま所有欲を満たしてくれる「満足度」と捉えてもいいかもしれません。日本車の常識的サイズによって縛られた3台では、アメリカンサイズに立ち向かうのは到底に無理で、まるで「日本の読モ」と「アメリカのスーパーモデル」くらいにオーラが全然違います。そして見事なのは、これだけド派手なデザイン&サイズなのに、360度見回してみてビックリなほどに細部の造形にまで隙がないです。簡単に言うとどこから見ても「絵」になります。一方でスカイライン・エボ・WRXはどうもあまり好きでない角度がありまして・・・。

  あくまで個人的な感想ですが、マツダ・アテンザに新たに2ドア・クーペ版が追加されたなら、この新型マスタングに近いデザインになるような気がします。実際に見ると、マスタングもマツダの前田育男氏がデザインしたのでは?と思ってしまうほどです。今回たまたま試乗車は赤だったので、側面の雰囲気や光沢のあるボディカラーは、現行アテンザの代名詞にもなった「ソウルレッド」を余計に想起させてくれました。1920mmのワイドボディで全高が1380mmに抑えられているので、あとは全高が4400mmだろうが5100mmだろうがバッチリとスタイリングが決まります。日本メーカーがデザインコンセプトで作ってきた「日産エッセンス」「マツダTAKERI」「スバルWRXコンセプト」が車幅1900mmくらいで作ることでスタイリングを際立たせていますが、マスタングは市販車がすでにそのサイズになっています。ハッキリ言ってカッコ良くて当たり前。けれども某・日本の大手メーカーが手掛けたら一体どうなることやら・・・。変なグリルが付いて!?

  今回は友人のBMWに乗って出掛けたので、愛車のGHアテンザとのフィーリングの比較にはあまり自信がないのです。外観のイメージに引きずられたかもしれませんが、運転してみるとそこかしこから、予想を超えた「マツダらしさ」を感じることができた気がします。BMWに乗る友人は「直進安定性がない!」としきりに言ってましたが、たしかに大柄なボディに似合わず、"ZOOM-ZOOM"時代のマツダ的なクイックなハンドリングです。私もまったく同様のことを感じていて、その理由として後輪サスが平行感覚に富む「リジッド」から独立担荷式の「マルチリンク」に変わったことで、FR車で直進安定性を出すのが少々難しいのかもしれません。同じ「マルチ」を使うFRであるメルセデスやBMWにはやはり「秘伝の◯◯」があって、安定性に特化したドイツ車的な作りといくらか「差」が出たのかもしれません。またフォードの現在のトップであるマーク=フィールズは、アテンザ開発時のマツダの社長を務めていた人物で、トップになる前は現在のフォードラインナップの製品化の可否を下すエクゼクティブだったこともあって、この乗り味(ハンドリング)こそが、彼が考えるなベストフィールという可能性もあります。

  「アメリカ車」というステレオタイプなイメージ(偏見?)をいつまでも持ち続けることは、現状においてクルマを語る上で非常に危険ではあります。しかし今回50周年を迎えた「マスタング」はその中でも徹底したコンサバ系であり、米国・カナダ・日本・豪州の4カ国に広がるファンはいつまでもその「幻影」を追い続けている部分も大きいように思います。グアムやハワイでレンタカーを借りるなら、マスタングのコンバーティブルが定番だったりするくらいで、「V8エンジンを積んで力強く、そしてゆったりと優雅に走る」イメージがまだまだ強いはずです。かなり古いモデルには直4搭載があったようですが、今回の欧州への拡大を意図した直4ターボの再搭載には、それなりの賛否両論があると思います。もちろん日本のフォード・インポーターもどれくらいの反響があるのか戦々恐々の様子です。

  このマスタングには「総合評価」なんて観点は意味を成さないかもしれません。率直に評価できる点としては「スタイリング」「価格(コスパ)」「走りが楽しい」の3つです。しかもこの3点がずば抜けて高いスコアを記録しています。もちろん細かいことを言えば、「楽しい」のはサイズからはなかなか想像できない位にダイエットした車重も大きく貢献していますし、中型車用エンジンで世界を制したマツダ・MZRエンジンがその軽快な走りを支えています。他にも先代から大きく進化していると思われるのが、インパネの高級感や、レクサスに付くようなシート・エアコン(冷暖房あります!)がこの先行限定車には標準装備されています。「マスタングにシート・エアコン」なんて完全にイメージを崩壊させる要素だと思うのですが、これが付いていて怒る人はいないでしょう。

  逆に悪い点は?というと、「良い点以外の全て」です。やたらとサイズに文句を付ける人が多い日本ユーザーが、一目で諦めてしまう幅広設計がネックになります。コンビニに停車しましたが、2ドアクーペのドアを颯爽と開こうものなら、ドアエッジが豪快に隣りにヒットする姿が想像できますので、恐る恐る開けることを余儀なくされます。ちょっとデリカシーの無い人を助手席に乗せてしまったら、乗り降りの際に神経がピリピリします。そして最近のアメリカ車はというと、ドアモールを挟むほどの余裕もないほど、ドアのチリもよく合っていますし、何よりパネルの継ぎ目がほとんど目立たないデザインです。むしろレクサスRCの方がドアモールがハマってそうなドア回りの緩さを感じてしまうのは私だけでしょうか?

  さて先ほど長所で挙げた「走りの楽しさ」は人によっては欠点にもなります。先ほども直進安定性に問題があると書きましたが、正直言って60km/h走行時のNVHが、マツダアテンザの90km/h走行時くらいです。そもそもFFとFRという違いでアテンザの方が優位ではあります。さらにピラーレスのクルマだとこんなものなのかな? エンジンからの振動は全く問題ない水準ですが、19インチに大型キャリパーをぶら下げる足元がどうもざわつきの主原因かと思います。デザイン重視と思われる19インチ採用はどこのメーカーでもそこそこ批判が出る部分ではあるので、このマスタングがどうというわけではありませんが、ちょっと邪推すると、マスタングであるがゆえにマツダのような欧州車的な(BMW・アウディ的な)洗練をあえて避けて、スポーツカーの領域に片足を突っ込んだ状態での市販化になったのかもしれません。ちなみに走行モードは「S」「S♯」のほかに「トラック」というサーキット用のスピンしやすい設定もあります。この「トラック」を盛り込んだゆえのNVH対策の不徹底なのかもしれません。

  さらに言わせてもらうと、この新型マスタングもまた日産GT-Rが直面した「サーキット」か「高級GTカー」かという二択を迫られているように思います。日産GT-RとスバルWRXは、極めて日本人的な発想から「サーキット」と「高級GTカー」分けて2種類のクルマを販売する方向に舵をとりましたが、マスタングにも「NISMO / STI」「ピュアエディション / S4」の作り分けが必要だと思われます。もちろんそんなことは名門フォードは百も承知でしょうから、予定されている右ハンドルの発売と同時に、「トラック」モードを外した、ジェントルで洗練された乗り味の「マスタング」と、ハイスペックなユニットと強烈な出力を誇る「シェルビー」にラインナップを分けて展開することも十分に予想されます。フォードの営業マンから電話があったらその辺の要望をフィードバックとして強調しておこうと思います(あまり関係ないのは百も承知ですが・・・)。


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2015年4月23日木曜日

ジャガー 神々しいまでの復活劇(はおそらく現実に)

  対向車線の遠くに「アウディA6」が見えると思ったらクラウンアスリートでした・・・。あれ?近くで見るとだいぶ違うので、いよいよ視力?がヤバいのかも。もしある程度は同じに見えるならばクルマなんてどれでも同じってことかも? たしかにデザインというのは不思議なもので、買う前の検討段階ではかなり神経質になったりするんですけど、いったん買ってしまったらもうそれほど気にならなくなります。むしろ買ったあとには走行性能やらフィールやらの方が乗る度にいちいち気になって仕方なかったりします。デザインだけでストレスフルな走りのクルマってはのやっぱり最悪です。

  普段は乗り味も絶好調だとしても、ふとした瞬間に「あれ?」と思う事もあります。例えば雨の日にスーパーマーケットに入ろうとしたら側溝の金属蓋の上でタイヤが滑ったら、「いよいよタイヤの交換時期では?」なんて脅迫観念にとりつかれて少々疲れます。また基本性能に十分満足して買ったクルマでも、世の中には「上には上がいる」わけで、夜中の国道246で左車線からE63AMG-4MATICにズバっと行かれた時には、自分のクルマが止まっているように感じましたよ・・・。相手がスバルWRXくらいまでなら、レスポンスの良さをうまく生かして十分に勝負できる!とは思っていたのですが、自動車専用道路で500psオーバーに遭遇してしまうと、そんな浅はかな自信(愛車自慢)があっさりと崩れさります。全長4900mmもあるラージクラスのセダンに、異次元なほどの中間加速を見せつけられて、置いてきぼりにされる自分のクルマにガッカリして「しょせん日本車だな・・・」ってむなしい気持ちになりましたね。

  昔のマツダだったら「コスモスポーツ」でAMGなんて寄せ付けない速さで返り討ちにできたでしょうが・・・。マツダも自慢のロータリー×3搭載のラグジュアリーセダンにハイブリッドを付けて発売すればいいのに!でもそう簡単にはいかないでしょうね。結局はロータリーの駆動をピュアに感じるものではなく、EVのスポーツカーに近いものができ上がりそうですが・・・。こんなこと言ってもしかたがないですが、やはり「持つもの」と「持たざるもの」との格差はデカいですね。もちろん「技術」ではなく、「富裕層ファンのリスト」です。マツダだって見込み客さえ十分にいれば、E63AMG-4MATICを黙らせる「マツダスピード・コスモスポーツRS-AWD」みたいな仰々しい名前のモデルを、日産がGT-Rを作ったような手際の良さで仕上げるでしょう。

 そんな「持たざる」マツダの無念さを晴らす?あるいは骨を拾ってくれそうなのが「ジャガー」でしょうか。イギリスが誇る超名門の伝統ブランドでスポーツもフォーマルもどちらも実績十分です。フォード傘下時代にアストンマーティンとともに「007」に登場するなど、ド派手にプロモーションされたので、経営母体が変わったいまでもアメリカで根強い人気を誇るそうです。北米へのさらなる進出を目指すマツダとしては、真剣にジャガー=レンジローバーの「買収」を検討しても良さそうです。ちなみにジャガーが使う2Lターボはフォード傘下時代にマツダが設計したショートストロークエンジンで、NCロードスターのものと基本的には同じです。

  マツダが作りたくても作れない、ラグジュアリーなGTスポーツを、決して経営基盤が安定してはいないはずのジャガーがあっさりと作っています。さらにはAMGもびっくりの加速性能を備えたモデルを複数用意して、メルセデスAMGの2枚看板で0-100km/hをポルシェターボに匹敵する3秒台でこなす「GT」と「E63・S・4MATIC」にそれぞれロックオンしているようです。2ドアGTスポーツとして「FタイプR・4WDクーペ」が発売され、本気で「最速セダン」の座を狙うモデルを新型XFに設定するようです(5LのV8スーパーチャージャー&AWDになりそう)。ジャガーが信念を持って開発した「スーパーチャージャー付きユニット」&「アルミボディ」はメルセデスを技術で上回るには持ってこいの素材です。

  これら1000万円を超えてしまうモデルももちろん凄いのですが、ジャガーがさらに日本でも拡販を狙っていると思われるのが、新開発の2L直4ディーゼル(日本未導入)を搭載したXFやXEです。すでに日本で販売されているマツダやBMWのものよりもさらに良いフィールに仕上がっているとイギリスでは絶賛されているらしいです。発売未定にもかかわらず、ジャガーの公式ホームページではすでに盛んにプロモーションが進んでいて、新型XFはスポーツ系が2グレードで、フォーマル系が3グレードの合計5グレードが、スポーツサスのスポーツシートの有無や、ホイール径やレザーシートの素材などで細かく分けられているようです。おそらくガソリンの直4・V6・V8とディーゼル直4の4エンジン×5グレードでまるでBMW並みの細かいグレード分けが実現するようです(BMWの価格表を見ていると目がチカチカしますよね)。

  ほかのブログでもちょこっと書いたのですが、年次改良を経て今月に発売された新しいメルセデスE63AMGの日本正規価格がそれぞれ100万円以上の安くなりました。さすがに1800万円を超える価格では、ジャガーFタイプR-4WDの1400万円台という脅威の価格に対抗するのが苦しいという判断のようです。FタイプR-4WDは550psなので、1800万円を超える911カレラ4-GTSの430psを完全にパフォーマンスで凌いでいて、2000万円を超える911ターボとほぼ同等のスペックです。これまではE63AMGもポルシェを視野に入れた価格設定だったのが、新たな強敵のジャガーを強く意識するようになったようです。ちなみにこの「550ps&AWD」クラスの他のモデルは、アウディRS7が1770万円で、GT-Rが1000万円となっています。やっぱりGTRがお買い得なのは間違いないですけどね・・・。このクラスのクルマをいつかは所有してみたいなぁ〜・・・。

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2015年3月27日金曜日

プジョー308が破滅気味な日独デザインに水平チョップ!

  2014年の欧州カーオブザイヤー獲得をひっさげて日本に上陸を果たした新型プジョー308ですが、そのやや保守的なデザインを見ていろいろな憶測がよぎりました。一体このブランドは何を考えているのか? 真っ当に評価するならば、「我々は安易な流行には乗らね〜ぞ!」というプジョーの熱い意志が叩きつけられているといったところでしょうか。カーメディアをにぎわす独・日の最近の新型モデルを見ていると、まるで担当デザイナーがメーカーから脅迫(何かしらの圧力)を受けているかのような印象を受けることがあります。「一目見て新型車だとわかるようにデザインしろ!」という指令は新車を売らねばならないメーカーとしては当然のことではあるのでしょうが、ユーザーの乗り換えをゆるやかに促す!といった生半可なものではなく、先代モデルを完全否定するかのような大胆なデザイン変更が目立ちます。

  そんな中でこの新型308はというと、プジョーが過激に演出したパリサロンのコンセプトカーが目指す「先端モード」とは、だいぶ逆行した印象を受けます。ユーザーによっては「ちょっと物足りない」あるいは「やや退屈」と感じる人もいるでしょうし、これぐらいが「むしろ乗りやすい」「飽きがこないのではないか?」という意見もあるでしょう。一つ考えられることは、プジョー=シトロエングループ(PSA)では、急速に広がる「プレミアムブランド」市場に対応するために、シトロエンから派生した「DS」という上位ブランド(プレミアムブランド)を展開する予定となっていて、今後はグループ内では基幹ブランドとなるプジョー車のデザインを戦略的に「控えめ」にしているという可能性もあります。

  ちょっと悪のりして、輸入車好きなライターが言い出しそうな「屁理屈」を想像して書いてみたいと思います。
プジョー308のデザインに見られる「質実剛健」な味わいはいい。最初はやや平凡という印象を受けたけど、一般ブランドの量産車とはこのようにあるべきである。同じ一般ブランドでも日本車に施される安っぽいギラつきにはいつも閉口させられる。たとえばこの308とライバル関係になる日本の最大手メーカーのモデルは、何とも品のないデザインだ。あの救いようがないフロントデザインのせいで、このクラスのインプレッサやアクセラがなかなか健闘しているのに対して相当に苦戦している。
といったところでしょうか。

  プジョー308の日本上陸が今後どれほどの影響力を持つかわかりませんが、日本メーカーの支離滅裂気味なデザインのあり方に一石を投じてくれたらいいな・・・なんて密かに応援したい気分ではあります。ト◯タのオー◯スに限らず、アクセラやインプレッサにしても現行モデルは従来(先代)のデザインからは大きく変化していて、メッキパーツを多用した分り易い演出で、よりコンセプトカーに近い洗練された印象を受けます。しかし誰かをもてなすための高級セダンでもなく、スポーツカーのような非日常な趣味のクルマというわけでもなく、ごくごく平凡で実用的なクルマという両者の素性(属性)を考えると、変に盛り込まれたデザインはやや使いにくい部分もあるのかなという気がします。

  この手の「過剰」気味なクルマは日本車に限った話ではありません。まだまだ発売前の新型車ですが、メルセデスCLAシューティングブレークという凝ったデザインのワゴンがあります。クルマの立ち位置としてはプジョー308SWの上級モデル「シエロ」と同じようなクルマ(プレミアムワゴン)になりますが、車格を考えたときにどっちのデザインがよりベターなのか?という選択の幅が、日本のユーザーに与えられているのはうれしいことです。中にはメルセデスとプジョーではぜんぜん意味が違う!という人も多いでしょうけど・・・。この2台に同じくCセグワゴンに属する「ゴルフ・ヴァリアント」「メガーヌ・エステート」「カローラ・フィールダー」「レヴォーグ」の4台を加えて比較すると、改めてプジョー308SWのなかなか味わい深い立ち位置が見えてくる気がします。

  流線型をふんだんに使って「繊細」なボディラインで彩られたメルセデスCLAシューティングブレークと真っ向から違う価値観を見せつけるのが、「骨太」なバンパーラインやサイドビームが特徴的なデザインの308SWです。フランス車かイタリア車を思わせる洒脱さを一生懸命に表現しようとしているドイツブランドのメルセデスと、古き良き時代のドイツ車(メルセデス・BMW・アウディ)のバンパーの肉厚感が目立つデザインに活路を見出したプジョーが、なんとも見事なコントラストを描いているように思えるのです。冒頭にも書きましたが、欧州カーオブザイヤーにこのクルマが選ばれたという事実に、欧州の自動車文化の伝統と誇りを見るような気がします。韓国車や日本車によってデザインの潮流がかき乱され、中国市場を意識すればするほどに、欧州車の流儀を無視するかのような革新的デザインが増えている欧州自動車産業。その行く末を案じる人々が、このクルマを大賞に選ぶことで、全ての欧州メーカーに対して警鐘を鳴らしているとしたら、とてもいい話だなと思います。

  さて日本車やドイツ車にも昔の良さを呼び起こしてくれるモデルが出てくるでしょうか?ランクル70のスマッシュヒットには、ユーザーの趣向を端的に示す要素があったように思います。しかしそんな復刻を仕掛けたメーカーが今度は看板モデルといっていいクラウンに「空色」と「若草色」の限定車を設定するんだとか。なんだかなあ・・・。

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↓かつてのプジョー車もたくさん紹介されていて、このシリーズでは抜群にいい内容です!

2015年2月8日日曜日

BMWが運ぶ「カリフォルニケーション」

  「BMWはどこの国のブランド?」なんて質問はクルマ好きにとっては愚問でしかないわけですが、それではこのブランドのクルマのどこら辺がドイツなのか?と訊かれたら・・・。ある人は「機動性」と言い出し、またある人は「直進安定性」とか「ボディ剛性の高さ」を挙げるでしょう。1980年代までは大方のところその解釈が的を得ていたのかもしれませんが、現在となってはBMWが「伝統」と称して固執する「中型ボディにFR」という設計では、従来言われてきたBMWの特色といわれる「機動性」「直進安定性」「ボディ剛性」のどれを標榜するにも不向きといわざるを得ません。

  バブル全盛期からクルマに乗っている人からすれば、「腐ってもBMW(=国産よりはマシ)」という意識は簡単には抜けないでしょう。60~70代の大ベテランの自動車ライターにとってはVWやシトロエンは絶対に逆らえない「聖域」であるように、40~50代の脂の乗り切ったライターにとってはBMWやポルシェが築いた「絶対的価値観」は絶対に消えないトラウマになっているのだと思います。がしかし・・・今月の「ニューモデルマガジンX」の覆面座談会を読んでいたら、40~50代と思われる評論家達が、最新のBMWとポルシェ(とメルセデス)はクソだ!と内心に溜め込んでいたであろう「絶対」への疑問を痛烈にぶちまけていました。

  いままで散々にBMWを引き合いに出して日本車を貶めてる発言を繰り返した方々ですが、そんなことはケロリと忘れているようです。正しいことを伝えるべきだ!という良心の呵責に駆られるのは結構なことですが、ちょっと前に彼らによって散々にディスられたスカイラインやレヴォーグの開発関係者にとりあえず「ごめんなさい!」してほしいものです。そんな改心した彼らが今月号で絶賛しているのがスバル・レガシィです。彼らの訳分からない分析などなくても、今度のレガシィは十分にいいクルマだってみんなわかっていますけどね・・・。

  さて何が言いたいかというと、BMWもポルシェも彼らによって全くもって独善的に解釈されて、救いようが無いほどの毀誉褒貶を浴びせられていますが、この2ブランドの「本質」はそれとは全く違うところにある気がします。今から10年ちょっと前に、デビューしてまもなく日本のクルマ好きから袋叩きにあった「V35スカイライン」というクルマがありました。ざっくり言ってしまうとBMWとポルシェの現在地は限りなくこの日産(インフィニティ)とスカイラインが置かれている立場に近いといえます。BMWもポルシェも欧州全体を覆う「エコ」の機運に真っ向から反するクルマ作りを得意としてきました。「ストレート6」と「フラット6」がこれらのブランドの「象徴」なのですが、それらを許さないのが欧州各国や日本で暗黙の内に官民で合意された「環境意識」のようです。

  そんな息苦しさをモロに感じたであろうBMWやポルシェが、自らの意志で目指した「楽園」が「3.5L以上じゃなければクルマじゃない!」とまで放言するアメリカ市場になるのは必然です。それもドイツ嫌いなユダヤ人(レクサスを好む!)が多い東海岸ではなく、「自由」と「成り上がり」そして人種のるつぼであるカリフォルニアです!・・・と社会学者みたいなことを言ってみました。ガソリン価格の下落はとどまることを知らず、数年後には石油輸出国になると言われるアメリカは、BMWやポルシェにとってはこれまで培ってきた高性能ガソリンエンジンのノウハウを大きく生かせる最後の場所となるようです。もはやBMWもポルシェもそして日産も自らのルーツであるドイツや日本を捨てて、VW(アウディ)やPSAといった貧乏くさいクルマを見事なまでに全く受け入れないアメリカへと「国籍変更」が進んでいくようです。

  ドイツ車と日本車の境界をクロスオーバーさせたようなモデルが目立つVWやマツダばかりが、やたらと高い評価を受けるようになったのが昨今のカーメディアの風潮です。そんな「ヴォルフスブルク=広島」ライン(枢軸)が作る計算づくのハイテク車が、「伝統」を重んじるBMWやポルシェを欧州や日本から間接的に駆逐した・・・という構図でいいかと思います。そんな「ピューリタン」(BMWやポルシェ)が流れ着いたのが新大陸(カリフォルニア)です。まあポルシェの親会社はVWなんですけどね。BMWやポルシェだけでなくそれらを追いかけてベントレー、ジャガー、マセラティなどが次々と流れ着いているようです。ランボルギーニやアストンマーティンはどうやら中東に新天地を求めたようですが・・・。

  「ヴォルフスブルク=広島」か?「カルフォルニア」か?

  VWやマツダに同調する姿勢をみせているのが、アウディ・PSA・ボルボ・ルノー・フィアット・オペル・ミニ・スズキといった面々で、BMWのFF車や下級プラットフォームを使う(1〜4シリーズ)もどちらかと言えば、「ヴォルフスブルク」派です。こうやって括ってみるとどのブランドのモデルからも日本ユーザー目線で「使い易さ」が滲み出ています。日本でお手頃な小型車を買うならば、まずは評論家ゴリ押しのゴルフとポロを中心に、アクセラ、デミオ、スイフトといった低価格なのに全く性能でひけを取らないお買い得なモデルあり、プレミアム感を強調したアウディA3、A1、ボルボV40などがあり、さらに個性を強調したフィアット500やミニが選べます。

  「ヴォルフスブルク」派の最大の特徴(戦略)は、VW他のメーカーが揃って「クルマは走りだ!」という信念を貫き通すことで、カーメディアの寵愛を受け続けるであろうということです。実際に軽自動車(コペン含む)やミニバン、SUVといった日本で売れ筋のボディタイプと比べて、その操縦性の幅広さは圧倒的と言えます。一見シンプルに見える設計(ボディ形状・エンジンバリエーション)ですが、それによって「走り」という極めて本質的な「付加価値」を保ち続けています。

  一方で日本のユーザーが思わず尻込みしてしまうようなラグジュアリー感とボディサイズを誇るのが「カルフォルニア」派です。「ヴォルフスブルク」派のような貧乏臭い「付加価値」なんかではなく、選ばれた人の為の選ばれたクルマだけが持つ「絶対的価値」が「カリフォルニア」派の最大の特徴と言えます。バブルや高成長時代といった「宴」が完全に終わってしまった欧州や日本を追われた「流れ者」ならぬ「追放車」です・・・。もはやこれらのクルマにとって「ドイツ車」「イタリア車」「イギリス車」「日本車」といった属性は何ら意味を持たないので、いっそのこと仕切りを全て取っ払って「カリフォルニア車」でいいのではないかと思います。別に名称は「カリフォルニア」でなくてもいいですが、「中東」「六本木」「タックスヘイブン」・・・どれもピンときません。「砂埃の中」や「渋滞地獄」や「あやしげな離島」が舞台ではあまりにもかわいそうなだなと・・・。

   さて「カリフォルニア車」の代表的なモデルといえば・・・ポルシェ(パナメーラ/カイエン/991型911/マカン)、BMW(6シリーズ)、メルセデス(Sクーペ/SL/GT/GLなど)、ジャガー(Fタイプ)、ベントレー(コンチネンタルGTほか)、マセラティ(ギブリ/グランツーリズモ/グランカブリオ)、フェラーリ(カリフォルニアほか全モデル)、シボレー(コルベット)、フォード(マスタング)、日産(GT-R)といったところでしょうか。日本メーカーもさらに続々と参入を決めているようで、アキュラ(NSX)、インフィニティ(Q100)、レクサス(新型SC?)などが予定されています。それにしてもいざ日本で乗るとしたら「駐車場」やら「燃費」やら「近所の目」やらで頭を悩ませそうなクルマばかりです。都内の超高級マンションの地下駐車場にしまっておけるくらいの余裕がないととてもじゃないですが無理ですね。


  待ったなしの少子高齢化で、様々な産業が国外脱出を図ってしまうガタガタの日本経済では、「カリフォルニア車」の比率はせいぜい1%が関の山で毎月25万台の新車販売で2000台程度は売れているようです。毎月2000台という数字が多いか少ないかは判断できかねますが、日本にも「赤坂・六本木」といった立派な「成り上がり」のスラムが形成されています。その界隈ではカリフォルニア車のサイズが駐車スペースを決めるようになっていて、超低床&ワイドボディでも難なく出入りできる地下駐車場が豊富にあるので、今後も一定の需要が続くことが予想されます。表参道ヒルズの地下駐車場に「ヴォルフスブルク=広島」車で入ろうものなら、入口の係員に「縦列スペースでもいいですか?」なんて訊かれちゃいます・・・。


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2014年12月29日月曜日

新しい ボルボV40 は ゴルフ を超えることができるのか?

  「VW」とともに堅実な輸入車好きに愛されてきた「ボルボ」ですが、最近になってどうもあまり元気がありません。2013年にはV40のヒットによりセンセーショナルな存在だったのですが、みるみる影が薄くなっています。日本での月販1000台がせいぜいのブランドにとって、200万円台に設定された「V40T4」の大胆な低価格戦略はある程度は有効だったようですが、やはりここにきて持続性に乏しい印象です。新型エンジンも投入し再び加速したいところですが、どうも日本での戦略がチグハグな気がします。

  より日本のユーザーにCセグ車をオールマイティに使ってもらうために投入されたボルボ待望の自社開発ユニット「drive E」2Lターボを搭載したV40「T5」に大きくそそられます。しかし「T5」なので本体価格はほぼ据え置きの約420万円ですから、単純に「ゴルフGTI」や「メルセデスA250」といったハイスペックCセグの有力モデルと比べてもほとんど差がない価格設定です。ゴルフGTIの培ってきた伝統とメルセデスのブランド力を超越するくらいの実力がある新型エンジンなのですが、やはりそのユニットの魅力を一般の人に周知させられないと本格的な拡販にはつながらないでしょう。

  これまで旧フォード=マツダ陣営が作ってきた中型モデルエンジンを使ってきたボルボですが、本拠地スウェーデンは世界最先端のEV普及地域ということもあり、より環境志向の高いエコなエンジンを自社開発してきました。フォードのエンジンはスポーティでこそあれ、大してエコではない「エコブースト」(笑)ですから、いよいよそこから離れ、エコの世界的権威であるトヨタグループと新たに手を組むことにしたようです。近年のドイツ系メーカーなどが陥りがちなのが、部品メーカーへのエンジン開発の丸投げで、これによってしばしば評判を落としているのがBMWやメルセデスだったりします。エンジンそのものではなく近年ではミッションを含めたユニットトータルで性能を発揮する部分が大きくなってきた駆動系開発ですが、ZFによって「牙を抜かれて」は言い過ぎかもしれませんが、完全に味わいそのものが薄くなってしまったBMWエンジンのように実感できるレベルの「弊害」も出て来ています。

  ボルボはBMWの二の舞を避けるために、欧州のモジュラー文化な部品メーカーを避け、開発力に勝るデンソーとアイシンAWのタッグによる「オールトヨタ」による新型ユニットをブランド復活のきっかけにしたいようです。その結果何を得たのか? スポーティとエコの比較はナンセンスですが、少なくともZF8速ATを「変速速度」「ショックの少なさ」で完全に上回る基本性能に優れたアイシンAW8速ATを装備できたことは、新生ボルボにとって非常に大きな意味があるでしょう。新型ボルボのユーザーにとっても「ZFなんてクソ!やっぱり高級車はアイシンAWでしょ!」とブッコけるような、大きく満足できるポイントになりそうです。

  しかしその一方でボルボがエンジン開発の基本戦略において手本にしているのはBMWで、BMWと全く同じ要領で、デンソーといっしょに作ったこの2Lターボの「drive E」という直列4気筒エンジンをベースに、同じボア×ストロークでそのまま3気筒1.5Lにダウンサイジングしたエンジンも開発中だそうです。BMWが幅広く使っている2Lガソリンターボも「N20」から「B48」へとさらにロングストローク化された実用エンジンへと変わっていますが、フォードのショート気味のエンジンからロング化へとボルボも同じく追従しています。これはボルボ側の意図なのか、それともトヨタ陣営からの提案なのかはわかりません。ただ今後は新興国を中心にプレミアムカー用の中型車ユニットの需要が高まることが予測されていて、BMWのユニット開発で辣腕を奮っているZFの親会社にもなった独ボッシュ・グループが優勢になりつつある部品供給の流れに対し、トヨタ系列の部品メーカー連合が「待った!」を掛けたい思惑もあるようです。

  ボルボがデンソーとアイシンAWを大々的に採用したからといって、必ずしもトヨタっぽい乗り味に近づくとは限らないでしょうが、今後は日本のユーザーにどのようにボルボらしさを伝えていくか?という新たな課題が出てくると思います。従来のボルボのエンジン供給ルートは、全て旧フォードグループ時代からのつながりに頼っていました。福野礼一郎氏や森慶太氏はベースグレードに使われているフォードの1.6Lターボを絶賛されておられましたが、同様にV40ユーザーのクルマ好きにとっては、日本ではなかなか手に入らないフォードの「エコブースト」を載せているクルマという意味でV40に価値を置いている人も多いようです。

  しかしこのエンジンは、クラスの盟主であるVWゴルフTSIのものと比べても馬力を搾り過ぎで、ベースグレードにも関わらず日本のような道路環境では特に燃費が悪くなるという欠点もあります。これはBMW1シリーズの1.6Lターボにとっても同じで、ボルボもBMWもこの数年の内に3気筒化された1.5Lターボへの載せ代えが行われる見込みです。ただし両社の1.5Lターボが、スバル・インプレッサやマツダ・アクセラの2L自然吸気の燃費を上回れるかは微妙なところですし、ほぼ確実に高速道路でのエンジン音も酷くなりそうです。

  あくまで個人的な意見ですが、Cセグ車はもはや「低価格」ではなく「質」で選ぶ時代に突入していると思います。アメリカではまだまだ「スモールカー」という分類ですが、日本においてはCセグは軽自動車やミニバンに比べて、運転の楽しさや乗り心地を追求した付加価値の高いクルマとして選択されています。その結果としてVWゴルフやレクサスCT、そしてマツダアクセラが「高い評価を受けつつ販売面でも好調」という最近では極めて珍しい存在(笑)になっています。もちろんアウディA3のように「高い評価を受けつつも販売面では低調」なクルマもありますし、Aクラスや1シリーズのように「低い評価でも販売面ではそこそこ」というクルマもありますが・・・。

  さてボルボV40ですが、昨年(2013年)は非常に好調でした。ボルボが日本で月販1000台をクリアする原動力にもなりました。ベースグレードのT4がBMW120iとほぼ同等のスペックを持ちながらも、120iからマイナス80万円という価格設定が人気の要因だったようです。日本のユーザーに限った話ではないと思いますが、多くの一般ユーザーにとって、このようなマーケティング手法はかなり有効なのだと思います。その一方でいくら乗り味が良く燃費も良い素晴らしいエンジンを作っても、一般の消費者には伝わりきらない部分も多々あります。マツダの「スカイアクティブ=ガソリンエンジン」はアクセラやプレマシーに搭載された当初は市場は全くといっていいほど無反応でした。その後CX5のデビューと同時にディーゼルエンジンを発売してからマツダの客が増え、その好影響の中でほとんどがガソリンエンジン車になる新型アクセラも販売を伸ばしました。

  ボルボの「drive-E」も分類上はごくごくありふれたガソリンターボエンジンであり、よっぽど1.2LまでダウンサイジングされたVWゴルフTSIやプジョー308の方が特徴が分り易いかもしれません。ボルボもマツダに倣ってディーゼルエンジンを導入して、日本のユーザーを振り向かせるなどしない限り、400万円を軽く超える「drive-E」搭載のV40が売れることは無いかもしれません。ボルボとしてはディーゼルとガソリンターボPHVの発売も今後は予定しているようですが、その頃には「ディーゼル」や「PHV」にどれだけ新鮮さが残っているのかやや心配です。



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2014年12月9日火曜日

ドイツ車の復活はあるか?それとも・・・。

  「方便」ってヤツなんだと思いますが、少々解せないのが「2000年頃からのメルセデスの品質劣化は酷い」という意見と、「ドイツは自動車産業が国策だから世界の頂点!」という意見を器用に使い分ける人々(評論家の方々)です。そもそもKポップやクールジャパンじゃあるまいし、「国策」ってなんだか愚の骨頂じゃ?というツッコミもあるでしょう。「国策」ということはその国が儲かるように仕組まれているわけだから、利益を出せないポルシェのスポーツカー作りなんてさっさと止めさせて、ほぼ「濡れ手で粟」状態といえるSUV商売ばかりに多くのドイツの名門ブランドを駆り立てているとも言えます。

  アウトバーンの国・ドイツの自動車産業は数年前から曲がり角を迎えています。ほとんどの地域ではハイウェイの制限速度を100~120km/h程度に設定するようになり、ドイツ車の持ち味とずっと言われてきた「高速安定性」は、もはや最大市場のアメリカでは大きな商品価値を持たなくなってきました。本来ならばセダンやハッチバックが実力通りに大いに売れるはずですが、北米市場ではどちらのジャンルも完全に日本車によって追い出されてしまいました。どっかの評論家が言ってましたが、「アメリカの金持ちはユダヤ人が多いのでドイツ車を避けてレクサスを買う傾向にある」とかいう、なかなか斬新なドイツ車擁護論を聞いたことがあります。しかし「カローラよりも安いゴルフ」や、「カムリより安いパサート」が不思議なことにそれほど売れない現状を見ていると、「ドイツ車およびドイツブランドの力不足」に問題があると考えるのが妥当じゃないでしょうか。

  日本市場では「メルセデス」「BMW」「アウディ」「VW」のエンブレムが付いているだけで「お〜!すげ〜!」とか言い出すクルマ音痴な人々が多いですから、あまり言われることが少ないですが、ドイツ車は実際のところ結構とんでもないクルマが多いです。まずは「メルセデス」ですが、このブランドは近年とくに開発力の低下が叫ばれています。1990年くらいまでのメルセデスは「最善か無か」というイニシアティブに基づいた異次元のクルマ作りをしていたそうです。乗ったこと無いので何とも言えませんが、多くの人がそういうのである程度はそうだったと思います。しかし最近のラインナップのモデルを試してみると、どれもこれもどこかバランスを欠いた不可解さがくっついてくるモデルが多いです。

  言葉が悪いですが、新しく登場した多くのメルセデスのモデルが部品メーカーを締め上げてつくったかのような設計で、部品同士が喧嘩したような不整合なギクシャクを感じます。例えば日本車ならばどのメーカーのものでも、「エンジンの特性」と「ミッションの仕様」には一定の相乗効果が見られるのが普通です。トヨタ、ホンダ、スズキ辺りは熾烈な燃費競争を繰り広げているので、エンジンとミッションの組み合わせに神経をすり減らすのは当然です。日産、スバル、マツダなどは逆に乗り味を良くするためにエンジンとミッションのリズムを上手くまとめ上げ、日本メーカー車に独特の繊細さが感じられる仕上げになっています。

  多段式(8速くらい)のトルコンATを使ってしまえば、変速ショックが大幅に軽減されるので、ある程度は誤魔化せてしまうものです。メルセデスの場合FRの上級モデルはこれでなんとか開発時間の不足を補えています(BMWやレクサスも同じか・・・)。しかし逆に多段化でシフトの選択肢が増え過ぎたせいで、いまいちシャキッとしないスポーツモードになっているケースも散見されます。この点に関してはメルセデスやBMWが使う7or8ATよりも、VWの6DCT(湿式)の方が洗練されている印象すら受けます。

  そしてドイツメーカー同士で同じ排気量のエンジンを比べたときに、BMWやVW&アウディに比べてメルセデスのエンジンは「噴け上がりが鈍い」と感じやすいです。先ほどのスポーツモードもそうですが、車重があるメルセデスにとっては同等のスペックでは不利になる点と言えます。そしてミッションとエンジンの組み合わせに熟成不足があることが、メルセデスに対してしばしば見られる厳しい評価につながっている気がします。クルマの良し悪しは必ずしもエンジンやミッションのフィーリングが全てではないので安易な結論は控えますが、メルセデスの煮詰めは相当レベルに甘く、ある程度「走り」を意識した日本車・ドイツ車という強力なライバルの中においてはかなり明確に低水準なのがよく分ります。新型モデルが慌ただしく次々と登場してますから、1つのモデルに時間を割いて乗り味を調整することもなかなか難しいのだと思います。

  それでもメルセデスが、ライバルのBMWやアウディに対して優位な点もあります。最も顕著なのは、個性的な内装づくりに対する姿勢です。カーメディアは常にドイツのこの3つのプレミアムブランドに最大限の敬意を払っているので、どのブランドのクルマも判を押したように「高い質感はさすが!」としか書きませんが、実際のところはある程度の優劣は存在します。ここでリードしているのが、開発スパンの短縮化を社是としているメルセデスです。ドイツらしい質実剛健さがまだまだ随所に見られるBMWやアウディはもう古い!と言わんばかりに個性を盛り込んだ内装の作り込みが目立ちます。とある雑誌にCクラス、3シリーズ、A4のワゴンを比べる企画がありましたが、Cクラスワゴンだけラゲッジスペースの脇にネットのポケットが付いていて、その姿は使い勝手でナンバー1を獲得している某日本メーカーのクルマを彷彿とさせます。

  インパネやラゲッジルームのレイアウトを個性的かつ機能的に作るという点において、メルセデスは明らかにトヨタのクルマ作りの影響下にあるようです。センターコンソールを盛り上げる意匠は、プリウスやレクサスのHV専用モデル・HSからのトレンドと言えます。来年発売のVWの新型パサートを見て、「なんだかプリウスの内装みたい・・・」と思った人は多かったはずです(私もそう思いました)。トヨタの内装は日本の評論家やクルマ好きからはあまり高く評価されていませんが、その足取りはドイツ人の心を射抜くものになっているようです。飛行機のファーストクラスのような包まれ感はレクサス・日産そしてドイツプレミアムブランドの間で共有された「価値観」になりつつあります。

  レクサスが北米に登場してまもなく、トーマス=フリードマンが「レクサスとオリーブの木」を出版しました。その15年後の2005年にレクサスが日本上陸したときは、日本の多くの自動車好きがレクサスの「世界戦略」にかなり懐疑的だったと思いますが、それからさらに10年が経ち、先輩格のドイツブランドをも呑み込んでしまう大きなうねりになってきたように思います。その中で相対的に存在感が希薄になったドイツブランドには、盲目的な追従ではなく、新機軸を生み出す革新性を打ち出してもらいたいと思います。「国策」なんてクソみたいな大義名分は放り出して、終わったと思われたイタリア産業から大胆にも世界を見据える「マセラティ」であったり、ベンチャーながらも堂々のブランド展開を行う「テスラ」のような自信に満ちあふれた前進をしてもらいたいと思います。


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