2018年2月13日火曜日

アウディA5スポーツバック(2018 / NO1) ちょっとだけAudi

Audiってさ・・・
  アウディがやりたい事が市場に伝わらなくなったのはいつ頃からだろうか。90年代の終わりにアウディは、定評があったメカではなく、デザインによって業界を根底から変える力を持っていることを世界に示していました。『ミレニアム』という世界的な転換機運の高まっているタイミングもあって、誰の目にも21世紀の自動車業界の覇者は多分アウディになるだろうという予感はあったんですけどねー。結局は日本市場はアウディではなくてプリウスを選んだという・・・。

エコカー減税はAudi侵略を防いだ!?
  エコカー減税を国に働きかけて、無理やり市場にプリウスを選ばせた部分もあるわけですが、アウディが日本市場の定番高級車にいまいち成りきれていないのは、アウディ自身にも色々と問題があった気がします。「ディーゼル」とか「反日」とかそういう政治的な問題はどうでもいいのですが、結局のところ90年代に振り上げた拳で当時停滞していたBMWやメルセデスを叩くことには成功しましたが、アメリカ車や日本車が持つ技術的な支持を得られないままに、なんだかフワフワと『根無し草』のようなブランドになってしまったことは、「アウディの悔恨」として後世に語り継がれていくと思います。

90年代のメカAudiの万能感
  「何を言ってんだ?」って人もいると思いますが、90年代のアウディは、ホンダにも負けない高回転ユニットと、日産、三菱、スバルのAWDターボ軍団(いわゆるスカG、エボ、インプ)をも凌駕する高性能なシャシーとAWDシステム(クワトロ)を併せ持つ、ドイツ自動車産業の誇りだったわけです。それを思うと今のアウディは不甲斐ない。時代はかわり北米でも欧州でもSUVが大ブームなようですが、トルクベクタリングのエクストレイル、Eデフを装備したアウトランダー、デフロックこそないもののLSDを備えたフォレスターなど、技術的なポイントを押さえて投入される日本勢に対して、アウディのSUVのガラクタ感は半端ないです。

クワトロという名の詐欺
  昨年フルモデルチェンジした「アウディA5」は、日産GT-R/インフィニティQ60に対峙するモデルです。かつて『スカG』に対するドイツ最強のライバルという意味で君臨したアウディにとっては、このA5シリーズは特別なモデルだと思うのですが、アウディの関心はどうも新興国市場でバカ売れしているロングボデーのサルーンにばかりあるようで、A5は完全に後回しにされている感じがしますね。このFMCでも一体何が変わったのかいまいちピンとこない。しかもいつの間にか日本メーカー製のオンデマンドAWDを装備したクルマが「クワトロ」を名乗っているのはちょっと残念です。

日産の挑戦に見向きもせずに利益に走る!?
  それでもまだまだアウディの名声は生きていて、北米市場で攻勢を強めるインフィニティの主力エンジンになったVR30DETTは、アウディS5スポーツバック(北米仕様)の3L・V6の354psのユニット(EA839)をターゲットにした為に、特別に400ps版を設計したと日産の開発担当者はインタビューで明かしています。ちなみに北米市場ではEA839のツインターボ版は存在しないです(RS4アバント/RS5は導入されていない)、よって5400rpmがピークのEA839に対して、6400rpmのターボにしては異例の高回転ユニットにしたのも、アウディを徹底的に叩く為だったとか・・・。

もう少し日本価格が・・・
  北米ではS4が51000ドル、S5スポーツバックが54000ドルで買えるのに対して、日本ではS4が839万円、S5スポーツバックが913万円。ドイツメーカーではこれくらいの日米格差は当たり前なんですけども、ちょっと価格差が気になって日本ではS5なんてなかなか視界に入ってこない。しかし90年代のアウディの志をそのまま理解するならば、スカGやエボのようなグランドツーリングカーこそがこのブランドの魅力であり、そのど真ん中は間違いなくS5スポーツバックなんですよねー。

日本のAudiがダメな理由は顧客にある!?
  アウディジャパンは、そんなことをまるで気にしていないようで、せっせと廉価な横置きエンジンのクルマを仕入れて売りさばいているようです(それAudiじゃねーし)。350万円で数字が出せるクルマを多めに注文して量販するのは、日本車ユーザーをうまく引き寄せる現実的な戦略なんでしょうけども、正直言ってその内容はお世辞にも納得はできない(コスパがいいとは感じない)。やはりアメリカ向けと日本向けでAudiのイメージが大きく違ってしまう原因は、ユーザーにあるのかな!?

1.4LのAudiはもうやめてー
  北米向けのアウディは、直4なら252ps、V6なら354ps。非常にアウディらしいハイチューンなユニット『のみ』が使われていますし、RSともなると直5、V8、V10のみの特別なユニットだけを設定。ベースモデルとは全く違う異次元のマシンに仕上がっています。それに対して日本向けのアウディは1.4Lターボとかいう、今ではインドやパキスタンなどの新興国市場くらいでしか売ってなさそうなユニットが平気で使われているわけです(中国でも1.4LターボにDSGなんてもうとっくに廃止されているのに)。

ハイパワー/ハイトルクに合ったシャシーとサスなんだが・・・
  何が言いたいかというと、やはりアウディには北米市場で展開しているようなラインナップで、本当にいいクルマだけを売って欲しい。縦置きエンジンのA4なのに1.4Lや控えめな2.0Lのユニットを搭載したFF車になっていたりすると、これならA3の横置きユニットの方がロスも少なく乗り味も居住性も安全性も上じゃないかって思う。しかも高出力AWDを意識した4輪マルチリンクの実力をほとんど使いこなせていない。それだけじゃなくて、アシが粘るものだから余計にユニットが物足りないクルマだと感じてしまう。ハンドリングもスッキリしないし・・・。

FFのA5・・・
  2017年のFMCで登場したFFのA5スポーツバック543万円という不思議なモデル。日本でもアウディの本質に近づいてもらえる価格で!!という配慮なんだろうけども、「違うだろー!!」って心の声が聴こえてくる。アウディジャパンからクルマを買う立場の日本市場にとっては今後に期待を抱かせる一歩だとは思うのですけどね。アウディのグランドツアラーで『群長超え』ルートでも存分に味わえば、やっぱりドイツ車っていいよな〜という気分に浸れると思うのですが・・・。

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