2013年11月28日木曜日

アテンザの登場でさらに輝くメルセデスSクラス

  日本には昔から「穢れ」という考え方があります。日本人の価値観を今もなお大きく支配する概念といってもいいほどで、私もまだまだカーシェアやルームシェアに対してネガティブなイメージがあるのも、それらに「穢れ」を感じてしまっているのだと思います。タクシーやバスは平気で乗るし、ホテルにも喜んで泊まれるのに、まあ不思議なことです。

  輸入車ユーザーの多くは別の意味で「穢れ」(アンタッチャブル)というものを感じている様子があります。「とりあえず乗るなら輸入車」なんて40歳以下の世代ならば、学生の頃に不思議と考えていたはずです。現実には新車で輸入車を買う事がとても贅沢というか不経済であることが分かり・・・不幸なことに「それならばクルマなんていらない」となってしまう人が多いですね。全ては大学進学率が上がり、その結果世間しらずなアホが量産され、何もできないくせにプライドだけは一人前で「絶対に輸入車」と・・・学生時代から何も進歩していない人が多いんじゃないかと思います。

  ただプライドとかポリシーとか個々に感じている「輸入車への憧れ」は結局は、「穢れ」という昔から日本人に備わっている「気質」によって形成されていたりするわけです。なので輸入車ユーザーは決して「西洋気触れ」などではなく、意識の変化を拒む保守的な感覚の人が多い気がします。

  日本の自動車メーカーにとってはこの「日本人の気質」が国内で高級車を売ることの難しさに大きく根ざしていると分かっているようです。それは作る側にも言えることで、誰よりも強烈な「日本人的な気質」を発している日産やマツダが挙って輸入車への憧れを隠すことなくクルマ作りに取込んでいたりします。

  ポルシェそっくりのデザインと酷評されたFC3Sから、いよいよポルシェを完全に怒らせたGT-Rまで、欧州コンプぶりは随所に見ることができるのですが、マツダの新型アテンザはいよいよドイツメーカーとその愛好者に大きな衝撃を与えつつあるようです。メルセデスが2014モデルとしてSクラスのFMCを行いましたが、現在日本国内ではこのクルマへの賛辞が日に日に高まっています。少し前まではあらゆる部分でEクラスに飲み込まれたと酷評するほど旧型Sクラスへの関心は低くなっていたはずなのに、オッサンジャーナリストの豹変ぶりがなかなか強烈です。

  確かにFMCでメルセデスがあらゆる部分に改良を施し、ブランドの再生を志しているのを感じることはできます。その点を純粋に評価したといわれればもちろん納得も出来ます。しかし実際に飲み込まれたのは旧型Sクラスではなく、マツダ・アテンザにあちこち凌駕された現行Eクラスの方だったりするんですよね・・・。オッサンJの永遠の崇拝対象であるはずのメルセデスは、ついにEクラスまで陥落してしまったわけです。


  Eクラスまでが「アンタッチャブル」な日本車に凌駕されてしまい「穢れた」存在になってしまいました。当然ながら最後の砦となった新型Sクラスに対する賛辞がいつも以上に声高になるのも当然と言えるかもしれません。BMW5に対しては「直4かよオイオイ」みたいなことを連発していたハズの有名オッサンJN川氏が「100点満点」とか言ってしまっています。ちなみに最近の同氏の採点はクラウン(70)V40(85)/ゴルフ(99)となっています。読者をナメてんのか? クラウンはやっぱり「穢れ」なんですね・・・。


2013年11月26日火曜日

ボルボの新陳代謝は日本で通用するのか?

  目下のところ昨年同月比で73%増の販売台数となり、全般に好調な輸入車ブランドの中でも特に目立っているのがボルボです。好調の原因は、もちろん現在の販売の主力となっているV40で、昨年の段階ではまだ発売されていないのですから当然の結果ではあります。しかしBMWミニに追いつき、停滞気味のアウディを捉えようかという勢いを感じます。

  ミニとアウディが本来は獲得するべき、好景気による増加分をボルボが吸収したわけですが、印象としてはボルボがかなり日本市場で宣伝を掛けてじっくりと自信の新型モデルを売り込むことに成功した感があります。ミニはともかくアウディは新型A3の日本市場への投入を躊躇し、欧州・北米・中国を優先していて、はっきりと日本市場を軽視していることから、大手輸入ブランドの中で大きく出遅れたことは仕方が無いことだと思います。

  アウディは日本メーカーが中国で大きくシェアを落とす中で、「ある種」の問題行動を起こしていて、日本の特定の思想を持った団体からはその存在を完全に抹殺されているので、フジテレビが受けているような制裁が少なからず存在しているようです。

  一方でボルボは他のブランドよりも日本重視の姿勢を見せていて、現在開催されている東京モーターショーでもアウディとは全く熱意が違っていて、先日欧州で公開された最新のコンセプトモデルをロサンゼルスではなく東京に持ってきました。

  ボルボとしてはアウディが日本市場で思わぬ躓きをみせている今が千載一遇のチャンスなのですが、発売から1年近くが経ってV40頼みの状況では更なる飛躍は望めそうにありません。ボルボが従来から持っているラインナップはセダン・ワゴン・SUVで強力なライバルが多く、日本市場でも大きな拡大が期待しにくいジャンルに集中しているので。新たな戦略モデルが不可欠な状況です。

  そこでボルボが日本市場に切り込みをかける第2弾として期待しているのが、東京MSでも公開されたボルボ「コンセプト・クーペ」です(動画はこちらです)。自動ブレーキと受動安全性さらに歩行者保護エアバックなどで話題を重ねたV40に続いて、今度はボルボの殻を破って登場した「スタイリッシュ」「環境性能のPHEV」「高性能」といった本質的な魅力を強く訴えるクルマです。もちろんボルボ的に標準な安全装備は全て載せるはずなので、どこからもつつきようがない完全無欠に近いスペシャリティ・クーペです。

  堅実なデザインと十分に所有欲が高まるであろう過不足無い性能で人気を博したV40は、ある意味で日本人が求める「今のクルマの理想型」に割と近かったと思います。新しく出るスバルの日本限定モデルのレヴォーグがどことなく従来のスバルではなく、このボルボV40のスペックを参考に設定されている気さえするほどに、V40のスペックは日本市場を研究した素晴らしいものなわけです。さらに堅牢なボディなど共通点も多く、V40はスバル車の互換車種として日本市場に打ち込まれた楔と言えます。

  そして次なる楔となるこの「コンセプト・クーペ」の市販モデルは、こんどは日本市場の「非スバル」的なニーズを掘り起こす為の戦略モデルといった趣があります。良くも悪くもマツダらしいデザインであり、アウディらしいデザインでもあるように感じます。スバルには見向きもしない目立ちたがりのユーザーを、狙い撃ちするには理想的なデザインだと思います。もちろん上手くいくかは価格次第なんでしょうけど・・・。


  ↓ボルボのC/Dセグ車もマツダ風にフェイスリフトして日本市場に溶け込むか?

  

2013年11月19日火曜日

ポルシェ VS BMWの行方は・・・

  間もなく開催される東京MSに参戦する海外メーカーの中で特に鼻息荒そうなのが、ポルシェとBMW。どちらももはや日本市場は眼中に無いのかなと思いきや、マツダやスバル以上に気合いが入ってますね。まあ素直に嬉しいことです。ドイツの2大スポーツブランドがそれぞれどんなクルマを披露するかというと・・・、新型SUVとエクステンダー付きのスーパースポーツ!?あれまあガチンコ対決になっているじゃないですか・・・。

  「BMW X5」VS「ポルシェ・マカン」という新旧のプレミアムSUV対決は、下馬評で大ヒット確実と言われるマカンの方が注目を集めているようです。アウディQ5をそのままポルシェにしただけと思いきや、エンジンがかなり強力なものに換装されているのだとか。ジャストサイズとか言っているが、アウディQ5の1900mm幅ですでに相当にアウトじゃないかという気もするが、SUVの基準はどうやらセダンとはだいぶ違うらしい。

  仕事で日本一「沿線所得」が高いと言われる京王井の頭線に乗る事が多いが、世田谷区の中央部はスプロール現象の影響で異常なほどに道幅が狭いが、そんな通りを1985mmのアウディQ7が結構走っているんですよね・・・。実際に二子玉あたりの細い路地でQ7に出くわしたときは、マジで焦りますよ。さっさとバックしないと踏みつぶされてしまいそうな勢いです。なんでこんな街でSUVに乗るのかな・・・まったく世田谷区民の考えることは分からないですね。

  アウディQ5でも十分にデカいんですが、それがパワフルになって450psだなんて・・・。そんなクルマが本当に日本で必要なんですかね?1700kgの車重で突っ込まれたら相手のクルマはひとたまりもないですね。でも1700kgという数字はこのクラスのSUVとしては相当に軽い方なのだとか。対するBMW X5も2000kg超の車重なので高速道路でこんなのとぶつかった軽自動車は絶対に助からないですね・・・。

  マカンもX5もこんな意味不明な巨体ボディですからさぞ燃費も悪くて不人気確実なのかと思いきや、どちらもディーゼルターボが主流になっていて、その点が最大のセールスポイントになっているようです。どっちがカッコイイかと言えばBMW X5の方が数段上な気がしますが、50歩100歩といったところです。SUVなんて所詮はピックアップトラックの亜種に過ぎないわけでデザインの価値基準もトラックのデザインの良し悪しに準拠して考える必要があるかもしれません。

  さらに言うと、BMWもポルシェも車台をトラックと共有なんて当然してませんので、乗用車プラットホームにデカいボディとタイヤを付けて非効率にしただけの「なんちゃってSUV」なわけです。いくら北米で売れてるからといっても、そんな本質的には著しく合理性を欠くクルマで「プレミアムSUV」とか盛り上がっているのはやや滑稽です。マカンもX5も上級モデルだけあって、安価なSUV(ハリアーなど)にありがちのパワー不足はなさそうです。

  今回ポルシェとBMWはEVスーパースポーツの先駆的存在として「928」と「i8」でも競合していて、どちらも超高額車なのでまあ量販は期待できません。ということでこの両メーカーは東京MSで一体何をしたいんだ?という気がします。「ケイマン」とか「2シリーズ」みたいな日本的なモデルでガチンコしてもらいたかったですね・・・。

 

2013年11月15日金曜日

VWパサートって日本に持ってくる必要あります?

  VWのクルマはプロ・アマ問わずなんとなく「ぬるい」評価を連発して、全くクルマの本質が見えてこないのが全体的な印象なのですが、その中でも日本に導入されている意味不明なモデルが「パサート」だと思います。結局は評論する人が誰一人としてこんなクルマを選ぼうとは思ってないので評論全てがテキトーになってしまうのでしょうが・・・。

  このクルマの一番イラッとする点が、非常にアンバランスな加速をするので、後ろを走っていると速度の調整が難しい点です。アクアやプリウスなら出足も遅くて中間加速もゆったりなので、アクセル開度をシンクロさせれば、それほどストレスなく追従できます。それに対しパサートはDSGのもたつきで出足が意味不明に遅く、その後ターボラグが発生して変なタイミングで再加速します。前方の信号との距離を考えると明らかにエネルギーのムダな出力を繰り返します。このクルマは1.4Lターボだそうですが、本当にエコなのか疑問です。実際にユーザーレビューを見ると10km/L超えないレベルという記述が多いです。

  先日も多摩センターにあるアップダウンのある一本道を夜中に家路を目指して走っていたのですが、前方を走るパサートに追いついてしまいました。ちょっと接近すれば欧州車オーナーのプライドでしっかり走ってくれるだろうと期待したのですが、なかなかペースも上がらず・・・でした。後ろから見ているとFFにもかかわらず、スタイリングを意識したような太めのタイヤを履いていて、これではどう考えても上手く曲れないだろうなと思いました。

  峠道セクションはダラダラとカッタルそうに走り、その後2車線区間に入りました。コイツの後ろは絶対にゴメンなので、さくっとかわしてやろうと思ったのですが、散々つつかれてイライラしていたようで、猛然と自慢の低速トルクを使って加速を始めました。実は左折して2車線道路に入ったときにビニールと紙袋が路上に落ちていて、パサートはそれを介さずにつっこんでいきましたが、後輪が舞い上げたゴミがパサートの排気口の辺りにへばりつくのを見せつけられて、ゴミの行方を目で追ってしまったため、スタートが遅れちょっと離されました。

  緩いカーブの下り坂で左車線に1台だけ遅いクルマがいたので右車線のパサートの後を走ります。こちらは中速域まではトルクが細いNA車なので、出足の加速は互角でしたがそこから先はVWの回らないロングエンジンとマツダの回るショートエンジンの戦闘力の違いが発揮されあっという間に距離が詰まり左車線に出て追い抜きました。相手はクリーンな道路状況を見て引き離そうという意図がある加速を繰り出してきたようですが、そういう運転をするのならレガシィワゴンのターボにでも乗り換えた方がいいのでは?と思いました。

  結局はパサートというクルマはカローラフィールダーの1.5L以上1.8L未満程度の「互換性」しか持ってないと思います。ドイツでもアメリカでも同クラスのアテンザ・レガシィよりもかなり安く設定されていて、せいぜい価格も200万円くらいが適正価格だと思うのですが、なぜか日本だけぼったくりに近い価格設定が行われていて残念ですね・・・。

  その価格を真に受けてしまって、高性能車と勘違いしているユーザーが多いようですが、基本性能として0-100km/hのタイムはプリウスと同じなんですよね・・・。そんなこと微塵も感じさせずBMW3と同等のクルマかのように錯覚させて売りさばいてしまうVW(その代理店?)の大胆不敵な戦略はさすがで、マツダやスバルはしっかり学ぶべきなのかもしれないですが・・・。


 

2013年11月13日水曜日

「428i」が1780kgなのに「M4」が1500kgだってさ!

  とうとうBMWがプリウスの技術を使って走り出したみたいですね。プリウスの運動性能を馬鹿にする人が多いようですが、そのメカニズムの根幹には世界最高水準の素材が使われています。もちろん世界最高の燃費を叩き出しているクルマですから、その為には想像以上のダイエットが必要で、ハイブリッド車の「車重」としては完全にライバルメーカーを圧倒してます。そんなトヨタの虎の子の技術は、復活を期すスポーツメーカーのBMWの目に留まり、いよいよ「新生」BMWの新たなクルマ作りに必須の技術として、メカー間の提携が成立し、トヨタの軽量化技術が供与されています。

  そしてトヨタとしてもBMWを自社の「外郭スポーツメーカー」と位置づけ、メルセデスとアウディへの反撃を開始すべくグループの再編を図っていくようです。レクサス・BMW・スバル・サイオンの4チャンネルを使えば、スーパースポーツとマッスルカーを除くスペシャリティカー市場をジャックすることができそうです。

  ちょっと深読みですが、BMWの「下級グレード」(4シリ以下)はレクサスとラインナップが被らないように、軽くしてよりスポーティなラインナップへと置き換えていくという方針で合意しているようです。とりあえず4シリーズはF30系のままで「重い」ですけど、この後に出てくる2シリーズとM3・M4は「次世代BMW」になるようです。ちょっと現行F30系と4シリーズの購入者には気の毒な気もしますが・・・。

  BMWはラインナップのほとんどが4気筒エンジンに換わりブランドの魅力が薄れたと言われていますが、その一番の理由は直4ターボのRWDなのに、AWDのスバルよりも重いことです。ご存知のようにスバルはAWDによる車重増を補うためにエンジンの軽量化に拘っていて水平対抗エンジン(ボクサーエンジン)を全車に搭載しています。

  直6時代のBMWならば方向性が違うということで無視できましたが、直4でも重いBMWにはやはりクルマに対するこだわりが感じられません。FRの設計が災いしてFFよりも重くなってしまう上、全体的に車重のバランスをとらないと後輪に荷重が適切にかからずにトラクション不足に陥ってしまいます。つまり現行モデルのBMWは失礼な表現ですがいずれも「泥沼状態」です。

  そのことはBMWもよくわかっているようで、トヨタとの技術提携に渡りに船とばかりに応じて、もの凄いペースでラインナップ刷新のための開発を行っているようです。BMWとしてはこれ以上大型車の販売が伸びないと踏んで、小型車市場に今後のブランドの命運を委ねていて、結局はこれまでのプライドを全て捨て、小型車開発に優れる日本メーカーの技術を片っ端からパクるのではないかと言われています。簡単に言うと日本車にそっくりなBMWがゾロゾロと出てくるわけです。

  それでもさすがはBMWでしっかりi3とi8という新しいブランドコンセプトをすでに発表していて、スポーティEVの先進メーカーであることを印象づけて、新たな顧客を取込もうとしています。東京モーターショーにも大挙してやってくるそうなので、続きは見てきてからにしたいと思います。