2013年3月7日木曜日

クライスラー200は日本市場に来るのか

  去年の暮れにフィアット傘下のクライスラーはフラッグシップセダン「クライスラー300」を日本仕様で販売開始した。レクサスLSをも上回る大型セダンで立派な車体をしていますが、ベースグレードの「リミティッド」は400万円〜ととてもお買い得になっています。286馬力の3.6Lエンジン搭載ですが、北米市場ではスカイライン3.7Lよりも断然安く設定されていて、お買い得なクオリティカーといったところか。さらにこのクライスラー300はダイムラークライスラー時代の遺産として、旧ベンツEクラスのシャシーを使っているので、輸入車として非常に高いレベルにあります。

  クライスラーは経営破綻したのち、フィアット傘下で再建が進んでいます。ブランドや車種の統廃合を進めていて、現在は4ブランド「クライスラー」「ダッジ」「ジープ」「ラム」のみの展開ながら、アメリカで毎月10万台以上で、ホンダ・日産・ヒュンダイの上を行っています。車種も極めて絞られていて、「クライスラー」ブランドの北米での展開はDセグの「クライスラー200」(2万ドルカー)とEセグの「クライスラー300」(3万ドルカー)とミニバンの「タウン&カントリー」の3車種のみしかないです(200のコンバーティブルもある)。

  この少数精鋭のラインナップながら、日本進出も本格的に視野に入れているようで、右ハンドル車をわざわざ用意して来ている(豪州向けのついでか?)。それだけでもキャデラックATSよりは好感が持てるのですが・・・。ただこのクライスラー300は車幅が1900mmを越えていてサイズが大きすぎて日本ではかなり使いづらいですね。インポーターはLSの半額以下でベンツのプラットフォームならいけると考えたようですが、価格とは別の意味で所有できる人が限られてしまいますね。代わりにクライスラー200を右ハンドルにして持ってきてくれれば、日本市場ももっと大きく反応するのではないかという気がします。200にはコンバーティブルもあるので、今の輸入車オープンモデルの密かなブームのなかで意外なヒットが期待できそうです。車体も大きめでどこか旧型ベンツのオープンをリフレッシュした佇まいでラグジュアリーなクルマになっています。

  このクライスラー200もダイムラークライスラー時代のシャシーを使っていて、三菱と共同開発されている由緒正しい信頼性のあるプラットフォームのクルマになっています。北米向けギャランに使われているものと同じものを使っています。三菱は北米のクルマ好きの間では一番技術があるメーカーとして定評があり、ダイムラーも高く評価している日本メーカーです。サイズも日本向けなのに日本で発売しないところを見ると、もしかしたら契約上このシャシーを使ったクライスラー200は日本市場に投入できないのかな?という気がします。そうだとしたら三菱は日本でミドルセダンを発売しないのだから、日本市場にとってはなんとももったいないことだと思います。なんとかこのクライスラー200が日本で発売されるのを見てみたいと思います(外観は新型シルフィを大きくしたみたいですが・・・)。

2013年3月6日水曜日

アテンザとRX-8を作ったフォード

  一部のSUVを除いてフォードは日本市場にあまりコミットできていない「ビッグメーカー」です。ただ日本で現在ノリにノっているマツダのかつての親会社として、フォードから出向した社長の元、現在のマツダの原動力といえるコンセプトを数々生み出した功績はとてつもなく偉大だと思います。2002年のアテンザ誕生とともにマツダが「ZOOM-ZOOM」(アメリカの子供がミニカーで遊ぶときに発するクルマの擬音語)というコンセプトを掲げてきた理由は、当時の社長がアメリカ人だったからです。

  今そのマツダに触発されたのか、トヨタも「良いクルマ」作りへとシフトしてきて、日本のクルマ業界はにわかに明るくなってきました。それはもちろん日本のクルマ開発に関わる人々の情熱によるものですが、日本メーカーよりも長い歴史を刻むフォードが「自動車後進国」日本の発展のために誠意を持って示してくれた「クオリティカーの文化」によるところも大きいと思います。2000年頃の世界規模の自動車業界再編に対しては批判の声もありますが、マツダがフォードの傘下にいたことは、日本のクルマ好きにとってはとても幸せなことだったのではないでしょうか。

  いま30歳くらいの人にとっては、社会に出るころにデビュした「アテンザ」と「RX-8」に憧れた人も少なくないと思います。当時はまだ世の中のことがよくわからず、この2台がフォードがマツダに作らせたクルマなんて知る由もなかったですが、どちらも抜群にカッコ良くて、クルマ雑誌をコンビニで立ち読みしては「250〜300万くらいか・・・」なんて目標というか意識していた記憶があります。当時ほかにもアルティツァなどが人気がありましたが、その頃からアテンザの方が圧倒的に好きでしたね。

  今の30〜35歳は一般にクルマに興味がない世代とか言われていますが(なんとなくわかりますが)、もしマツダのこの2台が発売されてなかったら、クルマに憧れるイメージが作れずにもっと興味なかったのでは?と思ってしまいます(BMWに500万円掛けたいとはなかなか思いませんね・・・)。20代は「丁稚奉公」として休日返上で働く人も多くいて、クルマなんてそもそもいらないですし、それでいいと思います(20代都会暮らしでクルマ所有は人生狂うかも・・・)。30代になって働き方が変わって生活の中にクルマが入ってきて、クルマへの興味も高まるのですがそんなとき、このマツダの2台があったおかげで純粋にクルマが好きになれたと思います。まさにフォードさん「ありがとう」の気持ちですね。

  

2013年3月5日火曜日

日本市場のVWグループはアウディだけでいいのでは?

  フォルクスワーゲンと日産は北米市場での販売増を目指して、グローバルモデルの低価格化に取り組んでいる。この両社が韓国メーカー以上の「ダンピング」でアメリカのクルマ文化を破壊しているという批判もあるくらいだ。しかもこの両社はともに「利益率」でトヨタを大きく上回っている。いったいどこで儲けているというのか?

  Cセグセダンのジェッタ(ゴルフのセダン版)の新型は日本市場には投入されないようだが、これは北米でGMクルーズや日産セントラ(シルフィ)と対抗したモデルとして大幅に値下げを行っているため日本では売りにくいのかもしれない。北米ではセダンタイプよりハッチバックの方が2000〜3000ドル高くなるのが一般的なようで、ジェッタが1万6000ドルに対して、ゴルフは1万8000ドルからの価格になるので、日本市場でも実際ゴルフの在庫車は200万円台前半で売られてるそうだ(これならほぼ適正価格と言えるかもしれない)。

  ただ日産同様にVWもグローバル市場での低価格化を進めてコストダウンを図るなら、日本の消費者に大きく支持されることはないだろうし(そもそもVWに低価格を求めて買う人は少ない)、日本のクルマ作りが余計に混乱するだけなのでそんなブランドは早く撤退してほしいと思う。日産についても同様で、高級なクルマを思いっきり高くし、コストダウンをし尽したクルマを思いっきり安く売るだけのメーカーになっている感がある。

  VWもアウディやポルシェを日本で展開しているが、それら高級ブランドとVWブランドとの中間のラインアップが空白になっていて、そこまで高くないクオリティカーを売るということはしないようだ。アウディでもA4はあまり売る気がないようで、それよりも上級のA6などの販売に熱心な様子が伝わってくる。日産についても言えることだが、誰が買うのかよくわからない価格帯の商売と、コストダウンだらけのお買い得なクルマの商売の二極化が過剰すぎて、ブランドとしての魅力があまり伝わってこなくなった気がする。この両社に日本市場で300万円くらいで若者が買えて、満足ができるクルマはどれなのか訊いてみたいものだ。

  

2013年3月4日月曜日

キャデラックATSよりホールデンVXR8を日本へ

  日本市場ではドイツ型プレミアムセダンは過渡期を迎えていると思います。もちろん売上が激減することはないのですが、日本人がクルマに求める魅力はすこしずつ変化していて、セダンという枠組みだけではまったくと言っていいほど売れる要素はなくなってきています。今はそのクルマの魅力がそのまま評価につながっています。デザインで好調なマツダとトヨタ、「アイサイト」などの機能で先行するスバルの上級モデルは好調なのに対して、日産とホンダは新機軸を提示できずに上級モデルでは低迷しています(もともと国外向けではありますが)。

  「キャデラック」のブランドだけで(機能はBMW3のほぼパクリ)、500万円するクルマがどれだけ売れるか(BMW3を超えるか)は微妙なところだと思います。左ハンドルのみの設定は完全に逆機能なので、それだけで敬遠する人も多いのではないでしょうか。ただドライブスルーと有料駐車場で煩わしいくらいなので、ETCさえ付けておいて、使い方を工夫すればそこまで気にする必要もないかもしれません(ひとりでドライブスルーなんて普通は行きませんし横浜での買い物に一人でいくこともないですね)。

  日本のクオリティカー市場(300万円~600万円)は月販1500台を超えれば、かなり競争力がある方だとは思いますが、トヨタの販売力をもってもそのレベルまで持ち込めるのは数台の規模です。キャデラックの月販はブランド全体で50台程度なので、このクルマで500台規模まで押し上げられればまずは成功ではないでしょうか。どこか日産のVC35スカイラインクーペ(先代スカクー)のように見えるデザインなのですが、フォーマルに使うとすれば小さい気がするし、プライベートに使うとすれば堅苦しい印象です。日本のどの風景に馴染むのか?あまりイメージが湧きません。

  やや偏見かもしれませんが、東京近郊ではなく、関西圏の方が似合っている印象があります。借家住まいの多い東京と違って、関西圏では資産家がレクサスなどの高級車を乗り回すイメージがあります。おそらく奈良や京都は人口比率でいくと一番レクサスが売れているのではないかという印象があります。また関西圏ではベンツよりもジャガーやシトロエンの上級モデルのセダンをよく見かけたので、東京でジャガーを見ると関西出身の人だなと勝手に思っています。横浜よりも京都や神戸の方が、このキャデラックATSもしっくりくるのでは(あのグリルも関西の風景なら溶け込みそう)?という気がします(近所でよく高齢者マークを付けた1台のCTSが走ってますが、東京では完全に浮いてますね・・・)。

2013年3月3日日曜日

BMWは一番真面目に見えるメーカー

  ちょっと失礼かもしれないが、BMWのイメージは今や「真面目すぎなメーカー」になった感がある。もちろん真面目に他社よりもいいクルマを作っているのだが、どうも真面目すぎて、多くのクルマ「初心者」にはついていけないレベルになっている。別にBMWが悪いわけではないが、プレミアムブランドというものは何かしらの新しいトレンドを発信する義務があるように思う。最近のメルセデスやアウディに対してBMWのクルマには「新しさ」を感じなくなっていませんか?

  BMW3はディーゼル設定がお買い得で、装備も充実していて、たしかに完成度が高いクルマだ。輸入車を買うとなれば、一番賢い選択だと誰もが思うだろうクルマであるが・・・、全方向的な要求に答えるプレミアムセダンのはずなんだが・・・。「初心者」(=20代・30代)が何を犠牲にしてでも買いにいくような「掴み」が薄い気がする(ないとは言わないが)。そういった「掴み」では日産スカイラインクーペなんかの方が遥かに上な気がする(スカクーには若者にローンを組ませるある種の魅力がある)。

  BMW3シリーズは現在の日本のセダン人気を牽引する車種(アテンザ・クラウン)が一番のライバルとしてきたクルマだ。日本メーカーの開発担当者もBMW3のようなクルマこそが売れると考えているのか?それともこのクルマには根本的な何かが欠けていると考えているのか?はわからないが、BMW3が今のセダンのベースになっているのは確かだ。ただ一つの事実としてこのクルマは前評判ほどには日本で売れていない。同価格帯のクラウンにあそこまでやられたらもはや「セダン不振」とは言えない。

  BMW3とイメージが被るのがトヨタのマークXだ。このクルマも「賢者のセダン」などと言われているが、その合理的なパッケージの割にヒットとは程遠い状況になっている。BMW3もマークXも皮肉なことに、完璧過ぎて魅力が乏しいのかもしれない(おそらくそうだ)。どちらのクルマも、ローンを組んでまで欲しいとは思えないのだ・・・。

2013年3月2日土曜日

新生メルセデスの実力は?

  クルマ文化の中心地の北米で今も最高峰の高級車としてメルセデスSクラスが持つステータスは別格だ。ほとんどのクルマが日本より安く販売されているが、このクルマだけはほとんど価格差がない(CLとSLも)。アメリカで10万ドルで売れるステータスを持つクルマは他には見当たらない(ないことはないが)。ところが日本では「孤高」というほどではなく、アウディやBMWの方が勢いがありそうで、メルセデスはちょっと影が薄くなっている印象すらある。そんな日本でのジリ貧状態を変えるべく、従来の高級モデルだけではなく、若い世代も取込めるクルマを投入してくるようだ。

  ドイツプレミアム3社が横並びに設定している主力の「3クラスのセダン体勢」は、日本市場のニーズに合わなくなってきている。日本の個人所有車でステータスになっているのが、BMW5やベンツEといったクルマで、このクラスなら世界のどこでも高級車として知られた存在だ。それに対してお手軽な(日本では十分に高いが)その下のクラスのBMW3やベンツCは上のクラスのセダンをそのまま小さくしたような、(プレミアムカーにしては)魅力の乏しいクルマだ。「六本木カローラ」とか「赤坂サニー」と揶揄された時代とはだいぶ変わってきているが、それでも500万円払って買おうとは思えなかったりする(北米ではスカイライン(3.7L)より50万円ほど安いクルマなのに、なぜ日本では逆転してるのか?)。

  そこでメルセデスは新しいクルマを考えたようですが、これがなんともプライドをかなぐり捨てたような他社の追従作戦のようです。去年の9月に欧州で発売するや瞬く間に10万台近く売れたという新型Aクラスを、輸入ハッチバックが大盛況の日本に持ち込んできました。ゴルフ7がやってくる前に展開できたことと、メルセデスのネームバリューでモデル初年度から日本でも大成功を収めそうな感じがします。ただ日本のハッチバック市場は去年あたりからだいぶ冷え込んでいるという見方もあり、実際に予定通りに売れるかどうかはわからない部分もあります。

  Aクラスよりも注目を集めているのが、年内に日本にも投入されると言われているCLAです。ベンツがDセグのFFセダンを作ってきたわけですが、これはフォードモンデオ(フュージョン)やホンダアコードといったFFセダンの世界的ヒットに触発されたものだと思います。しかもメルセデスの絶妙な戦略によるものでしょうが、日本で好評のマツダアテンザをデザインをそのままに日本で使いやすいサイズに縮めたクルマに仕上がっているようなので、こちらも初代モデルながらかなりの販売実績をつくりそうです。今年から来年にかけて、ここにきて一気にレベルが上がった日本のセダン同士の対決に割って入っていけるくらいのクルマにはなっていると思います。レクサスISやスカイラインよりも低価格の設定が予想されるので、日本勢もさらなるアピールが必要になってきそうですね。まさに「台風の目」になりそうな新生メルセデスに注目したいと思います。

2013年3月1日金曜日

PSAグループは早くも苦境から進化を見せている!

  フランスを代表する2つのメーカー「プジョ」と「シトロエン」のM&Aによって生まれたPSAグループは北米や日本ではシェアが小さいので、主戦場の欧州での不況により一昨年から苦境に立たされています。日本市場を狙った?渾身のスポーツカー「RCZ」は、トヨタ86などの強力ライバルの出現で思うように販売が伸びない(ユーザーにとってはうれしいかも・・・)状況です。それでも日本でのプジョー車は「ドイツ車ほど高価ではない」「オープンモデルが豊富で作りがよい」「リアデザインの日本車やドイツ車にはない良さ」などに定評があり、神奈川県や静岡県辺りの別荘地では良く見かけます。

  プジョはこれまで、Bセグハッチバックからフルサイズセダンまでラインナップして、車種ごとに別々のスペックを持っていましたが、今では経営再建のためほぼ全てのエンジンをBMW製1.6Lエンジンにしていて、Bセグの208からミニバンの5008まで同じエンジンになっています(シトロエンも同じ)。これは他社に先駆けての素晴らしい思い切った戦略だと思います(エンジンでリコールが発生したら全車に及ぶが、それはBMWが負担?)。BセグやCセグだとライバルよりもハイパワーのいいエンジンだし、セダンやミニバンでもダウンサイジングエンジンとして十分過ぎるパワーがあります。

  もう一方のシトロエンも不振が嘘のように新型モデルのDSシリーズをどんどん発売しています(不振だから勝負してるのかも・・・)。こちらも新しいデザインが受け入れられていて、日本市場で復活しつつあるアルファロメオやランドローバーと同じくらいは売れています(月400台)。このDSシリーズはトーションビームを使っていて、日本で大人気のトヨタのファミリーカーの趣があります。「DS3」はヴィッツにBMW1.6Lターボエンジン搭載。「DS4」はオーリスにDS3と同じエンジン。「DS5」はエスティマにこれまたDS3と同じエンジンを積んだようなクルマになっています(あくまでデザインは別物ですが)。このシトロエン「DSライン」はあくまでデザインで買うものであって、中身(ドライビングフィール)にはあまり過剰な期待をしない人にとってはとても納得できるものじゃないかと思います(オーリスやエスティマがかっこ良かったら嬉しいですよね)。個人的にはシトロエン車にはセダンのC5に装備されている世界で唯一の乗り心地を実現した「ハイドロサス」のような装備が欲しいと思ってしまいます(C5ももちろん絶賛発売中です)。

  シトロエンDSシリーズは大雑把に言うと、「トヨタの合理的といえるハッチバック・ミニバンを、シトロエン版のデザインにして、信頼性の高いBMWの1.6Lターボエンジンを積んだ」クルマです。輸入車としては価格も十分に押さえられていて悪くないと思います。例えばDS4は本体で約300万円ですが、オーリスにこのBMWエンジンならトヨタでも200万以上の価格になるので、デザインが大幅に向上しているので、オーリスの外装を取り替えて100万円と考えれば納得できます。もっとブランドの知名度を上げていければ、トヨタのデザインに物足りない人をうまく取込めるのではないかと思います。

  プジョもシトロエンも輸入車にしてはお買い得で、小型車になると日本車とあまり価格が変わらなかったりします。それでも内外装はさすがの出来映えで満足感も非常に高いクルマになっています。ブランドの強みである「デザイン力」を武器に、トヨタをベンチマークした車体にBMWのエンジンという最先端の「企画力」を発揮できていると思うので、ブランドが定着すれば確実に業績は上がってくるのでは?と思います。